僕とメラリーが付き合い始めてもう結構経っている。周りにも知られ、デートも何回かした。  
キスも済ませているし、セックスだってした(というかメラリーに襲われるような形でキスとセックスを一番最初に済ませられてしまった。メラリーにその話を持ち出すと顔を真っ赤にして黙る)。  
ただ、デートは全部僕の方から誘ってのこと。そしてキスやセックスは初めてを含めてまだ二回で、それも彼女の方から誘ったわけではない。そんなわけで僕としてはちょっと不満がある。  
たまにはメラリーからデートに誘って欲しいと思う。  
………いや、正直に言ってしまうと不満はそれだけじゃない。単刀直入に言うと、性的な欲求不満もある。寧ろそっちの不満の方が大きい。  
ここしばらく彼女との交わりをしていない。さっきも言ったが回数にしてもまだ二回だけだ。僕だって男なんだから好きな人とはもっとそういうことをしたい。  
が、何しろ機会が持てない。二回目の時は偶然二人とも親がいない日に僕の家にメラリーが泊まってことに及んだのだが、それ以降は全く機会がない。  
………正直そろそろ我慢の限界…  
さて、どうしよう…などと考えている現在、昼休みである。自分の机で昼食を済ませてぼんやりしている。と、メラリーが近づいてきた。思考中断。  
「…な、なあ…ロード…」  
…? なんだろう、なんか顔が赤いな…それに妙にモジモジしてる…  
「やあメラリー、どうしたの?」  
ついさっきまで考えていたことを顔に出さないように彼女に返事をする。  
「…き、今日の放課後…ちょっと付き合ってくれないか…?」  
「……………………え?」  
え、何、今メラリーはなんて言った? 放課後に付き合ってくれ?  
「だ、だから、その…デートに…行きたいん、だが…」  
…!!! デートのお誘い!? 自分からは全く誘おうとしなかったメラリーが!? たまにはメラリーから誘って欲しいな、なんて言ったら顔を真っ赤にして黙っちゃったあのメラリーが!?  
「…だ、駄目か…?」  
「いやいやいやいや、まさか!うんいいよ、行こう!」  
もちろん断る理由なんて無い。寧ろすごく嬉しい! まさか彼女の方から誘ってくれる日がくるなんて!  
「そ、そうか…じゃあ、また放課後にな…」  
そう言ってメラリーは自分の机に戻っていった。  
…放課後まであと3時間か…  
 
 
−−−−  
 
 
待ち遠しかった放課後、メラリーと一緒に学校を出て適当にふらついたあと、デートの時にはいつも行っている喫茶店へ来た。この店は食材にこだわっているらしく、コーヒーやスイーツが美味しいので僕も気に入っている。  
「メラリー、何頼む?」  
「いや、今日はコーヒーだけでいい」  
「オッケ」  
二人分のコーヒーを注文して席に着いた。いつものデートと同じように二人で美味しいコーヒーを味わう。この時間がたまらなく好きだ。  
 
「…ロード、このあと行きたいところがあるんだが…」  
二人とも半分ほどコーヒーを飲んだところでメラリーがそんなことを言い出した。  
「ん、どこいくの?」  
「それは…えっと…」  
ん? どうしたんだろう、口ごもっちゃって。  
「ま、いいよ。メラリーとならどこに行ったって」  
「そ、そうか…ありがとう…」  
「じゃ、このコーヒーを飲み終わったら行こうか」  
僕がそう言うとメラリーは黙って頷いて残りのコーヒーを飲み始めた。それを見て僕もコーヒーを飲み始める。また僕の好きな時間だ。  
「………ふぅ、じゃあ行こうか」  
「…ああ」  
コーヒーを飲み終えて会計を済ませて店を出ると、メラリーはすぐに歩き始めた。  
「…ついてきてくれ」  
どこに行くのかな、などと少し楽しみにしながら僕はメラリーのあとについて行った。  
 
 
−−−−  
 
 
「……………」  
言葉が出なかった。着いた場所が完全に予想外だったからだ。  
「…えーと…メラリー?」  
「………」  
メラリーを見ると顔を真っ赤にして俯いている。…こういう初々しさがいつまでもなくならないところが可愛らしい。いや、今はそんなことを考えている場合じゃない。彼女に連れられてやってきた場所は…  
「……これはラブホってやつだよね?」  
「………明日は、学校は休みだろう…?」  
か細い声で彼女はそんなことを言った。………やっぱりそういうことだよね、これは。いや、嬉しいけどね?嬉しいんだけど、まさかメラリーの方からここまで誘ってくれるとは思わなかった。  
………とりあえず…  
「………入ろうか」  
「………」  
黙って頷く彼女と一緒に僕はホテルへと入っていった。  
 
 
−−−−  
 
 
部屋に着いてまず親に友達の家に泊まると連絡し、メラリーからシャワーを浴びた。そのあとに僕がシャワーを浴びて、腰にタオルを巻いたままバスローブを着たメラリーとベッドに並んで腰掛ける。  
「…まさかこんなところに来るとは思わなかったよ」  
「…め、迷惑だったか…?」  
「いや、そんなことはないんだけど…びっくりしたよ、今日はどうしたんだ?」  
「…その…言いにくいんだが…」  
「ん?」  
「…………我慢できなくなって…」  
………  
何?  
「…ロードと、その…しばらくこういうことが、できなかったから…それで…」  
「…ずっと欲求不満だったってこと?」  
僕がそう聞くと彼女は黙って頷いた。  
…まさか二人して同じことで悩んでたなんて…  
「…早く言ってくれればよかったのに」  
「だ、だって…」  
「でも嬉しいよ、ずっと僕のことを考えていてくれたなんてさ」  
そう言うとメラリーは顔を上げて僕の方を向いた。そのまま数秒見つめ合い、どちらからともなく唇を重ねる。  
「ん…ちゅ…」  
「んむ…ん…」  
お互いの舌を絡めること数秒、唇をゆっくりと離す。そのまままた見つめ合っていると不意にメラリーが口を開いた。  
 
「ロード、少し向こうを向いていてくれないか?」  
「え? うん、わかった…」  
メラリーに言われた通り、顔を背けて待つ。  
「………こっちを向いていいぞ」  
言われて彼女の方を向くと、彼女は裸エプロンで立っていた。普段学校でも使っているエプロンだった。恐らく鞄に入れていたのだろう。  
「うわ…」  
そんな姿に僕は思わず見惚れてしまう。メラリーの恥ずかしそうな表情もたまらなく可愛かった。  
「そ、そんなにまじまじと見るな…」  
そう言いながら彼女は僕の隣に座り直す。  
「あ、ごめん…でも、なんでそんな物…」  
「…その、やっぱりロードも、こういう格好は好きなのか…?」  
「え…?」  
「ロ、ロードが喜ぶなら…私は、こういう格好も…」  
「…メラリー…!」  
モジモジしながらもそんなことを言ってくれる彼女のことがたまらなく愛おしく感じられて、僕はベッドに押し倒し、再び唇を重ねる。  
「んんっ、ん…んむ…」  
少しの間また舌を絡めて、唇を重ねたまま僕は彼女の秘所に右手を伸ばす。  
「んっ!」  
触れるとメラリーが唇を離さないまま反応する。  
「ん、んんっ、む、ん…!」  
愛撫するとくぐもった声で喘ぐ裸エプロンのメラリー。  
………これは、たまらないな。これだけでもかなり興奮する。  
「んむっ…ん、んんんんんんーー!」  
愛撫を続けるうちにメラリーが達したようだ。  
「…はぁ」  
「ぷは…はぁ…はぁ…」  
唇を離して彼女を見るとトロンとした表情で呼吸を整えていた。  
「はぁ…はぁ…ロード…そろそろ…欲しい…」  
こんなおねだりまでしてくれちゃって。ほんと可愛いなあもう。  
「ん、じゃあちょっと待って。今ゴム着ける」  
避妊はちゃんとしないとね。初めての時はそんなことを考える暇もなかったけど(二回目の時はちゃんと着けた)、まだ高校生なのにメラリーが妊娠してしまっても困る。  
が、着けようとする前にメラリーが止めた。  
「ま、待って…そのままでいい…」  
「え、でも…」  
「今日は…大丈夫な日だから…」  
「…わかった」  
…避妊はちゃんとしないととか言ってたくせに、とか思わないで欲しい。僕だってできればメラリーを直に感じたいんだ。  
僕はメラリーに覆いかぶさるような姿勢になり、エプロンをめくって自身を彼女の秘所にあてがった。  
「挿れるよ…」  
そして少しずつ腰を沈めていく。  
「ん…ん…!」  
微かに漏れるメラリーの声を聞きながら自身を全て彼女の中に収め、そして僕はゆっくりと動き始めた。  
「あ…あぁ…」  
メラリーも本格的に喘ぎ始めた。僕は動きながら彼女に話しかける。  
 
「…メラリー、痛かったりはしないかい?」  
「ん…痛くはないから…もっと動いてくれ…」  
その言葉を聞いて僕は動きを速める。と、メラリーの声も大きくなっていく。  
「あっ、ああっ!ん…あっ…!」  
「…メラリー…!」  
「ロード…ロード…!」  
僕がメラリーの背中に腕をまわして抱きしめ彼女を呼ぶと、彼女も僕のことを呼んでくれる。  
だんだんと登りつめていって、限界が近づいてきた。  
「メラリー…もう…!」  
「大丈夫、だから…そのまま…!」  
「メラリー、いくよ!」  
「ロー、ドぉ!」  
「う、あぁ!」  
メラリーをより一層強く抱きしめて僕は彼女の一番奥で欲望を吐き出した。  
「は、あああぁぁぁぁ!」  
それに少し遅れてメラリーも達したようだ。気がつけば彼女も僕の背中に腕をまわしている。  
「あ、ああ…あ…」  
僕が欲望を吐き出し終えると彼女は力尽きたように腕を離した。  
「メラリー…」  
そんな彼女のことを僕はしばらくの間やさしく抱きしめていた。  
 
 
−−−−  
 
 
後始末を終えて二人で抱き合ってベッドに横になっている現在、メラリーはもう寝息をたてている。自分の腕の中で彼女が眠っていると思うとなんだか嬉しかった。  
「…よく眠りなよ」  
すでに聞こえないとわかっていながらそんな言葉をかけてから、僕も眠気に呑まれていった。  
こんなに満たされた状態で眠りにつくのは初めてだな。今夜は幸せな夢が見られそうだと思った。  
 
 
終  
 

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