『黒白の夜想曲』(後編)   
 
 あたしが初めて此菜と「そういう関係」になったのは、奇しくも初めてふたりで組んで「仕事」をこなした日の夜のことだった。  
 「仕事」と言っても、アルバイトとかパートとか家事手伝いの類いではない。  
 あたしたち人間の世界──霊界(この呼び方は、いつになっても慣れないのよね)に、不法侵入してきた魔族や神族に退去勧告をして、それに従わない相手を「殺す」こと。  
 まったく……どこの世界に、そんな物騒な魔法少女がいるって言うのよ!  
 とは言え、実のところ此菜──ソルインティはあたしと出会う以前に数体の魔族を葬ってるし、あたしだって、初めて幻身した時に白狼を消し炭にして以来、赤毛男やガブリエル、さらにはブーネに至るまでこの手にかけているのだ。  
 だから、いまさら「魔族/神族と戦って殺す」ことに対して怖気づいた……というんじゃないと思う。そりゃあ、花も恥じらう乙女としては、切った張っただの、殺す殺されるだのの物騒な単語とは極力無縁でいたいけど、こればっかりは仕方ない。  
 あたしたち──セレンディアナとソルインティは、「それ」を選んだのだから。  
 
 オロから遅れること5日目にして、ソルインティのパートナーたる神族のミサキが、此菜のところへ戻って来た。それ自体は別にどーでもいい。  
 けど……。  
 あたしたちは、その時、決断を迫られたのだ。  
 ひとつは、これまで通り、セレンディアナが神族を、ソルインティが魔族を、それぞれ狩り続けるというもの。  
 この場合、もしふたりが出会ったときは、敵同士として(政治的な判断から、相手を殺さないよう手加減することが条件とは言え)戦うことになる。  
 いくら八百長の出来試合だとは言え、あたしも此菜も、友達──ううん、「大切な人」と戦うことは真っ平御免だった。  
 だから、必然的に選べるのは、もうひとつの方の道。  
 魔界と神界の上層部から任命された特使として、霊界に侵入する神族と魔族を倒すこと。  
 やってる事自体はさして変わらなくても、ふたり共に戦うことで負担が軽くなるし、何より互いに刃を向けなくていいというのは、精神的に格段に楽だ。  
 欲を言うなら、そもそも魔法少女自体を辞退(シャレじゃないわよ!)させて欲しかったけど……それは、まぁ、無理みたいだったし。  
 それに……2人組で黒白の魔法少女だなんて、「プラナリキュア」の第1期とか、「スパイラルななな」の第2期みたいで、ちょっとイイかも、なんて思っちゃったことは、ここだけの内緒だ。  
 
 で、ふたり揃っての初出動のあと、多少は戦いに慣れたとは言えいかんせん実戦経験の少ないあたしを気遣って、此菜がウチに来て泊ってくれることになったのだ。  
 ──まぁ、それは単なる口実で、本当は一緒にいたかっただけって線も否定できないけど。  
 だって、晩御飯とお風呂(残念ながら、別々に入った)のあと、あたしの部屋でおしゃべりしてる時も、ベッドに並んで腰かけてピトッとあたしにくっついてくるし、あたしが肩を抱いても全然抵抗しない(むしろ嬉しそうだ)し……。  
 あたしはあたしで、初めての「任務」が終わって緊張が解けた反動か、なんだかすごくエッチな気分になっていた。  
 そんな状態で、こんな間近に美味しそうな此菜の体温を感じたら、我慢できるはずないじゃない?  
 だから、そのまま彼女のこと、抱きしめちゃったの(テヘッ♪)  
 
「その、私、なにぶん初めてですから……」  
「大丈夫、優しくするわ」  
あたしは唇をそっと此菜の額に押し当て、そして離す。  
 実のところ、あたしだって異性はもとより同性とだって「そういうコト」をするのは初めてなのだ……一応、兄のコレクションで「予習」はしてきたけど。  
 じっと此菜の顔を眺めていると、此菜がねだるように目を開いた。  
 「ん……」  
 此菜の唇が、おずおずとあたしの唇に押し付けられる。  
 一度だけ重ねたことのあるそれは、柔らかくて暖かく、そしいて優しい感触だった。  
 
 ──ん……ちゅ……  
 
 此菜の唇がぎこちなくあたしの唇をついばむ。  
 あたしは、自分から舌を差し入れた。  
 「ん! あむ………んんぁ♪」  
 此菜が、戸惑うような、それでいて嬉しそうな呻きをあげる。  
 (かわいい♪)  
 あたしは、逃げる此菜の舌を追いかけ、自分の舌を絡めた。  
 舌を愛撫していると、だんだん此菜の声が甘く蕩けてきた。  
 「ん……んく、んんっ!」  
 溢れてくる此菜の唾液を音を立ててすする。  
 それが恥ずかしいのか、此菜が微かに身を震わせ、顔を背ける。  
 「うふふ……こ〜ろな♪」  
 
 ──チュッ!  
 
 プニプニした柔らかい頬に、ついばむような優しいバードキスを落とす。それだけで、此菜の顔に嬉しそうに一層赤く染まるのがわかった。  
 (ああ、此菜……喜んでくれてるんだ)  
 好きな人の喜悦を確認しただけで、ゾクゾクするような快感が、あたしの背筋を駆け抜けた。  
 あたしは、此菜と深く唇を重ねながら、自分の唾液を彼女に飲ませる。  
 「る、瑠奈さ……んんぁ……あぁ」  
 それだけで、此菜はまるで酔ったようなポーッとした瞳であたしの顔を見つめている。  
 「あたしのキス、どう?」  
 「その……よく、わかりません。あ! も、もちろん嫌というわけではないんです。むしろ、どちらかって言うと、その……」  
 自分が何を言いかけていたのか悟った此菜は、あわわと口を閉じる。  
 (ああ、なんて可愛いんだろう……)  
 もう、あたしは自分の気持ちを偽ることはできそうになかった。  
 「此菜……大好きよ」  
 そう、あたしが耳元で囁くと、此菜の顔はこれまで見た中でも一番の笑顔になった。  
 「あ……ハイッ! 私もです」  
   
 三度唇を重ねた後、あたしは此菜をそのまま自分のベッドに押し倒した。  
 「ちょ……いきなりですの?」  
 此菜に貸したピンクのパジャマを手早く脱がせる。此菜が恥じらっているうちに、あたしも自分の部屋着を脱ぎ、互いに下着だけになっていた。  
 「せ、せめて、スリップくらいは……」  
 「うふふ、ダーメ。不許可よ」  
 不思議だ。クラスメイトなんだから、これまでも体育の着替えの時なんかに下着姿くらい見たことはある。  
 それなのに、場所と状況が違うだけで、どうしてこんなにドキドキするんだろう。  
 「も、もういいでしょう……そんなに見ないでください」  
 「あら、いいじゃない。女同士なんだし♪」  
 じっくりと、此菜の下着姿を観察する。  
 「でもぉ……」  
 此菜の抗議を封じるように、あたしは此菜の口内を舌で蹂躙する。  
激しく舌を絡めながら、あたしの左手の指が此菜の背中を上から下へゆっくりと滑り、右手は慎ましやかな曲線を描く左胸を下着越しに包み込む。  
 僅かに掌に力を入れると、 此菜は短く声を上げ、口を開いたまま切なげに喘いだ。  
 
「あぁぁ…や……め…てっ……ふぁっ!」  
しばらくして、あたしは口を離すと、そのまま此菜の滑らかな頬をなぞり愛らしい耳たぶに口付けた。  
 此菜は僅かに身をよじって悶えるが、構わずあたしは熱い息を耳に吹きつけ、舌先で耳のくぼみをなぞっていく。  
「はぁ……はぁ……瑠…なぁぁあぁぁっ!!」  
此菜は快感を堪えるように身を捩り、小さく声をあげている。その様子に昂ぶる心を押さえつつ、彼女が身を捩って背中を見せたのに乗じて、あたしは責める先を耳朶から首筋、そして背中へとゆっくり移行していった。  
 
 ──ちゅぷ……ん……ちゅ、ちゅっ……  
 
あたしの唇が、舌先が、指が、此菜の肌に触れる。その度に、此菜は恥ずかしさ(そして多分気持ち良さ)から声を上げまいとしてシーツを噛み、身を固くしている。  
 「んんっ……」  
 (あーあ、我慢は身体に毒だと思うけど……)  
 だって、我慢すればするほど、逆に快感をより意識することになるのだから。  
 その証拠に、程なく此菜の身体は小刻みに痙攣し、愛らしい朱唇からすすり泣くような声が漏れてしまう。  
 
ひとしきり背中を責めた後、息を荒げてグッタリしている此菜を仰向かせると、あたしは再び首筋に唇を這わせた。甘い吐息が此菜の口から漏れる。あたしはゆっくりと唇を首筋から鎖骨へ、そして可憐な胸のふくらみへと這わせていった。  
 
 「じゃ、ブラ取るね?」  
 「ちょ、ちょっと待って下さい。あ、あの……私、そんなにスタイルが良くないので……」  
 確かに、基本的に目と髪の色が違うだけのあたしとセレンディアナとは違って、此菜はソルインティの時に比べるとひと回り小柄で幼い体つきをしている。  
 でも……わかってないなぁ。だからって、あたしがそんな此菜のことを嫌いになるわけがないじゃない。むしろ、そんな此菜が可愛くてたまらないのに。  
 あたしは、此菜に馬乗りになったまま、器用に片手でホックを外して、彼女のブラジャーを剥ぎ取った。  
 「わぁ…やっぱり、此菜の肌って白くて綺麗。それに、おっぱいの触り心地もよさそう♪」  
 思わず呟きを漏らしながら、両手で優しく壊れ物を扱うかの様に此菜の胸に触れる。  
 「あ、あン…いきなり……あっ……」  
 此菜の胸を揉みしだくうちに、少しずつマシュマロみたいなふわふわした様なその感触の虜になる。  
 掌だけでは飽き足らなくなったあたしは、やがて無意識の内に乳首を口に含んで、赤ちゃんみたいに吸ってみたり舌先で転がしてみた。  
 
 「ぁ…はぁ………ぅ…んぅ……る…瑠奈ぁ〜………」  
 十二分に感じていながらも、此菜は僅かに抵抗の素振りを見せる。  
 けど、あたしのツボを心得た愛撫と馬乗りになった姿勢のせいで、思う様に力が入らないらしく、次第にあたしのなすがままの状態に陥っていく。  
 「んむ……ちゅ………ん……ふふっ。此菜かわい♪」  
 徐々に隠さなくなった此菜の恍惚の表情は、あたしを大いに満足させてくれる。  
 「コッチも……ね?」  
 此菜の身体を撫でる様に右手を滑らせ、ショーツの中へと忍ばせる。  
 「はぁん! そ…そこは……ああっ…!!」  
 「わぁ、もうびちょびちょだよ? 此菜のココ♪」  
 ほんの少し触れてみただけで、ヌチュリといやらしい水音が聞こえてくる。その音を聞いた此菜の顔は羞恥心に染まり、あたしから視線を背けた。  
 「る……瑠奈さんが……あんな風にスるからですっ!」  
 怒ってないクセに怒ったようなツンデレ台詞を吐く此菜。あ、なんか「ツンデレ萌え〜」とか言ってる兄の気持ちがわかっちゃったかも。  
 「ちゃんとあたしで感じてくれたんだ。うれしいよ」  
 ソッと耳元で囁くと、カーッと耳まで真っ赤になる此菜。  
 「私も……ほら……」  
 あたしは此菜の手を取り、恥ずかしさを堪えてあたしのアソコに導く。  
 「ぁ……濡れて……」  
 「うん。此菜の可愛い反応見てたら、こんなになっちゃった」  
 たぶん、今のあたしの顔も、此菜に負けないくらい真っ赤になってると思う。  
 「あ、あの……もっと……触ってもいいですか?」  
 「うん、もちろん!」  
 お互いにゆっくりと指を動かし始める。  
 クチュクチュとソコを弄る音が重なり合い、部屋に淫靡な合奏が響き渡る。  
 幸い、部屋でガールズトーク始める前に、いったん変身して時限性の結界張っておいたから、お兄ちゃんとかオロとかのデバガメは気にする必要はないはず。  
 「あ、ふぅぁ! る、瑠奈ぁ……気持ちいぃ……」  
 「んふぁ……はっ……此菜ぁ……その表情、すっごくエロぃ」  
 「る、瑠奈だって、凄くえっちな顔…して…んんっ…してる………あぁん!」  
 だから、誰はばかることなく嬌声を漏らし、途切れ途切れに互いの名前を呼び合う。  
 どちらともなく唇を重ね、口の端から唾液の糸を垂らしながら、互いの舌を貪る。  
 互いの股間を弄り合う指の動きも、興奮につれて激しくなり、聞こえてくる湿っぽい液体音も徐々に大きくなっていく。  
 
 程なく、ふたりとも身体がビクンと強張わらせて、あたしたちは一気に頂点まで上り詰めていった。  
 「はぁっ…はっ……瑠奈激し……だめぇ、いっちゃ……いっちゃうぅぅーーっ!!」  
 「ふわぁ! あっ、あたし、あたしもぉ……限か…ぃ……ぁああーーーーっ!!」  
 全身の力が抜けて、思う様に動けず、あたしは糸の切れた人形の様に此菜の上に倒れ込んだ。  
 「はぁ……ぁ……ぁはぁ………」  
 「ぁ…はぁ……はぁ……は……」  
 お互いの胸の膨らみの重ねながら、そのままの状態でしばらく呼吸を整え合う。  
 やがて、少しずつ息が整ったところで、あたしは僅かに姿勢を変えて、此菜の目を覗きこんだ  
 「とうとう、シちゃったね」  
 此菜に告白され、その気持ちを受け入れた時から、こういう日が来るかもしれないことは、覚悟していたつもりだけど……。  
 「──瑠奈さんは、後悔してますの?」  
 切なげな色を瞳に浮かべる此菜の手を握り、あたしは微笑みかける。  
 「バカね。その逆よ。こんなに気持ちいいなら、もっと早く此菜を抱いちゃえばよかったわ」  
 安堵感に緊張が溶ける此菜の顔が、これまたすごく可愛い。  
 
 ──あー、どうしよう。あたし、おかしくなっちゃったかも。  
 さっきから此菜の顔を見ているだけで、なんて言うかこう、抱きしめたくて、可愛がりたくて、仕方ない気がする。  
 ものすごく大切に「いい子いい子」してあげたい反面、自分の手でちょっと意地悪していぢめて泣かせたくなるような、そんなアンビバレンツな感情。  
 これが本当の「恋」と言う感情なら、あたしは生れて初めて恋をしたのかもしれない。  
 かつて先輩に抱いていた「好き」は、あくまで「憧れ」の延長にあったものだったのかな。  
 「……瑠奈さん、誰か、別の人のこと、考てません?」  
 ギクリ、鋭い。女の勘って侮れないのね。  
 「そんなことないってば」  
 あたしは誤魔化すように唇を重ね、ゆっくり擦り合わせるようにして此菜の唇の柔らかな感触を楽しむ。  
 
その動きに触発されたのか、此菜もあたしの動きに合わせて頭を動かす。やがて、どちらからともなく舌を絡め合う。  
此菜の口から堪えるような声が漏れる。あたしは更に深く口を重ね、此菜の口蓋を舌先で刺激する。  
 
再び火が点いてしまった此菜(まぁ、それはあたしも同様だけど)は早くも声を殺すのを諦め、両手であたしの頭を抱き締め、小さな喘ぎ声を絶え間なく漏らしている。  
 あたしは此菜の腕に抱き締められたまま、小さめだけど形のいい乳房の曲面をなぞるように円を描きながら唇と舌を這わせていった。  
間もなく唇が此菜の乳房の中央の薄い桃色の小さな突起に到達する。ツンととんがったその突起を口に含み、先端を舌先で刺激すると、此菜はひときわ高い声を上げ、身体を仰け反らせた。  
 あたしは右手の親指と人差し指でもう一方の突起をつまみ、指の腹で転がすようにして愛撫する。  
両の乳首への執拗な愛撫に此菜は甲高い声を上げ続け、快感に耐え切れないように首を激しく横に振っている。  
 あたしは、彼女の様子に目を細めながら、舌と指で此菜の敏感な突起を、時に強く、時に優しく責め続けた。  
 
ほどなく、此菜の口から喘ぎ声以外の言葉が聞こえてきた。  
「お…お願い……し、下も…………」  
 彼女の方から素直に懇願してきたことに、あたしは限りない満足感を覚えた。  
 「ええ。もっと、気持ち良くしてあげる」  
 あたしは、此菜の片足を胸元に抱え上げるようにして、彼女の両脚のあいだに割り入り、姿勢を調整して自らの股間を此菜の其処とくっつける。  
 ヌチャリ……と、湿った音をたてて、あたしと此菜の襞が重なった。  
 「ん……あぁ……瑠奈ぁ!」  
 「此菜……気持ちいいよ、此菜のおま●こ」  
 大好きな此菜とアソコを擦り合わせていると言うだけで、あたしはイッてしまいそうになった。  
 濡れた割れ目どうしが吸いつき、絡みあい、チュプチュプと湿った音をたてる。  
 「ひんっ……はっ……る、る、なぁ……」  
 此菜が潤んだ目で切なげにあたしの名前を呼ぶ。それだけで感動で胸が疼いた。  
 「もっともっと、気持ちよくしてあげるから」  
 目の前の白いふくらはぎに口づける。  
 「あぁん……だ、だめです、ソコ……んんっ!」  
 弱々しく首を振る此菜だけど、あたしに止める気がないと知ると、お返しばかりに手を伸ばして、あたしのお尻を触ってきた。  
 拙い、けれど心の籠ったその手つきは、ただでさえ興奮過剰気味なあたしの心を、さらなる高みへと駆り立てる。  
 「ふふ……どう、此菜、わかる? あたしとあなたのアソコが、グニグニ擦れちゃってるの♪」  
 秘裂の割れ目から上部の突起物までを隙間なく擦り合わせ、お互いに腰を押しつけ合う様にして、ぶつけ合う。  
 同時に、あたしも彼女の胸に手を伸ばし、掌を此菜の乳房にソッと被せ、優しく愛撫する。  
 「あ、いい! それいいっ! もっと…もっと動かしてぇ!」  
 「そう、ココがいいのね、此菜? あんっ……もっと喘いで! あたしに声を聞かせて!」  
 
 此菜の嬌声に刺激され、あたしの手に余計な力が入り、彼女の胸を押し潰すように揉みしだく。でも、その痛みすら今の此菜には快楽なのかも知れない。  
 「ひゃぁっ! クるぅ……スゴイ! ひんっ、そこ……あはぁ……イクぅーッ!」  
 抱き合った此菜が再び達しようとしているのを感じる。  
 一瞬遅れてアタシの体も震え、頭も、胸も、背中も、腰も、ワケのわからない白いモノで塗りつぶされた  
 「イく……クるぅ! んんッー! やぁ……キたあぁぁぁーーーーッ!」  
 目の前が真っ白に染まり下半身全体が烈しく痙攣を起こし、上半身が迎け反る。  
 ピンと弓なりに身をそらすあたしの腕の中から、抱えていた此菜の脚が抜け出し……あたしは、今度は彼女の身体のすぐそばにへと倒れこんだ……。  
 
 * * *   
 
 「何と言うか、邪心満開って顔されてますわね」  
 すぐそばで、呆れたような声を聞かされて、あたしは回想から我に返った。  
 「あ、ごめ〜ん、此菜」  
 あたしたちは、今、此菜の家で一緒にお風呂に入っている。ウチの浴室と違って、流石は一軒家。女の子ふたりで入っても余裕な大きさが嬉しい。  
 あたしが最近、この家によく来るのは、ひとつにはこれが理由でもある。  
 ちなみに、もうひとつの理由は、油断のならない盗撮魔(おにいちゃん)を警戒しなくてもいいからだけど。  
 まったく……今度あたしたちの秘め事を撮影してるトコロ見つけたら、ピーッをオルクスタロンで切り取ってやるんだから。  
 
 互いの身体に適度にタッチ(このくらいは年頃の女の子の悪フザケの範囲よね?)しつつも、お風呂でほっこり温まったあたしたちは、バスタオル一枚だけを巻いた状態で、手を繋いで此菜の寝室へと向かった。  
 実は今夜は、互いにセレンディアナとソルインティに変身した姿で抱き合ってみることを計画しているのだ。  
 確かにあたしたちの魔法少女衣装(コスチューム)そのものは脱げないけれど、着たまま多少ズラしたり、スカートの下の下着を下ろすことくらいはできる(そうでないと変身中におトイレにも行けないしね)。  
 それを悪用(?)して、この格好のままエッチなコトをしちゃおってワケ。  
 え? 「罰当たり」? 「不謹慎」? そんなの知ったこっちゃないわよ!  
 前にも言ったと思うけど、あたしはあたしがよしとすることをするのみ、だ。  
 勿論、普段のちっちゃくて可愛い此菜も大好きだけど、あの清楚だけど大人っぽいソルインティを、セレンディアナの腕の中で存分に喘がせてみたいと、前から思っていたのだ。  
 ──って、やだ、最近のあたしって、結構Hな小悪魔っぽいかも。  
 セレンディアナの影響は……間違いなくあるだろうけど、同時にコレがあたしの「地」であることも、たぶん事実だと思う。  
 ま、いーか。とりあえず、今は目の前の金髪の美少女と愛し合うのが先決よね♪  
 
 * * *   
 
 「それにしても、上手く動かしたものだな」  
 「はっ! 人間を使い捨てにする神族には言われたくない台詞ですわ」  
 陽守家の上空100メートル程の位置に、ふたつの人影が浮かんでいる。  
 無論、人影と言っても厳密には「人」ではない。  
 セレンディアナの相方の悪魔オロバスと、ソルインティのパートナーの神族、ミサキだ。  
 「セレンディアナとソルインティを「番人」として、勝手な動きをする同族達への見せしめに利用しつつ、当人達にも「互いを守る」というモチベーションを与えてやる気を維持し、かつ必要以上の「成長」を封じる……か」  
 現在のところ、セレンディアナとソルインティは、「霊界への不法侵入者を撃退・抹殺する」という任務を与えられている。  
 これは、長期的に見れば霊界──つまり人間のためになることでもあるから、ふたりは引き受けてくれたのだ。  
 しかし、魔界や神界からこちらの世界へ出てくるための通路は、何も日本だけにあるわけではない。そもそも「霊界への侵入」は、表向きはともかく裏では黙認されているのだ。  
 ただ、お互い敵対する立場の両族への言い訳や取り決め上、おおっぴらにソレを認めるわけにもいかない。  
 だから「上層部もキチンと対処はして取り締まってます」という体裁を整えるために、ふたりの魔法少女の存在は、まことに好都合だった。  
 「上のモンの思惑知ったら、瑠奈さんらは怒るでしょうなぁ」  
 「仕方あるまい。それに、話してないことがあるだけで、何も完全に騙しているわけではないのだ」  
 「それは詭弁っちゅーヤツやないですか?」  
 悪魔と天使の言い争いも知らぬげに、ふたりの少女はひとつのベッドで抱き合いながら、束の間の安らかな眠りを貪るのだった。  
 
-fin-  

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