薪割りが一段楽した俺は、煙草を1週間前に切らしてしまったのも忘れ  
いつもの習慣でズボンのポケットをまさぐり、ようやく煙草がないのを思い出し苦笑いを浮かべた。  
 
この1週間というもの、快楽主義者の俺が煙草や酒といった嗜好品を一切口にしていない。  
やれやれ、なんとも健全な体になったもんだ。  
 
と、俺の背後で誰かが家を出てくる気配がした。  
 
「プリセラさん、どっか行くんですか?」  
俺より一回り若い女……いや、少女と呼んでも差し支えのない容姿の人間が、  
自分の体の匂いをくんくん嗅ぎながら答える。  
「ちょっと南の泉まで水浴びにね。この前事故でお風呂が壊れてから  
体洗えなくてなんか臭くなっちゃってさ。いい加減鼻が効かなくなってきてさすがに限界」  
額の汗を拭きながら、俺は思わず遠い目をした。  
「事故ねぇ……」  
三日前、彼女の悲鳴を聞いて駆けつけてみれば、  
ゴキブリにびびった彼女に投石で無残に破壊された浴槽があった。  
 
あれも俺が直さなきゃならないのかねぇ……。  
 
南の方へ歩き始めた少女は振り向いて俺に釘を刺す。  
「覗きにくるんじゃないよ」  
「……いくら駄目人間な俺でも、そんな命知らずなことしないっすよ……」  
 
正直、この人の裸を覗くような危険を冒すぐらいなら  
野生の熊の巣穴で一晩過ごす方がまだ命が助かる見込みがあるんじゃないだろうか。  
 
少女が去った後にふと自分の下半身に違和感を覚え、俺はもう一度苦笑する。  
「姐さんの水浴びを想像しただけでこれかよ……思春期の餓鬼なみだな」  
どうも、体が求めているのは嗜好品だけではないらしい。  
まあ、アレもある意味嗜好品と呼べるのかもしれないが。  
 
プリセラさん遅えなあ……。  
すっかり晩飯を作り終えた俺は、一人ぽつんと机に座って家主の帰りを待っていた。  
せっかくの料理が冷めちまうぜ……何か事故にでもあったかねえ。  
 
事故か……人類最強のあの人が?  
ありえねえ……よな。  
並みの賞金稼ぎがこの高地までたどり着いても……  
いや、例え凄腕の賞金稼ぎが束になろうと、あの人に危害を加えるのは無理だ。  
 
とはいえ……さすがに、心配になってきたな。  
もう家を出てから3時間は経つだろう。  
こんなに時間がたって家に帰らないのは、彼女が自分の目の前に姿を現してから始めてだ。  
あの悪魔のようなアクアからプリセラに変わってから、始めての……  
 
「……まさか、プリセラさんも?」  
そこでようやく俺は彼女が危機に陥る一つの可能性を思い出す。  
 
 
この高地で暮らし始めてだいぶ経つから、『南の泉』の場所は見当が付いた。  
辺りはすっかり暗くなっていたからこの高地で開花した精霊を使役する力で  
精霊に明るくしてもらいながら俺はその場所に到着する。  
 
精霊を総動員して探索をすると、3分とせずに彼女を発見できた。  
「プリセラさん!!」  
俺の想像通り、彼女は裸のまま水辺で赤い顔をしながらぐったりとしていた。  
「やっぱ、俺の持ち込んだ菌のせいか……」  
師匠も、あの鬼のようだったアクアさんさえも俺の菌のせいで命を落とした。  
免疫力の低下は、超一流の格闘家の彼女も例外ではないだろう。  
 
「畜生……怪我に効く精霊はあるけど、病に効く精霊はないぞ……」  
それでもいくらかの望みに賭け、ごそごそとスーツのポケットから宝石を取り出そうとすると、  
俺の腕の中でプリセラさんが微かに動く。  
「プリセラさん!大丈夫ですか?」  
いや、大丈夫なわけはないんだから全裸で俺の腕の中にいるわけなんだけどさ。  
と、彼女が俺を見て口を開く。  
 
「マギ……いたんだ……わたしすっかりのぼせちゃって……」  
なんか俺を見る目つきがやばいし口調が変だし泉の水でのぼせるわけがないし。  
どうやらかなり菌に冒されているようだな。  
「マギ………マギなの……?……マギィっ!!」  
 
と、いきなり彼女はその瞳にやばげな生気を宿らせ、  
目にも止まらぬ速さで俺に抱きついてきた。  
 
「マギッ、マギッ、マギィィ〜〜」  
え、何、滅茶苦茶元気だし、なんか俺全裸の女の子に泣かれながら抱きつかれてるんですけど?  
「プリセラさん、臭い……?」  
プリセラさんの全身から立ち上がる匂いで、俺は彼女を狂わせる物が何か見当がついた。  
 
プリセラさんを背負ったまま俺は泉の上流に向かい、目当てのものを見つける。  
それは河一面を埋め尽くす腐った果実。  
「これは……師匠に教わったことのない種の果実だな」  
高地の動植物の生態と生息場所については師匠から聞いていた。  
しかし聞いたことのない色をした実をつけている植物だから、  
渡り鳥か何かに運ばれてきた物かもしれない。  
 
そして運ばれて繁殖した実が、地面や河を覆うほど実り腐って発酵していたのだ。  
「天然の果実酒か……こりゃ南の泉は当分使えねえな」  
そんな物が流れ込む泉に全身を浸せば……そら酔っ払うわけだ。  
むせるような匂いに思わず顔をしかめながら、  
俺はプリセラさんを背中に乗っけたままその場を去った。  
 
別の泉までプリセラさんを運び、泉の匂いを嗅ぐ。  
「ここの泉は……大丈夫かな」  
念のため泉の水を飲んでアルコールが含まれないことを確認する。  
まああんな偶然の産物のような果実酒がそこらかしこで出来ている可能性は  
万に一つもないだろうが、あくまで念の為だ。  
 
「ほら、プリセラさん水飲んで」  
結局この人の着衣は下着すら見つけられなかった。  
泉は広いし、酔っ払ってる間に彼女が泉に落とした可能性もあるので、探すのは諦めた。  
 
この高地で身につけた能力で精霊達に手伝ってもらおうにも  
彼女自身を探す時に総動員したため自分も含め精霊達は皆疲労していたし、  
もし自分だけで探そうものならその間酔っ払ったプリセラが泉に落ちて溺れるなんて可能性がある。  
そんな目に会わせて変換したのがアクアだったりしたら、魔法で高地の下まで吹っ飛ばされるだろう。  
 
しかし、ここまで運ばれてくる時はおとなしかったプリセラさんは水になど目をくれず、  
後ろから俺の背中にしなだれかかってきてぎゅっと抱きしめてくる。  
ちょ……胸、胸当たってるぞ!  
「マギィ〜〜〜〜なにさぁ、プリセラ『さん』ってのはぁ。気持ち悪いわよ」  
駄目だ、まだ酩酊状態のままだ。とりあえず話しをあわせるか。  
……つーか、マギって誰だ?  
 
「ええと、……プリセラさ……じゃなくてプリセラ、とにかく水を飲んでください」  
しかし彼女はどーにも俺の背中から動こうとしない。  
と、ようやく俺は背後の少女の口から漏れる嗚咽に気づく。  
「……泣いてるんすか……?」  
 
「当たり前でしょう馬鹿!!」  
そう叫んで、彼女が俺の後頭部を軽くはたく。  
……いやね、正直心底びびった。相手は人間最強だぜ?  
酔っ払ってなきゃ……いや、酔っ払ってるからこそ、  
加減が出来ず自分の頭と胴が生き別れになるかと思ったよ。  
 
「とに……あんたずっと顔見せないんだもんさ〜〜」  
どうも、俺のことマギってやつだと思い込んでるみたいだな。やれやれ。  
「お陰でさ〜〜変な夢見たじゃんか……」  
これ以上酔っ払いに絡まれるのもなんなんで、俺も彼女の中の設定に会わせてタメ口を吐く。  
「どんな夢だよ?」  
 
森に、静寂が訪れる。  
プリセラさんが俺の胸に回していた左腕を俺と彼女の間に移動させ、  
自身のお腹をさするのが感触でわかる。  
少し間を空けて、彼女は答えた。  
「……あたしとこの子の二人を置いて、あんたがどっか行っちゃう夢……」  
この子とはプリセラさんのお腹にいる子で、つまりマギというのは……。  
 
「……そっか」  
なんと声をかければいいのか俺はわからずありふれた言葉を返し、沈黙する。  
すると、彼女の左手が俺の胸からするすると下腹部まで降下する。  
あ、やばい。これはやばい。  
「……マギの、すっかりおっきくなってるね」  
 
ズボンの上から触られているのだけど、これは確実にやばい。  
まず俺の分身がここ数週間の異性との無接触により恐ろしいほどのビルドアップを行っていること。  
そして見た目に反してプリセラさんの触り方がエロイこと。  
これはもうそこらの娼婦より金取れるんじゃないんですか?  
擦る様にされたと思ったらちょっと指ではじくようにしたり、両手で捏ねる様にされたり。  
なんつーか、さすがに限界だわ。  
 
……しかしだ。そりゃ俺だってここで一気にがばっと押し倒したいでよ。  
相手は美人で、全裸で、むしゃぶりつきたくなる体つきで、酔っ払って俺を求めている。  
しかし落ち着け俺。押し倒して次の日この人に今日の記憶があった場合、俺の命があるか?  
 
性欲に傾きかけた俺の中の天秤が反対側に傾く。  
でもその反対側にある物は決して理性とか道徳とかではなく防衛本能というもう一個欲望の方なんだけど。  
 
俺は意をけして振り向く。  
酒も煙草もギャンブルも、そしてセックスだって命あってのものだからな。  
「すいません、俺……」  
目を開けてたのが失敗だったんだ、今思えば。  
 
青白い満月の下に映し出されているのは、プリセラさんの一子纏わぬ姿。  
欲情と酩酊で桜のように上気した肌も、汗をかいた形のいい乳房も、  
秘裂をうっすらと隠す少し薄い叢も、物欲しげに見上げる潤みきった人形のような瞳も  
全て至近距離で見てしまったんだから。  
 
「……俺……何……?」  
少し首を傾げながら彼女は聞いてきた。  
俺の中の天秤が、片方の重みで根元からゆっくりと倒れる。  
 
命より優先したくなるほどの魔をはらんだ美貌が、目の前で無防備なまま俺に全てを曝け出していた。  
 
俺の中の何かが音を立てて崩れた。  
魔性の美にゆっくりと口付けをする。  
舌をゆっくりねっとりと絡み合わせ、彼女の求める欲望の深さを確かめる。  
 
「……俺の…………  
こいつを舐めてくれないか……?」  
 
俺は立ち上がりそう言うとズボンとトランクスを一気に下ろし中からはちきれんばかりの分身を取り出す。  
「ふふ……マギの……ひさしぶり…………」  
彼女はとても嬉しそうに、『マギ』のものへ口付けをした。  
 
柔らかい唇が何度も俺の上を跳ねる感触でとたんに1ヶ月以上抜かずにいた俺の物が悲鳴を上げ涎を垂らす。  
だってよお、まず唇でこう血管の上にキスしたと思ったらチロチロと裏筋を舐めて、  
そんで俺が耐え切れそうになくなってきたらその小さな口に銜え込んで舌と頬と唇で纏わりつくように  
ぐるぐると俺の周りを回転しながらねぶるんだよ。  
 
いやさ、俺はどうしようもない快楽主義者だからさ、娼館遊びなんてモンも経験済みだけどよ。  
それでも、これはきつかった。魂抜けるんじゃないかと思うほど気持ちよかった。  
プリセラさんが上手いのか、男を思う気持ちが女を娼婦以上のものへ変えるのか。  
 
マギ、お前10代の女の子に何を仕込んでたんだよ。  
ちょっくら時空を超えて殴りに行きたくなった。  
 
いやもう、情けない話だけど太股に爪を食い込ませ、舌を歯でかみしめながら俺は射精に耐えた。  
なんせ久しぶりだったから、1分1秒でも長く快感を味わいたかったんだ。  
 
でもよ、もう限界だったんだ。  
ぐるぐる俺の物の上を竜巻のように回転する舌に、顔全体を使った前後運動が加わるんだ。  
 
俺は、呻きながら少女の口内に大量に射精する。  
1か月分の凝縮された濃い精液が、少女の小さな口の端から溢れて零れる。  
 
「……わりい、口の中に出して……」  
しかし彼女は、にっこりと笑うとこくんと喉を鳴らしながら粘液を飲み干した。  
そして、まだ足りないとばかりに俺の亀頭の先に唇を当て、尿道の中に残ったわずかな精液さえ飲み干し始めた。  
 
「うおぉ……」  
まるで肉棒そのものが内側から吸い取られるような強烈な吸引に、  
俺の腰が砕けたまらず第2射が彼女の唇の上から顔へと放たれる。  
 
「…………ごめん……顔に…………」  
しかし彼女は少しも怒る素振りをせず、むしろ笑みさえ浮かべて顔中に飛散した  
俺の粘液を幼児が舐め取るように下や指で口に運ぶ。  
それを見て、俺の下半身はもう一つ口に入れたくてすぐに元気をとり戻す。  
 
彼女の下に俺の上着を敷いてその上に仰向けに寝かせる。  
「両足を広げて」  
俺が命令すると、少し照れた様にはにかみながら、しかし従順に彼女はゆっくりと両足を広げる。  
 
そこは、俺の愛撫を必要とすることなく潤っているのが分かった。  
……そりゃまあそうか。俺が1ヶ月我慢していたのなら、彼女は百年近く肉欲を溜め込んでいたのだ。  
アクアさんのように男を知らないのなら(いや俺の勝手な想像だけどさ)まだしも、  
あれほどの口淫を身につけるほどの達人だ。  
この百年の間時々恋人との夜を思い出したりすることもあったのだろう。  
……だからこそ、幻の中で出会ってしまう。  
 
「マギィ……早く……」  
俺の思考のせいで行為が中断され、プリセラさんは目に涙を溜め腰を振りながら俺におねだりをした。  
くそ、まじでマギ蹴っ飛ばしてえなあおい。  
 
俺は彼女の上に体を重ね、少し涙ぐんだ顔を眺めながら入り口に肉棒の狙いを定める。  
つーかよ、ホントにこれ岩を砕いて熊をぶん投げる人の体ですか?  
あーもう女の体だよ。ふにゃふにゃで柔らかくて意味もなく抱きしめたくなる女の体だよ。  
いつか言っていたプリセラさんの言葉を思い出す。  
『血液をコントロールして一瞬体を膨張させてるだけさ。  
なにも体が本当に鉄みたく硬いわけじゃない。何なら腕触ってみる?結構柔らかいよ』  
 
あまりに久しぶりの女体に思わず気が急いてしまうけど、  
深呼吸して落ち着きながら俺はもう一度怒張の向きを女芯へ合わせる。  
粘膜の入り口と粘膜の先端が触れ合っただけで  
「あぁ……」  
という感嘆の声が耳元で漏れる。  
 
「行きますよ……」  
こくりと、少女は頷いた。  
彼女の肉体に、俺の劣情がヌプリと侵入してゆく。  
「ふああ……」  
 
普段から武術の鍛錬を欠かさない彼女の胎内は、  
目が回るような熱と鳥肌が立つような締め付けで百年ぶりの恋人を出迎えた。  
思わず、体中の力が抜け、一気に射精するのではと思うほどだった。  
しかし2回に及ぶ大量の射精がなんとか俺の暴発を防ぐ。  
 
やべえ……マギってヤツも19歳の女の子孕ますわけだわ。  
なんつーかもう、やばい位気持ちいい。  
動くと一気にイきそうで、ある程度中に進入した段階で俺は息も絶え絶えに動きを止める。  
 
ふー、ふー、というどこか獣じみた声が俺の耳元から発せられる。  
「気持ちいいか……?」  
なみなみと注がれる快楽に言葉を紡ぐことも出来ないのだろう。  
彼女は舌を出し涎を垂らしながらぶんぶんと必死に首を縦に振る。  
 
「マ……ギ……」  
 
「なんだ」  
 
例え幻でも、今の俺はマギ。  
 
「いか……ないで……」  
 
「なんだって?」  
 
「もう……どこにも……いかないで……」  
 
辺りに、男女の荒い呼吸音だけが響き渡る。  
 
「……俺はいつも側にいるさ……お前が俺を忘れない限り、な」  
 
あー畜生。心底うらやましいよなあ。百年たってもいまだ幻に見るぐらい憶えられてるんだからよ。  
 
――――俺のことなんざすぐに忘れるんでしょうけど――――  
 
「なに……か……言った……?」  
 
「なんでもないさ……じゃ、動くぞ……」  
 
そう呟くと俺はゆるりと腰を突き出す。  
プリセラさんはしがみつくように俺の背中に両腕を回し、必死に俺に抱きついてくる。  
そんな仕草もいじらしくてかわいいじゃないかこん畜生。  
そしれ俺は最奥まで進んだのを確認してから、  
これまたじれったくなるほどゆっくりのスピードで怒張を引き抜く。  
「あ……マギィ……」  
 
抱いている女が違う男の名を呼ぶたび俺の心のどこかが冷める。  
こいつはお前じゃなくて昔の男を感じ喘いでいるんだともう一人の俺が叫ぶ。  
 
しかし犯している少女が昔の恋人を求めるたびにもう一つの俺の心が熱く猛る。  
他の男の体を憶え、その子供を宿している子宮の入り口を突付き上げるたびに、  
心の中からなんともいえない背徳的な甘美感が湧き上がりそれを放ちたくてたまらなくなる。  
 
「もっと……うごいふぇ……マギ……」  
 
そして心の中の相反する二人の俺はある一つのところで意見を一致させる。  
 
冷めた俺は他の男の名を呼ぶ女に罰を与えるために。  
熱くなった俺は妊婦との禁忌の肉欲を貪り尽くすために。  
 
――――目の前の女を滅茶苦茶にしてしまえ――――  
 
俺は一気に腰を突き出す速度を上げる。  
「ふああぁぁ、マギ、マギィィッッっ」  
 
少しだけ、速度を2倍ぐらいにしただけで彼女は簡単に果てた。  
膣の収縮が俺のものを締め上げ、彼女の目から光が消える。  
 
しかし、こんなものは罰にならない。貪りつくしてもいない。  
 
俺はそっと宝石達を取り出し、依頼をする。  
疲労した精霊でも出来る、簡単な仕事を。  
 
「ふぁ……?ふああぁぁ?」  
 
精霊たちが、ぐったりと力を失う彼女の胸や陰核に、  
耳たぶや喉元や鎖骨や臍や背筋や脇腹や太股や二の腕など  
その白い陶器のような肌の上全てへ群がる蝿のように纏わりつき始める。  
 
「ひぃいいいぃっふはあぁっ」  
 
それは遠目に見ればまるで蠢く衣服を身に着けたように見えるだろう。  
無数の精霊達が俺の言葉どおりに女の皮膚や陰部に群がり、  
甘く激しい振動を彼女の胎内へと流し込み始めたのだ。  
 
「ひぃっやぁ、いやああぁぁぁああああぁぁぁぁっっっっ」  
 
マギさんよお、こんなことこの人に教えてやったか?  
まるで火をつけられて地面をのた打ち回る羽虫のようになって、  
狂ったようによがり声を上げるこの人を見たことあるか?  
 
「たすけ、たすけてぇ、たすけてえええぇぇぇ」  
 
すげーだろ、お前の女。もう、あんたの名前呼ぶのも忘れて口から泡吹きながら嬌声上げてるんだ。  
俺のものを体に入れてその上キュキュって締め上げながらな。  
 
「あひいいいああああぁああぁっ、ふああああっくあああああぁっ」  
 
今まで辛かった分、まるで獣みたいに快楽を貪ってるだろ?  
愛液噴出しながら腰振ってるだろ?ここまでしたのはあんただよ。  
だからよお、もう開放しれやれ。もう2度とこの人の前に出ないでくれよ。  
 
「……イっていいんですよ」  
 
限界が近い俺はそう呟いて、いきなり腰の動きの迅さを最高速度まで上げる。  
彼女の肉体の戦慄きが、彼女に最後が訪れことを告げた。  
 
「いやあああ、イく、イくぅ、いくいくいくいくいくうううぅぅぅっイクああああああぁぁぁぁぁぁぁっッッッ」  
 
目の前で精霊と快楽に包まれた女は、高地全体に響き渡る声をあげ意識を飛ばした。  
 
 
 
 
 
「まーそういうわけで南の泉には当分近づかない方がいいかと、はい」  
何時もの朝飯が全く喉を通らない。  
いやなんつーか、堂々と糾弾されるのも怖いが、全く喋らないのも怖いよ。  
 
俺が強姦した相手は目の前でボーとしながら飯食ってます。  
単に二日酔いで顔色が悪いのか、俺とのことを断片的に覚えていて  
ショックで青い顔をしているのかは窺い知ることは出来ない。  
 
あの後俺は清らかな泉でプリセラさんを精霊総動員で、そりゃーもう隅々まで綺麗にして、  
匂い一つ残らないほど綺麗にして部屋に運んで眠らせたから多分憶えていないと……思いたい。うん。  
 
「サン」  
「はいいいぃぃっ?」  
怯えた俺の不自然な大きさの返事にプリセラさんが逆に驚く。  
 
「なんだよ、朝っぱらから大きな声出して。吃驚するじゃない」  
「あ、い、いや、なんでもないですよええ。で、なんなんですか」  
「私は……あんたのことは忘れないよ」  
 
いきなりの話に俺は狐につままれたような顔をしていただろう。  
「……なんだよ、その変な人を見るような顔」  
「いや、別にそんな顔はしてないっす」  
そこで俺は昨日行為の最中に吐いた言葉を思い出す。  
 
――――俺のことなんざすぐに忘れるんでしょうけど――――  
 
「おかしいなぁ、確かに夢の中であんたにそんなこと言われた気がしたんだけど……」  
どうやら記憶は不明瞭なようだ。  
「まあ、言ったかもしれませんね。昨日俺がプリセラさんを見つけた時には  
俺の菌でやられたかと勘違いしてもうかなりパニクってましたから」  
OK,すらすらとかなりうまい嘘がつけたぞ。うん。  
 
「はは、でも俺のこと憶えてくれるんすか?そいつは光栄です」  
これは嘘でもなんでもなく本心だった。  
 
「そりゃーあんたみないなヘタレ、絶対忘れられないわよ。  
どうもあたしはヘタレの男見ると何とかしてあげなきゃ、って思う悪い癖があるらしいから。  
そんなあたしが今まで見た中で一番のヘタレだから、忘れられるわけないでしょ?」  
 
俺はちょっと自尊心を傷つけられる。  
 
「いや、それはあんまりっすよ。それじゃ俺100年間プリセラさんが会ってきた中で  
一番のヘタレ男ってことじゃないですか」  
 
やれやれとため息を吐くと、俺は少し仕返しの意味を込めて聞いてみた。  
 
「で、どんな夢を見たんです?」  
とたんにプリセラさんの顔が瞬間湯沸かし器のように赤くなり、  
いきなり家を壊さんばかりに暴れだした。  
 
「あの……マギの……ヘタレ変態やろーーーーっ」  
ちょ、いきなり凶暴化は勘弁、あ、飛んできた椅子が頭に……。  
 
「いきなり夢ん中であたしを……チックショー、あたしは欲求不満じゃないってーの」  
 
俺は、椅子が頭に当たった衝撃で床に突っ伏しながら  
(こりゃプリセラさんの中からマギさんが消えるのはまだまだ先の話しだぁ……)  
と考えつつプリセラさんが放り投げた重さ100キロはあるたんすが  
自分の体に向かって飛んでくるのをスローモーションで眺めていた。  
 

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