吼えた後に目を薄く閉じ、時折なにかに取り憑かれたかのように体をびくびく震わせるリュシカを見ながら、  
ティトォは限界が近いことを改めて確認する。  
いや、もうボーダーラインなどとっくに超えているのかもしれない。  
もはやホワイトホワイトフレアによる回復の力は使えない。  
今のティトォの魔力では、髪の毛1本を強化させるだけでも一苦労だ。  
 
これ以上魔力が回復することなく行為を続ければ、肉体的な限界を迎えリュシカは死ぬ。  
 
しかし。  
これで最後になるのならば、取って置きのやり方でするまでだ、とティトォの中の獣が叫ぶ。  
たとえお互いの気持ちを確かめ合ったとしても、  
風雲急を告げる今の状況下ではこんな風に愛し合える機会なんてそう何度もないのだから。  
この機会に、狂ったように壊す直前までしてしまいたい。  
いや、むしろ……彼女の中の「自分に付いていきたい」 という気持ちの強さを知ったからこそ、  
「自分の役に立ちたい」という気持ちに気づいたからこそ、そして何よりそんなリュシカに対する自分の気持ちに気づいたからこそ。  
ここでリュシカを壊して2度と自分達に付いてこれなくした方が、自分達にとって幸せなのかもしれない。  
もしこの先の戦いで百年前のような大破壊が起これば、その時自分は周りの人間を、リュシカを守る自信がない。  
……誰かの手で壊されてしまうのならばいっそこの手で……。  
 
ティトォは恋人の中へ突きたてたまま、リュシカの体をコマのように半回転させる。  
「ひぃあああああぃぃぃいいいっ」  
また、巨大な肉の杭が己の中でひだを巻き込む衝撃を感じ、  
リュシカはもんどりうって浅い絶頂を迎えた。  
何度も何度もただただ強制的に与えられる悪魔のような絶頂。  
しかし、もうリュシカは虚しさや悲しさは感じなかった。  
リュシカの手首ほどの太さになったティトォの陰茎はまさに隙間なくリュシカの体内で膨張し、  
肉の筒と肉の傘の間をこれ以上はないというほど隙間なく触れ合っていて、  
それがリュシカの心に強く深い充足感を与えていたのだ。  
(……このままつながったところから……とけあって…………『一つ』になればいいのに……)  
そんなことは不可能だし馬鹿馬鹿しい妄想だ。  
しかし、自らの体内を内部から破壊させるほどの温度と質量で繋がりあっていて、  
さらに人格や思想を破壊されかねないほどの快感を与え続けられていると、  
そんな夢すら現実になるのではと思えてしまう。  
「ティトォ…………さ……大丈夫……です……」  
もはや限界をはるかに超えた体でも、かすむような意識の中でも、リュシカがつぶやくのはティトォの名前だった。  
 
その言葉にティトォの動きが止まる。  
「なにが大丈夫なんだい?」  
 
リュシカは、僅かなティトォの愛撫の変化から、彼の中の心の迷いを第六感で感じ取った。  
「ぁたしは……ぃなくならぁいですから……」  
 
だからこそ大丈夫じゃないんだ。  
どんな恐ろしい敵でも逃げ出すことなく自分たちに付いてくる。  
自分のこんな狂気じみた行為すら最後まで受け止めようとする。  
 
「君がただのか弱い女の子だったら良かったのに……」  
「……今、なにかぃぃましっ、ふぁか……?」  
リュシカは、唇を噛み締め痛みを感じながら絶頂感に堪える。  
彼女も、この宴の終わりを、そしてこういう逢瀬の貴重さを肌で感じていたから、  
無理矢理にでも快楽にあがなっていた。 この夜を、少しでも長く体験できるように。  
 
しかし獣に従うティトォが、そんな反抗を許すはずもない。  
ゆっくりと前傾姿勢をとり、その舌をリュシカの首筋に這わす。  
そして右指が、彼女の菊門の入り口で皺を伸ばすような緩慢な動きでその周囲を撫でまわし始める。  
もはや彼女の下半身は性器周辺はもとよりその臀部からへその当りまであらゆる箇所が汗やら愛液やらで滴り、  
菊門の周囲も例外ではなく、ただ肌の上をなぞっていた指は  
リュシカの体液で後ろの穴へ指を突き刺すのになんら問題がないほど濡れていた。  
もちろん、問題があったとしても今のティトォは容赦しなかっただろうが。  
 
まるで底なし沼にはまってゆくかのように、ティトォの右手の人差し指はズヌリと彼女の不浄の門へ沈んでゆく。  
度重なるティトォの教育で挿入こそスムーズに行われるが、  
彼女の下半身はすでに500パーセント状態になったティトォの肉棒が入っていたため、  
今まで以上に下半身全体の肉が引き伸ばされ今までと同じ指の進入もこれまで以上の圧迫感を彼女に与える。  
人差し指が根元まで一気に入った瞬間、リュシカはその顔を天井に向け  
「あひぃいぃぃぃっっぅしろいやうしろいやいやいやあああああぁぁぁ指、ゆびいぃぃっっっっ」  
と喚いて果てた。  
しかし、もちろん休むことさえできない。  
なぜなら、膣にも肛門にもいまだとてつもない体積の異物が入ったままだからだ。  
そしてリュシカの最後の穴にあの鋭い感覚が走る。  
たとえ何度経験しても毛ほども慣れることはないだろうと感じるほどの凶悪な刺激。  
それは、ホワイトホワイトフレアで強化された毛髪が尿道を貫く感覚だった。  
「ぃぁぁぁぁああああっっっっ!」  
あまりに敏感な箇所への責めに、瞬く間に高みへと登りつめるリュシカ。  
そして今、リュシカの下半身が全てティトォにより埋め尽くされる。  
 
その全ての侵入者は、入り込んだだけでまったく動こうとしなかった。  
ただ、粘膜に異物が触れているというだけでのたうつような快楽を感じるリュシカは、  
びくびくと痙攣しながら全身の骨を砕かれたかのように力なくベッドにその肢体を沈めるだけだった。  
と、そんなリュシカの口からとても小さな感極まった声が漏れる。  
「ふはぁぁぁぁ………」  
3つの異物が、ゆっくりと動き出したのだ。まるでカタツムリのような動きでゆっくりと。  
あまりにゆっくりとした動きに比例して快楽の上昇スピードも遅い。  
「いやぁ……いゃあ…………ぃやあ………………いゃぁ……………………  
ぃやぁ…………………………ぃゃあ………………………………ぃゃぁ………………」  
すぐにイくことはない。しかし、  
そのスピードが遅いからこそリュシカには自分の中に快楽がたまる様が手に取るように分かる。  
そして自らは腰を動かすこともできず、まさにティトォに全てを握られた状態だった。  
それはまるで手足を縛られ、目の前で風船に空気を際限なく入れられていく様を眺めさせれるかのようだった。  
いつか来る風船の破裂という終わりが来ることを分かりながら、それを止めることも遅らせることも、早めさせることもできない。  
「ぃゃぁ……………………ぃゃぁ……………………ぃゃぁ…………ぃゃ…………  
ぃゃ…………ぃゃ…………ぃゃ………ぃゃ………ぃゃっ……」  
その「いや」が意識を白く激しく塗りつぶされることについてなのか、  
早く絶頂を迎えることができないもどかしさに対してなのか、  
この愛を確かめ合う行為に終わりが近づいていることについてなのか。  
リュシカ自身にもそれは分からなかった。  
そして、「いや」の間隔が狭まり、リュシカの音程があがる。  
 
「ぃゃぁ……ぃゃぁぁ……ぃゃぁっ…ぃゃっ…ぃゃっ…ぃゃっ…ぃゃっ…  
ぃゃっぃゃっぃゃぃゃぃゃいやぁぁっぁっぁぁぁあああああぁぁ…  
ぁぁっ……ぁぁぁああぁっ…………ぁぁぁぁぁぁああぁっ……………」  
シーツを手から血の気が抜けるほど掴みながらリュシカはまたイった。  
 
そんなリュシカの体から指と毛髪を引き抜くティトォ。  
「っっ……………」  
そのこすれる刺激だけで、リュシカは休む間もなく軽い絶頂を迎える。  
 
そんな彼女の後頭部を優しく撫でながら、  
「おめでとうリュシカ。これで、99回目だ」  
と告げるティトォ。  
「あぁ……ぐぁ……ふぇすくぁ」  
(なにが……ですか)  
もはや、リュシカの声帯はまともに空気を震わせる事ができない。  
舌と歯は気管から這い上がる気流を声に編成する事もできない。  
それは言葉すら知らぬまま周囲の大人を口真似する乳幼児のようだった。  
 
「君はもう僕が今夜言った言葉を忘れたのかい?」  
それでもティトォは読み取れる。  
瞳を、表情を、分泌液を。  
百年もの間研鑽を積んだ彼の観察力にとって、ティトォだけの玩具と化した牝の体から心の内を読み取ることなど簡単すぎることだった。  
「あれは君が3度目のアクメを迎えた後のことだったかな。『女性が百回絶頂を迎えればどうなるか僕は知りたい』と、  
確かに君の前で言ったはずだ。……そしてさっき君が感じた絶頂がちょうど99回目だったんだよ」  
 
まるで女の子が買ってもらった人形を大事にするかのように、  
ティトォはもはやほとんど動かなくなったリュシカを抱き寄せながら若草色の髪を優しく撫でる。  
 
「そしてこれが、これからするのが最後の1回だ。  
もっと時間をかけて君に教え込んでいこうと思っていたのにね。  
……まさか一晩の内に君が百回もイけるまで成長するとは思わなかったよ。  
だからご褒美をあげよう。最後の1回は、がんばった君のリクエストを聞いてあげるよ。  
穴も、体位も、回数も。どこにどんな風に何回してほしいのか。  
全部君の望むままだ。さあ、どうして欲しい?」  
 
愛する男からの問いかけに答えられないことがあまりにもどかしく、歯痒く感じ、少女は悔し涙で目を潤ませる。  
 
そんなリュシカの様子を伺いながら、ティトォは諭すように話す。  
「無理に喋ろうとしなくていいよ。今君は意識があるのが不思議なぐらい疲弊しているんだから。  
君はただ、想像すればいいんだ。例えばそうだね、君は後ろから入れられるのが好き?……じゃないね。  
じゃあ、前から正面を向いて入れられるのが好き?……みたいだねリュシカ」  
もうリュシカの唇はもともに動かせない。  
上の唇は。  
「君の下の唇は、最後まで正直だね」  
そう、『前から正面を向いて入れられるのが好き』というセリフを聞いたとたん、  
リュシカの膣壁はティトォの肉棒をきゅっと締め上げたのだ。  
 
そして痙攣するだけの上の唇の代わりとなるかのように雄弁になった下の唇からリクエストを聞き出すため、  
ティトォの最後の言葉攻めが開始された。  
 

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