〜日常の性活〜・マルチーノの日課
マルチーノには恋人がいる。ただし片思いである。
相手はマルチーノを知らない。知ることもできない。
マルチーノがその人を見たのはずいぶん昔にさかのぼる。
ある本で「眠れる城の王子様」と題した顔写真付きの記事を見かけたのだ。
読むとメモリア国の王子、グリンが自らの魔法の反動によって長き眠りについてしまったという。
マルチーノは幼心にその王子に興味を持った。是非お会いしたいと思った。
…一目惚れだった。
数年後、マルチーノは念願叶って城の侍女となった。
しかし、グリンはいまだ深い眠りの中。
そんなグリンをマルチーノは間近で見させてもらうことができた。
そのとき得体の知れない感情がマルチーノの胸のうちに湧き上がる。
(なんだろう…この気持ち…)
その後もマルチーノは献身的に城の業務に携わり、ある日こんな仕事を授かった。
「マルチーノ、今度からあなたがグリン様の身辺のお世話をすることになったわ。」
「ええ!?あたしがそんな大役を…あの、あたし、まだそんな…。」
「シュダンさんたちとも話したんだけど、マルチーノはとても真面目に働いてくれて、
そんなあなたなら安心してグリン様の身辺を任せられると思ったの。誇りに思って、マルチーノ。」
「は、はい…。では精一杯がんばります。」
格別困難な仕事でもない。ただ部屋を掃除してグリンの身体をきれいに拭いてやる。
それだけのことなのだが、マルチーノにとっては特別な仕事だった。
数日後の早朝、マルチーノはいよいよ初めての「お世話」の日を迎えることになった。
マルチーノの心を包むのは、敬意と、緊張と、誇りと、嬉しさ、 そして得体の知れぬあの感情…
いつもの癖でノックをして部屋に入ったマルチーノ。当然グリンはマルチーノが入ってきたことを知らない。
畏れ多くもマルチーノはグリンの側に寄り、顔をそっとのぞいてみた。
二人きりになるのはこれが初めてである。
その寝顔に、マルチーノはしばし時を忘れ、初めてその顔を見たときのことを思い出した。
(そうだ、もう11年ぐらい前だっけ…初めてお顔を拝見したの。)
全く変わらぬグリンのその寝顔に、マルチーノの心にも、あの時の熱い気持ちが鮮明によみがえってきた。
(あたし…グリン様に、どうしてこんな、恥ずかしいような気持ちを抱いちゃうんだろう…)
はっと我にかえったマルチーノ。教わったとおり部屋の掃除に手を着け、それは容易に終了した。
さて、もう一つの仕事は、グリンの身体のお手入れである。
そのためには、当然ながら、少々「失礼」をしなくてはならない。
先輩たちはそんなに気にしなくても良いと言った。
ただ、ウブなマルチーノにとってそれは気がかりでしょうがない。まして相手は…
(何を考えてるんだろう、あたしったら。)
マルチーノは雑念を振り払って、仕事に専念しようとした。
だが、相手はなんと言おうとマルチーノの初恋の人物である。どうしても意識してしまう。
とりあえず、グリンの手と顔をタオルで拭こうとした。
そっと、心の中で失礼しますなどと言いながら、なんとかそれは終えられた。
しかし仕事はきちんとしなければいけない。しなければ逆に失礼だとマルチーノは自分に言い聞かせた。
この大役を、マルチーノは必ずこなしてみせるつもりだった。そして少しでもグリンに貢献するつもりだった。
…だが、そんな立派なマルチーノの意志も、グリンの上着を脱がせていくうちに、
あの、心のうちから湧き上がる、熱く、邪な感情に徐々に冒されていった。
マルチーノはいけないことだと自覚しながらも、こう思ってしまった。
(あたし、グリン様のこと、好きなんだ…。グリン様のこと、もっと知りたい…。)
上半身裸のグリンの身体に手が触れるたびにマルチーノの心臓も高鳴り、
グリンの体温が伝わるたびにマルチーノの身体も熱くなる。
マルチーノは必死に自分を抑えようとした。
マルチーノは普段は極めて純情な娘で、自分がこんな気を持つなど夢にも思わなかったろう。
だからこそ、今この状況において、マルチーノは自身の感情を抑えきることができないのだ。
今の段階では、マルチーノは何もいけないことはしていない。
ただ言われた仕事を忠実にこなしているだけだ。
だがマルチーノは気が動転するあまり、とっさに部屋の扉の鍵をかけてしまった。
ちょっと安心した。もし誰かが突然部屋をのぞくことはない。
そして再びグリンの上半身を丁寧にタオルでぬぐってやった。
グリンは何もなかったかのように眠っている。 その様子をマルチーノはしっかりと確かめた。
そして拭き終わる。
この過程で、マルチーノの心境に明らかな変化が現れた。
一種の落ち着きにも似た、何か征服心にも似た満足感が生まれたのだ。
相手は眠っているのだ。何も知らないのだ。
これはもちろんマルチーノのグリンに対する個人的な、特別な感情に起因するものだ。
マルチーノの心にはまだ、王子であるグリンへの謙遜と忠信、そして自身の良心が存在した。
しかし、誰にも見られないという安心感は、同時にマルチーノの欲望を助長した。
そしてこの自問とそれに対する自身の答えによって、マルチーノの良心は完全に崩れ去ってしまうのだった。
(下も、やっぱり拭いて差し上げるべきかしら…。)
何事もなかったかのように眠り続けるグリンは、自分が今何をされているのか知る由もないだろう。
発情した淫乱な小娘に、弄ばれていることを。
(む、剥いてちゃんと綺麗にして差し上げなくては…!)
これは建前である。平静を装おうとするマルチーノの、ちょっとした言い訳である。本音はもちろん、
グリンを自分のものにしたいのだ。
初めて目にする、しかも初恋の人物のそれを、高まる心臓の鼓動を抑えながら、マルチーノは暴いた。
(お、思ったより柔らかい…。)
いろいろ触ってみて、探ってみて、それでも物足りないマルチーノは、顔をべったりくっつけて
しばしの恍惚状態に入る。
(どんな味がするのかしら…?)
そっと味見してみる。
幸せな一時…。
そのまま裏の筋をちるちると舐めあげてゆき、先端、続いて全体をすっぽりと口の中にしまいこんでしまう。
吸うようにグリンを味わい、舐めまわす。口の中で転がしてみる。
(おいしい…グリン様の味、美味しい…。もっと、欲しい…。この、ぷにぷにした感触が…いぃ…。)
くにくにぶにぶにとなぶっては吸い付く。身を乗り出し、鷲づかみにする。気分はもう、独り占めだ…
マルチーノはそのままグリンに乗りかかる。抱きついてみる。能天気な顔してすやすや眠るグリンの上で、
マルチーノは次の準備をする。
ためらうことなく上着をまくりあげ、胸の露出を許した。
今のマルチーノに羞恥心などない。あるのは、純粋な、そして邪な、性の欲望だけである。
頭の後ろに手を回し、グリンを自身の顔に引き寄せる。そして唇が接触する。
もう片方の腕ではグリンの胴を引き寄せ、胸が完全に溶け込んだ。
ゆっくりと身体をくねらせると、それに合わせてピンクの胸の先端がグリンに触れて円を描く。
軽い、ほのかでくすぐったい感触がマルチーノを悦ばす。
ぐっと押し付けると、マルチーノの弾力ある乳房がぐにっとおしつぶされ、
マルチーノを刺激しては再びその弾力で元に戻される。
視線はなめるように下からグリンを見つめ、グリンの口元へ近づく。そして、接触する。
そのまま下を脱ぎ始める。呼吸が速い。身体も熱くなってきた。
(あたし、あたしっ…!グリン様が欲しい…!!)
次の瞬間には全身すっかり無防備にされたグリン。さていよいよ本番だ。
部屋の空気がすうっとマルチーノの下半身にあたり冷たい。
再びゆっくりとグリンに乗りかかり、顔をのぞく。…眠ったままだ。
マルチーノはそのまま唇を寄せた。胸を密着させ、そして全身も。全てを奪い取るかのように…。
強く、強くグリンを抱きしめる。
マルチーノは自分の下腹部にある物の感触をしっかりと確かめる。そして後ろから手を回し、ぎゅっとにぎる。
身体を押し付ける。下腹部を押し付ける。早くも感覚の鋭くなったマルチーノの胸の先端部が
グリンに何度も押し付けられる。
マルチーノの欲望はますます強くなってゆく。
マルチーノは一度身体を起こし、グリンのひざ元に座る。
グリンは眠ったまま、何も知らず、身体には何の変化もない。
(誰も見ていない…グリン様と、してみたい…!)
平常時のそれを扱うのは容易ではないが、今のマルチーノにとっては関係ない。
(…グリン様、失礼します。)
マルチーノは無許可でグリンの貞節を奪った。
先端を自分の感覚器官へぐりぐりとこすりつけ、入り口へとあてがう。
グリンの棒には滑らかな液体が付着した。
マルチーノは準備のできていないグリンのそれを中へねじ込む。
そして体重を器用につかってできる限りまで奥へ押し込む。
長さは全然足りなかったが、十分だ。
マルチーノは幸せだった。
性の交渉というか、この場合は強姦とでも言うのだろうか、形はどうあれ、マルチーノは恋する男子と交わったのだ。
自然と身体が動く。本能だ。
マルチーノの局部はすぐさま熱い感覚を味わった。マルチーノの異常なまでの性欲というか、性癖は、
物理的な刺激の少なさを苦にすることなく、マルチーノの性欲を十分に満たした。
再び身体を密着させる。全身に汗が浮かぶ。何度も、何度も身体を擦り付ける。
右手でグリンのそれをつかみ、膣の内壁や、陰核といった性感帯に、いやそれだけではない。
もはや全身が性感帯と化したマルチーノは、グリンの棒を自身のひだや会陰部にも押し付け、感覚を享受する。
陰核から膣入口までの直線を先端にこすらせるのが気持ち良いようだ。
「グリン様…好きです…あぁ、愛して…います…。」
マルチーノの薄い陰毛には透明な液体が絡みつき、陰毛を伝ってグリンの身体に流れてゆく。
その愛液は滴となってグリンの上をすべり、シーツに点点と痕をつける。
部屋中にはいやらしい音がにじむ。
ときどき自分でも刺激してみる。
その右手で会陰のあたりを愛撫してみると、指に自分の精液がまとわりついた。
マルチーノはその指でグリンの頬をそっと撫でた。グリンの顔にマルチーノの愛液が付着する。
右手は何度もその場を行き来し、左手で強くグリンを自分の胸に引き寄せ、もちろん二人は交わったまま、
あふれる吐息がマルチーノの唇を通してグリンの体内に注がれる。
(えっ、えっ!なに…かしら…ぁ、いや!)
あるとき、マルチーノはふと違和感を覚えた。
不意に何かが詰まるような、そんな感覚だ。
マルチーノはちらっと後ろをのぞいてみた。いや、まさかそんなはずは…と。
見ると、なんとグリンのテンションがドルチルしているではないか。
マルチーノはあせった。なにより、グリンが目覚めたのではないかと疑ったからだ。
マルチーノは隠れる場所を探したかった。だが、そんな場所どこにもない。
いま、当の本人と交わっているのだから。
グリンの顔元にマルチーノは自身の顔をうずめた。…隠れたいと思う一心だった。
グリンの棒は刻々と勢いを増してゆく。その勢いはマルチーノの熱を帯びた局部を圧迫する。
「ふぁ、あ、あ、…くうぅ……!!」
マルチーノの頭の中は怒涛のごとく押し寄せる洪水に似て、もはや何が何かも分からない。
びくびく震えがとまらないマルチーノの体内を容赦なくその肉棒は掻き分け奥へ進んでゆく。
(ぐ、グリン様に知られてしまう、あぁ、どう…しよう、み、見られてしまう…!!)
そう思えば思うほど敏感な内壁は刺激され、証拠の液体がここぞとばかり溢れ出る。
こんなことをしているのを本人に知られては一巻の終わりである。
祈るしかない。皮肉にも孤独なマルチーノがすがれるものはグリンだけだった。
マルチーノは抱きついた。息を凝らした。体中の汗がグリンの身体へ流れ落ちてゆくのが怖かった。
どうにも動けない…。マルチーノはグリンに密着して、そっと、耳元で尋ねた。
「グリン…様…?グリン様?…」
「…」
返事がない。ただの朝勃ちのようだ。
もっとも生娘であるマルチーノがこの15歳男児の朝の生理現象について理解できるはずもないが、
呼びかけても応答がないのは、グリンの眠りが解けていない証拠である。
マルチーノは恐る恐るグリンに幾度か尋ねては、なんとなくではあるがこの現象を理解した。
ほっとしたのも束の間、マルチーノは恐るべき切り替えの速さで妙案を思いついた。すぐさま実行する。
(き、気持ち良いぃ…さ、さっきよりもずっと…!)
さてマルチーノはグリンの朝勃ちをいいことによりセックスを本格化させたわけだ。
まあそこそこの大きさになって行為には十分だ。
これでマルチーノは眠るグリンを前に「思う存分」愉しむことができる。
先ほどの遠慮は何処へやら、いや、ますますマルチーノは要領を得て活発化している。
マルチーノの小さな陰唇がグリンの先端を包み込むと、満たされた粘液がそれをなめるようにぬぐい、
容易に中へと進めると、今度は体重を使って奥まで挿しこみ、前後左右に激しく擦り付ける。
上下に振ればその拍子に隙間から断続的に透明な愛液が溢れ出て、グリンを伝い、シーツをびしょびしょに濡らす。
その液を指にまとわらせるとマルチーノはさらにマスタベーション行為を付け加えた。
肛門への指の挿入など、今のマルチーノには恐くもない。本能に導かれるがまま…
(もう…あたし、おかしく、ハァ、なってしま…い…そう…ぅぅう!!)
人間の4大性感帯である口唇、乳房、性器、肛門の全箇所を一度に攻めあげ、自身を極限の境地にまで
追いやるマルチーノ。
グリンを引き寄せる右手も、粘膜のマスターベーションに勤しむ左手も、休むことなくマルチーノに快楽を与え、
もうマルチーノを完全に破壊しようとしている。
マルチーノを止めるものは何もない。
「グリン様…あたしを、受け入れてください…。」
下腹部がはちきれそうな感覚をマルチーノは覚えた。
マルチーノは力を振り絞って、グリンの顔にまたがった。
そして惜しまず自分の性器を顔面に押し当てた。同時にグリンの棒を両手でしっかりと握る。
グリンの口元で、マルチーノはちょうど二人の粘膜の部分を合わせ、幾度かこすりつけた。
「あぁ、あぁっ、グリン様…グリン様ぁああああ!!!!」
…
マルチーノは自らの性欲を存分に解放できたようだ。
マルチーノはぺったりとグリンの股間に顔をうずめ、少し息を落ち着かせた。
そっと身体を動かすと、冷えた身体に生ぬるい液体がぬるっと触るのが分かる。
見ると、びっしょりのグリンの顔。心地良さそうに眠るグリンの顔全体にかけて、マルチーノのこぼした
やや白みがかった粘性のある液体が、滴るほどに付いていた。
マルチーノはそっと体を起こす。
マルチーノはグリンに受け入れてほしかった。
グリンの口に性器を押し当て、何度か横にこすってみた後、グリンの唇を指でこじあけ、
まだ体内にある精液をグリンに注いだ。
ぽたぽたと垂れる自身の精液を眺めていて、マルチーノはこう思った。
(あたし、まだいけそう…!!)
マルチーノの身体はすぐさま熱を取り戻した。
体勢を元に戻し、まだ起動中のグリンの棒を手にとる。
棒は、十分すぎるほどマルチーノの潤滑液になめられている。
マルチーノはためらわなかった。
先ほどの自分の指よりも太い物体を、精液の助けを借りて強引にアヌスに打ち込む。
仰向けになって、両足で姿勢を保ちながら、とにかく中へ進めたい。
その感覚はまた前とは異なるだろう。その、体内をかき回される感じが何よりたまらないのだ。
異物の挿入に怯える肛門と、それを楽しむマルチーノの欲望がぶつかり合い、マルチーノの精神をかき乱した。
根元まで挿入が完了する。前後に揺らし、要領はすぐさまつかんだ。
身体の肉がグリンの棒をしかと包み込み、柔らかさと締め付けの強さが同居する熱帯地域。
(おしりも…イイ…グリン様のが…あたしを、あたしの中を走っていく…!!)
運動の激しさはすぐに第1回戦のものに匹敵し、全身から汗は噴出し、両足でシーツを力いっぱいつかんで
ベッドを揺らしながら行為する。
陰毛はおろか、中の様子まであらわにし、天を仰いだマルチーノの陰部は、
同じくマルチーノの両手によって何度も激しく摩擦される。
充血した陰核からひだのある庭を通り、会陰に至るまで、この区間を指の全体を使って刺激すると、
となりの体腔を通う刺激とあいまって、瞬く間に滑りのいい汁が溢れ出す。
そして右手人差し指を陰核に、中指、薬指を使って膣内壁をこすりとる様式を取ると、
左手は手のひらと腕の部分で両胸をもみつぶす格好となり、姿勢が完成する。
天の神様に丸見えにならんばかりのあらわな姿もどこ吹く風。
「あっ、あっ、ぅふうんん…ぁああ、はぁ…気持…ち…いい…!!」
気分はグリンに犯されている。
胸も、膣も、肛門も、すべてグリンがまさぐっているという想像だ。
自分で攻めるのもいいが、攻められるのもいいようだ。
そのグリンが、胸を蹂躙し、乳首のしこりを弄び、同じく下半身のしこりをいじらしくなぶってゆく。
マルチーノは自分の乳房を揉みしごき、両側の肉の壁にグリンの棒を挟むがごとく手繰り寄せて、
気分はパイズリ状態だ。桜色の乳頭に指を当て、円を描くように刺激しつつ、
山の中央の棒を温かく包み込んで、グリンに「奉仕」をする。
グリンは激しくマルチーノの中を往来し、膣の中でも暴れまわる。
マルチーノを犯すグリンは何人も存在する。
あちこちからグリンの肉棒が迫ってきては、マルチーノにそれを押し当て、体内に侵入し、かき乱す。
(グリン様…もっと、もっと下さい…。)
そう願えばすぐさまグリンは大人数になり、口の中に忍び入り、散々マルチーノを汚していっては、
今度は敏感な性器をつつきまくる。
回りを囲まれ、全身を圧迫され、犯される。
想像は限界を超え、徹底的にマルチーノを破壊してゆく。
マルチーノが指だけではなく、すべての指を、そして拳までも膣内に挿入すれば、
無数のグリンの棒がマルチーノの入り口に押し寄せ、むりやり中へねじ入る。
どんなにマルチーノが激しくのた打ち回ろうと、グリンは容赦なく攻めつづけ、中の中まで侵入する。
「はめはめ…まんまんはめはめしてください!!」
無数のグリンがその時一斉にマルチーノ目掛け、マルチーノの体内まで、放水する。
こぼれ出んばかりの量の精液が噴射され、マルチーノはグリンの精子の中に飲み込まれてゆく。
そのプールの中で、マルチーノの夢は終末を迎えた。
震える全身を押さえつけ、その時には声すら出なかった。
噴き出す透明な液体をただただ必死に抑えた。
真夏の太陽の下で、全身に電流が走ったかのような強い衝撃がかけめぐり、
動けないマルチーノの意思とは関係無しに周期をもって潮が溢れ出す。
全身をぴんと伸ばしきり、足の指はベッドのシーツをつかんで、腰の辺りを上下させた。
そして辺りは水溜りのようになり、マルチーノはその海に沈んだ。
少しずつ視界がはっきりしてきた。カーテンの色がわかり、時計の静かな音が聞こえてきた。
マルチーノは少しずつ正気を取り戻した。
それとともに、マルチーノは自分のしたことがなんなのか、分かってきた。
いや、最初から分かっていた。これがいけないことだとは。だが、それを抑制することはマルチーノには不可能だった。
まだマルチーノの肛門にはグリンの肉棒が突き刺さっている。折りしもグリンのテンションは下降気味だった。
ずるずるとそれを引き出すと、マルチーノはベッドに手を置いて、ゆっくりと起き上がった。
やってしまったことはしょうがない。おろかなことをしてしまったのだから、償いをしなければいけないと考えた。
(…せめて、おきれいにして差し上げなくては…。汚してしまったのだから。)
マルチーノはお手入れ用のタオルを取り出した。
それで、グリンの顔から身体から、汚してしまったところ全てをタオルで綿密に拭きあげた。
ベッドのシーツやら何やらにも液体が飛び付いている。取り替えなくてはいけない。
自分の身体ももちろん拭きあげた。
そうすると、もはや何の証拠も残っていない。
残されたのは、裸の二人。
時計を見上げると、まだ一時間と少ししか経っていないではないか。格別おかしな点はない。
それにしても、やはり何も知るはずのない王子。
本当に、本当にばれてはいないだろうかとマルチーノは少し心の中で不安だったが、それはなさそうだ。
大分気持ちはもとのマルチーノに戻ってきたようだ。それはマルチーノ自身、安心した。
マルチーノがした事実はどうしても消えない。しかし、それを知るのはマルチーノただ一人だ。
そこは、マルチーノだけの世界なのだ。
服を着れば、時間をさかのぼった世界が待っている。
マルチーノはグリンに服を着せた。もちろん自分も。ベッドも整え、新しいシーツをひき、グリンに布団をかけた。
ついでに倒れていた部屋の置物を立て直し、掃除道具をまとめあげた。
この扉を開ければ、そこはいつもの世界。ただ、マルチーノは最後にしておきたかった。
もう一度、グリンの枕元に行き、こう言った。
「また、お世話にあがります。グリン様…。」
最後に軽く口付けをした。
城の一侍女として働く毎日。それはそれで充実していた。だが、本当のマルチーノの姿は、城の一角のある部屋の中で
のみ見ることができる。それを知るのはマルチーノだけ…。
それから半年ほどしてグリンは目を覚ます。それは城の皆と同様にマルチーノにとっても嬉しい出来事だったに違いない。
ただ、ある一つの日課がなくなってしまったことが、マルチーノには少しばかり心残りだった。
完