「鬼って言ってもココは人並みなのね」
「うっ…い、言うなそんな事」
―俺、このジール・ボーイは今一人の女と夜伽を交えているところだ。
目の前の女は、歳は二十位、桃色の長髪、美しくスタイルも良い。
見てくれはほぼ完璧な女だ。
そんな女が今、俺のモノを口に咥えたりし、弄んでいる。
女の名はプリセラ。
俺の所属する組織、女神の三十指が追ってる者の一人だ。
「勃ってこの位かぁ…ティトォよりは小さいけど―ま、いい感じね」
…交えているというか、犯されてる。
そう解釈すべきだろうか?
でもそれでも良いんだ。それにはワケがあった。
今から十三時間位前だろうか?俺はプリセラと闘った。
三十指で無く、一介の戦士として―
結果は完全に敗北。俺が限界を超えたところで彼女には全て返された。
いや、全て受け入れられた。
確かに敗北した。完膚なきまでに。
でも、気持ちの良い敗北であった。
これまで、人に一人の人間として受け入れてもらえただろうか?
否、無い。
鬼人、化け物、鬼神…
ソンザイシテイテハイケナイキケンナオトコ。
周りの声、全てがこれらだった。
しかし、この人は違う。
俺を、この俺を必要としてくれた。
だから―嬉しかったんだろう。
この女には、俺の全てを捧げて良い。
一日にも満たずにそう思えるまでになっていた。
「じゃ…今度はあたしにする番だよ」
彼女はそう言うと、丁度ベットに腰掛け、
その脚を開き、彼女の秘部を丁度俺の顔に来るよう差し向ける。
「………」
何をしていいかサッパリだった。
実際さっき何をされてたのかも分からなかった。
「…ちょっと、どうしたの?ジール・ボーイ」
下を向き、紅潮し、固まってる俺の顔を彼女は覗き込む。
「な、何をしろというんだ。この俺に」
性に関する知識が無いというわけではない。
軍に入隊する時だって勉強した。
しかし一般論でだ。
奥深いとこまでは知らなかった。
「あんた、その顔で童貞だったって言うの?」
「顔は関係ないだろう、顔は!!」
「いや、あんた2×歳でしょ?とっくに童貞抜けてるかと」
イタいところを突かれる。
相思相愛になった女性は愚か、生まれてこの方、女性を好きになった事も無い。
「頭もキレて、強い男でも、女性との関係には弱かった…か」
呆れた様に彼女は溜息をつき言う。
「もういいわ、そこに仰向けで寝なさい」
少し怒ってるのだろうか?
ベッドを指差し俺に指示する。
言われたとおり、俺は仰向けになって寝転ぶ。
(今度は何をされるんだ、俺は…)
目を瞑り、深い溜息とともに考える。
その時だった―。
ズ…ズズズ…
俺のモノに何かが喰い付いてくるのを感じた。
口ではない
もっと別の何か―
「なっ!!?」
見て驚いた。
彼女のに俺のが突き刺さっている。
これは知っている。
セックスという、人における交配方法だ。
「バ…バカ、止めろ!子供を作る気か!?」
「フフ、面白い坊や。何もセックスはねぇ、子供を作る為だけの行為じゃないわよ?」
俺にはその意味が分からなかった。
「愛し合う人間がお互いに行う行為でもあるのよ、でも最近は例外もあるけどね」
そういい終わると彼女は俺に跨ったまま激しく動く。
「あ…あぅん。いいよぉ、生身じゃあ、久し振りだからぁ」
大きく、綺麗な胸を揺らしながら、彼女の腰の動きは次第に大きくなる。
(うぅッ…、何だ?この感じは、今までに感じた事の無い感覚だ)
まだ分からない事は多々ある、だがこれだけは言える
最 高 に 気 持 ち い い
そう考えていると、急に彼女は俺を起こし彼女が仰向けになる、今さっきのと逆の体制だ。
「今度は自分で…動いてみなさい」
よくは分からないが、大体分かってきていた。
俺は全力で、腰を振り彼女にピストンした。
「ん…ぁぁああ!凄い、激しいの…きてるぅ、きてるよぉ!!」
部屋に俺と彼女の肌が打ち付けあう音が鳴り響く。
「プ、プリセラ…!何か、尿意に似たものを覚えてるんだが!?」
「んあ、ダ…ダメよ、まだ…。もう少し、我慢なさい。一緒に…―あ!」
何故かは知らないが、その言葉に反応した俺は更に激しく動く。
「あんっ…あっ!……イイ!!」
「ス、スマン!!もう…限界だ!」
「あたしも、あたしももうイクから…」
「じゃ…だ、出すぞ?」
「いいよォ…いっぱい、いっぱい濃いの出して―んああああ!!」
―どぷっ、ドプププッ…
俺は彼女の中に、全てを出し切った。
最高の快楽を感じた。
彼女は疲れきった表情で、いや微笑んでいるが、
仰向けに倒れたまま荒々しく呼吸している。
俺は取り敢えず彼女から俺のモノを抜き、
暫くは俺と彼女が連結してた場所を見ていた。
俺の精液だろう。
白濁の液が彼女の秘部から流れ出ていた。
「すごい…いっぱい出てたね。自慰もした事無いでしょ?」
俺は黙って、恥ずかしげに頷いた。
「射精出来るようになって、何年も定期的な射精だけじゃそりゃ溜まるわね」
この言葉が最後だった。
このまま俺と彼女は静かに眠った―
―朝。
俺と彼女で取り敢えず後始末をする事に。
その最中に彼女が一言。
「やっぱり人は誰かに支えてもらわなきゃいけないんだよね」
「……」
「あたしはいろんな人に支えて、受け入られて生きてきたから、あんたのホントの苦しみは分からない、でも…」
「でも?」
「あんたを受け入られる事、支える事はあたしにも出来るから」
「だから…か、同情であんな事を…?」
「それもあるけど…」
「あるけど、何だ?」
「…教えない!」
そういって彼女は俺の額を軽くこづく。
(あんたが好きだからだよ、ジル。)
今は分からない。
でも何れ、分かる日が来ると思う。
その日までこの人と旅をしてみるのも、悪くは無い。