グリエ・ヨザックは血盟城の天井裏を這って回っていた。薄暗くて、狭い、蜘蛛の巣だらけの細い通り道に、自慢の筋肉
をぎちぎちに詰め込んで膝歩きで進んでいく。これも仕事と割り切って、城内の情報収集に当たるのだ。薄暗い天井裏で
聞き耳を立てると、大小様々な情報が耳に入ってくる。
へー。ダカスコス、また奥さんと喧嘩したのか。飽きんねぇ。
・・・本人のシュミも多分に含まれた仕事ではあるのだが。
そんな彼が、一番好きな覗き・・・情報は、まぁ他人の色恋に関することだ。城内に張り巡らされた魔王の知るところには
ならない権謀術数を聞いていても、一兵士たるヨザックには面白くもなんともない。耳に入ってくる、誰が誰を気に入って
いるとか、どこで逢引するだとか、そういう人間くさい情報のほうが遥かに楽しい。
今日もたまたまとはいえ、耳にしたのは・・・男女が静かに睦み合う声。結構盛り上がっていそうなその様子に、ヨザックは
興味を引かれた。というか、こういうのは出刃亀しないと気のすまない性質だ。興味津々に耳を澄まして、天井裏の通路に
耳を当てる。壁を通して、ひっそりとした睦言が聞こえてきた。
『待て・・・仕事中だ・・・っ、こんな・・・』
『そんなことを言って、身体は正直ですよ。ほら・・・』
ぴちゃり、くちゅりと、なにかを舐めあげる音。
『―――ッ!!』
『ね?これでも嫌がりますか?』
どうも女性が男性に迫っているらしい。眞魔国では珍しくない光景だが、仕事中となるとなかなか肝の据わったご婦人で
ある。というか、この立場関係は非常に身近な人物たちに当てはまらないだろうか。そういえば、この辺りにはかの人物の
執務室が―――
『よ、夜では駄目なのか・・・?』
『今日の夜は約束がありますから。だから、もししたいのであれば、今しか認めませんよ。』
男が一瞬、息を詰める。葛藤している様が、まざまざと目の前に浮かんでくる。
壁を隔てているので声は聞き取りにくいが、今ヨザックが想像したのは、上官である―――
『グウェンダル?わたくしがその気になっている間に決めるのですね。』
『アニシナ・・・私は・・・』
「ひどいわー!!!閣下ってばーーー!!」
ばきっ
天井板を突き破る音と、低い声でおねえ言葉を喋る男が上から降ってきた。半裸で身体を重ねていた男女は、目を見開
いた。ものの見事に二人の前に着地したヨザックは、涙目になってしなをつくって上官に訴えた。乙女の懇願ポーズだ。
オレンジの髪に蜘蛛の巣をくっつけていては威力が半減するが。
「ひどいわー!グウェンダル閣下ったら!グリ江に仕事させておいて、ご自分だけアニシナちゃんと執務室でいちゃいちゃ
してるなんてー!!グリ江妬いちゃう!!」
しかもなーに!?その格好!閣下なんか下半身モロだしだし、アニシナちゃんたら上はシャツ1枚で、下はガータースト
ッキングと下着だけじゃないっ!なんて色っぽいのっサイコーだわ!!
未だ突然の出来事に硬直しているグウェンダルだったが、傍らのアニシナは面白くもなさそうにヨザックを半眼で見やった。
「騒々しい登場の仕方ですね、グリエ・ヨザック。少しは雰囲気というものを察してはどうですか。」
「うわーアニシナちゃんにだけは言われたくなーい。アニシナちゃんもアニシナちゃんよー。閣下を誘惑するだなんて。こん
なにグリ江はアニシナちゃんを想ってるのに、一度も誘ってくれたことないじゃなーい!」
「なぜわたくしがあなたを誘わなければならないのです。わたくしはこの無駄に身体の大きな男の相手をするので手一杯
なのです。」
「手が一杯ならお口でもいいわー。」
「口いっぱいに火のついたロウソクでも詰め込んで差し上げましょうか?」
想像するだけで痛ましい罰ゲームをさらりと言ったアニシナは、グウェンダルの顔を蒼白にさせた。もしかしたらされたこと
があるのかもしれない。そんなアニシナの毒女ぶりにはこれっぽちもひるまずに、ヨザックはアニシナに詰め寄った。
「アニシナちゃん?俺にそんなこと言っていいのー?」
アニシナは露骨に嫌そうな顔をした。
「何です。わたくしたちの弱みを握ったつもりですか。グウェンダルはどう想っているか知りませんが、別にこんなことを世間
に公表されるくらいでわたくしの偉業に傷がつくなどありえないことですよ?」
「・・・私はそんなことを恐れてお前との関係を口にせんのではないぞ・・・。」
ようやく我に返ったグウェンダルが、アニシナにそう告げた。意外そうな顔をするアニシナ。
「おや、そうなのですか。まぁ、他人にわざわざ言うことでもありませんが・・・。」
「でも、知られてまずい人がいるんじゃなーい?」
ヨザックは実に楽しそうに二人に言う。不思議そうな表情の二人に、にやりと笑いかけてやる。
「グリ江、ツェリ様にこのこといっちゃおーかなー」
「!!!!」
二人は同時に驚愕の表情になる。ツェリ様に、仕事中にいかがわしいことをしていたのがばれる。→まあ、二人ともそんな
関係だったのー?→そういうことなら、手続きは早いほうがいいわっ。結婚式はいつにしましょうか!陛下にもぜひご出席
願わなくてはねっ!
という流れになるに違いなく、それは二人が最も避けたい事態だった。
顔色の悪くなったグウェンダルは震える声で部下に尋ねた。
「・・・何が望みだ。」
「えー、やだなぁ。それじゃ俺が脅してるみたいじゃないですかー。」
そうだろうが。というメッセージを込めた視線を、ヨザックに送ってやる。先程の面白そうな笑みに加え、目論見が達せら
れそうな期待に頬が緩んでいる。
「でもぉ、閣下がそういうなら、要求がないわけでもないンすよねー。」
「なんだ、言ってみろ。金か、休暇か。」
ため息混じりに言うグウェンダル。ヨザックはそんな上司を見て笑い、次にアニシナに近寄って、小柄な身体を抱きしめた。
「閣下―。グリ江、アニシナちゃんが欲しいなー。」
「なっ・・・」
「却下です。」
グウェンダルの返答もないまま、アニシナが厳しい声で提案を却下した。膨れるヨザック。
「えー、なんでよー。」
「女を取引の材料にする気ですか。恥を知りなさい。女性の尊さを知らない男など滅んでしまえばいいのです。手始めに
あなたのブナシメジを始末してしまいましょうか。」
「うわー、さっきまで閣下のブナシメジをご奉仕してたその口でそんなこと言うー?」
つんとそっぽを向いたアニシナに、ヨザックは苦笑する。
「一回だけ。ねー、二人に混じるだけでいいんですってばー。閣下とアニシナちゃんと、俺との三人でってことで。でないと
ツェリ様に言いつけちゃいますよー?」
グウェンダルとアニシナは顔を見合わせた。あの女王様にばれることだけは避けたい。今のこの関係を続けることと、
結婚することはまた別の話だ。アニシナは結婚するつもりがないし、グウェンダルにはまだ所帯を持つ気がない。
グウェンダルは、しかし悩んだ。混じるとは、やはりヨザックがアニシナを抱くのを黙認しろということで、それはどうも
気分が良くない。アニシナだとて、自分以外の男に抱かれたことくらいはあるだろうが、それが目の前で起こるとなれば
事情も変わる。やはり気分が良くない。
グウェンダルが葛藤を続けている間に、アニシナはため息を吐いて、
「しかたありません・・・。いいでしょう。」
「え、マジで!?」
「あ、アニシナ・・・。いいのか?」
これはつまりあれだろう、3・・・と言いかけてアニシナと目が合ったので口をつぐんだ。
「わたくしとてこのような要求は飲みたくはありませんが、仕方ありません・・・。ツェリ様にばれることを考えれば、この選択
も余地がないでしょう。」
グウェンダルは頭を痛めた。
「・・・だからこんな場所でするのは嫌だったんだ・・・。」
「まぁ!わたくしのせいにするつもりですかっ!?自分だってなんだかんだと乗り気だったくせに。」
「それはお前が・・・!!」
口げんかを始めてしまった二人の間に、笑顔で割って入るヨザック。
「まーまー。二人とも、仲良くしましょーよ。三人で、な・か・よ・く、ね?」
アニシナがソファに座り、その後ろにはグウェンダルが、その足元にはヨザックがアニシナのあられもない姿を上下から
眺めていた。いつも首まで閉じられた白いシャツは胸元まではだけられているし、スカートも脱がされていてヨザックには
下着の皺までくっきりと見えた。さすがに男二人に同時に眺められる経験は毒女でもなかったのか、ほんのりと羞恥で顔
が赤く染まっている。それを眺めるヨザックは実に機嫌よさ気だ。
「アニシナちゃん、かわいいー」
「・・・おだまりなさい。」
不機嫌そうにアニシナに言われても、ヨザックは堪えた気配もなく笑っていた。それを面白くなさそうにアニシナ越しに
見るグウェンダル。無意識にアニシナを抱く腕に力が篭った。ついでに首筋に唇を落とす。
「お、もうはじめますか。そんじゃ、アニシナちゃん。別に痛くしないからねー」
そう言って、ヨザックはアニシナの足の間に身体を割り込ませた。ストッキングには包まれていない足の付け根の生肌を
、ぺろりと舐め上げる。一瞬、びくりとアニシナの身体が震えた。グウェンダルが嫌そうな顔をした。
「・・・あれ。もしかして、アニシナちゃんって感じやすい人?」
「・・・あなたには関係のないことですよっ」
「いや、関係ありありよー?だって、どのくらいのレベルで攻めるか考え直さないと。」
経験豊富そうなヨザックの発言に、またもグウェンダルは眉間に皺を寄せた。あまり無体なことをしてはアニシナがかわ
いそうだし、何より今度するとき自分と比べられたら嫌だ。そればかりか、変な癖とか覚えさせられたら、グウェンダルとて
穏やかではいられない。
グウェンダルはヨザックばかりに気を取らせてはいけないと思い、アニシナの胸に手を這わせた。シャツの中に手を入れ
下着越しに胸を揉みしだくと、アニシナは息を詰めた。馴染んだ手つきで胸を揉みしだかれると、いつものように甘い息を
吐きそうになる。ただ、胸と同時に足の付け根を嘗め回されて、いつものような安堵感にも似た愛撫とはまた違った感覚に、
アニシナの身体は緊張していた。
「ん・・・っ。」
「アニシナちゃん、もっと声出して?」
そのせりふに、ヨザックをにらみ付けるアニシナ。ヨザックは笑った。
「ま、声上げたくなるようにするだけですけど。」
ヨザックは太ももに這わせていた舌を滑らせ、下着越しにアニシナの秘所を舐め上げた。馴染んだ感触とは違う舌遣い
に、アニシナは身体を硬直させた。
「―――っ・・・!」
「アニシナ、大丈夫か?」
目をつぶって身体を硬くするアニシナが心配になったのか、グウェンダルは耳元で声をかけた。自分がやるといったこと
は最後までやる女である。何を言っても聞きはしないだろうが、それでもいつものアニシナとは違う反応にグウェンダルは
不安になる。
「だ、大丈夫です。・・・続けなさい。」
グウェンダルはそろそろと下着をずらし、下着から零れた胸を大きな手のひらで包み込んだ。最初はゆっくり、徐々に力
を込めて荒々しくなる愛撫に、アニシナは声を漏らした。
「んん・・・はぁっ・・・」
桃色に色づく頂を指の腹で押したり、こねくりまわしたりする。一緒に耳たぶを甘噛みしてやると、細い身体がぴくりと動い
た。
「アニシナちゃん、濡れてきましたよ?」
胸の愛撫に集中していたアニシナが、ヨザックの声で意識を急浮上させた。白い足の間から顔を覗かせているお庭番は
、嬉しそうにアニシナの下着を舐め上げる。くちゅり、という音がアニシナとグウェンダルの耳を打った。
「閣下が胸弄ってて、感じちゃったんですかね?」
アニシナは眉根を寄せてそっぽ向いた。その様子に、喉の奥で笑いをかみ殺すヨザック。やーだもーお。アニシナちゃん
ったらかーわいーいー。
「閣下も、続きやっててくださいよ。」
「あ・・・うむ・・・。」
胸への愛撫を再開したグウェンダルを横目に、ヨザックはアニシナの下着を鮮やかに抜き去った。レース地の豪華な貴族
の下着は、秘所のぬめりを帯びて糸を引いていた。改めて足を持ち上げて割れ目を眺めると、染み出た愛液がきらきらと
光っている。そこをゆっくりと舐め上げると、アニシナは身体を震わせた。
「っ・・・!」
声を出すまいと、必死のアニシナ。そんなアニシナを眺めながらいたずらをするのは、ヨザックも興奮した。初めて抱く
想い人の身体に興奮しながらも、ヨザックの愛撫は焦らすかのようなゆっくりとした動きだった。丁寧に、溢れる蜜を舐め
上げる。そのゆっくりとした愛撫に、アニシナはとうとう声を上げた。
「ん、あ・・・!ヨザック、そんな・・・そういうのは、わたくしは苦手なのですっ・・・はぁぅ!」
「まったまたぁ。閣下といつもこういうのしてるでしょう?それとも、俺は閣下より下手ですか?」
「っ・・・あ、い、いいからおやめなさいっ・・・ああんっ!」
「そんなかわいい声出して、説得力ってやつがありませんよ?ねぇだんな。」
「・・・私にふるな。」
グウェンダルだって、いつものアニシナとは違う声音を可愛いと思っているが、それをこの男の前で言うのは癪だと思った。
本来なら、自分しか知らないはずだった声なのに。そう思うと、何だかくやしくて、思わずアニシナの唇を自らの唇で塞いだ。
「っん・・・ふ、ぅ・・・!ちゅっ・・・」
「ん、アニシナ・・・ちゅ、くちゅっ・・・」
息も吐かせぬ激しい口付け。そんな二人を見て、ヨザックは少しため息を吐いた。
ヨザックは、自分がイレギュラーであることを自覚している。二人の間には百数十年という長い月日に築かれた関係性が
ある。そこに自分のような新参者が割って入れるとは思っていない。単純な恋愛関係になるだけなら、自分にも多少望みは
あると思ってはいるけれど、それとこれとは何だか違う。
だから、今回はアニシナの唇にキスはしないと決めていた。街の娼婦を買う時だって、娼婦は唇のキスは譲らない。それは、
女としての最後の砦なのかもしれないし、相手に本気になるのもなられるのも嫌だからかもしれない。街の娼婦と貴族の
姫君を比べるのは端から間違っているが、そこを犯さないのはマナーだとヨザックは考えている。だから、アニシナには
キスをしない。
と、思ってんのになぁ・・・。
こうも目の前で堂々と熱い口付けを交わされると、嫉妬心にも似た思いが沸いてくる。ヨザックはアニシナの秘所に指を
突き入れた。
「んうぅっ!!」
指は蜜に促され、たやすく中へと這入ることができた。そこをゆっくりとかき回すと、奥から蜜が溢れてきた。
「ん、ん・・・っはぁ、ああぁんっ!」
「ココが弱い?それともココですか?」
ぐちゅぐちゅと秘所をかき回され、口内を舌で蹂躙され、胸を揉みしだかれ、アニシナの利発さはすっかり影を潜めた。
水色の瞳は快楽の涙で滲み、桜色の唇からは甘い吐息と声しか漏れない。
そんなアニシナを満足げに見つめるヨザックは、指を一本増やし、その上にちょんと立ち震わせている突起を舌で舐め上げた。
「んうっ!」
アニシナの小さな身体がグウェンダルの腕の中で跳ねたが、ヨザックは構わずそこへ舌での愛撫を続ける。舌で舐め上
げ、唇で咥え、きつく吸い上げるとそこはますます充血し、指に絡まる蜜の量が増えた。
「すごい、アニシナちゃん。洪水ですよ、ほら・・・。」
くちゅりと秘所から抜き出した指をアニシナの目の前でかざした。粘着質の液体が、ヨザックの太い指に絡まって糸を
引いている。アニシナは顔を真っ赤にしてそれから目を逸らした。
「駄目ですって、ちゃんと見てくださいよ・・・。」
「・・・ヨザック、あまり虐めるな。」
普段自分がやっていることは棚に上げて、グウェンダルはヨザックを嗜めた。
「へーい。」
しぶしぶと言った感じでヨザックは引き下がったが、しばらくアニシナの身体には手を伸ばさなかった。アニシナの身体を
じっくりと眺める。
いつも苛烈に輝く水色の瞳は快楽で揺らめいているし、頬は上気していて何とも色っぽい。桜色の唇は、誓いなどなけれ
ば今すぐにでもしゃぶりつきたいほど愛らしいし、時折漏れる甘ったるい声はその欲求に拍車をかける。上半身は白い
シャツを羽織っているだけで、レース地のブラははだけられていてそこから白い胸が零れている。その胸も頂はピンクに
色づいて、ぴんと起っている。だらしなく開けられた足にはまだガーターストッキングが付けられたままだが、下着は付けて
おらず、足の付け根の奥からは大量の蜜が溢れている。
なんかもう、これだけでもあと一月は夜のオカズに困らないわねー。
「いいなぁ、閣下は。こんなん毎晩拝めるなんて。」
「・・・別に毎晩は・・・」
「アニシナちゃん、閣下。俺もう我慢できません。挿れちゃっていいですか?」
ヨザックは先程からズボンの中で硬くなった分身を取り出し、アニシナの秘所にこすり付けた。
「ゃんっ・・・」
「ね、だめですか?」
グウェンダルは眉間に深く皺を寄せた。本当にアニシナがこの男に抱かれるのだと思うと、やはり穏やかではいられない。
ここまでさせてやったのだから、もういいだろうと喉の奥でつぶやく。
そんなグウェンダルの内心など気にもかけないでヨザックは楽しそうにアニシナを組み敷いていく。なぜかうつ伏せだ。
「ほら、アニシナちゃん。閣下にもご奉仕してあげてくださいね。俺だけイイ思いしたんじゃ、恨まれちまいますから。」
ソファから降りて膝立ちになったアニシナは、ソファに座ったままのグウェンダルの足の間に小さな身体を割り込ませた。
すでにグウェンダルのはだけられた下半身はアニシナの媚態で興奮しきっている。その証をまじまじと水色の瞳で眺められ、
グウェンダルは羞恥に顔を赤らめた。
「あ、アニシナ・・・。そんなに見るな・・・。」
「何です。今更でしょうに。」
アニシナは甘さの残る声でそう言って、グウェンダルの立ち上がった雄に手を伸ばした。ゆっくりと擦り上げると、グウェン
ダルの身体が大きく揺れた。
「っ・・・!アニシナ・・・」
「じゃ、俺もそろそろ・・・」
アニシナの愛撫に震えるグウェンダルを確認した後で、ヨザックはアニシナの蜜壷に猛る己を突き入れた。溢れる蜜は、
ヨザックというイレギュラーを難なく受け入れた。
「んあぁっ!!」
アニシナの中は恐ろしく狭く、暖かかった。下半身から痺れるような快楽が這い上がってくる。ヨザックは眉をしかめた。
「これっ・・・すごいっすね。閣下、アニシナちゃんっていつもこうなんですか?」
グウェンダルは聞こえているのかいないのか、返答しなかった。アニシナに与えられる愛撫に夢中になっている。それを
苦笑しながら見つめ、ヨザックは一瞬達しかけた興奮を鎮めようとした。
アニシナはヨザックの挿入に快楽の色を見せていたが、とりあえずヨザックが動かないのでグウェンダルへの奉仕に集中
した。手で擦り上げた後、口に含み先程の続きをしてやる。口の中で一杯になる幼馴染を感じ、アニシナはその行為に熱中
した。しゃぶりつき、舌で激しくしごきあげ、唇で吸ってやる。喉の奥まで導くと、グウェンダルは腰を僅かに動かし、アニシナ
に己を擦りつけようとした。
「んっ、ぅ・・・んぐ」
「あっ・・・く、アニシナっ・・・」
「んんぅっ!!」
突然アニシナの愛撫が止んだと思ったら、肉と肉のぶつかる音が響く。ヨザックが動き出したのだ。己を咥えるアニシナ
が他の男に後ろから犯される様を見て、グウェンダルはわけのわからない感情で一杯になった。二人の男に犯される
アニシナは、正直可愛い。たまらなく扇情的だ。自分に与えられる刺激も、気持ちいい。だが、いつも自分を咥えるときに
見ることができるあの勝ち誇ったような笑みはなく、別の男に突かれる快楽に表情を歪めている。それが、たまらなくくやしい
ような気がする。
「んぁ!あ、ああぁんっ!ヨザっ・・・そんなところはっ・・・あぁ!!」
「なに?ここが弱いの、アニシナちゃんは。」
男の高ぶりから口を離したアニシナは、ヨザックの行為にただ嬌声を上げるばかりだ。グウェンダルは面白くなくて、
アニシナの頭を自分の下半身に押し付けた。
「アニシナ、口が留守だぞ。」
アニシナは、ヨザックが動くたびに嬌声を上げながら、それでもグウェンダルの雄を再び口に含んだ。
「ん、んぅ!ちゅ・・・ふ、ゃあ、あぁんっ!!」
上下の口を男のもので塞がれ、刺激されて、アニシナは意識が遠のきそうだった。限界がすぐそこまで来ている。
ヨザックも、アニシナのあまりの締め付けに堪えられなくなっていた。アニシナの小さな身体は、思っていた以上に気持ち
がいい。
俺、ホントはこんなに早くないんだけどなぁ。
本当なら上司との場数の違いを身体に刻んでやろうと思っていたのに、返り討ちにされてしまった。
「アニシナちゃんっ・・・俺もうだめみたい・・・っ。」
「ん、んっ、ふぅっ!!」
アニシナがきゅうっとヨザックに絡みつき、ヨザックは自分の限界を悟った。慌ててアニシナから自身を引き抜き、アニシナ
の白い背中に白濁した精を放出した。
「うっ・・・く!」
どくどくと長い放出が終わり、改めてアニシナを見るとアニシナの身体は真っ白になっていた。
「あー、ごめんアニシナちゃん・・・」
さすがにやりすぎたと思い、謝罪を述べようとするヨザックだったが、アニシナは聞いていなかった。グウェンダルも限界
を迎えようとしていたから。
口をすぼめてグウェンダルを吸い上げ、舌で刺激するとグウェンダルはアニシナの頭を己に押し当てて、大きく身体を震わ
せた。
「くっ・・・!」
瞬間、アニシナの口にグウェンダルの液が吐き出された。熱いそれを、飲み下すアニシナ。あまりに長い放出に、口だけ
では受け止め切れずに顔にも白濁した精が飛び散った。
「ん、んく・・・」
口にあるグウェンダルを全て飲み下して、アニシナは力を失ったグウェンダルを解放した。
「大丈夫か?アニシナ・・・」
「ええ・・・」
グウェンダルは労わる言葉をかけ、顔に散った液を指で掬い取ってやる。ついでに抱き寄せて、口付けをした。
あっけにとられるヨザック。
「な、なに!?なんなんですか二人ともっ!え、口内発射ありなの!?ずるーい、閣下!!グリ江もそれヤりたいー!!」
グウェンダルは嫌そうな顔をした。アニシナも眉をしかめたが、ため息をついた後。
「したいのなら、すればいいでしょう。どうせ交代するのでしょうから。」
あまりにしれっと言うので、グウェンダルは耳を疑った。
「あ、アニシナ。本気か?」
アニシナは不思議そうな瞳でグウェンダルを見上げた。
「何か問題でもありますか?」
問題。あるかと言われると、ないような気もする・・・。自分はアニシナに他の男に抱かれるなと言える関係ではないし、
当のアニシナが嫌がっていないのならなおさらだ。でも、何だか腑に落ちない。
ヨザックでもいいのか?なんてことを頭の片隅で思ったが、それを意識化することもできずに、グウェンダルは複雑な
表情で黙り込んだ。ヨザックは喜色満面でグウェンダルを急かす。
「じゃ、そういうことで。閣下も早く準備してくださいよ。ね、アニシナちゃんはこっち。」
ヨザックの足の間に、小さな身体を割り込ませるアニシナ。白く、はりつやのいい尻を幼馴染に向けてグウェンダルが動く
のを待っている。
「グウェン。」
アニシナが咎めるように名前を呼んだ。その声音が意外に真剣で、まだ彼女は達していないのだと知る。
「・・・ああ・・・」
グウェンダルはまだ硬さの残る自身を、アニシナの蜜壷にあてがった。そのまま、一気に刺し貫く。
「あああぁんっ!!」
馴染んだ快楽に、アニシナは嬌声を上げる。そのアニシナの細い顎を持ち上げ、ヨザックは笑いかけた。
「アニシナちゃん。俺のも、お願いしますよ。」
アニシナはヨザックに促されるまま、また勃ち上がったヨザックのものを口に含んだ。グウェンダルと同じようにしてやると、
ヨザックは気持ちがよさそうに息を吐いた。
「っ・・・、ホント閣下ってばうらやましい・・・。」
こんな女性に、執務中とはいえこんなことをされて、よくも拒否などできるものだ。いや、拒否はしてないか。彼に元々
拒否権はない。
「ふ、ぅ、んぐ・・・くちゅっ・・・」
「ん、アニシナちゃん・・・すっげーイイ・・・」
苦しそうに男を咥えているアニシナを愛しげに見るヨザックに、グウェンダルはいらいらする。そのいらいらをどう処理
していいのかわからず、その不満を全てアニシナの秘所にぶつけた。
「ん、ん!!グウェ・・・はげしっ・・・ああ!!」
「閣下ー。あんまり女性を乱暴に扱っちゃだめですよー?」
そう言いながらも、口を離したアニシナにもう一度己の雄を咥えさせるヨザック。グウェンダルはヨザックの話を聞いている
のかいないのか、さらに激しくアニシナを抱いた。
「ん、ふ!んあっ!」
「・・・アニシナっ・・・!」
狭いアニシナの中で、何度も抜き差しを繰り返すグウェンダル。切ない快楽に、頭がおかしくなってしまいそうだ。
アニシナも、自分の中で大きく硬くなる幼馴染の欲望に、とろけるような快楽を見出していた。あまりの快楽に堪えるよう
に、口に含んだものを強く吸い上げる。
「んっ!アニシナちゃ・・・激しいってば・・・!」
「ん、ちゅ・・・ふっ、んんぅ!!」
も、やばいかも・・・。
そう思った瞬間、アニシナの口の中でヨザックの高ぶりが爆ぜた。白濁した液がアニシナの口を汚す。
「くっ・・・ぅ!」
「んぐっ!」
それを飲み下すため、喉を上下するのをヨザックは満足げに見つめ、アニシナの赤い髪を撫ぜた。しかし、アニシナは
そんなことにも気が行かない。まだアニシナとグウェンダルの結合部から、激しい水音が聞こえてくる。
「あ、あんっ、ああ!はぁんっ!グウェン!」
「っ、アニシナ・・・イイか・・・?」
「あ、ん!はあぁ!」
何度も弱い部分を攻められて、奥を突かれてアニシナも限界が近かった。グウェンダルをぎゅっと締め付ける。
「く・・・!」
「グウェ・・・っあああああ!」
ふいにアニシナの中が急速に締まり、グウェンダルを締め付けた。アニシナが達したと同時に、グウェンダルもまたアニシナ
の中に精を勢いよく放った。
「え、ちょっと、いいんですか?」
困惑したヨザックが、幾分疲れた顔をした二人に尋ねた。二人とも、不思議そうな表情である。
「?何のことだ。」
「いや、だから。アニシナちゃんのナカに・・・」
そこまで言っても、二人はまだ不思議そうだ。
「ナカに入れるならナカに出すだろう。」
「何をあきれた顔をしているのです。」
当然のことのように言い放ち、グウェンダルはアニシナを抱き寄せた。それを呆然と見るしかできないヨザック。
え、何。この二人ってもう子どもとかできてもいいとか考えてるの?それとも、貴族様は何人作っても生活には困らないから、
別に気にしないとか?
何だか、うらやましいような気も起きない。目の前でそれなりにいちゃいちゃしている二人には、自分が入る隙間なんて案外
なかったりするんじゃないだろうか。そう考えると、急に徒労感が襲ってくる。
ヨザックは衣服を整えて、二人に背を見せた。
「じゃ、一応約束は約束ですから、ツェリ様には内緒にしときますよ。俺はこれで失礼します。」
このままじゃ、馬に頭を蹴られて死ぬ恐れがある。
ヨザックが去っていくのを眺めていた二人だったが、二人ともあれほど乗り気だったヨザックの背中が煤けていたことに、
不思議そうな顔をしていた。
「何だったんだ・・・。」
「さぁ・・・欲求不満だったのでしょうか。」
とりあえず、グウェンダルはほっと胸を撫で下ろした。腕の中の小さな幼馴染にキスを送ると、もう一度ぎゅっと抱きしめた。
それを迷惑そうに見るアニシナ。
「わたくし、お風呂に入りたいのですが・・・」
「ああ、入ろう。」
「あなたも入る気ですか。」
「だめか?」
アニシナはため息をついた。アニシナには珍しく、小さく毒づく。
「まったく、独占したいならそれなりのせりふでも何でも言えばいいでしょうに。」
「何か言ったか?」
アニシナはグウェンダルの首に両手を回して口付けた。
「あなたは本当に愚かですね、と言ったのです。」
終わり。