「夢は現実の投影であり、現実は夢の投影である」  
ジークムント・フロイト  
 
『もしもし、藤堂さんのお宅でしょうか?』  
藤堂志摩子が自宅の電話に掛かってきた電話を受けたのは、ある金曜日の午後だった。  
「はい」  
『あら、もしかして志摩子ちゃん?私よ、アケミ。アカザワ・アケミ』  
「アケミさん……あ、朱美さん。お久しぶりです」  
電話を掛けてきたのは、藤堂志摩子の従姉妹にあたる赤澤朱美だった。  
彼女の話では、折り入って志摩子に相談したいことがあるという。  
『電話じゃちょっと話しにくいし、久しぶりに一緒に遊びたいなと思って』  
そう言って、朱美は土曜日の午後に待ち合わせをしたいと申し入れてきた。  
従姉妹の朱美とはもう数年来顔を合わせていなかった。  
確か、志摩子より一つ年上の朱美は、最近学校を退学したという話を志摩子は親族から聞いていた。  
『じゃあ、明日学校が終わったあと、新宿のアルタ前で待ち合わせね』  
「朱美さん、相変わらずせっかちな人ですね…わかりました。では明日」  
従姉妹からの誘いだと思って軽く引き受けた志摩子だったが、後に後悔することに  
なるとは、この時は思っても見なかった。  
 
翌日、志摩子は待ち合わせの場所に現れた朱美の姿をみて、少し驚いた。  
一つ年上とはいえ、濃い化粧と漂う香水の臭い、そして大胆なミニスカート姿。  
数年前の姿からは想像もできない変化だった。  
「じゃあ、そこのカラオケルームに行こうよ。もう予約してあるから」  
「あのー朱美さん……私、あんまりこう言う所来た事ないの」  
「あら、志摩子ちゃんカラオケはしないの?」  
「え、あの…」  
「いいじゃん、ちょっと羽伸ばそうよ」  
朱美が志摩子を誘った場所は、新宿の歌舞伎町の雑居ビルに入っているカラオケボックスだった。  
志摩子は、カラオケはあまり得意ではないし、リリアン女学園の制服で  
入ることにも少し抵抗があったが、朱美に半ば強引に誘われてカラオケボックスの一室へと入った。  
 
「朱美ちゃーん、遅かったね」  
志摩子と朱美が部屋に入るなり、野太い男の声が出迎えた。  
「ごめんごめん。太郎ちゃん、待った?」  
「その子が志摩子ちゃんか。はじめまして」  
先にカラオケボックスに入っていた男は、志摩子の知らない人物だった。  
「あ、あの…朱美さん。この方は……」  
小太りの中年男性で、無精髭を顎にたくわえたその男は山田太郎と名乗った。  
どう考えても偽名と思われるその名前についても、その時、志摩子は疑問に思うことすらなかった。  
朱美の友人と紹介されたが、その外見は、ただのくたびれた中年サラリーマンのようにみえる。  
「朱美さん…あの、相談事っていうのは何ですか?」  
「まぁ、その話は後で後で。とにかく、何か頼もうよ。志摩子ちゃん何がいい?」  
朱美に半ば強引にカラオケルームに連れ込まれた形になった志摩子は、なし崩し的に  
ウーロン茶を頼み、朱美と山田という男がデュエットする様子を見ることになった。  
(なんで、わたしここに居るんだろ……ていうか、なんか身体がだるい……)  
二人が延々と歌う様子をみながら、喉の渇きをウーロン茶で潤していた志摩子は、自らの  
身体の変化に戸惑っていた。  
(なんだか、だるくて眠いけど、身体が火照る……)  
「朱美ちゃん……なんだか体調が良くないからわたし帰るね…」  
志摩子がそう言って席を外そうとすると、朱美や山田は少し横になって休めばいいと 強くすすめた。  
「じゃあ、少しだけ」  
志摩子はソファーに横になってまもなく、まるで意識を失うように深い眠りに落ちていった。  
 
「この娘、もう寝た?」  
「うん、バッチリ薬が効いてるわ。爆睡よ、ほら見て見て」  
ソファーに横たわる志摩子のスカートを朱美は無造作にめくり上げ、純白のスリップを山田に見せつけた。  
志摩子がオーダーしたウーロン茶に混入しておいた睡眠薬の効果は絶大だった。  
スカートをめくられても志摩子が目覚める兆しはまったくない。  
清廉潔白なリリアン女学園の生徒のスリップなど、そうそう拝めるものではない。山田の鼻息が荒くなる。  
「じゃあ約束どおり、リリアンの1年と援助交際させてあげるわ」  
朱美は<山田太郎>と自称する中年男に宣言した。  
先ほど志摩子に対して、朱美は山田を「友人」と紹介したが、それは真っ赤な嘘だった。  
実際のところ、朱美と山田は先程テレクラで知り合ったにすぎない。  
本名すら知らない中年男だったが、この後で行うプレイには必要不可欠な役者だった。  
 
「でもさ、眠らせてから援助交際って変じゃね?」  
「いいのよ、あなたは何も知らなくて。この娘とはこういうプレイだって話してあるわ」  
「ふーん…まぁいいけど。じゃあ約束の1万円ポッキリね。朱実ちゃんに渡しとけばいい?」  
山田は朱美の言葉を信じているわけではなかったが、そんなことは瑣末なことに過ぎなかった。  
朱美との約束通り、リリアン高等部1年の少女と<交際>できればそれでいい、そう思っていた。  
こうして、自称山田という男と、藤堂志摩子の<援助交際>が成立した。  
「じゃあ、手はず通りにやろうよ。隣のラブホに行くんだよね?」  
「その前に、ここでも少し撮っていくわよ。一応証拠づくりね」  
そう言って、朱美は鞄の中からポラロイドカメラを取り出した。  
「さぁ、この娘のファーストキスを奪ってあげてよ」  
「やっぱファーストキスなんだ。やりぃ。じゃあ遠慮無く」  
山田はヤニで変色した歯を見せて笑うと、そのまま眠り姫――藤堂志摩子の唇に自らの唇を重ねた。  
それと同時に、カラオケルームに朱美のカメラのフラッシュの光が瞬く。  
「いい香りだよ。この娘、すごくいい。やっぱリリアンの生徒は違うよ」  
興奮した山田は、抵抗もなく眠り続ける志摩子の唇を貪るように舐めまわしている。  
志摩子の舌を絡めとり、大量のヤニ臭い唾液を流し込む様子を朱美は遠慮無くポラロイドで撮影する。  
瞳を閉じたリリアン女学園の制服を着た少女と、中年オヤジがカラオケルームでキスを交わす写真は  
高い値が付きそうだ。ニンマリとほくそ笑む朱美は、さらなる商材を求めて志摩子を追い込む気だった。  
 
「いい画が撮れたわ。じゃあ次は予定通り、ラブホに連れ込みましょ。さぁ肩を支えて」  
両肩を二人に支えられた志摩子は、為す術も無くカラオケルームから連れ出された。  
「本当に裏口から出られるのか?」  
山田の心配をよそに、朱美は落ち着いた様子で答える。  
「大丈夫よ。ここの店員さんとは話が付いてるし、裏口から直接ラブホにいけるの。すごい便利でしょ?」  
同じ経営者が営業するラブホテルとビルが繋がっているばかりでなく、そのまま保守用のエレベーターで  
部屋まで運び込めるのは、朱美がラブホテルの従業員に話を付けているからに他ならない。  
「この前に連れ込んだリリアンの中等部の娘ももいい感じで朝までお泊りだったし。大丈夫だって」  
「前科ありってことか……さすがだね。まぁ、俺はリリアンの娘とハメられればどうでもいいよ」  
「あら、前科なんて失礼ね。あの娘はちょっとヤンチャなお兄さんたちと<自由恋愛>に落ちただけよ  
ひと夏の経験ってやつよ。女子中学生の、ちょっと過激な初体験って夏にはよくある話じゃん」  
ニヤニヤと笑いながら話す朱美の話を真に受けるほど、山田は純真ではなかった。  
「自由恋愛ね……で、そのリリアンの中学生どうなったの?」  
半分嘆息しながら山田が聞くと、朱美は吐き捨てるように答えた。  
「知らないわ。でも、なんだか家出したみたいね。噂じゃ族のお兄さんたちと仲良くやってるみたいね」  
「仲良く……か。まぁよくある話か」  
二人が志摩子を連れ込んだのは、壁面や天井が鏡張りの、いかにもラブホテルという雰囲気の  
部屋だった。部屋の中央に据えられたキングサイズのベッドは、ラブホテルに有りがちな回転ベッドである。  
いずれにせよ、本来ならリリアン女学園の生徒が立ち入るような雰囲気の部屋ではない。  
 
「じゃあ、少し準備するから…」  
朱美は予め部屋に持ち込んでおいた三代の三脚に据えてあるビデオカメラを操作する。  
「3台も使って撮影するの?朱美ちゃん、本格的だなぁ…」  
「すごいでしょ。回転ベッド回しながら撮影するから、死角無しで撮れるわよ。きっとすごく売れるわ  
前作の中学生モノよりもね。それにきっとビデオをみた人が沢山<援助>してくれるわ」  
「ふーん…まぁ色々ありそうだけど、言わない約束だったよね」  
自慢気に語る朱美を見て、バックに尋常ならない組織――暴力団のようなものの存在を山田は感じたが  
そこは触れない約束だった。自分としては、タダ同然で少女を犯すことができればそれでいい。  
「じゃあ、やっちゃっていいわよ。でも制服は脱がさないでね。その方がいい値がつくの」  
「ふーんそういうもんなんだ。でも確かに、リリアンの制服って他にはない良さがあるよね…  
なんというか野暮ったいけど、犯しがたいというか。ま、<監督さん>のオーダーどおりにいくよ」  
山田は自分の着衣を全て脱ぎ去ると、3台のビデオカメラが捉えている回転ベッドへと身を乗り出した。  
「じゃあ、志摩子ちゃんに恨みはないけど、ハメさせてもらうよ」  
幼い頃から、<フランス人形>と称されるほど整った顔立ちの志摩子は、そのフランス人形さながらに  
ベッドに仰向けに寝かされ、安らかな寝息を立てている。  
(この不釣合いな男が美少女を………フフフ、いい画が撮れそうだわ)  
まるで<生けるフランス人形>の志摩子の上に覆いかぶさる、さえない中年男の姿を見て朱美はほくそ笑んだ。  
 
解き放たれた山田は志摩子の唇を再び責めたて始めた。  
やはり男を知らない少女の唇を奪うのは得も言われぬ背徳感がある。それもとびきりの美少女が無抵抗で  
横たわっているのだ。こんなチャンスは滅多に無い。  
されるがままの美少女と、貪るように唇を吸う男…そんな二人の姿を、カメラは複数のアングルで録画していく。  
瞳を閉じた少女と中年男が舌を絡めあう姿は、パッと見では愛しあう二人のように見えなくもない。  
「最高だよ志摩子ちゃん。もうすぐオンナにしてあげるからね」  
鼻息荒く眠り姫に語りかける山田は、その手でワンピースのプリーツスカートを捲り上げた。  
白いスリップとショーツがあらわになると、朱美は一台のカメラで局部をアップでおさえた。  
「フフフ、かわいい下着ね。山田さん、あとでそのパンツもって帰っていいわよ」  
「マジで?じゃあちょっと沁みを作っちゃおうかなー」  
朱美の言葉で調子に乗った山田は、ショーツ越しに念入りに志摩子のクリトリスやクレバスを愛撫していく。  
男の執拗な女芯への愛撫と、ディープキスは、<眠るフランス人形>の秘部に愛の泉を溢れさせた。  
「お、濡れてきた。志摩子ちゃん初エッチの記念品できあがり」  
脳天気な声で宣言する山田の言うとおり、志摩子の白いショーツのクロッチには秘裂に沿って大きな沁みが出来ていた。  
 
「お、ラブラブって感じになってきたじゃん。ちょっとエッチなドラッグも混ぜといたから、効いてるかもよ」  
朱美の言葉を裏付けるかのように、志摩子は意識がない状態ながらも、頬は薄桃色に上気し、息遣いも荒くなっている。  
志摩子に睡眠薬と同時に密かに飲ませた、性感を昂ぶらせるドラッグの効果は確かにあるようだ。  
「じゃあ、そろそろ志摩子ちゃんをオトナの世界にご招待とするか」  
志摩子にとって、最後の砦である白い布切れは、山田によってあっさりと取り去られてしまう。  
もはや無防備な少女を守るものは何もなく、男の手によって太股をM字に開かれ、すべてをさらけ出していた。  
「うわー。綺麗なマンコだなぁ。さすがリリアンの1年モノ。毛がうっすらなのもマジ好みだよ」  
山田の寸評どおり、志摩子の局部は経験の無い少女特有の美しさを持っていた。山田の歓喜の一方で、  
朱美はその美しさに嫉妬を感じ始めていた。  
(フン…すこし綺麗に生まれたからって、思い通りの人生なんか歩ませないわよ)  
朱美本人は自分でもおさえ切れない、志摩子に対する嗜虐性を発揮していた。  
「さぁ、いいわよ。生でハメちゃってよ。この娘の膜はあなたのものよ」  
「ん?やっぱ生でやっちゃっていいんだね?一応コンドームがそこにあるけどさ」  
ラブホテルの部屋には必ず備え付けられているコンドームを山田は指さしたが、朱美はそれを一瞥し  
こう言い放った。  
「いいのよ。志摩子だって生がいいはずよ。だってカトリックのクリスチャンなんだもの」  
敬虔なカトリック教徒である藤堂志摩子が、避妊を禁忌とするのは事実だが、志摩子が昏睡している状況で  
冷徹に生挿入を勧める朱美には、実のところ教義などどうでもよかった。  
ただ、志摩子を辱めてやりたい――壊したいという昏い感情のみが渦巻いていた。  
「それでは、遠慮無く」  
その言葉通り、藤堂志摩子に対する遠慮など欠片もない二人は、それぞれの欲望の赴くままに昏々と  
眠る少女の大切なものを奪おうとしていた。  
「大事な大事な、初体験シーン。ばっちり撮ってあげるからね志摩子ちゃん。フフフ」  
 
「じゃあ、いくぞ。それ」  
男の愛撫と朱美が服用させたラブドラッグの効果で、十分濡れていた志摩子の陰部は、男の剛直をすんなりと受け入れた。  
「おぉっ。中は締まるなコレ。さすが初物」  
処女の味に絶賛の言葉を掛ける男と、瞳を閉じたままされるがままの少女……そしてそれを静かに記録するビデオカメラ。  
志摩子の初体験は、彼女のあずかり知らぬところで確実に進んでいく。  
「おめでとう。志摩子ちゃん。これであなたも立派なオンナよ」  
朱美のあざ笑うような宣言を聞いてか聞かずか、少女を犯す行為に無我夢中の山田は  
己の分身を前後に激しく動かし始めた。  
「フフフ、大事なところから血が出てきたわよ。いい値がつきそう」  
朱美が覗くファインダーには、回転ベッドの白いシーツについた赤い沁みがくっきりと映っていた。  
山田が腰を動かすにつれて、その沁みはだんだんと広がっていく。  
それは、穢れない志摩子の身体が、今日出会ったばかりの中年男によって汚された証に他ならなかった。  
ペチペチと肌が触れ合う音と、男の荒い鼻息…そして少女の寝息、それぞれが少しずつペースを上げていく。  
「おぉっ、もうそろそろ爆発しそうなんだけど…」  
「うん、いいわよ。そのまま中で」  
「マ、マジか。さっきも言ってたけど、リリアンってカトリックだよな。ハァハァ…」  
「そうよ。特にこの志摩子ちゃんは、筋金入りのカトリック教徒よ」  
「ってことは、教義で中絶できないんじゃなかった?もし中にだしたら……」  
「いいのよ。だってそれを言い出したら、カトリックは本当は避妊もダメなんだからさ。  
ぱーっと中に出しちゃってよ。もしできたら、中絶できないんだけどさ。ハハハッ」  
本来ならば、信仰上では、婚前性交渉も許されない志摩子を散々嬲った挙句に、ダメ押しのごとく<中に出せ>と  
朱美は男に指示した。それは志摩子にとって最大のタブーに踏み込むことに他ならない。  
「お前、すごいこと言うな。オレの子ができたら、志摩子ちゃんは産むしかないってことだな……」  
「そういうこと。これもひとつの<愛の形>よ。だって彼女拒絶してないじゃない。遠慮はなしよ」  
身勝手な論理で、志摩子に恐ろしい結果をもたらす行為――すなわち膣内射精を男に勧める朱美は、  
ファインダーを見つめながら笑っていた。志摩子に対する愛情などは、持ちあわせていないかのように。  
「いいこと言うね。愛の形か。ハァハァ…まぁ、どのみち遠慮しないけどな。いくぞっ」  
志摩子が、もし二人の会話を聞いていれば、絶叫し、恐ろしさに卒倒したかもしれない。  
だが、薬で深い眠りにある志摩子には、二人の暴走を止めることは不可能だった。  
男はより一層、深く自らの分身を突き入れると、何度か小さく身体を震わせた。  
性経験も豊富な朱美には、それが男の絶頂を示すことを理解していた。  
(フフフ、本当に出されちゃったわね。志摩子ちゃん。起きたらどう思うかしらね)  
男はゆっくりと己の剛直を志摩子の中から引き抜くと、少女の秘裂からは大量の白い粘液が溢れでた。  
(白薔薇のつぼみさんにはお似合いの姿だわ)  
朱美はカトリック教徒にとって神聖な行為であるセックスを、自らの欲望と嗜虐心のために利用したことを  
これっぽっちも後悔していなかった。むしろ楽しんでさえいた。  
 
山田は自らの欲望を吐き出した後、口を半開きにして安らかに眠る少女の上体を引き起こし  
ダメ押しのようにねちっこいキスをしている。  
陵辱行為を受けた後の眠れる少女の髪を髪を乱暴につかみ、唇をむさぼる男の姿をカメラは冷徹に記録する。  
「じゃあ、<事後>の記念写真を撮ろうか。やっぱ熱いキスだよね」  
山田は瞳を閉じて眠る志摩子のスカートをたくし上げ、乙女の証である出血で赤黒く染まった陰部を  
大きくさらけ出した形で志摩子の肩をささえると、頬を掴み、カメラ目線でポーズをとった。  
「志摩子ちゃん、愛してるよ〜。いい子孕んでね〜」  
清楚なカトリック教徒の処女を奪い、その上に欲望を胎内に吐き出した男は、なにを思ったか  
満足気にカメラにピースサインまで出している。  
「ウフフ。いいわー最高のポーズよ。傑作ハメ撮り写真が撮れたわ」  
朱美の言葉のとおり、二人を写すポラロイド写真の構図はラブホテルの一室で、一戦を交えた後の写真  
そのものだった。  
「いやー。この娘、最高だわ。さすがリリアン。ところで、もちろん二発目、三発目もいいよね?」  
有頂天の山田は、このまま終わらせるつもりは無いようだった。さらなる欲望を志摩子に  
注ぎこむつもりで嬉々として語る。  
「えぇ、いいわよ。もう裸に剥いてもいいし。それにほら、そこにあるオモチャも使っていいわ」  
朱美が指差す先には、朱美が事前に用意しておいた無数の張型や拘束具、浣腸器やロウソクが置いてあった。  
「いいねー。昏睡SMプレイってのは初めてだ。あとどれぐらいいける?」  
「そうね2、3時間は起きないわ。全部撮るから、なにしてもいいわよ」  
横たわる少女の人権や意思などそこにないかのごとく、二人はさらなる陵辱劇を繰り広げようと  
会話を弾ませている。  
 
「お、よく見たら、この娘ロザリオ持ってんじゃん!これもお土産にもらおうっと」  
山田は無造作に志摩子の首から下げてある十字架<ロザリオ>を奪い取った。  
「この志摩子ちゃんのロザリオは、さっき中に出してあげた俺の精液と物々交換ね!」  
身勝手な取引を志摩子の同意なしで成立させた山田は、嬉々としてロザリオを自分の首にさげた。  
「いつか、志摩子ちゃんのお姉さま<グラン・スール>にも会いたいな」  
純血のみならず、白薔薇から譲り受けた、大切な姉妹<スール>の証まで奪われてしまった志摩子は  
為す術も無く、回転ベッドで半裸の無残な姿をさらしていた。  
その時、意識のないはずの志摩子の目から、一粒の涙が流れ落ちる様子を三台のカメラが  
はっきりと記録していた。深い眠りの中、少女はどんな夢を見ているのだろうか。  
<終>  
 

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