「男なんですっ!」
あの温泉の一件から、護は時々この言葉を発するようになった。
無論、会長達にそそのかされた件が発端なのだが、自分が絢子の足手まといになっているのでは、という潜在的な負い目が、妙な形で現れる様になっている感も無きにしもあらずかも知れない。
「ボクは…男なんですよっ、絢子さんっ!」
「あ、うん…そうね、護は立派な男の子よ」
その言葉に偽りは無かった。
が、温泉以来時々発作的に起きるこの護の行動に、絢子は少しとまどっていた。
なにしろ今回は放課後、誰もいない体育用具室に呼び出された絢子。
護が絢子にこんな強引な呼び出しをするなんて事は今までになかった。
「えっとね…護」
「絢子さん、ボクは男です!」
「うん、あたしもそう思う…あはは」
ノセられらやい単純な護が、温泉の一件でそれを引きずってしまっているだけで、別に問題は無い。
実際、心配になって医者にまで診てもらったが、思いこみの激しい子だなあ、とケラケラ笑われてしまう始末。
薬もセラピーもいらない。一過性の思いこみの暴走だから、ほっとけ、との事だった。
だが、なんか今回はそれだけでは済まなそうな気がする。
絢子は不安と共に、何か期待のようなものが心に沸き上がってくるのを否定するのに必死だった。
「ボクは、絢子さんが欲しいんです!」
「…いえ、はっきり言います」
「絢子さん、ボクとセックスしましょう!」
ハンマーで後頭部を殴られた様なショック。
…あの護が…こんな強引にあたしに…せっ…せっ、せせせっ、セックスを迫って来るなんて!
「でも、その護。あの、あたし達、キスもまだで…」
「ボクは絢子さんの事が好きです!」
ドキン。
この一言だけで絢子の鉄壁のガードは崩れた。
「絢子さんを抱きしめたい。おっぱいに触りたい!」
「服を脱がせておまんこ舐めたい!」
「ボクのおちんちんを絢子さんのおまんこに入れて、思い切り射精したい!」
絢子はへなへなとへたり込んだ。
望んで無かった事では無い。
いつかはきっとこんな日が来るだろうと思っていた。
だけど、この正気から外れてる護に、しかも薄汚れた体育用具室で初体験なんて…。
「まっ、待って護、えと、あたしのお願いも聞いて」
「何ですか」
「あの、せめて日を改めて…その、あたしの部屋で…ね?」
「嫌です!」
ビクッ!
誰にも臆しない魔女ベアトリーチェが、オスを剥き出しにした護に恐怖を感じた。
その恐怖の中に、メスとしての期待が混じっていた事を、絢子は強く否定した。
「見てください…!」
護はカチャカチャとベルトを外すと、余りの事に絢子が固まっている間に下半身をモロ出しにしてしまった。
「ボクのおちんちんです。絢子さんへの想いに、たぎってて、もう止まりません」
ソレは思いの外大きかった。
護の身体に似つかわしくない、その屹立したペニスは、巨大で剥けており、15pを遙かに超えていた。
まるで別の生き物の様にビクン、ビクンと護の腹で跳ねるソレに、絢子は新しい感情が芽生え始めていた。
護に犯される。
初めてのエッチは、あたしの部屋でムードのあるCDを流しながら、優しくあたしがリードしてあげて…。
そんな夢は、今目の前でリズミカルに跳ねているペニスが打ち砕かれた。
あたしは…これから護に犯されるんだ…!
きっと酷い事をされる。
この薄汚い体育準備室で服を破かれ、乱暴に胸を揉まれ、そして…そしてたった一つの純血が、一番大好きな男の子に「無理矢理犯される」という形で散ってしまう。
あたしの腕力なら、いえ、ビアトリスの力を使えば…。
でもそんな事、出来ない。
護があたしを蹂躙したがってる。
オスがメスを物にしたがってる。
逆らえないよぅ…!
「絢子さん…、ボクは貴方を…犯します!!」