「あ、あのね、護・・・」
僕の大事な人、一般的に言ったら"彼女"の絢子さん。
今日は久しぶりに二人きりでデート。
ちょっとどきどきしてしまう。
キスをするという関係まで進んだ。
もしかしたら美月や杏奈さんに見られちゃってるかもしれないな。
だけど・・・その先は・・・。
絢子さんが急に改まった表情で僕の顔を見つめる。
なんだろう?いつもと様子が違う。
「その・・・ね!?もっと護の事を知りたいの!!
全部!全部!私は護の事が好きで好きで仕方がないの!!」
絢子さんは顔を真っ赤にして、僕の顔を直視する。
「あ、絢子さんっ?」
絢子さんはベンチから立ち上がると、
僕の手を引っ張って、何処へ行こうというのか、
学校とは逆の駅裏の方向へ走り出した。
「あの、絢子さん、ここは一体?」
走ってきたせいもあるけど、絢子さんの顔の紅さはさっきと変わってない。
何だろうか?色鮮やかなネオンが沢山煌いていて、
建物の形がお城の形をした物がやけに多い気がする。
それと、看板には「HOTEL」「ご休憩○○○円・ご宿泊○○○円」の文字。
「護っ!私・・・さ、言ったでしょ、もっと知りたいって・・・。
だから、その・・・やっぱりこういうトコの方がいいでしょ?
私の家とか護の家だと、落ち着かないって言うか、・・・じゃ、邪魔者が・・・。」
いくらなんでも、この辺り一帯がどんな所位かは僕だって知ってる。
「・・・絢子さん・・・。」
でもいいのかな、僕たちはまだ社会的には未成年だしこういう所はマズイ気がするんだけど。
こんな事言っても絢子さんの事だから聞いてくれないだろうし、ここは素直に従う事にした。
歓楽街の入り口にある、適当なホテルへ絢子さんと僕の二人は足を踏み入れた。
「え、えっと、お、お金を入れて、鍵を貰うのよね確かっ!」
妙に詳しいんだな、絢子さんって。
それにしてもこういう情報って何処から手に入れるんだろうか。汐音さん?それとも美月かな?
その時だった。
「待ちなさい。魔女ベアトリーチェ。まさか貴方がこんな如何わしい所にいるとは・・・嘆かわしいですね。」
「・・・っていうか、あんたも同じじゃないの?何の用なのよ!」