「ふう…」
パジャマに着替えた絢子はベッドに横たわると、大きく溜息をついた。
無理も無い。今日もまた生徒会の連中に散々オモチャにされたのだ。
「なかなか二人きりになれないじゃない…」
心の奥底では知っていた。
生徒会のみんなが、本当は自分の事を思っていてくれる事を。
なかなか他人と打ち解ける事の出来なかった自分が、護と出逢った事で明らかに変わった。
魔女ベアトリーチェ。
無論、絢子の怒りにまかせたハチャメチャな破壊行為をからかった罪のないニックネームだが、本気で絢子を恐れている生徒がいる事も自分は知っていた。
それでも良かった。
誰かに恨まれるのも、憎まれるのも、嫌われるのも慣れてるから。
『みんな、絢子さんの事好きですよ』
護のあの言葉が教えてくれたのだ。
「に…してもねえッ!」
ボスンとベッドを殴る。勿論壊れない様に手加減をして。
「ああ四六時中監視されてちゃ、何にも出来ないわ」
…何にも。
何を?
落ち着いて考えてみよう。
やっぱ…キスよね。
これは明確なビジョンがある。
夕日の沈む海でロマンチックに…って。
そして…その次は…。
その次?
「せっ…」
思わず口にしそうになり、その言葉を飲み込んだ。
セックス。
護とセックスするんだ…。
今までは一緒にいるだけで幸せだった。
その先の事なんて考えてもみなかった。
だけど、やっぱ付き合ってるって事は、最後には…。
ごくり、と唾を飲み、絢子は深呼吸する。
そして吐息まじりに、一度は飲み込んだその言葉を口にした。
「せっくす…」
ドキン!
いきなり胸が高鳴り、顔が燃え上がる様に熱くなった。
頭がクラクラする。
その言葉に翻弄された絢子は、息も荒く立て続けに口にした。
「セックス…護とセックスしちゃう」
「護にセックス…されちゃう…!」
途端、女の子の大事な部分が焼ける様に熱くなり、頭の中が真っ白になった。
身体が突っ張り、雌の喜びが剥き出しになる。
脊髄を快感が駆け抜けた。
「ひっ…イイっ…せっ…くすうぅぅっ!」
…。
…。
…イっちゃったぁ。
触ってもないのに…。
今までにも何度かオナニーを試した事はあった。
アソコを触り、こすったりもした事もあったが、異物感と不快感が残っただけで、結局イく事はおろか気持ちよくなる事もなかった。
だけどこれは何?
護の事を想いながら『セックス』と口にしただけで、イってしまった。
「護…まもるぅ…ごめん、ごめんねぇ…」
大好きな護を汚してしまった様な後ろめたさ。
「でも…でも」
「護と…セックスしたいよぉ…」
その夜、絢子は枕を涙で濡らした。