満月の晩の13歳のはじめの月、わたしは魔女。ほんとうの魔女になるために
ふるさとを旅立ちました。海の見える高い時計台のある街を探して。
最初はとてもたいへんだったけれど、パン屋さんのご夫婦にお世話になって
住み込みで働かせてもらうことになりました。おソノさんはかっぷくもよくてやさしくて
美人です。いつも大声で笑います。ご主人はおソノさんよりも大きくて、あまり
喋りません。
「あれ、なんか変だなあ。ねえ、そう思わない?」
「にゃあぁ」 つまらなそうに泣き声をあげる黒猫。
そしてこの街に来ておともだちになった男の子、おおきな眼鏡を掛けているから
とんぼ。いつもストライプの入ったシャツを着ていて元気。空に憧れているの。
飛ぶには飛んだけれどしんぱい。キキは日記をパタンと閉じて、机に置くと窓に
右脚を載せて気持ちいい風に吹かれています。
『下着すがたのままで、そんなことをしていると誰かに見られるよ』
「ジジ!」 キキはベッドであくびをして伸びをしている黒猫を見ました。 「にゃあ」
どうやらジジではないようです。春の風に吹かれているというのに、躰に悪寒が
走りました。
「ねえ、キキ!」 階下からおソノさんの呼ぶ声がします。 「は〜い」
「わたし、これから出かけなきゃならないの。おやすみのところ悪いけど、店番してて
くんないかな」 「は〜い、わかりました。いってらっしゃい」
「ごめんね。旦那はいるんだけど、接客できるかしんぱいでさ」
キキはいそいで椅子に掛けていた黒いワンピースを取ると白く細い腕を上に伸ばして
袖を通し着込みました。そして部屋の扉を閉めないで店へ駆けて行きます。
「ほんとうに、ごめんよ」 「いえ、ほんとうにいいんです。だんなは奥にいるから」
「なにされているんですか?」 「なんか、あたらしい商品をこさえているみたいなんだよ」
「そうなんですか!たのしみだなあ」
「できたらいちばんにキキにたべてもらわなくちゃね!」
「うわぁあ、ほんと!」 キキは小さい白い手の平を胸のところで合わせて喜びました。
「ほんとほんと!」 とおソノさんがいいます。 「それじゃあ、たのんだよ」
「は〜い、いってらっしゃい!」
カランカランと鐘を鳴らしておソノさんは出かけていきました。それと入れ替わるかのように
お客さんはやってきました。けっこう忙しかったのですがご主人の手を煩わせることなく
こなしてひと段落です。カウンターに頬杖をついてウインドウ越しに外の時折行きかう人の
姿と景色を眺めていました。
すると視界に真っ黒なマントをまとった猫背の老人が歩いてきました。そしてドアのノブに
骨と皮だけの手を掛けると店の中に入ってきたのです。キキは生唾をごくんと呑み込みます。
死神のような黒い老人はドアから入っても陳列棚には行かずに、そこにじっとして立っています。
「いらっしゃいませ」 キキは細い肩をぽんと大きな手で叩かれて、たいそう驚きました。
「ご、ご主人!」 「だめだろ、お客さんに挨拶をしなきゃ」
しかし、老人は背中をゆっくりとむけるとドアを開けて帰ってしまいました。
「ごめんなさい」 「気にすること無い。なんかへんなかんじだったな」
「へん?」 キキもそのことが気になっていました。 ご主人はそうキキに言うとまた奥へと入って
いきました。老人はウインドウのところで立ち止まりました。そしてなかの様子をうかがいます。
あの死んだ硝子玉のような瞳で。キキはさっき自分の部屋で感じた悪寒のようなものを
老人に感じていました。
(レムレスが来た!) キキはそう思いました。レムレスはいにしえより人々の間
で信じられてきた死霊とか悪霊のことです。ふつうのひとたちは、女性の悋気や
悪い心根のことを総称していっていました。いわゆる迷信みたいなものだったの
ですが、魔女の世界ではちがっていました。キキにとっては敵対者、そうわるい
魔女なのです。
老人はまだウインドウのところにいます。キキは後先考えずに飛び出しました。
キィーッ、カランカラン……。老人はキキの気配に気が付いていましたが振り向きませんでした。
「ふぅーッ!」 黒猫のジジが老人に毛を逆立てて威嚇していました。 「ジジ!」
「キキや。飛行船の時みたいに、愉しませてもらうからね」
ゴオオッ!と風が巻き起こりキキは右腕で顔を隠してしまいます。気が付いたら
レムレスは消えていました。 「レムレスは夜しかあらわれないと聞いていたのに」
あんなに強い風が吹いたというのに、なにごともなかったようになっていました。
「あれ、ジジ?どこにいったの……」
キキは店の方を振り返ります。奥から物凄い音が聞こえてきて、あわてて店に
はいって奥へと駆けつけます。シジは台のうえに載って毛を逆立てて怒っています。
いまにもご主人に飛び掛かりそうな勢いです。 「ジジ、やめなさい!」
床にはベーキングパウダーがこぼれて、真っ白になっています。
「ごめんなさい!ご主人!」 あいかわらず、ふぅーッ!とジジは怒っています。
「ご主人様とよべ」 「えっ」 パン屋のご主人はしわがれた声でいいました。
ゆっくりと魔人のようにキキに近づいてきます。キキをまもるように前に出て牙を剥いています。
「や、やめてジジ……」 キキは泣きそうになっていました。
ジジは飛び掛ろうとしたのですが、簡単に壁へと叩き付けられます。手にも触れていないのに。
しゃがみこんでしまったキキに大きな手をさしのべてきます。それは救いの手などではありません。
「あなた!レムレスね!」
「だったらどうした」 「ひっ!」
ご主人はキキの両脇に手を入れると華奢な体を軽々と抱き上げました。
「い、いやだぁ……!トンボたすけて……!」 「飛行船の子供か。もう男を引き
込んだか?」 「な、なにをいってるの!」
キキの体は大きな台の上に載せられました。そしてご主人はキキの黒い
ワンピースを剥がしにかかります。キキは体が金縛りにあったようで思うように
動きません。 「ほほう、なかなか可愛らしいものを着ているじゃないか。奴にでも
拝ませたのか」
下からあらわれたのは、黒のキャミソールに黒のややゆったりとした
タップパンツを纏ったキキの躰でした。キャミソールでその薄いふくらみかけた胸
は恐怖で喘いでいましたが、ご主人の目には映っていました。下卑た眼差しで
見下ろされていたのですから。キキは涙をいっぱいに溜めて下唇をキュッと噛んで、
ご主人の体に取り憑いたレムレスを睨みます。
ご主人はキキの躰におおいかぶさってきて、細い腕を掴んで台の上で水平に
拡げ、赤い舌を出してキキの鎖骨のあたりを舐めまわしはじめます。まるで蛇に
舐められているようでキキはこわくて仕方がありません。ご主人の躰がキキの台
から投げ出されている脚を割り開いて入るカタチで喘ぐ下腹に股間を擦り付け
ようとしていました。キキの赤い靴が床にコトッと落ちてしまいます。
「どうだ、気持ちいいだろ」 下卑た瞳に虫唾が走ったキキは頭を起こして、
ご主人の顔へおもいっきり額をぶつけてやりました。
「うあっ、くそう!」 不意の攻撃にレムレスは躰を起こしました。そして脚を折り
曲げて素足でご主人の股間に蹴りを入れたのです。足裏にいやな感触が
ありました。
しかし、ご主人は顔色一つ変えません。 (お父さんの時とちがう!)
キキは顔面が蒼白になって、両脚を烈しくばたつかせました。
「五月蝿い奴だ!」 キキは仰向けになっていた躰を台の上でひっくり返され
頭につけていた大きな赤いリボンをほどかれました。
「な、なにすんのよ!」
キキはあごをあげて叫んでいましたが、気持ちは萎えるばかりです。
「いまにわかる。イヤでもな」
キキは細い腕を背中に捻り上げられ、もう一方の腕も掴まれて背中で一まとめ
にされて両手首を赤いリボンで括られたのでした。
「やだ!やだ!やだ!」
キキは台でまた仰向けにされて頬を数回、平手で殴られたのです。キキは台の
上で横を見て下唇を噛み締めて涙をこぼしました。ご主人の大きな手が腰の両側に
添えられて、黒いタップパンツを擦り下ろします。キキの最も柔らかいだろう敏感で
にこ毛が僅かに生えるスリットを晒されました。
そして左足首を掴んでタップパンツから脚を抜き取って、膝小僧に引っかかって
いるままに右脚も掴んで胡坐のカタチにすると脚を組ませました。キキはまた
抱きかかえられ床に降ろされてうつ伏せにされたのです。カシャカシャとベルトを外す
音がキキに聞こえます。そして黒いズボンと肌着を下ろして赫黒いペニスを外気
に晒したのです。あまりの禍々しさにうつ伏せにされていたことはキキにとって
まだ救いだったのかもしれません。
ご主人は膝をついてキキの掲げられた小さな腰をむずんと掴むとぐいっと自分の
腰に曳き付けてキキのお尻のスリットに怒張をあてて扱きに掛かりました。熱い
肉茎で自分のお尻を擦られる感触にキキは絶叫します。
「いゃあぁああああッ!お父さん、お母さん、助けてえええぇッ!」
灼熱の棒をお尻のワレメにむりやりあてられてキキは泣き喚いています。
床にあごを載せて、それこそ大声で。けれど、唯一助けてくれるだろうナイトの
ジジは壁に叩きつけられて気絶していました。もうどうすることもできません。
「いや、いや、いや……おかあさん……おとうさん……」
キキの声はだんだん弱々しくなっていきました。ご主人はキキの腰をグイッと
引き寄せてさらに強張りを強くお尻に押し付けてきます。キキは後ろ手に自分の
赤いリボンで縛られて足は胡坐を掻くように組まされています。床にその格好で
お尻を掲げるようにして床にうつ伏せにされていました。着ている物は綿の黒い
キャミソールだけで、みじめでみじめでしかたがありませんでした。
ご主人の大きな手がキキの細い両肩の近くにドン!と降りてきて躰が覆い
かぶさります。
「これから、お尻にあたっている棒をキキのおなかのなかに入れてあげよう」
ご主人の下卑た笑いといっしょに、棒がキキのお尻のワレメにクイックイッと
擦りたてられました。
「うわあぁああああ!トンボ!トンボ!たすけてええええええッ!」
「わめこうが泣こうが誰もきゃしないよ、キキ。わかるだろう。時は凍っているのさ」
キキの背中から黒いキャミソールを肩の方に下ろされて、肉付きの薄いキキの
背があらわになりました。キキの薄い乳房と肋骨をうっすらと浮かび上がらせて
いる脾腹は、これから起ることの恐怖に喘いでいました。
「心配するな、キキ。わたしがおまえの膣内に押し入っても痛みは無いよ。
あるのは女の悦びだけだ」
ご主人はそういって、右手でキキの呼吸を荒くして喘いでいる薄い胸を揉み
しだいて、上体をゆっくりと起こしました。
「いやあ……いやよ……ご主人……目を醒ましてください……」
胡坐を掻かされてうつ伏せに尻を掲げられている腿と腿のあわいを眺めると、
もう十分にキキのお尻で扱きたてた赤黒い強張りを握って、繊毛が僅かに生え
始めているもっとも敏感な部分、キキの崩れていない少女のスリットにてかてかと
赤黒く光っているどんぐりのあたまをあてがったのでした。
キキの黒いキャミソールは肩のところでくしゃくしゃになって溜まっていて、女に
成り切っていないうすい肉付きの背をレムレスに曝け出していました。キキは
放心状態で右頬を床につけて泣いていました。少女のうなじの流れるような金の
産毛をキキはレムレスにはまだ見せていませんでした。けれどレムレスは、いまは
うつ伏せとなっていて見れないキキのあるかないかの薄い乳房にある、ちいさな
蕾のような乳首。ご主人、いいえレムレスの手にはまだ感触が残っていたのです。
邪悪なレムレスにとってキキの姿態はその力を増幅するための糧となっていました。
「ああっ、ああ……」
キキの膣内にご主人のこわばりが埋まりゆっくりと押し拡げられてゆきます。
しかし、キキの無垢な血はご主人の太く硬くなった滾りを咥え込まされても噴き
出ることはありませんでした。そして根元まで埋まりきった頃、キキは荒い息をついて
ゼエゼエとしていました。たしかにレムレスのいったように破瓜による痛みは
ありませんでした。ただ咽喉から突き刺さったものが吐き出されるような
嘔吐感めいたものがありました。やがてご主人は動き始めます。躰が
潤っていないのに痛みすらなく、スムーズに律動は行なわれ、肉棒はキキの子宮口を
小突き始めます。キキの狭穴にご主人の膨らんだこわばりが光と闇の戦いを繰広げていました。
しかし、キキにあらがう術などなにもなく、核から拡がる熱く痺れるような感じに
「んあっ、んむっ、んはっ、はっ、はあっ……んああ……」 と快感らしきものを
刷り込まれていったのでした。 「どうだ、キキ。いまはどんな感じがする?」
「はあ、はあ、はあ……」 「ほら、なにか言ってみろ」
ご主人はキキの肩を掴んで上体を起こして、床に落とした腰の胡坐の上に
キキを載せたのでした。キキの細い躰は深い挿入感にしなるように仰け反ります。
泣いてわめいて、閨声の呻きとで声はかすれてしまっていました。脇に両手を
入れられて烈しく揺さぶられました。だんだんと意識が朦朧としてきます。キキは
レムレスの玩具でした。 「あっ、あ、あっ、あ、あ、あ……」
どれぐらいそうされていたのかわからなくなるほど揺さぶられていました。だらしなく
開いた口からは唾液が溢れ瞳は焦点が合っていませんでした。レムレスはキキの
手首のリボンを解いて両腕を掲げさせて黒いキャミソールを脱がします。
そして、力なくだらりと下がったキキの腕、二の腕を掴んで躰を挟むようにして
ガクガクとゆさぶったのです。キキの頭はぐらぐらと揺れて目が廻るほどです。
「いくぞ、キキ。たっぷりとしぶかせてやる!」 「あ、あうっ……ああ……」
ご主人の腕が廻されて躰ごと押し込めるようにギュッときつく抱き締められたのです。
キキの稚いスリットはご主人の肉茎を健気なほどにしっかりと咥え込んでいました。
核を指で弄られながら意識が遠のいていきます。
キキが最後に聞いていた言葉はレムレスの
「気持ちいいと言ってみろ!往くと言ってみろ!」 というリフレインだったのです。
たぶんこれがそういうことなんだろうとキキは初めて知りました。キキの割れれ目からは、
ご主人の放った白いものがとろりと溢れてきました。ご主人はキキの躰を胡坐に落として
肉棒で貫いて抱き締めていました。ご主人の顔はキキのうなじのところで埋まるように
なっています。
キキが目を醒ましました。まだ最初の姿勢のままです。やがてキキのなかに
何かが迫ってくる感じがありました。痛覚の度量があがっていくのです。それは躰を
裂くような痛みに変っていました。
「ひっ、ひいっ、いっ、痛い、いや、いやあッ!きゃあぁあああああああッ!」
ご主人はキキの叫びに目を醒ましました。自分がなにをしていたのか覚えては
いませんでしたが、これはたいへんなことです。キキは叫んだままぐったりとなって
気絶してしまいました。ご主人はキキの組まれた脚を解いてやり肉棒をキキの躰から
抜いて抱きかかえて、バスルームへと向います。途中、何度かボールとかで
転びそうになりながらも。
ご主人はバスタブにキキの躰を横たえて、顔に掻いた汗をタオル拭きながら黙々と
綺麗にしてあげました。 「う、ううん……」 キキが目を醒まし始めます。
薄目を開けた時、キキの目に飛び込んできたのは、ご主人のやさしい瞳でした。
キキは躰を少しだけ湯舟から起こしてご主人に 「ありがとうございます……」
といいました。ご主人はただ首を横に振るだけでした。キキは目にいっぱいの涙を
溜め、バスタブから右腕を外してしゃがんで診てくれていたご主人の赫い血に濡れた
ペニスを細い指を絡めるようにして、キュッときつく握り締めたのでした。
ご主人の垂れ下がっていたペニスはキキの穢れを知らない手に握り締められ
どくん、どくん、とまた脈打ち始めたのでした。
おソノさんが帰ってくると、扉に閉店のプレートが掛かっていて、中に入ると奥が
散らかっていてキキとご主人がいっしょになって掃除しているのを見つけました。
結局、ジジが騒いだ所為ということになって、まる二日食事にありつけませんでした。
「キキ!キキ!また出かけてくるからお留守番しておいて!」
「は〜い、いまいきます!」
おソノさんが階下から呼んでいます。キキはいそいで降りていって、出かけるのを
待ってから店に入って扉のプレートを閉店のものに変えました。キキはすこし
わるいことをしています。みつからないといいですね。
――おしまい――