『SWEET ANNIVERSARY』 
 
しんしんと静かに舞い降りる雪。  
夕暮れ近くから降り始め、世界を白く、音も無く包み込んでゆく。  
ふと、屋根に積もった雪がどさりと落ちた。  
「静かだな」  
暖炉の明かりの中で、琥珀色の蒸留酒を味わいながら黒髪の魔術師は呟いた。  
「うん……。まるで、わたしたちしか世界にいないみたいだ」  
彼の膝に頭を乗せ、まるく寝転がりながら、甘えるように少女が応えた。  
「なぁ、マティアス。わたしにもひとくちくれないか?」  
「あんた、この前もそう言って飲んで、大虎になっただろうが」  
そうだった。ひとくちだけと言いながら次々と口を付け、我に返った時には  
猛烈な頭痛と吐き気に悩まされていた。  
貴重なヴィンテージが台無しになったと言われれば、返す言葉もみつからない。  
「う……。だってあれは、そんなに高価なものだって知らなかったし、  
喉越しがまろやかで飲みやすかったから……」  
彼は溜息をつく。彼女に酒の味がわかるはずはないと高を括っていたのは  
マティアスの不覚だ。  
 
「……今日のは安物だからな。あんたには不味いと思う」  
そう言いながら、グラスを手渡す。嬉しそうにそれを受け取り、  
エレインは少量を舐めた。  
「うーん? ……あっ、辛!」  
ヴィンテージ物と較べて辛さが際立つ蒸留酒に、同じ琥珀色の瞳をした少女は  
顔を顰めた。その様子を見て彼は小さく笑いを洩らす。  
「だから言っただろう。あんたに酒はまだ早い」  
そう言われれば子供扱いされたようで、彼女は憤慨する。  
「ゲホッ。こ、これはたまたま辛いだけじゃないか!  
もう少し飲み慣れれば、もっと飲めるようになるんだからなっ!」  
「…………勘弁してくれ」  
呆れたように彼が呟けば、エレインは笑う。  
くるくる変わる表情に、マティアスはささやかな幸せを見出す。  
自分は負の魔力を操る黒魔術師だ。  
常に闇の世界と薄い氷を隔てた上に在り、危うい均衡の中を渡ってきた。  
その中で見つけた希望、それがエレインだった。  
彼女の望む小さな幸せや喜びを自分が守ることが出来るのか、ずっと悩み続けた。  
そして選んだのは、彼女の笑顔を守るために傍に居るということ、ただそれだけ。  
そのために払った代償は、それでもエレインには替えがたく、自分にとって  
最も大切なものが何なのかを理解することができた。  
 
膝の上で柔らかくまどろむ彼女の髪をそっと撫で、静かな時間を愉しむ。  
暖炉の炎が弾け、薪が燃え崩れる。  
「おい、寝るのならベッドへ入れ。風邪をひくぞ」  
「暖かいから平気。新しい年をおまえと迎えたいから、もうちょっとだけ」  
僅かな酒で身体が温まったのか、エレインの温もりを膝に感じる。  
頬に手で触れれば、くすぐったそうにくすくす笑う。  
その仕草に悪戯心を刺激され、うなじを指先で辿れば、少女は声を立てて笑いだした。  
「もうっ、くすぐったいってば」  
丸まっていた身体を仰向けにして、抗議の声を挙げる。  
それでいて誘うような視線に、接吻で応える。  
重ねた唇の柔らかさを確かめるようについばめば、求めるように彼女は小さく唇を開く。  
口内に舌を挿し入れ舌を絡め合い、わざと淫靡な響きを立てた。  
首の下に支えるように腕を入れ、抱き起こせばしがみつき、なおも貪るように  
口づけを交わす。  
ついさっきまで少女の眼差しでまどろんでいたのに、ほんのささいなきっかけで  
彼女は大人の女の表情を覗かせた。  
「酔ってる?」  
甘い声で訊ねながら、首を傾げる。  
「おまえの舌、お酒の味がする」  
「酔わせてやろうか」  
挑発するように唇を寄せれば、エレインから小さくキスを返す。  
「もう酔ってるよ……」  
 
胸元のリボンをほどきながら、首筋や鎖骨に痕を残す。  
しっとりとした柔らかな肌の質感を味わいつつ舌を這わせると、  
エレインはぴくりと身体を震わせた。  
緩めた隙間から手を入れ、胸の中心を探る。なだらかな膨らみの先に  
柔らかな張りを見つけ、指で軽くなぞればたちまちのうちに固さを増した。  
片方の乳房を指全体を使って捏ね回し、もう片方は口に含んで舌で先端を刺激する。  
舌で押すと強い弾力に押し返され、その中心の窪みを集中的にノックし続ければ  
エレインは前屈みになり、マティアスの肩に身体を預ける。  
「ふ……あぁ……」  
次第に呼吸が乱れ、堪らなくなったようにマティアスの頭を抱え込んだ。  
マティアスはエレインの衣服を徐々に脱がせながら、暖炉の明かりに彼女の身体を晒した。  
胸から顔を上げ、炎を照り返す肌を眺めながら、美しいと思う。  
胸元へさらりと流れた卵色の長い巻毛を手で払い、抱きしめる。  
髪の中に指を入れ、うなじのあたりに指を滑らせ、唇を重ねる。  
深く口づけを交わしながら膝で立たせ、まだ腰に残されている衣服を全て脱がせ、  
全裸となった彼女を温めるように全身を撫で、滑らかな背中を指でなぞれば  
腰を反らせた。  
支えるように背に腕を回し、もう片方の腕は腰から下へ続く双丘へと向かう。  
指で辿れば脚の間に湿り気があり、指で触れれば瑞々しく潤っていた。  
襞のひとつひとつをなぞりながら開き、その中心へと指を挿れる。  
中で指を蠢かせ、指の数を増やしてゆく。  
「や……ん……」  
膝立ちしたままの彼女は震えながら、マティアスの指を次々と飲み込んでゆく。  
何度も身体を重ねるうちに、彼女の秘所は彼を受け入れることを覚えた。  
指の付け根までをくわえ込んだ柔らかな肉襞の中を蠢かせ続ければ、  
最奥から吸い付くような感覚にマティアスは自身の昂ぶりを意識していた。  
 
「あ……ああ……あ……!」  
指の抜き差しを繰り返し、エレインの入り口を擦り続ける。  
彼女はマティアスの頭を胸に掻き抱きながら、登りつめようとしていた。  
唇で胸をついばめば、エレインの花弁が締まる。  
「や……あふ……あ……あっ」  
膝を震わせながら跳ねるように大きく身体をしならせ、のけ反る。  
その勢いのまま、マティアスは彼女を支えながら床に寝かせた。  
一旦、後ろから嵌めていた指を抜き、今度は前からエレインの中を探る。  
きつく閉じた入り口を再びこじ開け、指を侵入させるとエレインは  
いやいやをするように懇願した。  
「やだ……これ以上は……っ」  
涙が頬を伝う。マティアスは唇でそれを吸い、瞼にキスを落とす。  
興奮状態のエレインは荒い呼吸のまま抗い、言葉を続ける。  
「お願い…………きて…………」  
指で自分だけいかされてしまったことが不満なのだと感じ、マティアスは  
エレインの望みを叶えるべく、すでに痛いほどに屹立した自身を取り出した。  
これは、自分も待ち望んでいた瞬間だった。  
愛液が溢れている秘所へとあてがい、侵入を果たす。  
エレインは嬌声をもって迎え入れ、さらに入り口がきつく締まる。  
唇を重ね、胸を揉みしだき、繋がる箇所は熱を帯びる。  
腰を揺らしながらさらに花芯を擦れば、エレインは錯乱したように声を挙げる。  
「やぁ……っ、あっ、あぁっ、あっ」  
突き上げるリズムとエレインの呼吸が一致し、グラインドさせればさらに呼吸が早まる。  
浅く、深く。焦らすほどの余裕はすでに失い、ただひたすらにエレインの奥を求める。  
「や……はぁっ……!」  
痺れるような感覚とともに、迸る情熱を注ぎ込んだ。  
 
「あ……熱い……」  
マティアスを中に迎え入れたまま、エレインは呟いた。  
「やっぱり一緒がいい……。おまえも気持ちよくなってくれないと……」  
いつのまに男の気持ち良さを理解するようになったのかと、マティアスは苦笑する。  
「あんたも随分と慣れたな」  
エレインの、汗で額に貼り付いた前髪を掻き上げながら、その額にキスをする。  
「ちょっとは幸せを感じる?」  
悪戯めいた瞳で、彼女は問う。  
「まぁ、悪くない」  
その返事にエレインは満足げに微笑み、自分から唇を求めてくる。  
唇を重ね、ゆっくりと舌を絡め合い、甘い吐息を微かに洩らす。  
そこに、遠くから教会の鐘の音が聞こえた。  
「新年を迎えたようだ……」  
窓の外から小さく聞こえる鐘の音にふたりで耳をすます。  
繋がったまま新年を迎え、エレインの耳元でそっと囁く。  
「夜は長い。もうしばらく付き合ってもらおうか」  
暖炉の炎の前で、再び抱きしめあった。  
 

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