『有人さんと濃厚接触』  
 
「こほこほ、心配かけてごめん姉さん」  
「全くこの異常な雪の降り方、お前が将軍風邪ひいたせいだったか」  
「ぐ…、すみません」  
「ああ起き上がるな、病人は寝ていろ。  
 さてリッカ、お前風邪を早く治したいか?」  
 冬将軍のはしくれ、私リッカが風邪を引いたことによる異常降雪。  
 お見舞いに来てくれた姉さんが教えてくれた、将軍風邪を即座に治す方法。  
 その方法とは他人に粘膜接触して移す事。  
 相手に風邪が移るのでおよそ治療と言えないが、少なくともこの異常は解消する。  
 でも粘膜って…、きららじゃ描けない事をその、相手としなきゃならないんですよね。  
 こんなことを頼める相手は  
「相手の都合もあるが…できればお前の意思を大事にしたいと思う。  
 誰を呼んでくる?」  
 なぜか有人さんの顔が思い浮かんだ。  
 
 姉さんがめるき堂を離れてしばらく、部屋は静寂に包まれる。  
 私のせいで異常降雪したせいなんですけどね。  
 移るといけないのでチロルさんはこの部屋にはいない。  
「お客がこないからあんたの世話くらいしかできないよ全く」  
 と言いつつ定時に氷嚢を換えてもらえるのはありがたい。  
 これから有人さんと、その、するんですよね。  
 下着おしゃれもそっけもないなあ、  
 身体、汗出てますよね、シャワー浴びたかったな。  
 でも笑ってる有人さんの隣にはプラナさんと茉莉さんが並んでる。  
 熱でぼんやりしたせいか、とりとめのないことばかり思い浮かぶ。  
 そのうちに姉さんが有人さんを連れて戻ってきた。  
 
「大丈夫かい、リッカ」  
「すみません、わざわざお見舞いに…、こほこほ、それにこの天気でご迷惑を…」  
「まあ仕方ないよ風邪なんだし」  
 文句の一つも言わず、私を心配してくれる。ああ、有人さんんらしいですね。  
「さて有人、お前だけ連れて来たのには理由がある。  
 リッカの風邪を治すのに協力して欲しいんだ」  
「本当か! ラニ、オレができることなら協力させてくれ」  
「それはだな、リッカの風邪をお前に移す」  
「よし、それぐらいで治るなら」  
「方法は粘膜感染」  
「ねん…?」  
 ラニ姉さんと私を交互に見る有人さん。  
 そりゃいきなり粘膜接触してくれなんてすんなりOKはできないでしょう。  
 起き上がった私は一つ一つ、寝巻きのボタンを外す。  
 少しでもやり易いように  
「あの、有人さん、どうぞ」  
「こらバカ妹、きららを成人指定にするつもりか。  
 その下半身の粘膜じゃなく、口腔粘膜、キスで十分だ」  
 えーと、もしかして濃厚な粘膜接触を考えてたのは…私だけ?  
 あああ、普段の私なら恥ずかしくてまともに有人さんの顔なんて見てないはずですけど、  
 半端にボタンを外したままにしてるのは熱のせいですね。  
 キスだけか…、と思ったのも多分熱のせい。  
 有人さんがほしくなったのも多分熱のせい。  
 
「じゃあキスで、」  
 お願いしますと頭を下げる、いや頂きますだったかな。  
「待って! 言っておきたいことがある!」  
 え? 有人さん、ここまで来て断るんですか?  
 有人さんはまっすぐ私に向き直ると、  
「オレが好きなのは茉莉ちゃんだから」  
 ああこの人は、キスの前に他の女に義理立てですか。  
 あなたを欲してる女の前でそんな言葉に何の意味があるんでしょう?  
「カンケーないです」  
 あなたが誰を好きであろうと、私はあなたが欲しい。ただそれだけ。  
 開いた口めがけて私の口をぶつけるようなキス。  
 勢いであなたの身体を押し倒し、繋いだ口から舌をこじ入れた。  
 何か言いたいようですけど、噛んじゃうと痛いですよ?  
 舌を押さえつけるように私の舌を絡ませる。  
 だ液にまみれた舌の表のざわざわした感覚が気持ちいい。  
 段々と私の腕を押し返すあなたの腕の力が弱まってきた。  
 押さえこむと言うより、余計に繋がりたくてあなたの手のひらを握る。  
 あなたともっと深くキスしたくて、舌も、口内の天井も、歯列も歯茎も、嘗め尽くす。  
「ぷは…」  
 息継ぎのために離した口からは、糸が繋がっていた。  
 私とあなたを繋ぐ銀の糸。  
 私が貪るあなたとの粘膜の糸。  
 信じられないと言う顔で、荒い呼吸で私を見つめる有人さん。  
 そんな顔で見つめられたら、また欲しくなるじゃないですか。  
 笑顔を形作ったつもりで、再びあなたの粘膜と繋がった。  
 
「外、行ってくる」  
「おぉい!」  
 あら姉さん居たんですね。  
 気を利かせて部屋を離れたわが姉。  
 ふすまを閉める音がしたら、この部屋はあなたと二人きり。  
「それじゃあ続きをしましょう?」  
 にっこり微笑んだつもりなのに、引きつった有人さん、ちょっと傷つきましたね。  
 仰向けの有人さんにかぶさると、再び有人さんの舌を頂戴します。  
 先程よりあまり舌が動かなくなりましたね。  
 私の舌でされるがまま、まあ止めませんけど。  
 さて私は冬将軍なので体温が低く、相対して普通の人の体温はより暖かく感じるんです  
 けど、有人さんの口の中、熱くなってきました。  
 そういえば私の体のだるさも軽くなってきています。  
 どうやら上手く風邪が感染したようです。  
「ありがとうございます、有人さん。苦しく…ないですか?」  
「ああ、ちょっとだるいけどまあ大丈夫」  
 異常気象を止めるためとはいえ、有人さんが代わりに苦しむ姿は見ていてものすごく  
 申し訳ない気持ちになります。  
 とりあえず、私の入っていた布団に寝ていただきました。  
 
「有人さん、せめて姉さんが帰ってくるまで、なんでもおっしゃって下さいね」  
「ありがとリッカ、ゴホ、その気持ちだけで十分だって」  
 頭に氷嚢を載せた後、ふと気がついた布団のふくらみ。  
「リッカ、それ、それはいいって」  
 なんだろうと皺かな? とたたいても収まらず、有人さんがなにやら苦しそうな様子。  
 失礼して布団の中をさぐってみると、その、アツイ有人さんの、あれが。  
 男性のアレ、ですよねこれって。  
 気恥ずかしそうに真っ赤になって天井向いている有人さん。  
 私のためにキスで、感染してくれて、私とのキスで興奮してくれたんですね。  
 なんだかちょっとうれしい。  
 風邪のときの熱とは違う心地よい暖かさが身体に生まれる。  
 有人さんの傍らに座り、少しでも楽になれるよう、頭をゆっくりと撫でる。  
「有人さん、これは私からのお礼です」  
 そっとささやくと、頭を撫でていた反対の手を再び布団の中に差し込み、  
 ズボンの上からでもはっきりわかるふくらみを、丸を描くよう撫で回す。  
「ちょ、リッ、ふぅっ」  
 起き上がって何か言いそうにしたので止めたいのですが、両手はふさがっているので  
 唇で有人さんの口を落ち着かせますね。  
 先ほどの激しい接触とは違い、唇でつまんだり、舌で有人さんの唇を撫でたりと  
 ゆっくりした接触、明らかに上がってきた体熱が伝わる。  
 軽いキスを繰り返すと、ふくらみも硬度を増してきてます。  
 気に入って頂けたようで良かったです。  
 ジッパーに手をかけ、ズボンの中へお邪魔します。  
 身をよじっていますが、素直にお礼を受け取って頂きたいのです。  
 探っていると、どうやら掴んだみたいです、有人さんの熱い棒を。  
 手の平がすごく熱い、そして湿気と硬さ。  
 爪で引っ掛けて傷つけないよう棒全体を握り締める。  
 確か、上下に擦ると気持ち良いんでしたね。  
 顔にかかる鼻息が荒くなってきました、気持ち良いみたいです。  
 布団の中なのであまり早くは動かせず、ゆっくり棒の段のとこまで握った手で撫で  
 そこから握ったままゆっくりと下がる。  
 皮膚が触れてるだけなのに、湿気のせいか段々とすべりやすくなってくる。  
 この上下に撫で続けるのをしばらく続けると、有人さんの息の間隔が短くなり、  
 腰が動いたと思ったら、手のひらに粘液の暖かい感触が広がりました。  
 いっぱい出ましたね、よくできました。  
「お礼、気持ちよかったですか?」  
「…」  
 何も言わず視線をそらした有人さん。  
 その赤くなったのは熱のせいではありませんね。  
 その後私からのお礼は、姉さんが帰ってくるまで続きました。  
 
 

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