放課後の生徒会室。
「で、話って何すか?」
カーテンから差し込んでくる夕焼け。それを眩しそうにしながら盾祐一が言った。対面にいる神崎黎人は笑み浮かべ彼を見ている。
「実は君に一つ聞きたいことがあってね」
そういうと黎人は盾に向かって歩き始めた。多くの人々を虜にする微笑を浮かべながら。この微笑が盾にとってはとても不気味に見えた。
一歩一歩近づいてくる黎人。盾は蛇ににらまれた蛙のように固まってしまってる。黎人はそんな盾の目の前で止まるとそっと耳打ちをした。
「舞衣さんとはどこまで行ったんだ?」
「えっ…どこって?」
「分からないのか?アレだよアレ」
「アレって…」
盾は黎人の言いたいことを理解した。アレとはもちろんセックスのことである。
「何もしてないですよ!本当に!本当に!」
盾はそう叫びながら黎人の両肩をつかんで押し戻した。黎人は続ける。
「本当に?」
「本当ですよ」
顔を伏せしどろもどろに答える盾。黎人は笑みを浮かべまだ言葉を続ける。
「そうか。まだということはいつかは彼女と「やる」つもりなんだね」
「そんなこと黎人さんには関係ないじゃないですか!もう帰らせてもらいます!」
盾は伏せていた顔を上げ、きびすを返して盾は黎人に背を向けた。
「待って」
「えっ」
驚きの声を上げる盾。彼の体は黎人に抱きしめられていた。
そして
「少し、静かにしててね」
盾の体に強い電流が走った。
「いったいなにをっ…」
地面に仰向けに倒れながら黎人の右手に目を向けると、青光りと共にバチバチという大きな音が聞こえてきた。口も痺れてしまい、はっきりとした声を出すことが出来ない。
盾の目線が黎人の顔を弱弱しく見つめる。
黎人はそんな盾を愛しいそうに見下ろしている。
「面白いこと教えてあげようか」
黎人が身をかがめ顔を近づけてくる。
尋常じゃない雰囲気が、黎人の全身から感じ取れる。
痺れてなくなっている感覚を必死になって探りながら、将幸は四肢を動かそうとする。
僅かに手が上がったり足が動いたりはするものの、そこに力は感じられない。そうこうしているうちに黎人が耳元に顔を寄せた。
「僕が舞衣さんに近づいた理由はね彼女のそばに君がいたからなんだ。愛してるよ祐一」
「んんっ!」
盾の言葉を待たずに黎人は彼の口をふさいできた。
「んっ…んむっ…」
全身の緩んだ筋肉は黎人の侵入をあっさりと受け入れてしまう。
「んんんっ…んんっ!」
盾は入り込んでくる黎人を受け入れまいと、四肢から力を抜き、持てる力の全てを口元へと集中させる。
しかし僅かな抵抗しかすることが出来ず、黎人の口は盾の口から離れない。
「祐一」
盾が全身の力を口に集中している隙に、黎人は盾の学生服を脱がせていた。
感覚の失せている盾には、それすらも理解できない。
「なにしやが、っる」
やがて黎人の口が自分の口元から離れた。
お互いの唾液で汚れた口をそのままに、盾は抵抗の言葉を発するが黎人は笑みを浮かべたままだ。
「大丈夫だよ。すぐに良くしてあげる」
黎人は盾の肌の上に吐息を吹きかけるように言うと、舌を使って盾の乳首を舐めていく。
「ひあぁっ! あっ…はぁっ…」
痺れで全身の感覚がなくなっているはずなのに、与えられる快楽だけは身体を駆け巡る。
快感だけを感じる肉体は、盾の感度を高くしていた。
「祐一、かわいい」
そう呟きながら、唾液を混ぜた舌で盾の全身を這うように動く。
やがてその口はもう一人の盾のもとへと向かっていき、黎人は迷うことなく口で舐め始める。
「あぁぁっ、くっ、くあぁぁっ! はぁぁぁ…ふぁぁぁ…」
初めて感じる感覚は、今までにない喘ぎ声となって表に噴出していく。
「祐一凄く悦んでくれてる。嬉しいな」
盾の発する声に、ペニスから流れ出る先走りの液に黎人は喜びを感じる。
「あっ…あぁぁぁぁぁぁっ!! うっ、はぁっ…はぁ」
盾は大きな喘ぎと共に、黎人の口の中へと精液を流す。
最高の快楽に、盾はただ身を委ねるだけだった。
「祐一…すごくかわいい…誰にもあげない」
「はぁっはぁっはぁっ」
全身の痺れと快楽によって、盾は言葉を発することの出来なくなる。
しかし感覚だけは僅かに戻り始めたのか、自分のアナルに温かな感触を感じる。
「ふふふ、まだ終わりじゃないよ。もっと気持ちよくしてあげる」
「はぁ…な、に…いっ…んあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
盾が戻ってきた感覚で口を動かそうとすると、自分の身体の中に黎人が入り込んできた。
快楽に支配されしかも全身の力が抜けきっている盾の身体は、すぐに黎人のことを受け入れる。
少しずつ戻ってきた感覚はアナルも同じで、黎人のペニスを程よく締め付ける。
そしては黎人は盾をもっと気持ちよくしてあげたいとより一層腰の動きを活発にする。
「はぁっ…祐一の中、凄いよ…僕のこと、凄く愛してくれてる…」
「あっ、ああぁっ…くぁぁぁ…んっ、ふぁ…」
違うと言いたい…黎人のことなど、愛している訳がないと口にしたい。
けれど全身に感じる快楽は、それを言うことを許してはくれなかった。
「祐一…祐一…」
グチュグチュと音を立ててながら黎人は激しく盾のアナルを攻める。
「うっ、はぁ…んぁぁぁっ!」
気味が悪いほどの異常な愛情が、身体の繋がりを通してダイレクトに伝わってきた。
「ゆういち…くゅ、あっあっあー!」
「ひあぁぁぁっ!」
「祐一…僕は祐一のこと、本当に愛してる…」
放心状態になっている盾にそう告げると、黎人は盾にそっと口づけてその場を去っていった。
「あ、ぅあ…」
盾は全身を動かすことが出来るようになってもなお、暫くその場から動くことが出来なかった。
異常な愛情は、黎人がいなくなってもなお身体を恐怖で包む。
上半身のはだけた肌に自らの精液を…アナルからは黎人の精液を垂らしながら、暮れ行く日の下で盾は一人で怯えていた。