「なぁ、なつき――」
なつきの髪を梳きながら、静留が小さな声でなつきを呼んだ。
「ん・・・なんだ、静留」
その声に、眠りかけていたなつきの意識が引き戻される。
風呂上りということに加え、優しく髪をすく静留の手が心地よくて、ついうとうとしてしまったようだ。
顔をあげると、静留がなつきの髪を梳いていた櫛を鏡台におき、何かいいたげな視線を向けていた。
「あぁ、結局髪の手入れ、全部静留にさせてしまったな。ごめん」
「ううん、そんなのええんよ。うちはなつきのサラサラの髪、いじるの好きやさかい」
「そうか?・・・じゃあ、ずっと綺麗にしとかないとな。静留が触ってくれなくなったら困る」
なつきの言葉に、鏡に映る静留がふふっとはにかんで笑う。
「で、なにか話があったんじゃないのか?」
「話いうか・・・今日言ってくれたなつきの告白、ほんとなんかな、って思てな」
「まだ疑ってたのか、お前は」
はんば呆れながら、なつきは何度も聞いたその問いに、また同じ言葉をかえす。
「ほんとだと言ったろう?いったい、何度言えば信じるんだ、静留」
「あんまりにも嬉しすぎたから、夢やったらどないしよか思て・・・やっぱ不安なんよ」
「夢なわけあるか・・・ちゃんと好きだから、安心しろ。その・・・・・・大好き、だから」
好きと言い慣れない少女の不器用な言葉に、静留の頬が緩む。
だがそれも一瞬で、すぐに表情を曇らせ、
「おおきに。でも・・・なつき、こうしてうちが髪に触ったりするの、嫌じゃないん?」
そう言うと、湯上りで少し湿ったなつきの髪に触れ、サイドにまとめて流した中の一房をそっと手に取り、
さらさらと指の先からこぼれ落としていく。
「嫌だったら、髪の手入れなんてしてもらわないさ。・・・なんでそんなこというんだ?」
「だって――うちの好きは、こんなのやから」
静留が、なつきの身体を後ろから抱きしめた。
ギュッという感じでもなく、どこかすがりつくような脆さで伸ばされた腕。
そのままなつきの髪に顔をうずめ、目を閉じてどこか自嘲気味にいう。
「あんたが欲しい思とるのに・・・危険や思わんの」
そんな静留の様子に、なつきはわざと明るく笑いながら、軽く言葉を紡ぐ。
「はは。危険ってなんだ、危険って」
「そやなぁ・・・たとえばこれとか」
ペロッ。静留の舌が、なつきのうなじを舐めあげる。
「――んっ!・・・くすぐったいな」
「・・・なんで振り払わんの?」
「なんで振り払うんだ?」
「・・・・・・なつき?」
「別に・・・かまわないぞ」
その言葉に、顔をあげた静留となつきの視線が、鏡の中で絡み合う。
「お前が私を、その、そういう目で見てくれてるのは知ってる。それに、ずっと我慢してたのも。
さっき風呂に入った時だって、なんとなく私と目をあわそうとしなかったのは、そこら辺の問題だろ?」
「・・・・・・気付いとったん?」
「当たり前だ。夕食の時はあんなに好き好きとはしゃいでたのに、風呂になった途端、
なんだかすごく大人しかったからな。あんなに広い浴槽で、私と距離をとろうとするし」
意識しすぎだ、静留。笑ってそういったなつきに、静留の頬が、湯上り以外で赤く染まる。
「だって、なつきの綺麗な身体見よったら、我慢きかんようになるから・・・!」
羞恥で顔を染めた静留が、思わず本心を口に出してしまう。
「なつきの心をもらえて、うちはもう満足なはずやのに・・・その上身体まで欲しい言うたら、
罰があたるやないの。それで嫌われても嫌やし。むしろそんなんになったら、死んでまうし。
だから我慢して我慢して、なつきの方見んとこ思てうちは・・・!!」
綺麗な身体から続く、一連の生々しい言葉に、なつきの頬も羞恥で染まっていく。
さっきまでの余裕をなくし、なつきは照れ隠しのように勢い込んで静留に言った。
「だから、変に気兼ねしなくてもいいと言ったろう!別に私は嫌じゃないから!!」
「・・・・・・嫌じゃないん?ほんま?」
「・・・嫌というか、慣れてないから恥ずかしいだけだ。どんなことをするかも、さっぱりわからないし」
「それだけ、どすか?」
「他に何があるっていうんだ?」
「・・・身体を狙うなんて汚らわしい、やら、そんな感じの感情が」
「昔の私ならまだしも、そんなこと思うわけないだろう。第一、お前に今こうして抱きしめられても、
じっとしてるのがその証拠だろうが!そんな気持ちを持ってたら、突き飛ばすぞ、私は!!」
もはや何をいっているのか自分でもわからないまま、なつきは口を動かしていく。
「と、とにかく、私はOKだ!うん、OKだぞ、静留!!」
「――――――」
そんななつきの態度に、背後から抱きしめる静留の力が、ぎゅっと強くなった。
鏡を見れば、言葉もないほど感極まった様子の静留が、なつきの髪に顔を伏せ、口付けていた。
ちらりとのぞくその首元は、はっきりとわかるほど赤くなっている。
「なつき・・・愛してます」
「うん」
「なつき、ほんまに愛してます」
「うん」
「なつき・・・ほんまにほんまに、愛してます」
「うん・・・て、何回いうんだ、お前は」
「何回も、言いたいんどす・・・ほんまに愛してるから」
その言葉に、今度はなつきが首まで赤くする。
「愛してるから――うちはなつきが欲しい」
「うん・・・」
「・・・ええどすか?」
「バカ・・・あらためていうな、恥ずかしいだろうが・・・」
なつきはそういうと、強く抱きしめてくる静留の腕に、そっと両手を重ねた。
一組だけ敷かれた真っ白い大きな布団。
その上に、寝間着がわりの浴衣を着たなつきの身体が、ゆっくりと横たえられる。
恥ずかしくて仕方がないようで、なつきは交差させた両手で目元を覆っている。
艶のある漆黒の黒髪が広がり、布団の白と見事な対照をしめす幻想的な光景に、静留の心が高ぶっていく。
ずっと、ずっと欲しくてたまらなかったもの。でも、決して手に入ることはないとあきらめていたもの。
それが目の前に横たわり、そして自分を待っているという事実に、鼓動がどんどん早くなるのがわかる。
胸が苦しくてあかんわ――そう思える自分をなんて幸せだろうと感じながら、
静留はなつきの身体に手を伸ばしていった。
首筋をそっとなで上げると、
「ひゃぁっ!!」
という声をあげて、なつきの身体が大きく跳ね上がった。
「ふふ、あんまりかたくならんとき」
静留が甘く優しい声で、なつきにそっと囁きかける。
「ほら、腕もはずして・・・かいらしい顔、うちに見せとくれやす」
そう言いながら、なつきの腕にやんわりと触れ、顔を覆っていた手をおろさせる。
遮るものがなくなったなつきの顔は、これ以上ないくらい赤く染まっていた。
そんななつきを見て、静留の目がにこやかに細まると、
おもむろになつきの頬に手を添え、綺麗な顔を寄せていく。
接近に気付いたなつきが、
「ちょっとまてしず――ん・・・」
止める間もなく、静留の唇がなつきのそれに重なり、すぐに離れた。
なつきの顔が、火が出るようにさらに真っ赤に染まる。
「・・・・・・・」
「ん?嫌やった、なつき?」
心底嬉しそうに笑い、満足そうに顔を赤らめながら、小首をかしげる静留。
「・・・嫌じゃない」
「そうどすか・・・よかった。なら、もっとしましょか」
言うや否や、目を閉じて静留はまた顔を近づけていく。
「って、静留!!――んん・・・」
今度はさっきよりも長く、深く重なる唇。
「ん・・・んんン・・・・・・ぷはぁっ」
「なつき――ちゃんと息をせな、あきませんえ」
唇を離した静留が、深く息を吸い込んでムセているなつきを見て、笑っていった。
「ごほっ・・・しょ、しょうがないじゃないか!できないんだから!」
「口がダメなら鼻でやるんよ。もう、ほんと・・・かわいんやから」
そう言ってまた唇を寄せる静留に、今度はなつきも観念したように、瞼を閉じて大人しくそれを受け入れる。
「ぅん・・・は・・・ぁ・・・っん・・・んんン・・・・・・」
勝手がわかったようで、なつきもだいぶ落ち着いて呼吸ができるようになったらしく、
キスの合間に薄く息を吸ったり吐いたりしながら、静留からのキスにぎこちなくこたえていく。
気がつけば、いつのまにかなつきの身体からはすっかりかたさが消えていたが、
なつき自身はそれに気付かず、静留から与えられる甘い感触に酔いしれていた。
「なつきの身体、やっぱ綺麗やわあ・・・」
なつきの浴衣を開いた静留が、うっとりと眺めて感嘆の声をあげる。
「あ、あまり見るな!恥ずかしいじゃないか・・・」
視線を感じて、なつきの白磁の肌に、ぽっ、ぽっと、羞恥の明かりがまた一つ灯っていく。
「だって・・・ほんま綺麗やから」
どこか陶酔した様子の静留が、なつきのノドにゆっくりと唇を押し当て、少し強めにキスをする。
「ずっと・・・ずっと、触れたかったんよ」
切なげな吐息とともに、なつきの白くて細い首筋をたどり、くっきりと綺麗な鎖骨に唇を這わせ、
丹念な愛撫をほどこしていく静留。
その唇をどんどん下におろしていき、首筋から胸元、胸元から臍に向かってを進んでいくと、
頭上からくぐもった「・・・っん」という声がしたが、それにあえて気付かない振りをして、
いっそう情熱的に、なつきの身体にキスの雨を降らせていった。
「 なつき・・・ なつき ・・・・・・なつき」
そう何度も名前を呼びながら、静留がしみ一つないしっとりとした肌の感触を楽しむように、
優しく、だが快感を引き出すという明確な目的をもってなつきの身体を開いていく。
耳の裏やうなじ、背中やわき腹といったところにも舌と指を伸ばし、文字通り、全身を愛していく。
繰り返し与えられる肌への柔らかな刺激に、先ほどのキスの名残もあって、
なつきの中に、むず痒いような、不思議な感覚が生まれてくる。
身体が火照ってしょうがない。静留の舌がなぞっていくところが、やたらと熱い。
身体にかかる静留の吐息に、どうしようもなくゾクゾクしてしまう・・・なんだこれは――
いつしか堪えきれなくなったように、
「・・・はぁ・・・んくぅっ」
なつきの口から、か細い喘ぎ声がもれ始めた。
「・・・ぁあんっ・・・!!」
静留が手を伸ばし、なつきの少し硬くなり始めたバストの先端に触れた瞬間、
なつきがひときわ大きく、高い喘ぎ声をあげた。
自分からそんな声がでた事が信じられず、なつきは思わず口をばっと抑える。
だがもちろん、至近距離で愛撫をほどこす静留には、それはばっちり届いていた。
「感じてくれとるんや、なつき・・・」
顔をあげ、嫌味ではなく、心から嬉しそうな笑顔を浮かべていう静留。
その言葉に、なつきの全身に朱が走った。
薄々気付いていたものの、それをあえて口に出されたことで、気恥ずかしさが沸き起こったのだろう。
静留から目をそらし、なつきはそっぽを向いてしまう。
そんななつきのかわいらしい姿に、静留は「堪忍な」と言いながら、唇に優しくキスをおとす。
「やっぱり、恥ずかしいん?」
「あ、当たり前だ!感じてって・・・」
自分の言葉に、さらに顔を赤らめるなつき。
「別に普通のことやから、テレんでもええのに。むしろうちは、なつきが喜んでくれはって嬉しいどすえ」
笑っていった静留が、何かを思いついたように、ふとなつきを見つめる。
「それに――――うちも感じとるから」
静留がなつきの手を取り、それを自分の胸元に導いていく。
「し、静留?」
なにを…と焦るなつきを、ええからええから…となだめて、浴衣のあわせから、手を差し入れさせる。
なつきが下着をつけていない静留の胸をじかに触ると、みずみずしくもたっぷり重量を感じるバストの、
その頂にある小さな突起が、硬く立ち上がっているのがはっきりとわかった。
あせったなつきが手を動かすと、静留の口から「あんっ・・・」という切なげな声が漏れる。
さっきのなつきと同じように、自分の声にテレながらも、
「な・・・?うちもなつきと同じように・・・ううん、多分なつき以上に感じとるし、興奮しとるさかい。
なつきのかいらしい顔や、声を聞いとうだけでこんなになってまうぐらい――うちの方がHやから」
だからなつきは、恥ずかしがる必要ないんよ。
そう言外にいい、羞恥に顔を染めながらも明るく笑う静留。
そんな静留の姿に、なつきの中の何かが動く。
快感と似たような、でも少し違う気がする甘い痺れが、背筋を這い上がってくる。
その心地におされ、身体を少しおこし、静留の首に腕をまわして、衝動のままに静留にキスをする。
「んっ・・・な、なつき?」
突然のキスに、静留の目が驚きで大きく見開かれる。
静留が自分にしてくれたことを思いだしながら、なつきはそれを真似て深い口付けをほどこしていく。
たしか…こうやってたような…
そう思い、舌を絡めたりしながら、陶然とした気持ちで何度も何度も口付けていると、
・・・やっ・・・ んん・・・ はぁ・・・ぅく・・・ん・・・なつ・・・
静留の唇から、鼻にかかった甘い喘ぎがもれる。
その声を嬉しく思いながら、なつきは唇を静留の首筋に移動させた。
唇をつかい、鎖骨や喉元、胸の間といった箇所に舌を這わせていくなつき。
それと同時に、
「・・・だいたい、私ばっかりほとんど脱がされて、静留だけきちんと着てるのはおかしいだろ」
そう言って静留の浴衣の帯に手をかけていく。
「!ちょ、ちょお待ち、なつき!!」と狼狽する静留の必死な声を聞き流し、強くそれを引っ張ると、
するすると帯がほどけて浴衣の前が大きく開き――綺麗な、見事な肉体がなつきの前に曝け出された。
なつきは見入って、唖然と惚けて呟いた。
「なんだ・・・私なんかより、静留の方が全然綺麗じゃないか・・・」
「あ、あんまりまじまじと、みんといて・・・えらい恥ずかしいやないの」
静留の綺麗な顔や身体が、また一層の赤みをおびていく。
くすっ、となつきが笑う。
「私の気持ちがわかったか?」
「もぅ・・・わかりました。わかりましたから・・・堪忍しとくれやす」
静留のか細い声に、ぷっ、ははは、となつきが声をあげて笑う。
「…イケズ」
そう言ってテレる静留も、どこか嬉しそうに笑う。
布団の上、睦言の最中だというのに、ひとしきり笑いあったおかしな二人は、
どちらともなく目をとじて、ゆっくりと唇をあわせていった。
感じるところを確かめるように、指と舌を使って、丹念に、だが情熱的に愛撫を施していく静留。
声をあげて身体をそらせながら、時折抱き合う静留の身体にキスを降らせ、甘い声を引き出すなつき。
お互いがお互いを思い、相手を少しでも気持ちよくしようと頑張るので、
二人の行為はどんどん激しく、刺激的なものになっていく。
そして――静留の手が、今まであえて触れなかった場所にたどりついた。
「・・・なつき、ちょお堪忍な」
そう断ると、舌を這わせ、なつきの胸を愛していた静留が、なつきの内腿に手を伸ばした。
初めての下半身への接触に、なつきの身体がびくんっと強張る。
そんななつきに、「大丈夫やから」と笑いかけ、静留が下着越しになつきの秘所に指をおしあてた。
「っ!!」
なつきが、声にならない声をあげて、身体を震わせる。
そこはしっとりと湿っていて、見れば小さな染みを滲ませていた。
「・・・や、ダメだ!静留!!」
それは触るなというダメか、見るなというダメなのか――自分でもわからないままに、なつきが言う。
止めようと手を突っ張るが、快感に酔ったその手に力はあまり入らず、意味をなさなかった。
「なつき・・・よぉ濡れとるわ。・・・嬉しい」
熱っぽい息を吐きながら、静留が指でそこを何度も強くこする。
「そんな、とこ、・・・ダメ、、だ――んくっ・・・・・・あん・・・はぁ・・・んんン」
こすればこするほど、そこからは甘い蜜が溢れるようで、下着の染みが広がっていく。
いつしか下着のサイドから、せき止め切れなくなった透明な雫がこぼれだし、
なつきの足をつーーと伝っていった。
「や、やだ!!」
流れるのが自分でもわかったのか、なつきの顔が恥じらいで染まる。
なつきの全身を、快感と羞恥が支配して、思考がぐちょぐちょに壊れていく。
そんな自分がどうにもならず、なつきは思わず手で顔を隠してしまった。
だから――その後の静留の行動に、されるまで気付かなかった。
ぴちょっ・・・
「ひゃぅッ!!!!」
内腿に、突然ザラっと湿った感触と、ゾクリとする痺れを覚えて飛び上がるなつき。
見れば静留が唇をよせ、内腿の、それもちょうど愛液がこぼれたあたりに舌を這わせていた。
「なな、何してるんだ、しず――!!」
目に映る光景が信じられず、なつきは絶句して呆けてしまう。
そんななつきの声を聞き流し、
「なつきの・・・甘いなぁ・・・・・・」
陶然としながら、静留がなつきの足に、じらすようなキスを繰り返す。
内腿を中心に、円を描くようにして舌先を這わせ、なつきからこぼれたものを舐め取っていく。
そのたびにもどかしいような、痒みにも似た感覚がなつきを襲い、切なげな吐息をもらす。
「ふ・・・ぅく・・・ん・・・ぁん・・・静留・・・静留・・・」
自分の名前を呼びながら、泣きそうな顔で甘い喘ぎをあげるなつきに、
静留にも、身体が溶けそうなほどの強烈な快感が、背筋から駆け上っていく。
身体の奥から、とろっと恥ずかしい蜜が溢れてくるのがわかった。
(んっ・・・ ・・・かいらしすぎどす・・・ はぁ・・・ ・・・なつき・・・)
もう抑えがきかなくなり、静留がついになつきの下着へと手をかけてしまう。
「なつき――下着、脱がすよって・・・」
興奮で声が裏返りそうになるのを必死で戻しながらそう告げた静留が、
なつきの返事をまたず、なつきの秘所を覆っていた最後の一枚を、膝までずり下ろす。
静留の目に、薄い茂みに覆われた、なつきの大事なところがあらわになった。
「・・・!!!や、やだ!!!見るな、静留!!!」
強烈な快感に流されそうな頭を奮い立たせ、なんとか声をあげるなつき。
だが静留は、
「なつきのお大事さん・・・えらい慎ましくて、、、ほんま綺麗や・・・」
と感動に上ずった声を上げ、そこに見入っていた。
薄い若毛が申し訳程度に揃い、ぴっちりと閉じたなつきの秘所からは、
透明な蜜が次から次へと溢れでて、その滴りが布団をぬらしていく。
その光景に、静留の下腹部が疼き、いまだかって感じた事がないほどの快感が駆け上った。
軽い絶頂すら迎えたような心地で、静留はなつきの秘所を見つめ続けたが、
「ほん・・・と・・・見ないで――静留・・・」
もはやほとんど泣き声に近くなったなつきの声にはっと我に返り、顔をあげる。
これ以上は無理だろうというくらい顔を赤くしたなつきが、目の縁に涙を浮かべて静留を見ていた。
そんななつきを見て、静留の中に、深い後悔と愛おしさが同時にこみ上げる。
「・・・堪忍、な。ほんま、堪忍な。――なつき、なかんといて・・・」
泣いた目元に唇をよせ涙をぬぐった後、抱きしめながら何度も何度も優しい口付けを繰り返す。
「・・・・・・ん・・・ふぁ・・・んく・・・っ・・・んん・・・」
口付けに安心したのか、なつきの表情が泣き顔から柔らかいものにかわる。
その安心した一瞬をついて、静留がキスをしながら、
右手の人差し指を、なつきの秘所にそっと押し込んだ。
「――――!」
なつきの顔が驚愕に見開かれ、悲鳴がもれそうになるが、静留のキスがその悲鳴を奪い取ってしまう。
なつきの口内に舌を侵入させ、優しく蹂躙している間に、押し込んだ指をゆっくりと動かしていく静留。
身体を洗う以外、自分で触ったことすらないそこへの突然の挿入に、
なつきの中が異物を排除しようと、無意識に静留の指を締め付けてくる。
(つぅっ・・・なつきの中は、やっぱ狭いどすなぁ・・・・・・痛いぐらい締め付けてくれはるわ――)
その痛みすらを愛しく思い、口元をほころばせながら、静留はときほぐすように指を操る。
「い・・・た・・・――変な、感じが、・・・しず・・・・・・抜い・・・」
息も絶え絶えな様子のなつきが、キスの合間に切なく訴えるが、またキスをして封じ込めていく。
唇で唇を、人差し指で膣を、そして残りの指で全身を丁寧に愛撫しながら、
静留はなつきの痛みが少しでも和らぐのを祈っていた。
――祈りが通じたというか、静留の愛撫が巧みだったのか。
中を広げるように円状にまわしたり、内壁をこするように指を動かしているうちに、
人差し指を締め付けるなつきのきつさが、次第に和らいでくるのを静留は感じた。
同時に、少しずつだが、またなつきの身体の奥から、甘い蜜が湧き出してきているのにも気付いていた。
(多分・・・もうそろそろ、ちょお激しく動かしても大丈夫なんやないやろか・・・)
そう思い、試しに指を強めに出し入れしてみる静留。
「ひっ!!」
なつきがくぐもった声をあげるが、その声には若干の甘さが含まれていた。
指を食いちぎられるのでは、というきつさも、もうなかった。
「なつき・・・結構平気になってきたんやないの?」
指を入れたまま、唇を離した静留がなつきに囁きかける。
「・・・・・・・・・・・・痛くはない、な」
恥ずかしげに顔を真っ赤にしながらも、少し間を置いて、なつきが小さな声でこたえた。
実は静留の指が膣で動くたび、ゾクリとする快感が這ってきていたのだが、流石にそれは言えなかった。
そのなつきの言葉に、
「よかった・・・」
と安心して呟いた静留が、
「ほな、もっと激しくするさかい――気持ち良ぉなってな、なつき」
そう続けて、指と唇の動きを再開する。
「!ちょ、激しくって――んく!」
なつきにキスをして、一層深く埋め込んだ人差し指をぐりぐりとえぐる静留。
唇を離すと、執拗な愛撫によって探り当てた、なつきの感じるポイントに舌を這わせながら、
愛液のぬめりをかりて指を自在に動かしていく。
「ひっ!く・・・んぁ・・・あん・・・あん・・・・・・んん・・・あっ・・・」
なつきから、堪えきれなくなった甘い歓声があがる。
指がまた、からみついてくる内壁を巻き込むように、動きをかえる。
「んんん・・・もう、やめ・・・ひゃあ・・・―――んく・・・あン・・・っあくぅ・・・」
なつきの声が、どんどん切羽詰ったものになっていく。
羞恥で顔を真っ赤にしながら、与えられる強烈な刺激に、前後不覚で喘ぎをあげ続けるなつき。
その様子に、静留の中にも甘い痺れがわきおこり、全身に頭がおかしくなりそうな快感が走る。
なつきの肌が、なつきの顔が、なつきの声が、静留にとっては全部愛撫になってしまう。
(ん・・・く・・・なつき・・・・・・うちの手で、あんなによがって・・・かいらしい声あげてっ・・・――――)
失神しそうなほどの昂ぶりを覚えて、静留は自分の絶頂が近いことを感じ取った。
どうせなら、一緒にイきたい――そう考えて、静留はいっそう愛撫を激しくする。
感じすぎるから、とあえて触れなかったなつきの秘芯へと指を滑らせ、
膣に埋め込んだ人差し指を音が出るほどかき回し、乳首へとキスをする静留に、
なつきの方も、我を忘れるほどの快感が全身をかけめぐっていく。
そしてとうとう、静留の身体にぎゅっとしがみつきながら、
「あ・・・んんん・・・んくぅっ―――――・・・や、ダメ!!!!!」
と一際大きな喘ぎをもらして、生涯初めての絶頂をなつきは迎えた。
「あくっ・・・あんん・・・っ――――――!!!」
それとほぼ同時に、静留もなつきの身体に抱きつかれ、胸同士がこすれた瞬間、イッてしまった。
「ほら、なつき。テレとらんと、ちゃんと出ておいで」
静留がそう声をかけると、目の前の布団の山が、ぴくりと動いた。
「もう!何もそんなに恥ずかしがらんでもええやない。さっきのなつき、
ほんまかいらしかったんやから・・・うちのキスにこたえて、舌を――」
「言わんでいい!」
ポーっと顔を赤らめながら、いかに情事中のなつきがかわいかったかを話し出す静留を、
布団から亀のように顔だけだしたなつきが、大慌てでさえぎった。
そんななつきを見て二コリと笑う静留に、なつきは静留の作戦に嵌ってしまったことを悟る。
「やっと顔、見せてくれた。このまま出てこんかったらどうしよ思て、心配したやないの」
「・・・だ、だって!あんなことの後に、どんな顔して会えばいいか、わからないじゃないか!」
「あんなことって・・・・・・なつき、やっぱりうちとやってもうたこと、嫌なん?」
静留の、少し悲しそうな視線がなつきに突き刺さる。
「嫌なわけない!絶対に、そんなことはないぞ静留!」
首を激しく振って、それを否定するなつき。
そんななつきに、静留がにこにこと問いかける。
「じゃぁ良かったん?」
「・・・良かった?」
どんな意味の良かっただ?と考えて、『気持ちよかった』という言葉を当てはめた瞬間、
なつきの顔が真っ赤になった。
「・・・・・・・・・・・・・・」
「なぁ、なつき?ん?」
ちゃんと答えるまで言い続けますえ、とばかりに、静留の笑顔+問いかけが重なる。
「・・・・・・良かった」
逃げられないと観念した静留は、恥ずかしさで死にそうになりながら、一言だけいった。
「そうどすか・・・よかったどすか・・・・・・ふふふ♪」
鼻歌でもでそうなほど上機嫌になった静留が、幸せそうに繰り返す。
その姿に、(聞かなくてもわかったろうが!)と思いながら、なつきは反対に静留に尋ねた。
「お前こそ、その、良かったのか?」
「・・・うち?」
「いや、だって、私はほとんど何もしてなかったじゃないか――私ばっかり、その・・・」
なんとか言葉にしようとしても、うまい表現が見つからず、なつきが言いよどむ。
その顔は、首筋まで真っ赤にそまっていた。
「うちは、ただなつきが気持ちよさそうにしとっただけで、大満足どすえ」
そんななつきの苦労を無にして、静留が核心をあっさりと言った。
「!!」
「途中で言うたやないの。なつきが感じてる顔を見たり、声を聞いただけで、うちも感じるって・・・
もう、こんなこと言わせるなんて、なつき、Hでイケズやわぁー」
なつきの顔が、羞恥で燃え上がる。
静留はさらに続ける。
「それに――うちが好きな人を気持ちよぉしたかったから、やっただけどすから」
そう言って、静留は少しはにかみながら笑った。そんな静留を見ていると・・・
「・・・・・・」
「なつき?」
「・・・・・・今度は私も、なにかするから」
それだけ言って、また亀のように赤くなった首を引っ込めて、なつきは布団の中にもぐりこんだ。
会話がなくなった寝所のたたみの上で、
「・・・・・・・・・期待しときます」
テレて顔を真っ赤にした静留が、ポツリとそういった。
(終わり)