足音を立てないよう、慎重に近付く。  
修行の成果が出て来たのだろう、最近は気配を消すのも上手くなって来た …と里衆の皆には言われた。  
からかってやろうと思ったのだ。  
大好きな…今は亡き実の母のように慕っている自分の世話役を、驚かせてやろうと。  
――いおりの気配が、する。  
晶はそっと、静かに彼の部屋の襖を開けた。  
そして、幼い彼女の眼に映ったのは… 自らを慰める、伊織の姿だった。  
 
「…いおり?」  
突然聞こえた小さな声。  
慌てて振り向くと、何よりも大切な、自分の主が立っていた。  
「あ…きら、さま…」  
迂闊だった。  
行為に集中する余り、警戒を解いてしまっていた。  
伊織の頬を嫌な汗が伝う。  
未だ小学校に入って間もない彼女は状況を把握してはいないようだったが、それでも普段とは違う世話役の姿に茫然としていた。  
よりによって…彼女に見られてしまうとは。  
「何してるんだ、いおり?それ…なんだ…?」  
晶が恐る恐る指さした先にあるのは、熱く硬く、立ち上がった伊織のモノだった。  
常日頃から二人は一緒に入浴している。しかし今の彼のモノは…明らかにいつもと状態が違うのだ。  
晶はそのまま、説明出来ず焦る伊織の部屋に入り襖を閉める。  
「さっきこの大きいの…擦ってたよな…?」  
そう言って、伊織の肉棒に両手を掛ける。  
「晶さま、何を…っお止め下さい!」  
晶が先程の彼の動きを真似するようにその小さな手を動かすのを、伊織は慌てて制止しようとする。  
…が、それを無視して、彼女は彼のモノを扱き続けた。手を動かす度にビクビクと反応するソレを、玩具とでも思っているかのように、楽しそうに。  
「晶さ…っ、!」  
「ふぁっ!?」  
肉棒の先から勢いよく飛び出した白濁が、晶の顔を汚す。  
「…あ…?」  
茫然と、顔にかけられた液を触る晶。  
指に掬ったそれをぼんやりと見詰める彼女の姿が… 伊織の中の何かを壊した。  
 
「これっ…え?大丈夫なのか、いおり…?」  
晶が慌ててそう尋ねてくる。  
大丈夫か、とは伊織の身体の事だろう。  
「止めろって言われたのに…俺が触ったから…?これ、大丈夫なのか!?」  
涙目になって自分を心配する晶。  
その様は、伊織の中に僅かな可虐心を芽生えさせた。  
彼女の見えないところで彼は口の端を歪め、そして囁く。  
「…大丈夫では…ありませんね、放っておくと大変なことになるかも知れません…」  
晶の顔色が変わった。  
ハッとしたように目を見開いた後、彼女はどんどん青ざめていった。  
「嘘…どうしよう、いおり…」  
大きな瞳から、大粒の涙が溢れ出す。  
「や…っ、俺…なにか…、何か出来ないか!?」  
普段の伊織なら、絶対に晶を傷付けるようなことはしないし、言わない。だから今も、晶は微塵も彼の言葉を疑ってはいないのだ…彼の異変にも気付かずに。  
実は数十分程前、伊織は里衆の晩酌に付き合わされていた。  
下戸である彼は普段余り酒を飲まないのだが、今晩は無理矢理、しかもかなりの量を飲まされてしまった。  
…酔いが回って来た彼に、最早理性など残ってはいないのだ。  
 
「…なぁ、いおり!」  
必死な表情で縋ってくる晶に、伊織は何処か冷たさを感じさせる声で答えた。  
「…晶さまに舐めて頂ければ、治るかも知れませんね」  
「本当か…!?判った!」  
伊織の言葉を信じ切った彼女は、直ぐさま頭を下げ…彼の脚の付け根に埋めた。  
小さな手を添え、舌を伸ばし、躊躇いがちに一度舐めてみる。  
晶はそのまま、丁寧に…それでも余す所のないように、小さな舌を頑張って這わせることを繰り返す。  
ぴちゃぴちゃと立つ嫌らしい水音に挑発されたかのように、伊織は晶の頭を掴み、立ち上がったモノの先を銜えさせた。  
「んぅ…っ!?」  
比較的大きい伊織のモノを収めるには、晶の口は小さ過ぎる。  
しかし彼女は、伊織の為ならと頑張って、可能な限りその先端を口に含んだ。  
「ふ…っぅ…、んむ…」  
そしてまた、狭い口腔内で舌を伸ばす。  
自分のしている事がよく判っているわけではないのだが、晶の顔と身体は火照り、涙目になっている。  
時折喉辺りからくぐもった声を漏らしながら、下卑た奉仕に没頭する主。  
本来なら自分が仕え、傅くべき彼女が必死に自分を慰めている…。  
この異常な状況に、再び彼の口の端には卑しい笑みが浮かんでいた。  
そして、限界を感じた伊織は、晶の頭を押さえ付ける。  
「ん…――っっ」  
晶が驚いて固く目を閉じた矢先、彼女の口の中には思い切り精液が吐き出された。  
 
「〜〜〜っっ!」  
慌てて口を離し、放たれた異物を吐き出そうとする晶。しかしその顎を伊織が掴み、無理矢理上を向かせた。  
「…ほら、ちゃんと飲み込んで下さらないと治りませんよ?」  
「…!」  
そう言われると逆らう訳にはいかない。  
両手を口に押さえ付けて塞ぎ、固く瞑った瞳からは涙を零しながら、晶は初めて味わう白濁を全て飲み込んだ。  
「ぷは…っ、…っけほ、けほっ!」  
「…お疲れ様です」  
ようやく口が解放された。いつの間にか晶は、身体中に汗をかいていた。  
へた、と膝に体重を預けてきた彼女の頭と背を優しく撫でながら、しかし伊織は残酷に言った。  
「…それでは、続きはお風呂でしましょうか」  
それは、一見すると優しい笑顔。  
…しかし晶は確かに、悪寒が全身を駆け巡ったのを感じたのだった。  
 
未成熟な身体を伊織が撫で回してやると、晶はくすぐったそうに目を細めた。  
余り意味がない気がして来たので、早い気もするが直接性器に手を伸ばす。  
伊織は晶を後ろから抱え込み、秘所を割り込むように指でなぞった。  
「…あっ」  
晶の身体はびくりと跳ね、張られた湯が大きく波打った。  
二人は、尾久崎家の風呂の広い湯舟に漬かっている。調度、先程の「続き」に入ったところだった。  
晶は色々な疑問を捨て、諦めてただ伊織の言うことを聞いている。  
それというのも、ついさっき顔を近付けて、晶はやっと伊織が酔っていることに気付いたのだ。  
以前酔った彼に絡んだ里衆が酷い返り討ちにあって以来、里には「酔った伊織に逆らってはいけない」という教訓がしっかりと残っている。  
晶もしっかりとそれに従っている…従わざるを得ない。だからこうして、身を任せているのだ。  
「ん…っ!」  
人差し指が、ゆっくりと差し込まれる。  
背筋をはい上がる未知の感覚に、晶は思わず声を上げた。  
「は…っ、ぁ…」  
たかが指一本でも、抜き差しされるそれは、幼い身体には充分な刺激を与えていた。  
奇妙な感覚は、少女に甘い声を漏らさせる。  
「や…いおっ、りぃ…!」  
顔を真っ赤に染めぽろぽろと涙を零す晶の中では、既に三本の指が蠢いている。  
びくびくと震える身体はしっかりと抱き留められ逃げることは適わないし、幾ら首を振り声を上げてもても無視された。  
それでも晶は必死に懇願する。  
「も…っ、抜いっ、ん!」  
「…判りました」  
伊織の返事が聞こえた途端、ずぷ、と指が抜かれたのが判った。  
 
――終わった…?  
晶がほっ、と息をついた、その矢先。  
「…次は此方ですね」  
「!?」  
ぐるりと、今度は向かい合う形に座らされる。  
未だ幼く無垢な晶に、これからされるであろう行為が判る筈はなかった。  
理解不能、という表情で焦っている彼女に、伊織はにっこりと「いい笑顔」を向ける。  
「…痛いとは思いますが、少し我慢していて下さいね」  
言うや否や、伊織は晶の唇を自分のそれで塞ぎ…  
思い切り、自分のモノを晶の中に突き入れた。  
「っう―――…っっ!!!」  
晶の塞がれた唇の端から、声にならなかった悲鳴が息となって漏れ出す。  
尋常ではない痛みが身体を襲った。  
――さっき俺が舐めた奴だ…っ  
熱く固い、凶悪な物に内側から圧迫され、晶の瞳からは更に大量の涙が溢れ出した。  
恐る恐る目を開くと、晶は視界の端で、己から流れ出した血が湯に溶ける様を捉えた。  
――どうして、血が…?  
そう思った矢先、繋がった唇から、伊織の舌が彼女の口腔内に侵入してきた。  
「んむぅ――…っ!」  
そのまま晶の痛みをごまかそうとするかのように、伊織の舌は、嫌らしい動きで彼女の口の中を犯す。  
「ふ…っむぅ…、んぅ…!」  
晶は必死に伊織の身体を押して離そうとするが、口から伝わる快感に負けた腕には力が入らない上、体格差も圧倒的だった。  
 
そして、伊織は差し入れたモノをゆっくりと動かし始める。  
「……!」  
――痛い…っ!  
下半身が悲鳴を上げているのが判る…が、思考は朦朧と霞んでいく。  
伊織の舌が、貧るように晶の中を荒らし続け、痺れるような感覚を全身に伝えているのだ。  
「っ、ぷは…ぁむ、…っは、あ゛ぁっ、あ…!」  
「、く…っ」  
少しずつ、下で動くモノが早くなっていき、晶の中では、いつの間にか快感が痛みより強くなっていた。  
解放された晶の口からは、止められない喘ぎ声が発せられる。  
「んっぁ、ああぁ…っ」  
「…っは、晶…さま…っ」  
伊織の辛そうな声と同時に、晶の小さな身体に回された彼の腕に力が込められ…  
晶の中に限界迄挿入されたモノから、勢いよく熱い液体が流し込まれた。  
「…っあ、ぅ…」  
ずるり、と伊織のモノが抜かれると、晶は彼の腕の中に倒れ込んだ。  
「…晶さま…」  
そして、伊織がその顔を覗き込むと  
「……ぁ、」  
彼女は、既に可愛らしい息を立て眠っていた。  
それはもう安らかな表情で。  
 
その後伊織は、眠った晶を起こさぬよう彼女の部屋に運んだ。  
しかしいざ彼が離れようとすると、晶にいつの間にか着物をしっかりと握られていてそれは適わなかった。  
伊織は一つ溜息をつき、彼女の隣で横になる。  
こうして二人は、朝まで仲良く一緒に寝たのだった。  
 
「…いおり、本当に俺気にしてないからさ…お前その、酔ってたみたいだし!えーと、だからそんな…その、…元気出せ!な!」  
「…っ、私は仕えるべきお方にこんな…何と言うことを…っ!」  
翌朝。酔いのさめ切った伊織と、何故か慰める側に回っている晶の姿があった。  
「…かくなる上はこの命で償いをっっ」  
「やっ止めろいおりっ!それだけは止めてくれ…!!」  
それから一週間、伊織は、二日酔いより強烈な自責の念で頭を痛めることになる…。  
 

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