いつからだろう。アイツを目で追うようになっていたのは。
いつからだろう。アイツのしぐさにドキリとさせられるようになったのは。
いつからだろう。アイツの魅力を余すことなく白いキャンパスに閉じ込めたいと思うようになったのは。
尾久崎晶は鴇羽巧海のことが好きになっていた。
幼いころより忍びとしての訓練を受けてきており、余計なことを一切教えられなかった晶にとってそれは始めての感情であった。
だがそれは決して不快なものではない。
巧海に自分が女だとばれてからは一層意識するようになった。
優しいアイツを、ただただ優しいアイツを護ってやりたい。
それは晶にとって父に命ぜられた使命よりも大事な誓約だった。
そんなある日のことだった。
晶は美術部に所属しているのだが、最近顧問の教師がシスターと逢引を重ねており、部活に顔をださなくなった。
それため部員たちのモチベーションが急降下しているのだ。晶も今日は部活を早めに切り上げ自室に戻ってきた。
「おい、巧海!いないのか!?」
どこに行ったのか巧海の姿はみえない。
「ったく、身体が弱いくせにどこほっつき歩いてんだよ・・・」
密かに二人っきりの甘い時間を期待していた晶は少なからず落胆していた。
おあずけをくらったせいもあるのか、いつもは二人の部屋に独りでいることは晶に妙に寂しく感じさせた。
そのため自分で定めたはずの「境界線」をやぶり、ふらふらと巧海の陣地に侵入してしまう。
(こ、これはいないアイツがいけないんだ・・・!そうだ、いないほうが悪い・・・!)
言い訳にならない言い訳を必死で自分に聞かせながら晶は巧海のベッドに腰掛けた。
そのままばふっ、と横になる。
(アイツ・・・いつもここで寝ているのか・・・)
晶自身も目を閉じ、ここにはいない少年に想いを馳せてみる。
(・・・どんな顔して寝てるのかな・・・)
視覚が閉ざされたために、他の感覚が鋭くなる。
(あ・・・アイツの匂いがする・・・)
そこでガバッ、と起き上がる。
「な、な、何を考えてるんだ!俺は!」
その顔は羞恥で真っ赤に染まっている。
「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!俺の馬鹿!」
己の恥ずかしい考えを断ち切ろうと、自分の頭をポカポカと殴る。
「こ、ここにいちゃ駄目だ!ここにいたら俺はだめになる!」
そういって立ち去ろうとした矢先、晶の視界に見てはいけないものが映った。
それは洗濯物の束だった。昨日の分なのかまだ未洗濯の衣類がビニール袋に包まれて無造作に置いてある。
・・・まさに禁断の果実。
晶はふらふらとそれに吸い寄せられていく。そのままビニール袋をがさがさと漁ってしまう。
(こんなことしていいはずがない・・・こんなこと・・・)
そう思いつつも晶はしっかりと目的の物を探し当ててしまう。
真っ白いブリーフ。昨晩まで巧海の股間を覆っていた布。
「うううっ・・・うう・・」
それを握り締めて低くうめく。
「巧海・・・ごめん・・・!」
そう呟いてから晶は再び巧海のベッドに横たわった。
晶は手にしたブリーフを鼻に近づけていき、その臭いを嗅いでみる。
すこしツンとする匂いがした。巧海が生きている証の臭いだ。
そう思うと興奮が高まっていく。呼吸がどんどん荒くなる。
「あふんっ・・・」
左手で服のうえから乳首を刺激する。
本当であれば直接乳房を弄び、乳首をつまみたい。
だが晶は常にサラシを巻いている。いまはそれを取るのももどかしいのだ。
右手は下半身に伸びていき、その下着の中に突っ込まれる。
「くふああぁつ!!」
すでに硬くしこっている陰核を指でこすりあげると、それだけで甲高い声が漏れてしまう。
それからもう湿り気をおびている秘裂にそって指を這わせる。
二度三度指を這わせて準備が整ったことを確認すると、晶はその人差し指を物欲しげに蠢く肉穴に挿し込んだ。
ヌチュプ・・・
卑猥な音が響き、晶はビクッと震えた。膣壁は喜んで自身の指を咀嚼し始める。
細い指なのに痛いほどに締め付けられる。それでも晶は愛液のヌメリを借りて強引に出し入れをする。
「んはあっんんんんっ!!」
強烈な快感が下半身から背骨を駆け上ってきた。
びちょ・・・ぬちょ・・・ぬちょ・・・
ぬかるんだ泥のうえを歩くかのような音がする。
(と、とまらない・・・・指がとまらないようぅぅっぅ・・・!)
全身を上気させ、荒く息をつき、涙を流しながら浅ましい行為に没頭する晶。
舌を伸ばして愛しい少年(の下着)の味を確かめてみる。
(少し・・・しょっぱい・・・かな・・・?)
興奮がさらに高まっていく。
ただ出し入れするだけの単調な動きに飽き、指を横方向にグリグリと動かしてみる。
「ああっ!」
そうして穴を広げておいて、出し入れする指に中指を加えてみる。
「ふうっん!!」
今度は二本の指をくの字に曲げ、膣天井の少しざらざらする部分をなでてみる。
「くひゃああんっつ!!!」
何をしてみても快感が得られる。そうしてその快感はどんどん晶のなかに蓄積されていく。
(ああ・・・も、もう・・・!)
背がびくっ、びくっと新鮮な海老のようにしなり、晶は高みへと昇っていく。
「うう・・・巧海!!巧海!!巧海―――――――!!!」
「呼んだ?晶くん?」
「重い・・・少し買いすぎちゃったかな。」
日ごろ学園の平和を守ってくれている秘密の忍者さんにお礼をしよう。
そう思って巧海は夕飯の材料の買出しに出かけた。
そうして戻ってきてみると――――
「あれ?鍵があいてる・・・」
いつもなら晶はこの時間部活のはずである。訝しがりながらも中にはいる。
晶の姿は見当たらない。だがここからは死角だが、自分のベッドの方に人の気配がする。
そう思ったときに、巧海は突然自分の名前を呼ばれた。
「巧海!!巧海!!」
それは紛れもなく晶の声だが、なにか切羽詰った様子だった。まるで怒っているかのような・・・
そこで巧海ははっ、とある考えに至った。
(まさか・・・晶くん、ベッドの下に隠していたエッチな本を見つけちゃったんじゃ・・・
違うんだよ晶くん、あれは祐一さんが無理やり・・・ 僕は晶くん一筋だよ・・・?)
「巧海―――――――!!!」
晶の怒りの叫びが聞こえる。慌てて晶のところに向かう。
巧海は内心の動揺を隠し、努めて冷静に普段どおりの声で晶に話し掛けた。
「呼んだ?晶くん?」
晶は凍りついた。巧海も凍りついた。
しん――――
無言で見詰め合う二人・・・
先に時間を取り戻したのは晶の方であった。
「こ、こ、こここここここここれは違う!!違うぞ巧海!!誤解するな!!!」
そう言って慌てて振られた手の指はヌルリとした体液で光っていた。
「・・・それ・・・」
「え?うわああここ、これはだな・・・!!」
巧海の指摘に晶は慌ててオカズに使っていた下着をかくす。
「・・・晶くん、僕がいないときいつもこんなことしてたの?」
そう言う巧海の悲しそうな顔。それをみると晶の心を罪悪感が埋め尽くす。
「巧海・・・ごめん・・・俺・・・我慢できなかったんだ・・・お前のことが好きで・・・その・・・」
しどろもどろになっていう晶。普段の気丈さは微塵も感じられない。
そんな晶は突然巧海に抱きすくめられた。
(――――――――えっ!?)
再び晶の思考が停止する。
「・・・僕もだよ、晶くん。晶くんのことが好きなんだ。
だから・・・ あんな晶くんの姿を見せられたら・・・僕も我慢できなくなっちゃうよ・・・」
「巧海・・・」
二人の顔が自然に近づき、その唇が重なった。
ぼふっ、と晶はベッドに押し倒された。
「晶くん・・・いい?」
遠慮がちな巧海の声。
「馬鹿・・・聞くなよ・・・そんなこと。」
「うん・・・でも僕体弱いから、あまり激しいことはできないと思うんだ・・・だから・・・」
言って巧海は晶の首筋に口付けをしていく。
「あふん!!」
そのまま口付けは徐々に下に降りていく。
さらしを脱がせてあらわになった淡く膨らんだ乳房に舌を這わし、その頂点の突起を強く吸う。
舌は浮き出ている鎖骨をたどり、無駄な脂肪のまったくついてないお腹を越えて、さらにその下にたどり着く。
「巧海!そこは・・・!」
制止の声を無視して晶の下着を横にずらす。
すでにドロドロになっているピンクの肉壁があらわになり、むわっとした性臭が鼻につく。
巧海はそこにも口付けをする。
「や、やめえんんんっん!!」
キスマークでもつけるかのように強く吸う。それからヒダ一筋一筋を丁寧になめていく。
指でクリトリスを引っかきながら愛液を舐め取る。
だが舐めても舐めても白く濁った新たな愛液は際限なく湧き出てきており、もう肛門までぐしょ濡れの有様であった。
「晶くんて・・・感じやすいんだね。」
「ち、違う!!こ、これは、相手が、おまえだから・・・」
上擦った声をあげる晶。そんな様子が巧海にはたまらなく愛しく感じられてしまい、つい苛めたくなってしまう。
舌の動き、指の動きがさらに激しくなる。それにともない晶にもたらされる快感も強くなっていく。
頭が真っ白になって思考が定まらなくなっていく。
「いいよ。気持ちいいなら声をあげても。ほら鳴いてごらんよ。」
「・・・わんわん!わんわん!!わん!」
激しい快感に襲われ思考能力の低下している晶は鳴いてごらんと言われて犬畜生の鳴きまねで返してしまう。
「あれあれ、晶くん犬になっちゃったよ。ふふふ・・・じゃあ明日からそう言う風に扱っちゃおうかな。」
巧海の瞳にわずかに嗜虐的な色がうかんだ。
「まあでも今日はとりあえず、これで・・・!!」
そう呟いて巧海は一際強く晶のクリトリスを吸い上げた。
「あひひいいいいぃぃいっぃいいっぃいいんんんっっんん!!!!」
寮中に響き渡るんじゃないかと危惧されるような声の絶叫がとどろいた。
晶は今までで一番強烈な快感を感じて、股間からは大量の潮を噴出し、白目を剥いて失神した。
行為が終わってから二人は一緒にシャワーを浴びた。
そして今は同じ布団にくるまっている。
「なあ、巧海。」
「なに、晶くん?」
晶は少し間を置いて、テレながら続けた。
「手術してさ、お前の体がよくなったら・・・続きをしような。」
「・・・うん!!」
巧海は最高の笑顔で応えた。