降り続く雨。  
朝から部屋に停滞している不快な空気を入れ換えようと窓を開けてみたが、  
月は隠され、じめっとした重い空気が入ってくるだけだった。  
 
「嫌な雨だな、それに…」  
─ 嫌な予感がする  
 
「わぁっ!?」  
「?」  
そんな気配と憂うつな気分を吹き飛ばす同居人の声。  
嫌な予感の正体…ではなさそうだが。  
 
「ったーく、どうしたんだー」  
放っておく訳にもいかず、窓を閉めると部屋を仕切っているカーテンを開け声の主を捜す。  
床に転がっているものが目に入る。  
 
「おーい」  
「ん…ご、めん…」  
苦しそうにしている巧海の姿を見つけた晶が駆け寄る。  
 
─ 発作…か?  
何度か遭遇したことがある巧海の苦しむ姿。  
無理な運動をしなくても、ごくたまにこんな事が何度かあった。  
もう薬を飲んだ後らしく幾分か落ち着いているようだ。  
 
「どうしたんだ、!?」  
床に、ポトポトと赤い液体が落ちた。発作で血が出ることはないし、トマトスープのにおいもしない。  
転がっていた包丁と切りかけの野菜にまな板、シチューがことこと、コンロの上にあることを考えれば状況は明白だ。  
夕食の準備中。  
 
幸いか不幸か、血には縁のある晶がその様子からパニックになることはなかった。  
 
「はは、気にしないで、それは、薬をあわてて…取ろうとしたら、手が滑ったから…」  
「深いのか?」  
巧海の左手から流れる血の量からして、緊急を要するものではないが、手当が必要と判断した晶は  
左手を取り心臓より高くすると、キズを確認した。  
 
「とりあえずティッシュで押さえてろ」  
「大丈夫っ」  
「ったく、こんなの放っておけるわけねーだろ…」  
備え付けの救急箱を持ってくる。  
 
「…ありがとう」  
手際よく消毒し包帯をまく。  
それが終わったこそ、できあがったシチューが吹きこぼれそうになっている事に気が付いた晶は火を止めた。  
 
はぁ、と大きくため息をつく。  
「大丈夫だとは思うけど、化膿したらすぐ病院行けよ?」  
「はい…ごめん、迷惑かけて」  
 
「ったく、、当たり前のことをしたまでだ。…ところで発作は大丈夫か?」  
「うん、もう大丈夫」  
シチューの続きをしようとしたのか立ち上がった巧海はふらりと倒れそうになる。  
 
「おいっ」  
ばふっ  
近距離で抱き留められる。  
 
不可抗力なのは分かり切っていたが巧海の手があろう事か…。  
「! っおい、だからいわんこっちゃ、っ」  
あわてて舌をかんだ痛みは自分の失敗ではあったが、  
よくよく考えてみれば自分が"秘密"を知られるリスクも高くして手当する必要もないし、かってに倒れていてもいい。  
(それはさすがに良心の呵責があるかもしれない)  
別に命にかかわる何かが起こったわけではないのは確かだ。  
 
引きはがして巧海をしっかり立たせると、  
「あとは自分でやれ、迷惑をかけるな」  
また部屋を区切るカーテンの向こうへ消えていった。  
 
「あ、うん…」  
何か全体的に柔らかい感覚だった晶の感触に違和感を覚えつつも、  
火が消され吹きこぼれる心配が無くなったシチューを見ると少し休むためベッドで横になった。  
 
 
─ったく何してるんだ、あいつは別にただの部屋が同じだけの…  
 すべき事は…別にある、だったら。  
 勝手に世話を焼いているだじゃねーか?  
 その必要だって無いじゃないか…。  
 …だったらなんで、俺は…  
 
ベッドで背を向け、自問自答。  
 
 
〜〜〜  
 
 
「あの、これ作りすぎたから晶くんに…」  
左手を使わないように器用に右手でスープ皿とサラダを乗せた巧海がカーテンの向こうから呼びかける。  
毎晩毎晩"作りすぎる"巧海に、毎回説教をしていた晶だが…。  
 
返事のないままカーテンが開いた。  
 
「ったく、いい加減こんな事が続くんだったら」  
「ご、ごめん…」明るく笑うだけの巧海。  
苦笑しつつお盆ごと夕食を渡すと晶は当たり前であるかのようにそれを受け取る。  
 
「たしかに学食とかばっかじゃ」  
 
ビシン!!  
窓ガラスが割れるかという、台風並みの衝撃。  
 
突然、空気が変わった。  
「ったく! またかよ!」  
 
「あっ、あれ!」  
窓の向こうを通り過ぎていった異形のモノ、おそらくオーファン。  
 
巧海が気が付くと、すでに部屋には自分一人しかいなかった。  
見回すと、机の上に置いてあるシチューから湯気が上がっていた。  
 
「晶くん…。え!?」  
何かが窓の向こうを通り過ぎた。  
 
〜〜〜  
 
ザーーーー  
「西?」  
地面を蹴り景色が飛ぶようにすぎていく。  
雨と不快な空気のせいで方向が捉えづらい。  
イライラした感情を抑え、かすかな感覚を追う。  
 
びちゃっ  
 
「なっ」  
驚いて足を止める、まっすぐに移動していたはずの敵が正反対から強い殺気を放っている。  
 
─ …  
 
気配を読み間違えたという結論しかなく怒りを抑え、目の前に見えた木の幹で正反対に向きを変える。  
─ くそっ、野犬でも追っかけてたのか、  
 
視界が開ける。  
「やはりっ」  
そこには無数のトゲを生やしたヘビのような怪物がいた。  
「はぁぁぁ!!」  
苦無が怪物に斬りかかる。  
 
 
 
雨の中、走る人影。  
先ほどとは違いふらふらして速度は遅いが巧海本人は必死だ。  
「晶くん、はっ、はぁっ…たしか、こっちに行って…」  
息が切れて止まる。  
 
「晶くんー!」  
木に体重を半分預け必死に呼びかける。  
と、同時に雨音に混じった衝撃音が伝わってきた。  
 
「こっち!?」  
必死に駆け出す。  
─ もう1匹いたこと、知らせなきゃ!  
 
 
 
「弱いな」  
もはやバラバラといってもいい状態のオーファン。  
早く部屋に戻らないと酷く濡れてしまうと考えると、勝手に頭の中に巧海の事を思い出した。  
─ 気が付いてないよな…。そうだよな…。  
  ……くそっ、調子が狂う!  
 
「うしろーーっ!!!」  
「っタクミ!?」  
突然の大声、木々の向こうに一瞬、巧海の姿が見えた。  
 
 
「あの馬鹿」  
何でこんな所に、という言葉を押し殺し、短い愚痴と同時に体は反射的に振り返る。  
 
 
「なっ」  
 
フヴーーーーーー  
どろどろの物体が収縮すると同時に不気味な鳴き声をあげ、何ともしれない粘液を飛ばした。  
無数の触手が振り返ったのを合図であるかのように伸びた。  
 
びじゅ  
「くっ」  
捕まれた右手。その触手を苦無(くない)で切断し間合いを取る。  
 
ぶじょ  
すばやく伸びてきた触手が両足にからみつく。まったく間合いどころではなく、  
「ぐっ」  
 
両足の拘束を解こうとするとその間もなく両手が触手にとらわれる。  
 
─ っ、まずい…  
 
両手両足を拘束された晶は、なすすべが無い。  
 
「こっ、こいつ! はなせっ!」  
突然の自分ではない声に驚き足元を見る。  
 
集中していたため気が付かなかった。10メートル近くにつり下げられたそこから見下ろすと  
オーファンに木の棒きれだけで戦おうとしている巧海の姿があった。  
「にげっ」  
オーファン本体へ引き寄せられる、と同時に太い触手が口へ進入してきた。  
 
「むっ、むごっっっ」  
かみ切ろうとした瞬間大量の液体がのどへ噴き出し、飲み込んでしまう。  
 
ぶぢゅ  
「げっ、う、にげっ!!」  
なんとか触手をかみ切った晶は、それをはき出したが言葉を飲んだ。  
─ まずいっ、  
「ぅ、ぅぅ」  
捕まれた触手から逃れようとする巧海の姿があった。  
逃げることはもう不可能だった。  
 
─ 逃げろよっ、巧海…、、  
 
思うことはできても何もできない、それどころか触手の動きはエスカレートし、  
2つの獲物を自慢するかのように空中へ持ち上げ、さらに多くの触手が向かってきた。  
 
食いちぎられた怒り、もっともそんな感情があるかは不明だったが、触手のほとんどは晶へ向かってきた、  
両足をふとももまで上って、数本がその間に押し入ろうとする。  
「ぇぅ」  
なんとか足に力を入れて排しようとする間もなく今度は上半身に何本もの細い触手が襲う。  
 
「!」  
すぐに晒(さら)しの中へ進入してきた触手がきついその空間の中を動き回り、ふくらみの先端を見つけた。  
同時に連携した触手は胸を押さえている邪魔な布を引きはがそうとする。  
 
「あうっ」  
口から太い触手が無くなるとそれがふともものすき間から力強く進入してくる。  
「ひっ、」  
足で絡め取りなんとか遠ざけるが、そうしている間に晒しがほどけ、落ちてしまう。  
 
「いっ、あっっ!」  
いたぶるかのように動くその数本が胸を絞り上げた。  
そして先端のピンク色の部分をなで上げた。  
胸の先端を細かく擦られ鈍い痛みと、甘い感覚が現実を遠くさせる。  
 
「うっ、…ぉ、、」  
─ からだが、変だっ、…あの時の体液!?  
飲み込んでしまった体液に何かの効果があったのか、が考えても両手がふさがっている状態では吐き出すこともままならない。  
 
「ひ!」  
太いものが薄い布越しにあたる、その触手はまたも勢いよく液体を吹き出した。  
「はいっ、てくっ、あああ!!」  
 
身体の中心に熱い鉄を流し込まれたような  
耐え難い感覚が晶を満たしていく。  
 
「あっ、あ…」  
力が急激に抜け下半身がなにかを訴えるかのように鼓動し  
やるせない痺れが広がる。  
 
─ はやくっ…、ゲンナイを呼ばないと… やられるっ  
 
「晶くんっ」  
なんとか口にまで割り込んでくる触手を引きほどいた巧海は叫ぶ。  
しかしその力も弱々しい。  
 
─ だめだっ、巧海だけでも…逃がさないと!  
全身にありったけの力を込め触手を引きはがそうとする。  
すこしだけその拘束がゆるんだ。  
 
ずる、と二人の距離が縮まる。  
 
「片手をっ、使えればっ、ひっぃ」  
秘所の入り口を粘液で汚した触手がいたぶるように入り口を上下左右になで上げ、ぐっと力を入れる。  
「あぁ、っやっ、あ!」  
わずかに先端が体内に…。  
 
─ こんな怪物に! っ、くそっ くそっ!  
涙がこぼれたが、すぐに粘液と混じり分からなくなった。  
 
落下した分距離が縮まり、左手の方に巧海の姿が目に入る。  
なんでこいつは関係ないはずのやつが…。そんな考えがよぎる。  
「あっ、あああ!」  
その瞬間、再び触手の先から粘液が放出される。  
入り口に挿入されたそれは、わずかに漏れることもなく膣の中を満たす。  
同時にわき上がる甘い官能。  
 
「ふっううう(助けないとっ)」  
巧海が目を見開き苦しそうに表情をゆがめた直後、  
「うっ」  
口の中をふさいでいた触手のさきがかみ切られ、体液が飛び散る。  
すぐにはき出された。  
 
予想外の攻撃に触手が少し緩んだ。  
ありったけの力を込めて体を乗り出すと目の前にあった晶の左手、そこに巻き付いている触手にかみついた。  
再びの予想外の攻撃に晶の左手の拘束が引いた。  
 
「いまっ、だ!!」  
右手から触手を引きちぎり強引に印を結ぶ。  
 
 
─ −−−−−− ゲンナイっ 推参!  
 
〜〜〜  
 
ごぼっ  
 
地面に落ちた二人は息も荒いまま。  
数分が過ぎた。  
 
「ハァ…、っ、なんで来たんだ! 馬鹿野郎っ」  
「ごめ、ん…。もう1匹いるって、知らせないと…」  
地面にはいつくばったまま、情けなく答えるが  
 
「そんなことはっ! 分かっていたっ」  
─ 違うっ…俺の…  
  俺のせいで…、  
 
「うっ、気持ち悪い…ね」  
なんとか体を起こす巧海だったが、フラフラして立てそうにない。  
 
「そうだっ、、な…部屋に戻って早くシャワーを…」  
「大丈夫? ケガを?」  
首を振って否定する。  
 
先ほどから不定期に全身を硬直させる感覚。  
深呼吸をしてもまったく収まる気配がなく、痛みとは違いどう耐えて良いのか分からない。  
 
「肩っ、を貸すから、はやくっ!…おれは大丈夫だって」  
「うん…」  
巧海をなんとか起こすと、支えながら寮へと戻っていく。  
 
しかし、一歩歩くたびに体内から粘液…そして本人は気が付くはずもないねばった、愛液が土地の上にぽつぽつと落ちていった。  
 
 
もう動かないオーファンのど真ん中にあいた大穴のせいで重さを支えられなくなったのか、  
去って行く二人の後ろでそれは崩れ去った。  
 
びしゃっ  
シャワーにたどり着いた。随分部屋は汚してしまったが、やむを得ないだろう。  
「うぅ…」  
苦しそうに呼吸する巧海。  
 
「ケガをしたのか?」  
服を脱がせていく。  
あの粘液になにか毒でも含まれているのなら…、シャワーをひねり洗い流す。  
ぴちゃっ  
 
当然、下着の中も…。一瞬手が止まるが目を背けて服を脱がせる。  
 
─ 私の力不足で…、、  
 
できるだけ見ないようにしながら全身を洗い流す。  
するとなにかが触れた。  
思わず目に入ったソレ。  
 
「あ…」  
自分には無いモノ。  
しかし、それは明らかに"普通"ではない、充血し、硬化し、天に向けそそり立っていた。  
 
それが何を意味するのかは分かったが、なぜこんな事になっているのかは理解できなかった。  
「巧海…どうして。… っああぁぁ!!!」  
 
"それ"を見たのが引き金だったかのように、身体がえぐられるような未知の衝撃を受ける。  
押し寄せる波は次第に強烈になっていく。  
「うぅ、なんなんだよ、これっ、ひっ!」  
 
後回しにしていた自分の汚れを洗い流しながらも耐えきれず、その感覚の元に触れずにはいられなかった。  
「なっ、あっ…だめ」  
 
上からでは満足できず、脱ぎ捨てると身体のあちこちに触れる。  
どこかにあるこの未知の感覚の源。  
 
それはすぐに見つかった。  
「はっ、あぁぁ」  
力が抜け身体が支えられなくなる。  
巧海がいることも忘れ、秘所に手を伸ばした。  
 
身体にあたるシャワーの粒が汚れを流していく。  
 
次第に身体の表面が敏感になっていく。  
あの粘液は体内から、体外から、すでにほとんどが吸収されていた。  
シャワーのあたる感覚すらたまらない快感を生み、まだ未成熟な性器からぬめった体液をこぼさせた。  
 
力なく横たわってなされるがままだった巧海はその前に我に返り、ゆっくりと身体を起こした。  
目の前の光景に唖然とする。水しぶきを受けながら、力が抜けたのか、ぺたんと座り込んだ晶は自らの秘所に触れ  
そのたびにビクリと身体を揺らす。漏れ出す声。  
 
「晶くん……。あきら……」  
本能の何かが爆発したかのように焼け焦げる。  
経験のない衝動が目の前の少女に向かった。  
 
「あきら…だめ…ぼくはっ」  
「うっ、ぁあ」  
巧海が視界に入っても、何も見えていないのか反応のない晶。  
髪から水滴が落ち流れていく。  
「…っ、だめだぁっ…逃げて晶っ」  
何とか自分の異常な衝動を抑えようとするが、目の前の光景は興奮を強くする。  
視点は自らの欲望を受け入れようとしているのか、ヒクヒクと動く性器に釘付けになる。  
そんな様子は見えないかのごとく慰めにふけっていた晶の指がちょうど上端のクリトリスに触れた。  
「ひっ、いっ。巧海っ、助けて、狂うっ」  
愛液が噴き出した。  
 
びくん、びくっ。  
軽い絶頂が晶に襲いかかる。  
 
 
軽く押し倒す。何の抵抗もなく倒れる晶。  
巧海の手のひらがふくらみ始めた胸を圧迫し、指が走った。  
「ゃっ」  
わずかな動きが強烈に伝わる。  
必死に声を殺し、体内の熱線からマグマのようにわき上がる快楽に必死に耐えた。  
自らを慰めていた両手が押さえられ耐えられないモノが次々にわき上がる。  
 
ペニスに添えられた手がもはや大洪水になっている晶の入り口をすぐに探し当てる。  
先端で割り込むようになでる。  
 
「ハァハァ…くっ、そ! 止まれ!!」  
巧海は理性を働かせようと必死になってはいるが、  
本能という強烈な衝動が容赦なく自分を突き動かし、  
そして、目の前にはあまりにも美しい異性が無抵抗で横たわっている。  
わずかに進めば、そのナカへ。  
 
「おれっ、は…おまえっ、な…ら」  
同時だった。  
 
ぶぢゅ  
「ひぃっ!」  
 
「あっ、ああっ!」  
迎え入れられた巧海のペニスは、それを喜ぶかのような膣に絞り上げられ、限界を遙かに超えた快感を受ける。  
 
「うっ ひぇ!?」  
極限まで鋭くなった体内に容赦なく進入する巧海のペニスが  
奥まで突き進むと、高速な装填を開始する。  
 
「あきらっ、こんな…っ」  
想像を超えた膣の締め付けと愛液のぬめり、  
強烈な快感がもたらした収縮がさらに快楽を強烈なものへ押し上げていく。  
 
限界ギリギリで挿入した巧海がすさまじい放出の欲望を抑えきれなくなるのは、すぐだった。  
「出るっ、だすよっ!!」  
「いっ、ぎゅっ、んぃぃ!!」  
もはや声にならない声を上げる晶はただ巧海にしがみつき、  
 
「いくっ…あぁぁぁぁぁ」  
びゅくっ びゅっ …  
「あ゛あ゛っ、深いっ、あついっ、ながれ、う゛ぬ ……!!!」  
結果、最深部でつながり熱い精液を受け止める。  
言葉はなく、失神しないように呼吸を行うのがやっとだった。  
 
荒い呼吸音が響く中、二人の精神に冷水がぶちまけられた。  
急激に理性が戻りはじまる。  
 
「あふ…」 ペニスがずるりと抜け、晶のわずかな声が漏れた。  
膣内から精液と愛液の混ざった液体が流れだし、シャワーの水といっしょに吸い込まれていった。  
その体液に赤いものをみて、巧海は一気に我を取り戻す。  
 
「…」  
自分を突き動かしていた本能が突然平常に戻り、目の前の非現実を目の当たりにする。  
「晶くん… あきら…」  
「あぁ、あれに、は…」  
荒い呼吸を整えながら、何とか思考を正常に戻そうとする。  
「媚薬のような効果が…多分…」  
「あれ? …あの、…怪物?」  
「…あ、ぁ…」  
 
シャワーの流れる音だけが聞こえていた。  
 
「うごっ、けるなら…手伝えっ」  
「あ…」  
情けない返事を返したが、自分はまだ動けることに気が付き、  
シャワーを止め、晶をひっぱり出し、バスタオルで包んだ。  
 
さすがに持ち上げる力はなかったが、なんとか引きずってベッドにたどり着き晶はそこに倒れ込んだ。  
 
「ああ…はぁはぁ…」  
 
「巻き込んでしまった。すべて私の…無力さ…ゆえに」  
ぼーっと天井をみたまま話す。  
「晶に、こんな…事をしたのは、僕だろ!?」  
涙目になりながら晶に話しかける巧海だが、頭の中はまだなにか霧がかかり、いくつかの本能が理性を焼いていた。  
 
そんな様子を見た晶がぽつりと漏らす。  
「…なら、私の婿になるか?」  
 
「……えっ」  
失笑した顔のまま 「冗談だ…」  
 
晶がベッドにくるまると隣にいた巧海を巻き込んだ。  
 
「私は…お、お前のこと嫌いじゃないから…罪(ざい)に思わなくともいい、とさっきから」  
─ 私は、"男" なんだから…巧海が、好き? そんなことは…そんな事 でも…  
相いれない関係を思うと急に胸が苦しくなり涙がこぼれた。  
 
「ぁ…あの…だから、とにかく、俺の事は忘れ」  
ばたっと、巧海が横に倒れてくる。一瞬焦るが、どうやら力が入らないだけのようで、呼吸音が聞こえた。  
 
巧海の、表情が目に飛び込んでくる。  
吐息が届く。  
 
 
「あっ、あの…だからだ…」  
「婿になるから!」  
突然、巧海が目を見つめたままそう叫んだ。  
 
「え?」  
「責任取る…。僕みたいな……めめしいのでいいのなら」  
「ま、待てよ、お前は女々しくなんか無い! 俺が…ちゃんと」  
巧海の目から涙がこぼれた。  
その表情は悔しさでいっぱいだった。  
「僕は、何もできなかった。助けられなかった」  
「助かったのは、お前のおかげなんだぞ!」  
怒りより、情けなくなってくる。  
 
「でも…こんなにおかしくなる前に、助けられなかった」  
それでも認めようとしない巧海に晶は  
 
「そんな風にっ」  
「?!」  
柔らかい感触。唇になにかが触れる。  
すぐに離れていった。  
 
あわてて涙を指ではじくと晶は赤面した顔を伏せた。  
「…なら、今日だけ…婿になれ」  
「でも、それじゃ逆」  
「いいから言うとおりにしろ!」  
この鈍感! と内心怒りつつ身体に直に触れる巧海の体温を感じ、  
恥ずかしさが蘇ってくる。  
 
ほんの数時間前までは変わったルームメイトだったのに  
今は秘密を共有している。  
 
しばらく晶のようすを見ていたが、意を決したように。  
「あっ」  
「……」  
目を閉じた巧海の唇が重なり、甘い味が伝わってくる。  
先の強引に唇を押しつけたキスではなく、柔らかい唇を味わうようにあわせ、同時に舌を押し入れる。  
 
「んっ」  
驚いた晶が、びくりと震える。  
まだ普段と同じではない全身の感覚に、唇を舐める感触が伝わる。  
 
すぐに舌は、口の中に入り激しく相手を求めた。  
「あきら」  
「んーーっ」  
歯に触れ、舌が絡み合い、唾液が流れる。  
 
ちゅっ ずっ  
 
「ふぅっ」  
何度もお互いを味わった後、舌が離れた。  
 
「ぁぁ、晶…」  
「あ……」  
呆然と巧海の顔を見つめる。  
二人の間に絡まっていた唾液が線になり…。  
 
「や、やめっ、そこは」  
ふくらみかけの胸を手のひらで優しくなでる。  
先端にあるきれいなピンクの部分は堅く立ち上がっていた。  
 
「晶、ここ、堅くなってる」  
「言うなっ」  
ちゅろ  
 
その先端に舌先があたり唇全体で覆われると、唾液が漏れるのもかまわず堅くなった先端を舌全体で集中的に攻めた。  
「あっ、ひっ、いっ、ああ…っっ」  
恥ずかしいのか必死に声を抑えるが、余計に高まっていく事に気が付かない。  
 
歯を当てて軽くかんでみる。  
「!ふっーー、あっあ、止めろ!噛むなっ 何っ、やあっ…」  
そのままチロチロと先端を舐める。  
ただでさえ力の入らなかった晶の身体はもうこの時には完全に脱力しきっていた。  
 
胸から離れると、身体の位置を大きくずらし、火照りが集まっている場所を見た。  
閉じられた足の間からねっとりといやらしい光を反射する体液が見えた。  
「あ、あぁ…」  
全身をくまなく見られているという実感にズンとなにか熱いものがまた体内に生まれる。  
 
「もっと、見てもいい?」  
返事を待つつもりは最初から無かったように、両足をつかむと開いていく。  
ただ裸を見られているだけでも恥ずかしかった、にもかかわらず  
自分の秘所が露わにされ、さらに押し上げられその下まで。  
 
「やっ、やめやめろ、ばかっ、」  
「身体、柔らかいんだ」  
M字に開かれた晶の身体。  
 
「こっち、綺麗にするね?」  
少しだけ開いているそこは巧海を迎えるかのように、さらに愛液をこぼした。  
指と唇で左右に開くと泉の正体がちらりと見えた。  
 
愛液があふれ出している泉に舌を落とす。  
 
性器まで数センチの位置から見られるという状況にあばれる晶。  
「ふっひゃ、ああ…やめ」  
言葉は次第に力がなくなり、舌先で舐められた入り口がキュッとしまった。  
 
その穴からあふれ出す愛液を舌先でかき回しながら周りを舐め続ける。  
「ひゃ……!」  
 
わずかに舌先がその穴から膣内に進入する。  
身体を強張らせガクガクと震える。  
舌先が魔法のように快感の渦のより深くへと晶を沈めていく。  
 
ちゅる、ちゅっーー  
 
「あっあ!」  
何が起こったのか分からなかった晶が声を上げる。  
巧海は、ナカを舌先で舐めながらあふれてくる液体を吸い上げた。  
 
「ほんとにっ、やめっ! ひっ、どこを」  
一度顔を離し、下のくぼみにたまった愛液を舌で舐め上げる。  
あふれた愛液がつーと垂れ再びアナルのくぼみにたまった。  
必死に止めさせようと足を閉じるがもう力は入らず、恥ずかしさだけが高まっていく。  
 
「ひいっ」  
アナルを往復する舌が強くそこを押す。  
 
─ なんでそんなとこっ、やめろ…  
それだけでまた快感の固まりが全身を熱くした。  
 
じゅっ  
「!!」  
ヌメヌメになった人差し指がアナルに進入した。  
信じられない事にどうしていいのか分からずパニック状態の晶だったが、  
ただ、そこからは与えられるはずのない快感と未知の違和感に打ち震えた。  
 
指がより深く進入し、くいっと曲げられる。  
「っ! っ!」  
 
「気持ちいいみたいで、よかった」  
落ち着いた様子の巧海に、止めるように声を出そうとするが、  
何か大きな快感の渦の中心が、突然真っ白になり  
 
「ひぃっ!!!」  
びくん!! びくん!!  
 
身体が跳ねた。  
 
「晶!?」  
あわててナカを撫でていた指を抜くと晶を抱きしめた。  
「イったの?」  
 
「いっ、いっ……」  
答えられず、巧海を抱き閉めるだけの晶。  
身体が震えるたび、すごい量の愛液が分泌されシーツを濡らしていた。  
 
次第に震えは収まり  
「あ、、ぁ… な にか、きて…」  
「凄かった?」  
「ど、どこを、お前はっ、」  
巧海をせめてみても恥ずかしい事に変わりなかった。  
「だって、ひくひくして…」  
「そんなっ…」  
 
ずっ、と巧海の顔が近づく。  
「んっ」  
そのままキス。軽く唇を合わせると、すぐに離れた。  
 
「いい?」  
ピタリとあわされた熱くて堅いもの。  
「へ …あ、…うん」  
 
ゆっくり進むと愛液があふれ出し、  
「ああ、は、入って…」  
そのまま二人は1つになった。  
 
しばらく呼吸だけが続き、相手を感じる。  
「痛く、ない? 血が…出てたけど」  
「大丈夫だ…」  
 
「なら、気持ちいい?」  
本心から心配して聞いてみたのだが  
「!ばかっ、これ以上恥ずかしい事を、んっ!」  
あふれた愛液に赤いものがわずかに混じる、同時に晶が顔をしかめた。  
「ごめん、…動かないようにする」  
 
「いいからっ、気にするな」  
怒った晶の声に  
 
「…じゃあ 動くよ?」  
ずっと腰を引くと亀頭に掻き出された愛液がまたこぼれ出す。  
「ふーーっ、うっ」  
 
ずちゅ。 ずっ。 ずっ。  
腰がゆっくり動かされすぐに快感がやってくる。  
再燃する欲望は晶の羞恥心と混ざり体内にある自分ではないモノに神経を集中させた。  
熱く堅いモノが何度も出入りを繰り返し、そのたびに身体が喜びの悲鳴を上げる。  
快楽という名の麻薬がすべてを支配する。  
 
「はうぅ、いいっ、たくみっ」  
痛みが引いたようすを見、次第に速度を上げ腰を大きくスライドさせる。  
 
「いいっ、いいーっ」  
「はぁ、はぁっ!」  
本能の言うままに大きくねじるように打ち込む。  
 
「!っあ、いっ、あっ」  
次第に声は甲高いものになっていく。  
脳内をかける麻薬があふれる。  
 
「だめっ、またっまた、」  
何かが来る。その感覚に晶は、無意識で足を巧海に絡める。  
「僕もっ、」  
強くこみ上げてくる射精の予兆は、晶の体内を目指す精液が沸騰したかに感じられた。  
 
ずにゅぅぅ  
突然収縮を繰り返し始めた膣に巧海が悲鳴を上げる。  
「くうっっ、あきらっ!!!」  
 
高まった二人の快楽は受容限界を超え、炸裂した。  
 
「も、…!!!! ひ !!!! っ」  
イったままの晶に巧海がすさまじい早さでピストン運動を繰り返し、  
「っ」  
びじゅ  
 
ついに子宮に向かい奥まで突き込まれたペニスから精液が吹き出した。  
「あきらぁっ、好きだっ」  
「あっああ、たくみぃ…」  
体内に注ぎ込まれる感覚は膣から全身へ広がり、晶は鮮烈な快楽に打ちのめされる。  
 
じゅぶ ちゅぶ  
 
何度も腰を押しつける。そのたびに晶が弱々しく声を上げた。  
「好き…っ」  
─ この、感情は…なん…だ…  
 
 
〜〜〜  
 
 
放心した二人はベッドで仰向けになって荒い呼吸を整えていた。  
何とか口を開く。  
 
「ったく…今日はなんて日だ…」  
「これは…」  
「ん?」  
「一目惚れなのかな?」  
「……違うだろ? 巧海が、俺に合わせてくれただけで…ただの」  
心の中の空白。現実に戻った晶は、その冷たい空間に触れた。  
 
「好きなのは、本当だよ。今日だけじゃない」  
「!? は、いや、ちょっと待てよ。こうやって男の振りしてる理由も聞いてないのに…そもそも何で俺を」  
「よく、分からないけど。晶くんが好きだから」  
真顔でそんな事を言う巧海。  
 
「ちょ、ちょっと…まってくれ…本当に俺……」  
「秘密の忍者さんでも、好きだよ」  
「!あ、あのなーっ、…ったく、お前は」  
と、巧海の左腕に赤い跡を見つける。  
 
「おい、傷口ひらいてるんじゃねーか?」  
「え? ああ、忘れてた…」  
ふらふらと立ち上がり、いったんばふっとベッドにしりもちをつく。  
 
「大丈夫?」  
気合いで立ち上がると、救急箱を持ってきて包帯を直す。  
 
「ありがとう」  
「料理の事だけどな」  
「うん」  
「毎日余るんなら、2人分作れ! 食ってやる」  
「うん!」  
「たく、うれしそうに…いっ」  
ぎくっと体内でなにか痛みを感じる。  
同時に痺れたような心地良い感覚。  
 
「もう、うごけねー」  
ベッドに倒れ込む。  
 
「大丈夫? 僕も、だめそうだけど…腰が、痛くて…」  
また、顔を見合わせる。  
荒い呼吸がかかる。  
 
「これはしょうがねーだろ…まだ入ってる感じが、する」  
「ごめ」「ごめんは言うな」  
横を向くと巧海の顔がある。  
不安そうだ。  
 
「大丈夫だから…」  
「うん」  
晶はまた赤くなりつつ、目をつぶった。  
 
「…ん…」  
ちぅ  
 
ばさっ  
「ったくっ! もう寝る…」  
唇が離れると同時に180度向きを変えるとそう宣言する。  
 
「うん…おやすみ」  
となりにある温かい体温。  
少し抱きしめると柔らかな感覚。  
 
本当に疲れ切っていた二人はすぐに眠りに落ちる。  
巧海の体温を感じながら、晶は、不安と今の幸せな感情に睡魔が少しだけ消えた。  
 
「すき……で…ぃぃ? ……」  
「んー…」  
 
長い夜は終わり、分厚い雨雲が晴れると、月の光が部屋をやさしく照らしだす。  
 
 
[END]  
 
 

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!