学園食堂のテーブルの上には、唐揚げ、タコさんウィンナー、甘い玉子焼きにおにぎり等々が所狭しと並んでいる。
「…………………………」
命はダラダラと、お預けを喰らった子犬のように涎を垂らしながら、目の前にある遠足に行くときのようなお弁当と、
「…………………………」
正面の席に、少しはにかんだような笑顔を浮かべる舞衣との間で、視線を行ったり来たり泳がせていた。
「……召し上がれ」
パッと命は顔を輝かせるがすぐに、
「いいのか?、もう怒ってないのか舞衣?」
そ〜〜〜っと、上目づかいで舞衣を窺う。イタズラが見つかった子供のような仕草が可愛い。それを見て、舞衣の心がチクリと痛む。
「ほんとに怒ってたわけじゃないんだってば……」
昨日は夜寮の部屋に帰ってくると、半ベソの正座で待っていた命を無視する形で、早々に一人ベッドに潜り込んでしまった。
命もなにかを動物的勘で察したのはいいが、それがなんなのかわからず『舞衣は怒ってる』と思って、昨日からオドオドしていたのだ。
「だ〜〜い好きな命を怒るわけないでしょ、だけど沢山食べてくれないと、怒っちゃうかもしれないよ?」
「そ、そうか、わかった、沢山食べる!!」
今度こそ命の顔に華が咲くと、両手を使っておにぎりとおかずを同時に頬張る。
「むぐっ 美味い、むぐむ……ぐ!? ごほごほっ」
「ほら、いっぺんに食べるから」
舞衣がお茶を出すと、命は慌てて喉に流し込んだ。
よかった、これで命とは元通りだ……昨日の事は………忘れよう………
ほっと胸を撫で下ろし、舞衣が忌まわしい記憶を消し去ろうとしたとき、
「隣り、いいか?」
声を掛けられて顔を上げると、なつきが学食のトレーを手に持ち立っていた。
「玖我さん……」
「珍しくいっぱいなんだ、ここしか空いてないから仕方ない」
なつきの言い様には、舞衣は若干引っかかるものを感じたが、周りを見回すと確かに席は空いてない。
「……どうぞ」
舞衣は少し席をずらし、なつきの座るスペースを空けてやる。ちなみに、命の隣りも空いているのだが、食べカスが盛大に飛んでいた。
「ん? 手作りか、それ?」
それとは命の目の前にある遠足弁当の事だろう。
なつきの視線を感じて、命は腕を広げるとガ――ッと、一つ残さずおかずを自分の方に引き寄せた。なつきを睨む。
「やらんぞ」
「いらん……」
ぷいっと目を逸らしたなつきのメニューは、AだかBだかは知らないが、白身魚フライの定食だ。マヨネーズをかけると、
"もぐもぐ……もぐもぐ………"
無言で食べ始める。取られる事のないのを確認した命も、またおかずを口いっぱいに頬張った。
なんとなく妙な雰囲気の食卓で、舞衣もとりあえずおにぎりを口に運ぶ。そこへ隣りにいる舞衣にしか聞こえない様な声で、
「昨日は…………平気だったか?」
「……え?」
"ポトッ……"
舞衣の手からおにぎりが落ちた。
「バイクが車検でな……電車に……私もいたんだ……………すまん」
変わらない様子でフライを口に運びながらも、なつきの声には微かに優しさと、女性同士にしかわからない無念さがにじんでいる。
「思い出したくもない事を思い出させてしまったな…………ほんとにすまん」
なつきはまだ半分も食べてないトレーを持つと席を立った。
「あ……玖我さん……」
舞衣が呼んでもなつきは振り返らない。トレーを片付けると、そのまま食堂を出て行った。
"〇〇行きの電車……16:28発車いたします……"
昨日と同じ時間に、舞衣はその電車のホームで待っていた。
約束をしたわけじゃない。でも来るという確信めいたものが舞衣にはあった。
「やっぱり……」
綺麗な長い髪が電車の作る風に踊ってる。なつきも舞衣に気づいたのか、面白くもなさそうな顔でこっちを見てる。
「……玖我さん……ここでなにしてるの?」
「べつに……オマエには関係ない」
ポケットに手を突っ込むと、なつきは舞衣から目を逸らした。
「仇討ち……とか……バカな事考えてないよねぇ……」
「私はそこまでお人良しでもなければ、ヒマでもない」
そこには嘘をついている様なそぶりはない。人によっては冷たいとすら感じさせる、いつもと同じ 玖我 なつき だ。
しかし舞衣には……
「ありがとう……だけどこんなの……玖我さんも危な……」
"プルルルルル〜〜〜〜〇〇行きの電車、発車致します"
「戯言はもういい、オマエは遠回りでもして帰れ」
なつきは舞衣の言葉を遮ると電車に飛び乗る。それを見て舞衣も反射的に乗ろうとして、
"ごめんなさい……"
「え!?」
聞き慣れた声がした気がして、舞衣は振り返った。誰もいない。
「あれ?」
誰だかわからないけど、知り合いの声がしたような?……
舞衣は首を傾げて顔を前に戻すと、もうなつきはズンズンと電車の奥へと歩き出している。
「ちょ、玖我さん待って!!」
なつきを追って、舞衣は慌てて電車に飛び乗った。
"ごめんなさい……"
囁かれた言葉は、こんどは誰の耳にも届かず、電車の発車するときに生み出された風の中に消えた。
なつきと一緒に満員電車に揺られながら、
"チラッ……チラチラ………チラッ………チラチラ……チラッ……"
本人的にはさり気なく、客観的には挙動不審一歩手前の様子で、さっきから舞衣は周りを警戒していた。
痴漢に遭ったのは昨日の今日である。誰も彼もが、舞衣の目には痴漢に見えてしょうがない。
「……落ち着け……オマエがいまこの電車の中で一番怪しいぞ」
「むっ! ……悪かったわね」
舞衣はぷいっと、気分を害した風を装いながら、なつきから首を捻って目を逸らした。
本当はなつきの吐息が耳元に当たってくすぐったかったのだ。
二人のいまの体勢は正面からくっつき合う形である。それこそ客観的に見れば、女の子同士で抱き合ってるように見えなくもない。
「……痴漢……来るかな……」
「そういう事をするんなら……お誂え向きだろ」
「……そだね」
この時間はまだサラリーマンの帰宅ラッシュには早いはずだが、電車内はスーツ姿の中年でごった返していた。整髪料が臭い。
たしかに、痴漢殲滅に燃えているなつきにはお誂え向きだろう。
ただ正直なところ、口には出さないが自分の為に憤り、意気込んでいるなつきには申し訳ないが、『痴漢に遭わずに済むのなら、
それに越した事はない』と言うのが、舞衣の本音である。
一応なつきには『触られたら容赦なく刺せ』と安全ピンを貰ってはいるが、使わない事を祈るばかりだ。
だいたい"オーファン"なんて呼ばれてるモンスターは切ったり叩いたり出来るけど……人間相手じゃね……!?
なにかがお尻に触れた。なにか?身体が覚えている。お尻を触られたときのおぞましい感覚を。
刺す踏ん切りはとても付きそうもない、っと思っていた舞衣だが、
"ドスッ……"
「ぐぁッ」
痴漢は人間じゃないッ!!
すぐについた。けっこういい具合に深く刺さってる。
「いい気味だ……」
舞衣の後ろにいる、顔をしかめて悲鳴を上げた中年男に、なつきは憐れみなど微塵もない視線と言葉を吐きつけた。
その痴漢となつきの目が合う。笑った。にったりと、厭らしく。
「!?」
なつきの身体が、ピクンッと跳ねる。反射的に後ろを向こうとしたがそれは無理だ。
「……もう一人いるみたいだよ」
舞衣がなつきの後ろにいる男を睨みつける。その男もにったりと厭らしく笑っていた。
"グッ……"
「あ……」
前の男を睨んでいたら、不意に舞衣はピンを持ってない方の手首を掴まれる。
まずい!!……
昨日はこの後手錠を填められて、いいようにされたのだ。後ろにいる男に向かって、舞衣は再度安全ピンを突き刺す。
「ぎゃッ」
また悲鳴が上がる。だが手首を掴む力はまったく緩まない。
「くッ」
"ドスッ…ドスッ……"
「いッ…舞衣ちゃ……いいかげん…ぎゃッ」
痴漢如きに『舞衣ちゃん』などと呼ばれると、それだけで寒気が走る。舞衣は笠にかかって、安全ピンを痴漢の手に突き立てた。
離しなさい!!
しかし、それでも男は手を離さない。舞衣が『おかしいなぁ?』と思い始めたとき、
"ぐッ……"
「え……」
安全ピンを持っている手も掴まれた。
「元気いいねぇ舞衣ちゃんは……オジサン嬉しいよ」
すぐ横に立っていた髭面の、一見して成金とわかる中年男が、すりすりと両手で撫でながら舞衣の手を掴んでいる。
ちなみに、整髪料が臭いのはこの男だ。
「若い娘はそのくらいじゃないと……おもしろくないしね」
安全ピンを奪い取ると、舞衣の手を自分の股間へと当たり前のように持っていった。
「ちょ、やめてッ」
もうそこは、舞衣が触れる前から硬くなっている。嫌がる舞衣の手を強引に、己の勃起にこねるように擦り付けてきた。
「……くぅッ……ううッ………」
ビクンビクンッと脈打つ勃起の鼓動が、はっきりと手に伝わってくる。
舞衣はその気持ちの悪い、生々しい鼓動を感じる度に吐き気がしそうだった。
「おい……オマエら……そこま……ひッ!?」
耳を襲うねっとりとした舌が、凄んだなつきの声を途切れさせる。舞衣はその声にハッとなった。
なつきの両脇には後ろに立っている男と同じ、ニヤケ顔で二人の男が立っている。
「こっちのお嬢ちゃんも元気だねぇ」
"ぐにゅ……"
後ろに立っている男が、腋の下から手を通して乳房を鷲掴みにした。
「な!?」
「オッパイは舞衣ちゃんより無いみたいだけど」
そんな事を言いながらも男の手は"むにむに"と、なつきの乳房をリズミカルに揉みしだいてる。
このセリフからして、昨日の痴漢はこの男のようだ。
コイツかぁ!!……
睨む舞衣の視線に気づいたのか、男はニッと黄色い歯を見せて笑うと、
「こっちのお嬢ちゃんのオッパイもいいけど、舞衣ちゃんのオッパイ触ってみな、病み付きになるぜ」
「どれどれ……」
舞衣の乳房にも手が伸ばされる。それもいっぺんにたくさんの手が。
「やめ……んッ………やめてッ……んンッ……ひッ……くぅッ……ぅんぁッ……」
自分の欲望を満たす事しか考えてない男達の手。その不躾な触り方には、舞衣は乳房に痛みすら感じる。でも……
イヤなのに……イヤなのにイヤなのに………どうしてなのよ!!
その痛みが、舞衣にはとても甘く感じられた。一度味わった快楽の味は、蒼い身体が覚えている。覚えたのは昨日の事だ。
忘れるわけがない。忘れられるわけがない。
男達は舞衣の乳房をニヤニヤと下卑た笑いを浮かべて、握り、掴み、揉みまわし、柔らかくそれでいて弾力のある感触を堪能していた。
もっともそれだけで、火が点いた牡の本能が鎮まるわけもなく、制服の胸元を開けて、舞衣の暖かい乳房に冷たい手を差し込んでくる。
隙間から覗くピンクのブラに、男達の視線が吸い寄せられた。
ふんわりと盛り上がった舞衣の乳房は、男達の視線を感じて、ふるふると震えながら肌を紅く染めている。
「チラッと覗くのも風情があっていいが……」
"プチップチッ……"
成金の太った毛虫みたいな指が、片手で器用に舞衣の制服のボタンを外していく。
「あ……うぅッ……」
ふと気づくと、男達だけではなく、後ろから羽交い絞めにされたなつきまでも、ジッと舞衣の乳房が晒されようとするのを窺っていた。
"ガバッ……"
「ああッ……」
露にされたブラに男の手が触れる。
"ブチッ……"
毟り取られた。なにも着けてない舞衣の乳房がまろび出る。
ブラジャーの支援がなくても、張りのある乳房はきれいな半球形を保ち、垂れる気配は微塵もない。
白くて大きなふくらみには、唇の色と同じピンクの乳首が"チョコン"と慎ましやかに鎮座している。
それを頂くふくらみが大きい為に、舞衣の乳首はいやに小さく可愛らしく見えた。
「おおッ〜〜!!」
嘆息を洩らす男達の視線から逃れるように、舞衣はギュッと目を閉じる。
それでも自分の乳房に突き刺さる、男達の痛いくらいの視線を感じて、舞衣の肌がサッと紅潮した。
「……こりゃいいもの見せてもらったなぁ」
「眼福……というやつですな」
太った成金男に、舞衣を挟んで反対側、安全ピンを持ってなかった方の手を握った神経質そうな男が答える。
「お、さすがに教師ですな、そんな言葉がすぐ出てくるとは」
「いやいや」
中年同士で慣れた社交辞令をしている間も、そのねっとりとした、絡みつくような視線は舞衣の乳房にそそがれたままだ。
「しかしこうなると……こっちのお嬢ちゃんのオッパイも見てあげないと不公平だよねぇ」
その言葉に、呑まれたように舞衣の乳房を凝視していたなつきの顔が強張る。
左手を掴んでいる、作りは悪くないが、いかにも"甘やかされてここまで育ちました"と顔に出ている男を睨みつけた。
「オッパイ比べか、いいねぇ」
右手を抑えている、ファッションではなく、ただたんに伸ばし放題の無精髭を生やした男が言いながら、なつきの制服の胸元に触れる。
「…………いま止めれば……半殺しですませてやる……」
その瞳に人を殺せる力があるならば、半殺しではすまないだろう視線をなつきは叩きつけたが、いまはそれが獲物をいたぶる事で、
興奮を抑え切れなくなってきている男達の嗜虐心の炎を、ますます煽るだけの効果しかなかった。
「ふぅ〜〜ん、でもオレさぁ……キミのオッパイどうしても見たいんだよね、いやだと思ったらオレの事殺してもいいからね」
男は笑みを深くすると、
"プチッ……プチッ……プチッ…………"
殊更ゆっくりと、なつきの制服のボタンを外していく。
男を睨みつけながら、ぶるぶるとなつきの身体が震えているのは、怒りの為なのか、それとも羞恥の為なのか…………。
両方……だよね……ごめんね玖我さん…………
うっすらと開けた舞衣の瞳からは、脱がされて、ライトブルーのブラジャーに手を掛けられたなつきを映して涙が零れた。
「ピュ〜〜 大きさは舞衣ちゃんほどじゃないけど、美乳ってやつだね」
調子っぱずれの口笛を吹くと、男は、いや男達はしげしげとなつきの乳房を鑑賞する。
男の言うように、たしかに大きさこそ舞衣の方が一目で上なのはわかるが、『そそられる』という意味では遜色ない。
それになつきの乳房は、大きさを補おうというわけではないだろうが、蕾が花を咲かせるように、
「お? お!?」
男達の視線を浴びながら、ぷっくりと乳首が勃起していく。
"ギリリッ……"
歯軋りの音。なつきは親の仇を見るような目で、自分の身体の屈辱的な変化を見せる一点を睨みつけていた。
わかるよ……玖我さんのいまの気持ち…………どうしょもないんだよね…………
突然自分の意志とは関係なく、はしたなく浅ましい変化を見せる身体。信じていたものに裏切られた気分になる。
「小さい方が敏感っていうのは本当なのかな?」
「ん〜〜 どうかなぁ? 舞衣ちゃんよりも、お嬢ちゃんの方がエッチなだけじゃない?」
なつきは"カ―ッ"として睨もうとしたようだが、上げようとした顔を伏せた。
効果などないのはもうわかっているし、それが男達を喜ばせるだけなのも、もうわかっている。
ごめん……玖我さ……!?
"きゅいッ"
不意に舞衣の乳首は、太った毛むくじゃらな指先に、少しきつめに捻られた。
「ひんッ」
甲高い声が舞衣の口から漏れる。
「そんな事ないでしょ、舞衣ちゃんだってこんなに敏感にエッチな声で鳴くんだから」
太った指に乳首を弄られ転がされると、舞衣の乳首はそれに答えるように、すぐに硬度を増しっていった。
「ほら…………ね」
成金男が顎をしゃくって示すのはつまんでいるのとは反対。触られていない方の乳首も、ぷっくりと隆起している。
「舞衣ちゃんってイヤらしいねぇ……お嬢ちゃんも友達なら……やっぱりイヤらしいんでしょ……」
耳元に息を吹きかけながら、無精髭を生やした男の手が、なつきのすべらかな腿を撫でながらゆっくりと這い登り、
スカートの中に潜り込んできた。
ただ這い登ってきているのは手だけではない。ゾワゾワと"不快"を装って、なにか得体の知れない感覚も競り上がってきている。
なつきはそのなにかを、意志の力を総動員して無視した。認めたくないから……この感覚を……。
"グッ……"
男の手がショーツに手を掛けた。なつきは慌てて内腿を閉じる。でも、わかっている。虚しい抵抗だという事は……。
"ズル……"
いとも簡単に、なつきのショーツの片方がずり落ちる。引っかかっているもう片方も、無精髭が甘ったれに目配せすると、
「OK〜〜!」
もう片方が一気に膝元まで降ろされた。なつきの身体がわずかに身じろぎする。
「ん? お嬢ちゃんパンツ降ろされちゃった?」
後ろから抱きついてる男は、乳房から手を離すと、小ぶりのお尻を撫でながら谷間を擦るようにして、指を強引に侵入させようとする。
「くぅッ……」
なつきは内腿に力を入れて侵入を拒む。ぴっちりと閉ざされた足を、男は中々こじ開ける事が出来ない。諦めて一度手を引っ込める。
ほっと胸を撫で下ろすなつき。だが、男の顔には余裕の笑みが浮かんでいた。
男は指先を咥えて唾で濡らすと、なつきのお尻の中心、小さなすぼまりに押し当てて、
"つぷッ"
「ひうッ!?」
異質な感覚に反射的に括約筋がすぼまる。そのきつい締めつけに逆らうように、指先がなつきの菊座に入り込もうとしていた。
円を描くように指で唾を塗りこめ、揉みほぐしていくと、力が入らないのか、徐々になつきの足が開いてくる。
「ど、どこを触ってる!」
排泄するための器官に触れるなどというのはなつきの常識では考えられない。それなのに……。
「あッ……う……はぅ……くぁ―――――ッ!!」
指先が後ろの穴をえぐると、得体の知れない感覚が熱いうねりとなって下腹部の芯を疼かせる。
「うッ…うッ…んあッ……あッ…はぁんッ……んッ……ふぁッ……あ……やッ……むぐッ!?」
「おっと」
男の手がなつきの口を塞いだ。
「喜んでもらえるとオジサン嬉しいけど、公共の場だから静かにね」
うねうねと指先を踊らせながら、ニヤケた顔で男はうそぶいた。なつきの菊座はすでに男の中指を根元まで呑み込まされている。
「手がいっぱいみたいだから、前はオレがもらうよ」
無精髭がその間に抜け目なく、なつきの恥丘に手のひらを被せた。そのまま指先を、微かにぬかるむ秘裂へと沈み込ませる。
「お? 濡れてる濡れてる」
「んぅッ……」
ガックリとうなだれたなつきの顔は耳まで赤い。
それが怒りの為ではなく、否定できない羞恥を突きつけられた為なのは、誰の目で見てもあきらかだった。
実際にはなつきの秘裂は『濡れてる』などと指摘されるほどではなく、ショーツの股布に小さなシミを作ってしまう程度なのだが、
「ほらほら、こんなに濡れちゃうなんって、お嬢ちゃんみたいなツンツンしてる娘にかぎって……」
敏感な女の子の粘膜を泳ぐ指先が、なつきの狭い膣口の奥へと吸い込まれる。指先を曲げて入り口付近を軽く引っ掻いた。
「はぅッ……んンッ……ぅああッ!!」
「エッチってか、こりゃ好きモノて言うのかな?」
手で口を押さえられても洩れ聴こえるなつきの呻き声に、男達だけではなく舞衣も呼吸を荒くしながら、モゾモゾと腿を擦りあわせる。
それは本人すら気づかない無意識な動きだったのだが、舞衣の後ろに立つ、お尻に勃起を擦り付けている男は目聡く気づいた。
「うん? どうしたの、舞衣ちゃんも我慢出来なくなっちゃった?」
「!? そ、そんな事あるわけ……」
「嘘つかなくてもいいのに、オレ達と舞衣ちゃんの仲じゃないか」
嘲りを多分に含んだ声でそう言うと、男は膝の裏に手を入れて、舞衣の左足を抱え上げるように持ち上げる。
「やだ……!?」
床に向かってキックするように舞衣は足をジタバタさせるが、そんなバランスの悪い状態で満足に力がはいるわけもなく、
まだまだ抵抗する意志と乙女の羞恥心が残っている事を伝えただけで、男達の嗜虐心の炎に新たな薪を放り入れただけだった。
「ああ、ごめんごめん」
「悪かったね」
両脇にいる二人、教師は舞衣の秘唇に手を伸ばし、成金の方は混み合ってる中で太った身体を無理して屈めると、
"ちゅむ…"
「あんッ!」
淡い桜色の突起が口内粘膜に包まれると、舞衣の唇から艶かしい声が洩れてしまい、背筋が反り返って成金のこってりとぶ厚い唇に
強くふくらみを押しつけてしまった。
"ちゅうちゅう……"
出るはずのないミルクを吸い出そうとするように、成金は痛みを感じるくらいに強く舞衣の乳首を吸引してくる。
「ンあぁッ……はぅッ……んンッ……はぁ……んンッ……ひぁッ!!」
"ちゅぽん"
成金は間の抜けた音を立てて乳首から口を離すと、こんどは反対の乳首に吸い付く。そちらも同じように舐めしゃぶり、歯を立て、
さらには乳輪全体を頬ばるほど強く吸い立てた。
何度も襲ってくる快感の波に抗う事ができず、舞衣はその度に白い喉を無防備に晒してしまう。
「ぷはぁ ……うぅ〜〜ん 舞衣ちゃんの大きなオッパイでもミルクはさすがに出ないか」
テラテラと自分の唾液で汚されて濡れ光っている舞衣の乳首を、未練がましい呟きを洩らして、成金は名残惜しげに見つめていた。
「それはそうでしょ 子供を生まなければ通常出ませんよ」
冷静に成金へ面白味のないツッコミを入れながら、教師の指先は舞衣の秘唇、中でも最も敏感な真珠を重点的に上下に擦っている。
その動きは角度からリズムから機械のように正確で、昂ぶる勃起を舞衣の手に包ませていなければ興奮しているとは思わないだろう。
「ふむ 舞衣ちゃん、よかったら私の子供でも生んでみるかね?」
「……え?」
一瞬、舞衣の思考が停止する。
……このオジサンはなにを言ってるんだろう?
「どうだろうか? 舞衣ちゃんの子供ならきっと可愛いい 私の愛人なって子供を生んでみないかね?」
成金の声が耳から頭に入り、理解していくと同時に恐怖が、舞衣の身体全体に広がっていった。
歯がカチカチと打ち鳴らされる。
「い、いやぁ、もがぁッ!?」
舞衣の反応は予想の範囲内だったのか、すぐに足を抱え上げている男が口を塞ぐ。
「はは…… 軽い冗談だったんだが、オジサン傷ついちゃったなぁ」
本人はすごく面白い事を言ったつもりだったんだろうが、まったく笑えない。
オヤジギャグをよく"さむい"などと表現するが、舞衣は心底まで悪寒で凍りそうになった。
「でもまあミルクは出ませんが、若い娘のこれは美味ですよ」
"ぬりゅ……"
「ぅああッ!!」
ロボットのように決められた動きだけをくり返していた教師の指先が、いきなりショーツの脇から舞衣の秘裂に指先を深く突き入れる。
そこには容赦などというものはなかった。
「ンあぁッ……はぅッ……んンッ……ひッ、あ…あぁんッ……ふぁッ、あッ…んぅッ!!」
一転して"乱暴"と言ってもいいくらいの荒々しい動きで、二本の指先を舞衣の粘膜の中で掻きまわすと、
"じゅぷ……"
「んンッ!?」
引き抜く。濡れた指先をしばしジッと見てから、そのとき男は初めてニィッと笑った。
"ベロ〜〜〜〜ン"
爬虫類を連想させる長い舌を伸ばすと、舞衣の恥ずかしい蜜で濡れた指先を、ピチャピチャとさも美味しそうに舐めしゃぶる。
「ううッ……」
舞衣は見るに堪えなかった。舞衣からすれば"アソコ"から出るものは小水と変わらない。
それを目の前の男は、小さな子供がお菓子を貪り食うときのような無邪気な笑顔で、指の股の間まで熱心に舐めている。
男が純粋であればあるほど、舞衣には理解不能の奇怪な存在に見えて吐き気がした。
これを純粋とは、思春期の蒼さが色濃く出たばかりの舞衣の心は、認めたくなかったのかもしれない。
「お、いいですな どれどれ、私もご馳走になろうかな」
またさむいギャグを言いながら、成金が太った指を舞衣のショーツの中に入れて秘裂に触れてくる。
片足を上げた不自然な体勢で立っている舞衣には抵抗する術すらない。
無遠慮に触れてくる毛むくじゃらの指に触られても声は洩らさない、それがいま舞衣に出来る唯一のプライドの守りかただった。
もっともその決意も、
「は……ああッ……あ……ぅああッ……あ…あぁんッ……ふぁッ、あッ…んぅッ」
数秒と持たない。成金に限らず男達は舞衣と、
「うッ…うッ…んあッッ……ひッ……あ、ンぁッ……はぁ……んぁッ……ひぁッ!!」
なつきの身体の感じるポイントを覚えてきたのか、簡単に初々しく淫らな声を上げさせる事が出来るようになっていた。
「クンクンッ うん、こりゃ香りもいいし美味そうだ」
少し白っぽさの増してきた蜜を上品な仕草、を真似ようとしているが、染み付いた下品さの隠し切れない所作でパクリッと成金は
口に含むと、モムモムと頬を動かして味わう。
「うぅ〜〜ん トレビアン!! 舞衣ちゃんのスケベな味が口の中いっぱいに広がりますな」
この成金は本当に下品だが、当人にはその自覚がないうえに、気の利いたことを言っていると思っているのでなお始末が悪い。
そんな普段なら隣りにいられるのも敬遠したい男なのに、毛むくじゃらの指が、まるでカタツムリが這った後のような航跡を残して
頬を撫でると、舞衣の心臓はドキドキと高鳴り戸惑った。
なに……ドキドキしてんのよ……これじゃ私…………期待……してるみたいじゃない……
「舞衣ちゃんの所為で指が濡れちゃったね」
言いながら頬を撫でる毛むくじゃらの指は、やがて少し開いた舞衣の口唇に辿り着く。
「食べた後は、ちゃんとキレイにするのもマナーだよ」
「んん……んぁ……」
決して無理やりにという感じではなく、成金の指先がピンクの唇を押し割って口内に侵入を果たした。
太った指先は柔らかな頬の内側をゆっくりとなぞりながら、口腔の奥で怯えた様に縮こまる舞衣の舌を絡め捕り嬲る。
舞衣の口の中に、自分の蜜の味が広がっていく。
とくに味らしい味がするわけではない。でも、たしかに味がした。身体から、心から、理性を奪っていく危険な味が……。
「ん……うむッ……んふ……」
いつしか舞衣の舌はオズオズとしながらも、毛虫のように口内でのたくる指と戯れていた。
太った指先が感触を愉しむようにゆっくりと抜かれていくと、舞衣は追うように舌を伸ばしてしまい、真っ赤な顔で慌てて引っ込める。
しかしその光景は魅入られたように見つめる、なつきを含めた全員の視線に晒されていた。
"ゴクッ……"
生唾を飲む音。はしたなく喉を鳴らしたのは男達の誰でもない。その音はなつきの喉から発せられたものだった。
「お嬢ちゃん……」
いきなり声をかけられて、心なし潤んだ瞳で舞衣の舌を見ていたなつきは、ビクッを身体をすくませる。
「お嬢ちゃんも……指が欲しいの?」
後ろに立つ男は、なつきの口元を覆っていた手を離すと、硬くしこっている乳首の周りをくるくると円を描くように指先で弄いながら
興奮にかすれた声で火照った耳に囁いた。
「うぅッ……ふぅ……んッ……ふ…くぅんッ……ふざける………な………」
思い出したようになつきは下唇を噛んで、声を洩らすまいとする。
男は菊座に指を挿されていても、まだ気丈さを完全には失っていないなつきに、獲物を前にして舌なめずりするハイエナのように、
自分の唇を卑しくペロリと舐めた。男は肩口からニヤケた顔を出すと、
「……お嬢ちゃん」
"クイ……"
左手をなつきの頬に添えると、そっと力を込めて強引に横を向かせる。少し口を開いて、煙草臭い息を吐きかけると、
「んぅッ!?」
男は貪るように唇を奪った。なつきの目が驚愕に大きく見開かれる。その間に男が舌先をにゅるりと口内に潜り込ませてきた。
舌が絡められる。このときになってようやく自分を取り戻したなつきは、狭い口内を男の舌に追い立てられて逃げ惑う。
唇をもぎ離そうとなつきは顔を振ったりもするが、頬に添えられてる男の手はぴくりっともしない。
「んむッ……んッ…ふぅ………んンッ!!」
ささやかな抵抗は返って唇の密着度を高めることになり、より深く男の舌を奥へ奥へと誘い入れてしまう。
噛み切ってやろうかともなつきは思うのだがその度に、
「ふぁッ!?」
心を読んででもいるかのように、前後の粘膜に挿入された指先が蠢き嬲られる。
男はなつきの後頭部をガッチリと掴みながら顔を傾けると、塊を舐めて溶かすように舌に唾液を乗せてトロトロと注ぎ込んできた。
「うッ!?…ごほ……はッ……」
なつきは粘つく唾液を顔を歪ませて吐き出そうとするが、頭はガッチリと男に抑えられて逃げる事もできない。
息苦しさに唾液を飲み込むしかなかった。
男は白い喉が"コクッ"と動くたびになつきの長い髪の毛を撫でつける。その様は愛玩動物の子犬を撫でる主人の目だった。
「ずりぃよなぁ〜〜 ツンツン娘のファーストキスはオレも狙ってたのにぃ」
なつきはファーストキスだと願望込みで、勝手に決め付けた甘ったれが不平を洩らす。
男はなつきの口内で舌をモゴモゴさせながら、目だけで厭らしくニッと笑う。その目は"早い者勝ちだよ"と言っていた。
「チェッ!」
いい歳をしていまだに子供っぽい癖が抜け切らないのか、甘ったれはそっぽを向いて口を尖らせる。
「ん? ……ああ、なぁ〜〜んだ オレってばすぅんげ〜〜バカ いるじゃんまだ……」
舞衣のピンクの唇を見ながら甘ったれはしゃべっていた。ニッコリと一見すると人の好い笑顔を浮かべる。
「オレが貰って上げるからね、舞衣ちゃんのファーストキスは……」
目一杯のさわやかさを演出したつもりなんだろうが、そのメッキの裏にある下心を隠し切れずに、喉仏が大きくゴクリッと上下した。
鼻息も荒い。獣性剥き出しの爛々とした目で、舞衣へと迫ってくる。
これが牝の本能というものなのか、舞衣の身体は無意識に危険を感じて後ずさった。もちろんすぐに、人の壁に阻まれてしまう。
「おっと、やっぱり舞衣ちゃんは初めてのチューはワシがいいんだよね」
偶然ぶつかっただけなのを都合よく曲解すると、成金は自分のモノだと主張するように舞衣の肩を抱き寄せた。
「そういう事なら、私も立候補しますよ」
眼鏡のブリッジをクイッと神経質な手つきで上げながら、教師も舞衣の唇をやはり冷血動物を思わせる瞳で凝視する。
「なんだよ、急に競争率上がったなぁ 黙ってすりゃよかった で、二人も手は上げるの?」
残りの、無精髭の男と、舞衣の足を抱え上げている男、二人は当然のように頷いた。
「……じゃ、まぁ、どうする?」
「ジャンケンで決めようよ」
提案したのは最後の一人、強引に奪ったなつきの唇を解放すると、その頬をペロリと一舐めして舞衣を見る。
「アンタはダメ」
「えぇ、なんで?」
ハァハァと激しく胸を上下させているなつきの頭に鼻先を持っていくと、男は髪の毛の匂いを"ス―――ッ"と至福の顔で吸い込む。
参戦するのを強い口調で否定した甘ったれに、別段の不満はなさそうだ。
「一日で二人も、それも可愛い娘のファーストキスの相手になろうなんて贅沢すぎる そんな事したらバチ当たるよ」
「ま、そりゃそうだね」
なつきの肩に廻した左手で、ネコの喉をくすぐるように優しく、それでいてからかうようにうつむいた顎を持ち上げると、
「んむぅッ!?」
再び唇を重ねる。男のナメクジのようにヌルヌルする舌が、またなつきの口内に潜り込んできた。
自分の無力さは先程の口づけで思い知らされてはいたが、なつきの舌はそれでも必死に逃げまわる。
だが狭い口内のどこに逃げようというのか、結局この追いかけっこは、若い初心な娘に対する中年の粘ついた劣情を煽るだけだった。
「んふッ……ん……ふぅッ………んンッ………」
なつきの唇を好き放題に蹂躙する男から、羨ましそうな視線を引き剥がすと甘ったれは、
「……ジャンケン、ポンッ」
掛け声とともに手を振り下ろした。満員電車で中年が集まってジャンケンをしている姿は、とても不思議でマヌケな姿である。
舞衣もそれは感じていた。ただし、マヌケなのはいま置かれている自分の立場だ。
この人達……私をなんだと思ってるんだろう…………
真剣な顔をして、自分と唇を重ねる権利を争うオジサン達。まるっきり物扱いだ。そこには舞衣の意志はこれっぽっちもない。
実際のところ、舞衣はもうファーストキスを(命とだが……)すませてはいる。
でもそれがセカンドであれサードであれ、なんでオジサンと電車の中でしなければならないのか"素敵な人と夜空の星を眺めながら"
とまでは言わないが、これはあまりにも悲しすぎた。
「よし! やっぱりワシと舞衣ちゃんは赤い糸で結ばれとるな」
ガッツポーズをしたのは、この最低の痴漢達の中でも、舞衣が生理的に一番受け付けない相手である成金だった。
もっとも誰が相手でも同じ感想だっただろうが……。
「それじゃ舞衣ちゃん、ン〜〜〜〜」
タコのように口を窄めると、成金は舞衣に唇を突き出してくる。その醜悪さに舞衣は吐き気がして顔を背けた。
「舞衣ちゃん、ダメだよちゃんとしてくれなきゃ 勝者にする祝福のチューなんだから」
成金は口を窄めたままで、顔を背ける舞衣を執拗に追いかける。
そして間違いなくわざとだろう、どさくさに紛れて柔らかなほっぺたや首筋へとキスの雨を降らせていた。
赤いマークが点々と舞衣の身体に刻印されていく。
"チュ〜〜〜〜〜〜ッ"
「くぅんッ!!」
一際強く吸い付き、成金は赤いキスマークがはっきりと浮き上がったのを確認すると、下卑た征服欲が少し満たされたのか唇を離す。
「もしかして舞衣ちゃんは、オジサンとチューするのはイヤかな?」
言わずもがなな事をニヤケた顔で聞いてきた。舞衣はギュッと目をつぶりながら、コクコクッと必死になって頷く。
「それじゃチューはまた今度にして……その代わり……」
とりあえずの危機を回避出来た事に、胸を撫で下ろしかけた舞衣の手が掴まれた。成金はいつの間にか露出させていたモノを握らせる。
「お手々で気持ちよくしてほしいな」
舞衣の手の中では熱くて硬い、そしてヌルヌルとしたものが脈打っていた。
これ……お、男の人の…………
「いやぁッ!?」
手を引き剥がそうとする舞衣を、重ねた手の上から力を込めて、成金はしっかりと握らせる。その太さは指が廻りきらない。
エグいくらいに笠を広げている亀頭の形まで、舞衣の触感ははっきりと感じ取れた。
「舞衣ちゃん、これもダメあれもダメじゃ立派な大人になれないよ 気持ちよくしてくれるのがイヤならチューする?」
口を尖らせて唇を寄せながら、舞衣の手に包まれた勃起をユルユルとしごいて恥辱の二者択一を迫る。
「どっちにするの? 舞衣ちゃんが選ばないんなら、オジサンどっちともしちゃうよ?」
どっちもヤダという選択は、当然だが成金は許すわけもない。そして舞衣はまだまだ乙女だった。唇の優先順位は非常に高い。
わずかに、勃起を握らされた手に力を込める。
「お? オジサンのを気持ちよくしてくれるんだね?」
舞衣はコクンッと力なく顎を引いた。
「嬉しいなぁ ありがとね、舞衣ちゃん」
成金は羞恥に歪む舞衣の顔を舐めまわすように見ながら、柔らかな手に包まれた勃起を鈴口からあふれている先走りの液を潤滑油にして
ゆっくりとしごき始める。
「手は……二つありますよね」
反対側の手が取られると有無を言わさず教師の、顔や見かけによらず力強い勃起が握らされた。
「二位は私でしたので……」
それぞれの手に握らされた勃起の鼓動は、当たり前だが違うリズムを刻んでいる。でも共通点もある。どちらもおぞましい……。
あぶれた甘ったれは、
「言い出したのはオレなのになぁ チェ!」
そう言って八つ当たり気味に、
"ギュッ……"
「ひんッ!?」
舞衣の起立している乳首を捻り上げた。舞衣は自分でもびっくりするくらいの甲高い声が洩れてしまう。
「ほんと、舞衣ちゃんは乳首責められるのが大好きなんだね」
思いもよらずオモチャを手に入れた甘ったれは、大きなふくらみをヤワヤワと揉みほぐしながら、ツンッと尖り硬くしこっている乳首を
捻ったり指の腹でコロコロと転がすのを、厭きることなくしつこいほど繰り返した。
「うぅッ……くぅ………んぅッ……んッ、んンッ………んッ……ふぁッ……あ……やッ……」
快感という毒に蝕まれていく舞衣の身体。次々に餓えた手が、紅く染まっているふくらみに伸ばされる。
背後にいる男の手が舞衣の乳房を両手ですくい上げると、違う男の手が絞るように指先を動かしながら食い込むほどに爪を立てられた。
もうどれが誰の手やら指やらわからないくらいに、舞衣の乳房は揉みくちゃにされる。
「うぁッ…は……ああッ……あ……ぅああッ……ふぅ……うぅ…あ、ひッ……あッ…ぁんッ……」
だが毒に侵されている身体は、額には玉のような汗が浮かべながらも、痺れるような快感を貪欲に享受していた。
そしてもう一人の少女も…………。
「お嬢ちゃん、もうちょい足広げてね」
菊座にギュウッと痛いほど締められて挿っていた指先を引き抜きと、男はなつきの足の狭間に膝を差し込んで閉じれないようにする。
ふらふらしているなつきの腰を支えてやりながら、自分の股間の辺りをゴソゴソすると、少しだけ屈んで高さを調節した。
"ぬにゅ〜〜"
「ふぁッ!?」
背後からの得たいの知れない感覚に、なつきは誰にも聞かせた事のない可愛い悲鳴を上げて仰け反る。
熱くて硬いものが、ぬらつく秘裂の上をなぞるように滑った。
顎を引いて下を見ると、スカートが内側から突き上げられている。いやな予感がした。それはもう確信に近い。
そして人間の第六感とは、悪いときだけ当たるように出来ているようだ。
前に廻された男の手が、そろりそろりと身体を硬くしているなつきをからかうように、ゆっくりとスカートを捲り上げられていく。
「ひッ!?」
本来のくすんだ肌色にそこを凶悪な形状に膨張させている血潮の色がミックスされて、それは紫がかったピンクに染まっていた。
縦割れの唇から先走りの液をあふれさせて、ヒクヒクと蠢きながらなつきを下から威嚇している。
「……結構いいもんだよ…………素股も」
ぴっちりと足を閉じさせて勃起を挟み込むと、なつきのすべらかなお尻に股間を打ちつけるように腰を動かし始めた。
"ちゅぷ……ちゃぷ……にゅちゅ……"
「ンあぁッ……はぅッ……んンッ………あぁんッ……ふぁッ……ひッ……うぁッ!!」
すぐに卑猥な粘着音が立ち、それに煽られるようになつきも艶やかな喘ぎ声を奏でる。
凶悪なまでに反り返った勃起が出たり引っ込んだりを目で確認するたびに、秘裂を女の子の真珠ごと擦り上げられるたびに、
淫らになつきの声のオクターブが跳ね上がっていた。
「はひッ……ひッ……あッ……あふぁッ!」
"ポニョン……"
ガクガクと膝を震わせていたなつきが、背後から犯してくる快感に抗えずに前のめりに倒れる。舞衣の豊かな乳房に受けとめられた。
なつきは救いを求めるように"ギュッ"と舞衣にしがみつく。
男も激しく腰を打ちつけながらなつきに覆いかぶさって、乳房を揉みしだきながら耳元に囁いた。
「もうすぐ……くッ………もうすぐ出るからね……もう………ぐぅッ!!」
なつきの乳房に指が深く食い込み、これでトドメとばかりに勃起を強く突き込むと、
"びゅッ・びゅぐッ・びちゅッ!……"
中年の捻じ曲がった欲望の証である白濁液が、勢いよくぶちまけられる。
「はひッ…ひッ……ふぁあッ!」
「あッ、あッ、ああッ!」
二人の目の奥で、同時にフラッシュが焚かれた。
なつきは勃起が射精する瞬間を見ながら、舞衣は乳首を捻られながらオナカに熱い塊をぶつけられて、二人は白い闇に呑み込まれた。
「ありゃりゃ? やりすぎちゃったかな?」
「まだオレはやってないよ」
「でも時間切れみたいですよ……」
「まぁ、今度はもっとゆっくりできるところで愉しもうよ」
言いながら男達は、ぐったりとなっている、着崩れた二人の制服の身なりを整えていく。
意識を取り戻したときには、どことも知れない駅のベンチに二人並んで、手を繋ぎながら座っていた。
舞衣の手を握るなつきの手に力が込められる。舞衣も握り返した。それだけで、二人はなにもしゃべらない。
ただ黙って下を向いていた。それでもお互いの考えている事は、それこそ手に取るようにわかる。
あんな連中に泣かされてやるもんか……
舞衣もなつきも、汚いホームの床を見ながら、涙が零れるそうになるのを歯をくいしばって堪えていた。
そんな二人を無機質なレンズ越しに、ず――っと覗いていた人物は物影からそっと、風に消えてしまうような声で囁く。
"ごめんなさい……"
その声は誰にも届かずにホームに舞う風に消えた。
終わり