「うぅ〜ん、何にもないわね・・・・」  
 
幼いと言ってもいい少女が見慣れない赤みを帯びた黒衣の衣装に身を包み、深夜の学校を徘徊するのは一種奇妙な光景だった。  
もっともこの少女は見かけ通りのただの少女ではない。桜庭ミントことイクシードエンジェル ミント。この世界に入り込んだ絶望の使徒デスパイアを滅ぼすために遣わされた真性エンジェルがその正体だった。  
 
「やっぱりただのデマだったのかしら? 7不思議なんて・・・・」  
 
ぽつりと昼間、親友であり自身が魔法少女 エンジェルとして導いた桜庭 美咲の通う小学校の最近急に噂になり始めた七不思議。そして時折感じるデスパイアの気配を調べるため深夜の小学校に侵入したのだが・・・・  
 
「どうやら・・・・外れかな?」  
 
一通り調べては見たが異常はまるでないしそろそろ変身限界も近い。  
やはり所詮怪談は怪談かと肩の力を抜き、近くの椅子に腰掛けた。  
ポスン・・・・軽い音とともにミントの軽い体重をクッションの様な感覚が受け止める。  
 
「あら・・・・?」  
 
先ほどは気づかなかったが自分が腰掛けた椅子に古びた座布団が敷かれていた。  
 
――――座布団――――  
 
そう言えば、怪談の中に座布団に関するモノがなかっただろうか? たしか――――  
 
『捕まえた・・・・』  
「なっ・・・・!?」  
 
不意にミントの細い両手首に、両脚に次々と巻き付く不気味な肉色の触手。慌てて引きはがそうとするがその触手の力は強くまるで万力のようにぎりぎりと締め付けてくる。  
 
「くっ・・・・この・・・・」  
 
迂闊だった。ここまで近づいておきながらまるでデスパイアの気配を感じなかった。  
いや、今もここまで接触しているにもかかわらずまるでデスパイアの気配を感じ・・・・ない?  
 
「あ、貴方・・・・いったい?」  
 
幾ら気配隠匿がうまいデスパイアであろうとここまで接触した相手に気配を感じないなどあり得ない。なによりそんな事をする意味がない。  
それにどこか絶望の使徒であるデスパイアとは感じが違う様な・・・・?  
 
『随分と変わった衣装だが何とも可愛い子を捕まえられたモノだな・・・・』  
 
いつしか座布団は桃色の巨大なイソギンチャクの様な異形となっている。  
ミントの後ろ手に突いた両手首と、お尻をすっぽりとその触手の海に沈み込み、両脚はいくつもの触手に絡みつかれたまま膝から先をその巨大な口の外に投げ出されていた。  
 
「え、エンジェルを知らないって・・・・あ、貴方デスパイアじゃないの?」  
 
拘束を外そうと藻掻いていたミントが呆気にとられた様に自分を捕らえるその異形を眺める。  
エンジェルはデスパイアの天敵とも言うべき存在だ。例え生まれたばかりのデスパイアであろうとその本能がエンジェルの存在を知っている。  
 
『ですぱいあ? そのような存在は知らぬが・・・・エンジェル、ふむ天使か・・・・なるほど確かにその名に違わぬ可愛らしさよな・・・・』  
「お、お褒めにあずかり光栄ね・・・・」  
 
思わぬ賞賛の言葉に戸惑いながら状況を理解しようとする。  
未だ拘束は解けず、危機的状況には変わりないが相手がデスパイアでなければ何とかなる・・・・と甘い希望を抱いてしまう。  
そしてそれはあまりにも楽観的すぎた。  
 
『では可愛いエンジェルよ。お前を愛でさせてもらうぞ?』  
「は・・・・っ?め、愛でるって・・・・うあぁっ!!」  
 
イソギンチャクの異形。  
 
ミントの下半身と手首を飲み込んだ口に無数に蠢く触手の動きが言葉とともにいきなり活性化する。  
触手の海に後ろ手に付いたまま座り込んでいたミントの細い背中が勢いよく反り返り、その金色の長髪がザッと後ろに流れた。  
 
「な、なに・・・・を・・・・うっ?」  
 
ざわざわと蠢く触手の海。その中に埋没する下半身、ミニスカートから覗くその小さなお尻を無数の触手がなで回し始める。  
くすぐったさにも似た奇妙な感覚がお尻から沸き上がり、ミントは戸惑い触手を引きはがそうと必死に暴れた。  
 
『我らは妖怪と呼ばれる類の種よ。我はこうやってたまに気に入った幼子を捕らえ、まだ性の目覚めも知らぬ無垢な桃尻をなで回し堪能しておったのよ』  
「うっ・・・・へ、変態っ!ろ、ロリコン野郎!!・・・・くぅっ!」  
 
なんと言うことだ。デスパイアのような凶悪な破壊衝動などはないようだがその本質はやはり最低の部類に属する。  
 
『ふふふ、なんとも口の悪いエンジェルよな。しかし、なんだ? お主随分と敏感だな。性感もかなり開発されておるようだし・・・・』  
「うっ・・・・くっ・・・・う、うるさい!」  
 
イクシードエンジェルとして絶望の使徒デスパイアと幾度となく戦ったミントは、時として敗北しその幼い身体を異形の、そして人外の激悦に幾度となく晒されてきた。  
ミントの心はそのたびに傷つき、砕かれ。その身は度重なる陵辱の前に、ミントの意に反して女性として性の悦びに目覚めてしまっている。  
 
『ふむ・・・ならば遠慮はいらぬな。安心しろ命までは取らぬ。その可愛らしい身体を存分に堪能させてくれればよい』  
「ふっ・・・・ふざけ・・・・ふぁ・・・・こ、このお尻ばっかり・・・・」  
 
暴力性をまるで感じない臀部への愛撫。  
その小柄な身体に見合った小さく可愛いミントのお尻が丹念に丹念になで回され、揉み回される。  
快感と呼ぶほど強くはないが、微弱な電流にも似た感覚がぞわざわと背筋を這い上がり、デスパイアに開発され尽くしたミントの身体の奥に小さな性の炎を灯していた。  
 
『なんだ?尻ばかりでは不満か? 仕方がない子だな』  
「なっ!? だ、誰がそんな・・・・ちょっ、だ、だめ!!」  
 
イクシードエンジェルの赤みを帯びた黒のコスチュームの脇から細い触手がスルリとミントの衣服の中へと侵入され、膝から先のブーツを履いた足が跳ね上がる。  
未だ成長の兆しさえ見せない小学生児の薄い胸の上を細く柔らかい触手がやんわり這ってゆき、中央に色づく桜色の尖りを掠めるように擽った。  
 
『ふむ、まだまだ膨らみとも言えぬが可愛いモノだ』  
「ひゃっ・・・・こ、この・・・・ど、どこ触っ・・・・て・・・・」  
 
同様に侵入したいくつかの触手は、その薄い胸を優しく這い、背中や脇腹の敏感な部分を探り当てながらミントの性感を緩やかに、しかし着実に引き出してゆく。  
 
「はっ・・・・やっ・・・・くすぐった・・・・ひぁ!」  
 
人を狂死させかねない媚毒、脆い人体など容易く壊してしまうデスパイアの責めに比べ、稚拙とさえ言える愛撫と言うよりエッチなタッチに近い触手の動き。  
 
「へ、下手糞! そんな弱い責めで・・・・ひゃあ!」  
『判っておらぬな。我はお前や幼子を壊し、犯したいのではない。愛でたいのだ。』  
「はっ・・・・な・・・・に? な、なんでこんな・・・・弱い責め・・・・で」  
 
くすぐったくもどかしい感覚に身体がふわふわと浮き上がる。熱に浮かされた様に潤んだ深緑の瞳が戸惑いに揺れる。  
 
『力を抜け・・・・不快な感覚ではないはずだ。乱暴にはせぬぞ?』  
「はっ・・・・あっ・・・・だ、黙れ変・・・・態。だ、誰・・・・が・・・・」  
 
震える瞼を閉じ、未知の感覚に漏れる艶を帯びた熱い吐息、堪らず小さく首を左右に振る。  
その小振りな頭の力ない動きに合わせ背中まで伸びた美しい金色の髪が宙を舞った。  
既に硬く尖っている桜色の先端に触手口が吸い付き、軽やかな吸着と切ないほどの甘噛みが未体験の甘い電流となってミントの身体を奔る。  
 
――――はぁ・・・・なに? こ、この感覚・・・・?――――  
 
ミントは自分の感覚に戸惑った。快楽とは違う。なのになんでこんなに心地良いのだろう?  
 
実は妖怪や攫った少女を他人から隠したり、時に少女自身にさえ気づかれぬうちに悪戯をするための妖怪の微弱な催眠妖術が心の枷を緩やかに外していく力の正体だった。だがそれだけではない。  
 
「は・・・・あっ・・・・こ、こんなの・・・・こんなの知らない・・・・はぁ・・・・こ、こんなの・・・・は」  
『可愛そうに今までよほど乱暴に責められておったのだな?』  
 
気の毒げな呟き。  
そうソレまでデスパイアに加えられてきた苦痛をすら塗りつぶす死と隣り合わせの檄悦とは違う。  
おぞましい異形に加えられるとは思えぬほどの緩やかな性感の目覚め。さまざまな媚薬、媚毒、淫術により幾度も強制的に味合わされた無慈悲なまでの暴悦の嵐とはまるで違う。  
 
『ほら・・・・脱ぎ脱ぎしような・・・・』  
 
触手が形の良い耳朶をその先端でなぞり、耳元をくすぐる優しい囁きに細く白い首が、喘ぐように小さく反り返った。  
 
――――だ・・・・め。反抗・・・・できない・・・・はぁ――――  
 
いつしか抵抗を失い力なく垂れ下がった手が触手の海から持ち上げられその手を覆う黒い手袋が脱がされる。  
同様に、足首を持ち上げられその小さな足に履かれていた衣装と同色の黒いブーツが脱がされ、ニーソックスもゆっくりと脱がされると白く柔らかい手と素足が露わになった。  
 
「はっ・・・・あっ・・・・な、なに?」  
 
焦点を失い濡れた緑の瞳がぼんやりとむき出しになった自身の手足を眺める。  
自分が既にこの妖怪に抱いていた嫌悪が霞の彼方の光景のように薄れていた。異形への嫌悪さえ除かれてしまえば、そこにあるのはまるで恋人との交わりの如き、優しい愛撫だ。  
 
『安心せよ。可愛がってやる・・・・ほら』  
「ひゃっ・・・・く・・・・すぐった・・・ふぁっ」  
 
ゆっくりとまだ堅さのない幼子の足の裏を触手に撫でられる。そのくすぐったさに思わず身をすくめミントは小さく喘いだ。ゆっくりゆっくりと撫でられたまに触手の先端の小さな口が開いて吸い付き甘噛みする。  
 
「そ、そんな・・・・あ、足の裏なんて・・・・汚・・・・い・・・・あぁ」  
『お前の可愛い足だ。汚いとこなどどこにもないぞ?』  
「あっ・・・・はっ・・・・で、でも・・・・あ、ああ・・・・」  
 
両の足の裏を舐められる嫌悪はすぐに溶け消え、軽いくすぐったさがやがて甘い感覚となって押し寄せる。  
やがていくつもの細い触手が伸び、ミントの手足の10本の可愛らしい指に絡みつき、吸い付き、擽っていった。  
 
「ゆ、指? ふァ・・・・な、舐めちゃ・・・・あひぃ」  
 
小さな指の間がペロペロと舐め吸われ、その細い指先が触手口に含まれる。手足の指がそれぞれに身悶えるように開かれ、閉じ、藻掻き、逃れようと足掻くがたっぷりと唾液を絡め可愛がられる。  
 
『ふふふ・・・・ここも・・・・ほらここもだ』  
 
繊毛に覆われた触手に脇の下を擽られ、甘く鳴いた。白い首筋を、開いた細い背中を、薄い胸を口づけられ、優しく舐め這われ喜びに似た囀りをあげた。  
 
「そんな・・・・いっぱい・・・・だめぇ・・・・」  
『ふふふふ・・・・溢れておる。もう濡れることを覚えいるのか。エッチなエンジェルだな。』  
「ふぁ・・・・そ、そんな・・・・いわない・・・・で・・・・ッ、いや・・・・ぁ」  
 
恥じらいに頬を染め俯く。  
こんな幼い身体で性感は開発され尽くされている自分の淫らな身体を指摘された。  
そして自分をこんな浅ましい身体にしたのが何よりも憎むべきデスパイアだと言うことが心の防波堤が取り払われたミントの無垢な心が悲しみに染め上げる。  
 
――――わ、わたし・・・・こ、こんなに脆く・・・・なって・・・・――――  
 
悔しさや屈辱に流されたことはあっても、悲しみや寂しさに流されたことの少ない透明な雫が桜色の頬を伝い落ちた。  
 
『無粋なことを言った許せ。それに気にする事などない・・・・』  
 
ザワリ・・・・  
甘美な囁きとともにミントの腰が沈んだ触手の海が激しく波立った。  
 
「ふあぁぁぁぁっ!!」  
 
小さな背中が反り返り、肉の淵に掛かった膝を支点に足先が跳ねる上がった。  
それまでの焦らしにも似た緩やかな愛撫。その責めに目覚たミントの身体を、かつてない高波が浚い、連れ去り、未だ知らぬ高みを目指して昇ってゆく。  
 
『お前がどのような存在であろうと、お前の身体がどれほど淫らに穢されていようと関係ない。我はお前を愛する。』  
「はっ・・・・あ、あああ・・・・そ、そんなぁ・・・・」  
 
白い下着がずらされる。いよいよエンジェルの最後の聖地に侵入した触手。  
濡れ綻んだ秘唇を撫でるように細い触手がくすぐり、敏感な粘膜が優しく擦られ堪らずに鳴いた。  
未だ指に触手の愛撫を受け続ける足が手が、小刻みに跳ね上がり、小さく開いた桜色の唇から可愛らしい天使の艶声が喜びの歌を奏でる。  
 
クチュ・・・・クチュ・・・・クチュ  
 
「あひっ・・・・こ、んな・・・・どうして・・・・わた・・・・し」  
 
触手の海に沈むミントの腰のあたりから断続的に響く甘く濡れたエッチな水音と甘くエッチな天使の囀り。  
 
『甘いなお前の蜜は・・・・いつまでも味わっていたくなる』  
「あっ・・・・あっ・・・・ぇ?」  
 
クチュクチュクチュ  
水音が高まって行き、ミントの揺れる腰の動きが徐々に大きくなっていく。  
 
『ふむ、そう言えば言っていなかったか、エンジェルが腰を落としている其処は我の口の中、お前を悦ばしているその触手も我の舌であり口だ』  
 
ゆっくりと尻の下で蠕動する肉塊。時折響く何かを嚥下するような唾音にミントの幼い美貌が青ざめる。  
 
「あっ・・・・はっ・・・・そ、それって・・・・まさ・・・・か」  
『そうだ。お前の可愛らしい尻も、美しい秘唇も、足も手も我が存分に舐め味わっておる。』  
 
触手がざわつき、高らかな水音とともにミントの小さな腰が跳ねる。  
 
『無論お前の蜜も汗も一滴残らず呑ませてもらっておるよ。美味だ』  
「そ、んな・・・・ふぁっ」  
 
ぺろりとあそこを舐められ堪らず身を屈める俯く。  
舐め啜られる音が響き、薄れていた恥辱が僅かに蘇るが、体の芯からわき起こる甘い疼きに、すぐに溶け消えた。  
 
「はっ・・・・・やっ・・・・だめ・・・・なのに。わたし・・・・こんな・・・・エッチじゃ・・・・」  
 
細い首が力なく振られ、僅かに残った理性を掻き集め自分を鼓舞しようと儚く抗う。  
 
「わ、私・・・・え、エンジェルなのに・・・・い、イクシードエンジェル ミント・・・・なのにぃ・・・・こ、こんなのぉ・・・・」  
 
苦痛や激悦に屈しねじ伏せられたソレまでと違う。自身が望んで身体を開いてしまう。  
快楽に身を任せ、この異形に心を委ね、目くるめく快楽の旋律にどこまでも酔い、囀ってしまう。  
 
『ミントか・・・・良い名だ。可愛いらしい名前だな。』  
「は・・・・ん・・・・っ」  
 
首筋にそっと撃ち込まれる口づけ、甘美な快楽の楔と優しい賞賛の声に小さく背を反らされ金の髪が踊った。  
 
『今は使命など忘れ一人の少女として快楽に酔うがいい。今宵のことは我とお前以外の誰の知らぬ。怖れることはない。恥じることもない・・・・さあ』  
「はっ、あっ、ああああああっ!!」  
 
潤んだ秘唇の上に小さく息づく桜色の秘芽。女性の性感帯の中でもっとも敏感なその核がそっと弾かれ身体を震わせる。  
 
「そ、そこ・・・・は・・・・はあぁっ・・・・」  
 
触手の先端が小さく左右に振られ、そのたびに敏感なその尖りが首を傾げ小さく弾かれた。  
胸が反らされ揺れるとその黒い衣服の中で動く触手がくっきりと浮かび上がり、交互に吸い付くような対をなす吸着音が大きくなる。  
 
「はっ・・・・はっ・・・・そ、んな・・・・そこばっか・・・・い、いじっちゃ・・・・だめぇ・・・・」  
『構わぬ。イクがよい・・・・』  
「はっ・・・・はっ・・・・そ・・・・ん・・・・な!」  
 
熱く艶を帯びた断続的は吐息。俯いていた顔が上がり、切なげな緑の瞳が懇願するように虚空を見つめる。  
敏感な一点が優しくつつかれ続け、迸る軽く甘い電撃の連打に脳が痺れて堪らない。  
 
スルリ・・・・  
 
「あっ!?」  
 
触手が蠢き、未だに履かれたままだったぐっしょり濡れた白の下着が膝までずり下ろされた。  
 
『さ・・・・ミント・・・・』  
 
遮るモノもなくなり更に激しくなる。優しい囁き、甘美な誘惑、止まることを知らずに高まってゆく身体。  
 
「だめ・・・・だ、め・・・・そ、そんなの・・・・そんなの・・・・」  
 
――――腰の奥がどんどん切なくなって・・・・痺れてきて・・・・この感覚って・・・・ま、まさか・・・・――――  
 
「はっ・・・・やっ・・・・だめぇ・・・・そこ・・・・つつくの・・・・でちゃ・・・・う・・・・の」  
 
不意に訪れる危機感。  
迫ってくる先ほどまでとは違う腰奥の痒みにも似た疼きに、恥じらい言葉を選ぶ暇さえなかった。  
もはや限界に動けない身体を小さく揺すり、身を屈めて俯く。  
 
「だ・・・・めっ・・・・と、トイレ・・・・に・・・・」  
 
掠れるような声が漏れ、膝を閉じようと足掻きながら、尿意を堪えようと必死に首を左右に振る。  
焦り、戸惑い、堪えようのない生理現象に儚い抵抗を続けた。エンジェルとして、人として、女としての誇りと矜持に縋り付き、足掻き、身悶え・・・・しかし限界はあっけなく訪れる。  
 
「駄目・・・・も、もう駄目・・・・なの。心が蕩けちゃう・・・・身体が・・・・はぁ・・・・溶けちゃ・・・・うっ」  
 
手足のすべての指はチュプチュプと触手の口に含まれ可愛がられ、そのキュッと反った足の裏を触手は撫でて続けている。  
脇の下、背中、脇腹、お臍・・・・ゆるやかに加えられる触手の愛撫とキスの雨が透き通るようなミントの白い肌に桜色の花びらを散らしていった。  
 
『さあ、その無垢で清らかな心を快楽に解き放ってやれ、美しく可愛らしく淫らな身体の切ない疼きを満たしてやれ・・・・』  
 
ミントの全身を天上の音楽を奏でるかのごとく美しく囀らせていた触手が、その天使の歌姫の至悦の賛美歌を締めくくるべく動きを早め、丹念に仕上げていき・・・・  
 
「はっ・・・・あっ・・・・い、イク・・・・わ、私・・・・イっちゃううううううっ!!」  
 
最期に胸の頂の1対の桜色の尖りが、包皮を剥かれつややかに輝く小さな真珠が、同時に触手口に吸い込まれ・・・・優しく噛まれた。ブルリッ、エンジェルは身体を震わせる。  
 
プシャアッ・・・  
 
決壊する堰。その恥辱の開放感さえ今はただ心地よい。  
ビクンッ、ビクンッ、と開放感に痙攣する小柄な身体そして硬直していた声帯を解放した。  
 
「あ、あ、あああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!!」  
 
瞼の裏を、脳裏を、意識の隅々まで真っ白な閃光が染め上げてゆく。  
小柄な肉体を極限まで反らせ、天を仰ぐとかつてない開放感に高らかな喜びの声を上げた。  
 
――――こ、こんなの・・・・こ、こんなのって・・・・――――  
 
チロチロチロチロ・・・・  
小さくしかしはっきりと恥ずかしい水音が延々と響く。  
 
ゴクン・・・・ゴクン・・・・  
 
同時に尻下の肉塊が蠕動し、美味そうに喉を鳴らし嚥下していくような唾音が立て続けに響いた。  
 
「あ、ああ、お、おしっこ・・・・おしっこ飲んじゃ・・・・い・・・・やなの・・・・あああっ!」  
 
ゴクン・・・・ゴクン・・・・  
エンジェルの恥じらいの蜜混じりの黄金水を美味そうに舌の上で転がし飲み干してゆく妖怪は、止めるどころか催促するようにもう一度、敏感な真珠を吸い上げる。  
 
「あ、あっ、ああああああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!!」  
 
限界まで高まった身体は、間髪入れずに2度目の絶頂に放り上げられた。  
簡単には降りてこられない。放尿さえ止まれない。何処までも駆け上がっていく。ミントは意識の最期の欠片を手放すそのときまで至高の喜びを歌い続けた。  
 
 
 
「・・・・ん・・・・」  
 
小さく身を捩る。ゆっくりと覚醒してゆく意識。  
 
「ここ・・・・って?」  
 
ぼんやりと白い天上が視界に映る。  
暖かい温もりに包み込まれる心地よさから解放される不満をなだめ、身を起こした。  
 
「保健・・・・室?」  
 
自分は白いベッドの上に寝かされていたらしい。  
先ほどまでたしか教室で・・・・  
 
「あ・・・・っ!」  
 
バッと布団をめくり自分の身体を確かめる。乱れた衣服は整えられ、脱がされたブーツやグローブは揃えて、ベッドの脇の籠に入れられている。肌の上に残された情事の跡や冷たく濡れた下着まではさすがに消せていないが・・・・  
 
「解放されたって言うの・・・・?」  
 
相手がデスパイアなら死ぬまで魔力を搾り取られていただろう。  
そう言った意味では幸運だったと言える。散々にエッチなことはされたようだがどうも犯されてまではいないようだ。  
アイツは痴漢みたいな真似をさんざんやっただけで自分を解きはなった事になる。  
 
「・・・・変な奴よね・・・・」  
 
自分に対し熱烈に求愛し、優しく慰めてきたあの妖怪。  
無論たまらなく悔しいし恥ずかしい。生まれて初めて味わう本当の意味での快楽に酔わされた。  
心の底から快楽を求め、あの異形に身体を開き、幾ら隠そうとも身体も心も求めてしまった。  
今すぐ見つけ出して全力の魔力をたたき込み、細胞の一欠片も残さずに焼き尽くしてやりたい衝動に駆られる。  
 
「・・・・まぁ、いいか・・・・」  
 
クスリと笑う。  
身体が心が軽い。最近のデスパイアとの連戦と苦戦、度重なる自分や仲間たちへの陵辱にどこか追いつめられていた心の鬱屈が跡形もなく消えている。変な話だとは思うがこれは事実だ。  
 
「でも、覚えてなさい・・・・」  
 
右手を銃の形に構えて前に伸ばす、見えない敵に向けて発砲。  
 
「もし、今度合ったときは・・・・殺してやるから」  
 
見惚れるほどの凄みのある笑みを浮かべミントは銃口である人差し指に息を軽く吹きかけた。  
 

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