「きゅーんきゅーん、きゅーんきゅーん♪ わたしのかれぇは、ぱいろっおとー♪」
エルオーブイー、ミ・ン・メ・イッ!
可憐な歌声に混じって、野太い歓声が沸き起こる。
ここはマクロス内、特設ステージ。
擬似的な夜空に向って、様々な色彩のライトが飛び回っている。
約二万の客席からの視線を一身に受けるは、リン・ミンメイ。
やや青みを帯びた黒髪にきらきらと水滴を飾りながら、デビュー曲を熱唱していた。
フリルのついた純白の衣装が揺れるたびに、客席からは異様なくらいの怒号と歓声が沸き起こるのだ。
「きゅーんきゅーん。きゅーんきゅーん……って、あれ?」
プープープー!
突然、頭上から甲高い警告音が鳴り響いた。
「て、敵襲だー!」
誰かの叫び声とともに、歓声はすぐにざわめきに変化する。
ガリガリガリ、バキバキバキ。
ステージの中央に、裂け目が走った。
マクロスのトランスフォームが始まったのだ。
逃げ惑う人々。だが、一部の熱狂的なファンたちは、すでに理性を失っていた。
ガードマンたちの囲いが崩れ、ステージまでの道が開ける。
「ミンメイ! ミンメイ!」
数十人の男達がステージに殺到した。
リン・ミンメイは恐怖に顔を引きつらせたが、ステージ上の振動が激しすぎて逃げ出すことはできない。
「させんぞ、きさまら! とうっ!」
怒りの声とともに飛び出してくる色男。
片足を上げ、カンフースタイルをとる。
「わたしの名は、カイ――」
「うおぉぉぉぉぉ!」
人波に潰され、色男は消えた。
「ミ、ミンメイちゃーん」
「いやぁぁぁぁぁ!」
ステージ衣装が破られる。
汗に張り付いたブラが剥ぎ取られ、形のよい乳房が揺れる。
スカートを脱がされ、タイツを引っ張られ、
「いや、や、やめて! だめぇぇぇぇ!」
ついに――最後のショーツを剥ぎ取られた。
涙ながらに叫ぶミンメイ。しかしもはや手遅れだ。誰にも触られたこともない部分を見られ、触られ、舐められる。
「デ、デカルチャー」
男たちの中に、三人ほど地球外生命体がいたことに、誰も気づかなかった。