入ってくる。  
押さえ付けられた腰を浮かせ、引き締まった脛をたてて、その瞬間を待つ。  
焦らされることもなく、これまでも何度も何度も受け入れた彼の一部が我が物顔に突きいれられる。  
 
不器用な抵抗の後、存分に満たされる彼女の胎内。  
 
あ、とミリアは声を漏らす。  
緊張した体幹に固く閉じていた花々が群がり咲く。開いていく無数の花びらが彼女の嗅覚を幻で塞ぐ。  
期待を裏切ることなく彼のごつごつしたものが奥深くにまで打ち込まれる。  
脳天までを軽く貫かれて彼女の背筋に歓びが迸る。  
 
あ。  
 
彼女は紅い唇を喘ぎで歪めながらこんな時しか呼ばない名を呼ぶ。  
 
マクシミリアン。  
 
熱く湿潤な沼を行き来するそれは滑らかに音をたてる。  
打ち込む速度はまだ緩やかで、満足そうに動きながら、彼がのしかかってくる。  
遠慮のない重みのかけかたに胸郭が軋む。  
濡れた舌が、動きに揺れる乳房の丸みをちろりと舐める。  
 
いいよ。ミリア、うう。  
 
荒い息混じりのその声はいつもより少し高くて、そして甘い。  
彼は自分が快楽を追っている事実を隠そうとはしない。いつもそうだ。  
彼女とは違って、それを己の弱点と感じてはいない。  
舐めるだけでは足りなくなった彼が乳房にかぶりつく。  
固い歯の先端が敏感な先端を擦り、ミリアは啼く。  
繋がったまま全身を抱きすくめられ、耳もとにねじ込まれる愛撫じみた言葉。  
 
う、ん…あ。…な…。こんなとこまでぬるぬるだ。…気持ちいいだろう?  
 
気が狂いそうなほどに気持ちいい。  
すべらかな尻を片手で鷲掴みにされて握られると、彼の鞘になっている敏感な粘膜が引かれて、彼女は声をあげた。  
大きくて、ただでさえきついのに。  
征服者である彼は反応を探るように、ミリアからわずかに躯を離す。  
薄闇に輪郭が浮かび上がり、どちらかというと細身のくせに筋肉はついている体つきがミリアの視界を圧する。  
こんな時、己がゼントランに抱かれているとミリアは強烈に悟る。  
深く打ち込まれた熱い楔も、淫蕩な愛撫も、思考を陵辱する言葉も、その総てがメルトランとは異質のものだ。  
 
そんなに…動くな。…おかしくなりそうだよ…こら。  
 
涎に塗れた乳首を這う舌の合間から彼が呟く。その背に回した腕に力を込めるとマックスが歓ぶのがわかっている。  
だからミリアはそうする。  
繋がっている男を歓ばせたい。  
どうすればもっと歓ぶのか、それを知りたい。  
強く強く抱き返されて、ミリアは苦痛と歓びの悲鳴を漏らす。  
 
可愛い、奴だな…。  
 
その言葉が彼女を蕩けさせて、ミリアは喘ぐ。  
もう自分がどんな喘ぎを漏らしているのかよくわからない。  
たぶん雌犬よりも端なく乱れているのだ。雌犬のほうがましかもしれない、声をあげないから。  
全身が揺さぶられている。淫らな快楽の支配から逃げられない。  
 
己の支配を取り戻すまでのわずかの間、己から望んで、彼女はこのゼントランの捕虜だ。  
 
END  
 

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