「Legend of Mobius1 敵超巨大航空戦艦を撃沈せよ!!」の巻
某国情報管制本部
「しかしこの前は凄かったなぁ」
「あぁ・・なんでも1機で敵さん50機を殲滅させたらしいぞ」
以前のZ国核発射騒動から5日未だ興奮冷めぬ状態だ
「ん?なんだよ・・通信だ、エージェントからだ」
≪こちら・・ザ!ザザァ!!・・機密情報入手・・ザ!ザ!!・・は陽動の模様≫
「ノイズがひどいな聞こえないぞ!もう一度だ」
≪敵!Z国は・・ザ!ザ!なんらかの・・ザ!ザ!を・・建造中の模様≫
「ん?今Z国と言ったよな?」
「そこは聞こえた」
なにやらまたも緊急事態っぽい
≪おそらく・・ザ!ザ!!艦種は・・航戦ザ!ザ!!繰り返す!機密≫
「ん・・こりゃ録音発進か」
「多分な今頃仏さんだろうなぁ・・」
残念そうな顔をするがそんなところではない
「しかし聞いたか?航戦といったが・・」
またあの老兵が口を挟む
「航空戦艦だよ・・戦艦と空母を合体させたんだ」
「考えようじゃ最強ですね、ですが・・そんな巨大な物・・あの国が作れますか?」
「5年・6年じゃ知らんが・・冷戦時代・・30年前から建造していたとしたら・・どう思う?」
どんなに物資に困っても30年掛けて建造すればそのときの最新技術なども導入でき不可能な話でもない
「ですが・・衛星にはなんの変化もありません」
「うむ・・そこが妙なんだ」
戦艦を母体に空母を合体させるか空母を母体に武装を強化するにせよ体は大きい筈だ
それほど巨大な建造物なら衛星が危機を察知するはずである
「航空機・・ひょっとして・・港付近に空港でも造ってるんですかね?」
それだ!と思った海上飛行場ならば滑走路は十分確保できて それが船となて動き出すとなると恐怖以外何物でもない
「衛星リンク!!Z国海岸線ズーム!」
「まだか・・こい・・早く来いよ!!来た・・ここに二本・・滑走路がありますね」
まっすぐ平行した滑走路が見えてきた
「もっとズームだ!Hマークヘリポートか・・少ない・・4つ?直線・・」
「大口径主砲じゃないか?」
その二本の滑走路の間の先に2つづつHのマークが並んでいる
「滑走路を一番ズームにしろ!」
老兵が叫ぶ
「は・・はい」
「道路しか見えないじゃないですか・・」
アスファルト舗装されていて虫眼鏡で見ればアスファルトの粒が確認出来るほどだ
「ここじゃない・・もっと・・あった!」
よくよくみるとそこだけ途切れているように見える不思議と補修線が入っているのだ 真四角に
「これはエレベーターだろう・・間違いない」
緊急事態は本当のようだ即刻連絡の必要がある
「ふぅ・・今日も片づきました」
主人が学校に行っている間は基本的に掃除やれ雑務が仕事であるが毎日確実にこなしているのでピカピカだ
手抜かりも無いので実際の仕事量は結構少ない、とまた携帯電話が鳴り響くあの着信音だ
「ハイ!もしもし・・え?Z国?はい・・判りました!とりあえず偵察ですね?直ちに緊急発進します」
目の色変えて主人の部屋を飛び出して秘密の部屋に向かう
「隊長!いつでもいけます!」
「今日はそのまま行く!時間がない!ひょっとしたら大事よ」
そう言い残し爆音を響かせ急発進していく 電話受けから僅かに2分30秒
増槽は積めるだけ積んでいるが無限ではないので協力各国の基地に寄りながら向かう
「そろそろ・・高度を極限に下げる・・」
超低空飛行でレーダーの目を避ける算段だ
「見えた・・滑走路・・地形が盛り上がってる・・普通じゃない・・あそこは・・管制塔?違う・・艦橋!?」
片手で機を操り特殊双眼鏡で偵察する・・見れば見るほど航空戦艦の片鱗が見える
「情報は本当ね・・完成までは判らない・・でも今は無理・・帰還して伝えないと・・」
今回は一機の敵航空機を落とすことなく帰って行くが仕方ない
しかし帰り道異変が起こった、鹿児島南海上
「ここまで来たわね・・天気が悪い・・早く帰還しましょう」
ドゴーン!と落雷の音も聞こえる早々に退散したほうがよさそうだ
「あら?何?レーダー反応・・大型1小型9・・何?」
恐らくこの雷雲の下に展開していることは間違いない・・だが危険を伴う
「鹿児島・・総数10隻・・内大型1?何!何この・・体の震え・・」
予期せぬ恐怖なのか期待で体が震える
「見たい・・何?知りたい・・大丈夫・・雷なんて!」
思い切って雷雲の下に飛び出してみることにした・・眼下に広がるのは海と・・見るからに大きい船と9隻の護衛船
「居た!何・・なにあれは!?大きい・・主砲が見える・・3基、3連装・・総数10隻・・」
もう疑う余地もない60年も前に海に還った筈の艦隊だ
「大和・・貴女ね?たしか発光機が・・あった!」
そのころ当然その異形の船では争乱が起こっている
「艦長!見たこともない航空機が空を飛んでいます!!」
「しかも!推進器は見あたらず・・速力は約500ノット!」
「狼狽えるな!!それでも栄えある戦艦大和の乗組員かっ!!!おそらくあれは開発中のジェットエンジンだろう」
だがそのジェットエンジンとて速度は800kmも出ず700kmぐらいが普通と聞いている
「それに・・電探の反応も無し・・というより有るような無いような」
靄がかかったようにぼやついたと思えばぱったり消えたりしたらしい
「一体なんだ・・対空警報は出してないな?いいか!?銃弾一発打ち上げるな」
「よし・・間違いない・・接近して発光信号を試みましょう」
見たこともない飛行機が凄まじい速度で迫ってくる
「撃つな!!絶対に撃つな!!くそ!何が目的だ!!」
「ん?発光信号!!読み上げます・・我々に交戦の意志無し・・願わくば通信開け どうしましょう!?」
「和文の平で送ってきています・・艦長?」
つまり相手は日本語を理解出来る人間で尚かつ敵じゃないかもしれないのだ
「この大和と話すか・・いいだろう 発光返せ」
ピカピカと小型の発光機を光らせ上空旋回する機に伝える
「承諾か・・」
それをみて返す自己紹介だ
「我、日本国・・第0航空隊・・1番機・・貴艦はどこの所属なりや?」
「日本!?我々の国だというのか!?しかし第0航空隊など聞いたことがない!!」
零戦なら誰もが知っているが第0航空隊となるとさっぱりだ
「うむ・・あの速度・・未知の形・・おそらく通信機も搭載してるだろう・・隠すだけ無駄だ答えろ」
ピカピカと発光してやる
「我・・大日本帝国海軍所属 戦艦大和なり、やっぱり!!」
それを見終えて又返す
「我貴艦に着艦許可求める・・着艦!?そんな!!」
「あわてるな続いてるぞ」
「願わくば第3主砲旋回右90度旋回されたし・・後甲板に着艦する模様ですが・・オートジャイロでもないですに・・」
考えた・・だが答えは決まっている、もし拒否すれば米軍よりもあの航空機をなんとかしなくてはならないだろう
「よし第三主砲右90度旋回」
唸りを上げて第3主砲が動き出す・・見た目は圧巻だ
「よし後ろ甲板に行くぞ」
「凄い・・止まってる・・空で・・まっすぐ・・降りてくる」
見たことのない風景だった あたりは強風に見舞われて 上から垂直にあの航空機が降りてくる・・
「なんだあれは・・」
そうこうしているうちに操縦席らしき所から人が降りる・・見慣れない格好・・綺麗な銀髪だった
「どうも先の自己紹介のとおり日本国第0航空隊所属リーラ・シャロンホルスト大尉です」
綺麗な敬礼をしてみせる・・しかし見慣れない服装だが・・とりあえず美人だ
「司令官の伊藤だ・・貴官は何故この船に・・」
「そのおちついて聞いて欲しいのですが・・今貴方、方は2008年の日本に居ます」
その後長い長い話を経て今に至る
「で?貴官はこの大和を借りたいと申すか?」
「ハイ、今世界は危機に瀕しています日本だけではありません世界全体です」
少々大きく言うが問題あるまい事実だ
「長官!いくらなんでも・・内容が・・しかも全長800mを超える様な船など・・聞いたことが!!」
「まだ判らないか!!この女性の話すこと我々の知らないことばかりだ・・それにこの大和に関する事も細かく知っている」
つまりたとえスパイだったとしても知りようのない事まで知っているのだ
「勿論!そのままお返しするつもりはありません・・未来の力を備えてお返しいたします」
聞いたところによると対空レーダーは600キロくらいまで補足が可能だとか空中を飛ぶ魚雷だとか、仰天兵器が目白押しである
「ふむ・・皆?ここはどうだ?日本のためではなく・・世界の為に戦ってみぬか?きっとそうなればお上も喜んで下さるに違いない」
伊藤の言葉でそこにいた参謀やれ上級将校が押し黙る
「もしお悩みであれば見せたい物があります・・ひとまず呉に帰還しましょう」
当然極秘にするつもりだったが隠せないものは隠せない じゃあむしろ大々的に報道してやろうと思った
世界各国の報道番組がこの奇怪な現象を伝えに呉に集結して国内はもとより国外からも大和に熱い思いを持つ人が集結している
母港呉に60年振りに帰港した大和を迎えたのは大円団である
「ご覧下さい長官・・呉が・・呉の町が」
「あぁ・・もはや疑う余地もあるまい」
自分たちの持っていた建造技術を遙かに超えるであろう施設が広がっている
当然「男たちの大和」公開以来の大大和ブームの再来である、プラモデルや模型は飛ぶように売れて日本全国で枯渇状態だ
勿論大和を調べた本も増版に増版を重ね本屋も困るほどの盛況ぶりだ
DVDやアニメなんかもしかり最初二日で商店から消えたと揶揄されている
そこで集まった潤沢な資金は大和改造に当てられる・・期限は4ヶ月、おそらくあの巨大航空戦艦も完成するかもしれない・・
だが大和は征かねばなるまい、愛する人、平和と未来を守るため大和は征くどこまでも!
「聞きましたか?大尉?凄いですね」(グリム)
「あー何度も聞いたさ!!なんでも!60年前からタイムスリップしたらしいぜ!?」(チョッパー)
「お二人さんブリーフィングが始まる」(ナガセ)
あの超巨大航空戦艦撃沈のために世界各国からエースが集結している
「よぉ相棒久しぶりだな・・しかし凄い事になってるな」(片羽)
右をみても左を見ても戦争で活躍した超ACEばかりだ
「タリズマン!会えてよかった・・又君と踊れると思うと嬉しい」(シャムロック)
とスクリーンの前にリーラが登場する
「皆さん聞いて下さい!集って頂いて感謝します・・早速ですが作戦全容をお知らせします」
敵は1隻だというのに世界各国の空軍、海軍をかき集めた作戦である
「隊長!いつでも出撃可能です!」(ネリー)
「あーあめんどくせぇ」(セレン)
「なんで私まで・・」(シンシア)
隊の中から出来る人材を集めての出撃だ
「私たちが失敗すれば当然ご主人様の身に危険が及ぶ!それだけは阻止しないといけない!」
熱弁を振るい奮起させる
「絶対に・・絶対に!!あの船を沈める!いいわね!?」
飛行機と違って遅い艦隊はすでに出撃している だが問題は大和である最終チェックが済まず出撃は明日になりそうだ
「やる・・やらないと・・私たちが・・」
「隊長・・」
「もう一度作戦の確認をするわね」
空母ケストレルの作戦ルームで練り直しも兼ねての集合
「まず、私とシンシアが2機で接近してレーダー破壊に努める、発進してしまった直掩機にも当たる・・次は」
「私たち2機がエレベーター破壊に努めます」
その後はかき集めた航空戦力で叩く だが流石に航空攻撃での撃沈は不可能だろう
「今回は特別に魔力加護機を使うが・・それでも撃沈は不可能」
魔力加護の兵器は条約で禁止されているが事態が事態だ
「基本的に武装は打ち放題だが連発し過ぎるとオーバーロードして数分撃てなくなるから注意しろ」
つまり一度に撃ちすぎなければ使い放題ということだ
「ほーそりゃ好都合だ、じゃぁ私は対空砲を潰すよ」
「それが私たちのメインの仕事ですね」
作戦海域には10日で到達することらしい、それまでは別段することがないのでメイドらしく掃除・洗濯・炊事をこなした
「隊長、各国の艦隊の集結情報です」
見ると空母4 大型フリーゲート艦26 護衛艦50余り 潜水艦8
当然全ての船が対艦兵装を満載しているだろう
「そうか・・ご苦労、話によるとB−52の高々度爆撃やF18の対艦ミサイル一斉発射・・攻撃ヘリによる雷撃が盛り込まれるらしい」
ちなみにヘリによる雷撃はリーラの発案である
見ての通り必ず敵艦を沈める構えで作戦は進行している
「でもこの陣容でもあの艦がいないと・・撃沈は無理でしょうね」
「そうだな・・あれだけ大きいなら大口径砲の直撃が欠かせないだろうな」
未来の技術で長口径の51cm砲に換装し射程距離は8万メートル、衛星及び、観測機の併用で最大射程攻撃でも命中が見込めるそうだ
「後は・・命令を待つだけね」
10日後 日時0400時 作戦開始伝達をケストレルが受電
「隊長!来ました!作戦開始伝達!!従属艦は受電していない模様・・」
「そうか・・なら「本日天気晴朗なれども、波高し」と付け加えておきなさい
「了解です!!」
一方日本艦隊
「航空母艦ケストレルより入電!本日0400時より敵巨大航空戦艦撃沈作戦開始す!あっ!」
命令を読み上げた人員が驚きの声を上げる
「どうしたか?」
「ハイッ!本日天気晴朗なれども、波高し・・以上でありますっ!!!」
それは当然この艦の為に付け加えられた一文であろう、絶対に作戦を成功させるのだ!との熱意が伝わる
「そうかっぁぁああ!!よし!Z旗を掲げよ!皇国・・いや!世界の荒廃この一戦にあり!各員一層奮励努力せよ!」
意気揚々とZ旗を掲げ戦意高揚を計る
「Mobius1出撃します!」
「Mobius2続いて出撃します」
作戦司令室にいる艦長に挨拶をして愛機に駆け込む
「判ってるわね?私たちの一撃が作戦を左右する」
「何度も聞いた」
それだけ重要任務であることは言うまでもない
「超低空で敵艦に接近・・レーダーを殺る!いいわね!?」
「判ってる」
渋々シンシアも応答する、だが私たちがやらなければという思いはある
≪Mobius1出撃します≫
≪Mobius2続いて出撃≫
空母が運用されているので今回はF35での出撃だが仕様は同じである、やや操作性が劣るが十分技量でカバーできる
二人して海すれすれの所を飛んで敵艦に向かう今のところ順調だ
≪いくわよ・・作戦開始!!≫
突如舞い上がり敵艦の艦橋の一番上を狙う
突然の事に対空砲火もない成功だ
「おい!なんだあれ・・あっ」
と思ったときには黒い物体が落とされていて・・轟音と爆風を発生させた
≪どう!?成功!?≫
≪どうかしら・・見た感じレーダーは潰した・・≫
当然見ているだけではなくオーバーロードしない程度に爆弾を投下しつつ見計らっている・・それにしても凄い量の対空兵器だ
「どうした!?なにがあった!?」
「その!突然の事で!!レーダーは仕様不能!艦長以下艦橋要因は全滅の模様!!」
「っく・・先手を打たれたか・・」
その間にも少しだが船が揺れて爆音を発生させている
≪ネリー!セレン!航空甲板に攻撃!!≫
≪今、全開で向かってるよ・・あと2分で捕らえる≫
≪2分!?長い!!っく≫
2分もあれば1番機があがってきてしまう・・作戦変更だ
≪オーバーロードしてもいい!!エレベーターを潰す!≫
≪それしかないね≫
諦めた口調でシンシアも同意する、そうと決まれば機体を航空甲板と水平に持ってきてエレベーターに爆弾を当てる作業だ
≪潰れて!≫
先ほどは4発ほど投下したが今度は連射・・一つのエレベーターに16発・・20発程投下している
≪どう!?これならっ!≫
武装のリロードゲージは真っ赤だしばらく爆弾は投下できそうにないが・・上出来そうだ
「おい!直掩機はまだかっ!?」
「エレベーターは粉々です!!無理です!!」
幸いエレベーターは全滅敵航空機の発進はなさそうだ、と安心したのもつかの間少しの機銃座が対空砲を打ち上げてきている
≪一旦下がるわよ≫
≪判ってる≫
≪なんとか作戦は完了した・・これでなんとかなる≫
≪何か?聞こえない?≫
そう言えばオンになった無線機から聞こえてくる
≪The journey begins, Starts from within・・・≫
懐かしいあの曲が聞こえてくる・・大きくなってきた
≪Things that I need to know・・・≫
≪この曲は!?≫
≪大集結ってところかしら≫
勿論知っている、知らない訳がない戦闘機乗りなら知っている筈の歌だ
≪The song of the bird, Echoed in words≫
≪アメリカ軍機・・ロシア軍機・・中国軍機・・ドイツ軍機・・フランス・・イタリア・・皆な居る≫
≪Flying for the need to fly・・いいじゃない?歌いましょう≫
いままで素っ気ない態度を取っていたシンシアが釣られて歌い出す
Friend1≪良い歌声だ・・俺たちの美声も聞かせてやる!≫
Friend2≪俺たちもだ!≫
≪Thoughts endless in flight, Day turns to night≫
かなりの大合唱のようだ
≪Questions you ask your soul・・・そうね、そうよね≫
リーラも歌詞の一部を口ずさむ
Friend1≪攻撃機を大勢連れてきた!どんな相手も任せとけ!≫
Friend2≪俺たちは戦爆も引き連れてきたぞ!目に物見せてやる!≫
Friend3≪陸上機は俺たちの基地を使ってくれ!爆弾・ミサイル一杯用意した!≫
いつのまにかレーダーには反応が大量・・これが全て味方なんだろう
≪どうだ?隊長?心強い援軍を引き連れてきた!≫
≪だめですよ・・セレンさん・・集合時間には結局間に合わなかったんですから≫
もう2機の僚機が通信を入れてくる、とその刹那
ドゴォォォォオオオオ!!!と爆音がした敵が主砲をかましたのだろう
≪全機作戦開始!!あの艦を沈めるんだ!!≫
空中管制機の指示が入ってくるだがリロードメーターは黄色になったばかりだまだかかる
≪少しの間頼んだぞ二人共・・≫
≪あいよ!≫≪任せて下さいっ!≫
双方自分らしい答えを返し弾幕の中に突っ込んでいく
≪急ぐわよ・・皆に無理はさせれない≫
≪判ってる≫
スロットルを絞って母艦に急ぐ爆装だけでなく対艦ミサイルを搭載するためだ
≪おい?ブービーもう対艦ミサイル何発当てた?≫
≪多分僕たちだけで50・60発だと思います≫
≪やっぱり・・航空兵力だけでの撃沈は無理ね・・右か左に集中攻撃しないと・・そうよね?ブレイズ?≫
●はい いいえ
≪判ったぜ!!じゃぁ右に集中攻撃だ!!≫
特殊なマーキングをした機体が4機が右舷に集中攻撃をはじめる「環太平洋戦争」の英雄「サンド島の4機」である
≪相棒!どうやらサンドの4機は右のようだ!俺たちは左から行くか!?≫
●はい いいえ
≪よし!それじゃぁ行くか!相棒!≫
これは片方の羽を赤く染めた・・ガルム隊だろう、ベルカ戦争の立役者だ
≪タリズマン!僕たちも左を攻撃しよう!≫
●はい いいえ
≪そうだな!判った!シャムロック交戦!≫
これはEE戦争で活躍したガルーダ隊だろう、空中艦隊撃破の逸話は今も健在だ
それらの超ACEが中核を成し次々に対空砲をすり潰す
「くそ!!状況は!?」
「機銃座半壊!!高角砲座は大半やられました!稼働率30%以下!!」
流石に絶え間なく数10の航空機が押し寄せてくるのだからどうしても撃墜効率も悪いし被弾も多い
「だが・・ミサイルごときで沈む本艦ではない!」
そうしてる間にも爆音が聞こえて機関銃座や高角砲が潰されているのだろう
≪みんな!今戻った!撃沈作戦再会!≫
≪もうノリノリね≫
冷めた口調でシンシアが返すがそんなことはどうでも言い作戦に集中せねば
その後何百という爆弾・ミサイルが命中したが致命弾を与えられずにいる
ただ一機が撃墜された際に後部主砲の4番主砲付近に撃墜され4番砲の状態は不明である
「艦長!明日0730時に敵艦を電探に補足できそうです!」
「そうか・・諸君!戦いの時は来た!!皆明日に備えよ!」
静かなる夜を過ごし明日に備える・・そう明日は今後最初で最後であろう戦艦同士による砲撃戦が展開されるのだ
「副艦長・・やはりダメです・・第4砲塔旋回不能です」
「うむぅ・・数少ない撃墜機が逆に被害になるとわ・・これは元凶かもしれん」
一番の頼みの綱の主砲が1基やられ使用可能は3基となった
だが機銃座・高角砲の被害は目も当てられない状況で甲板は地獄絵図被害は9割ほどでまともな射撃はできないという
「エレベーターの方はどうか?」
「はい・・一応修理はさせていますが・・」
目を背けて答える つまり絶望的ということだ
「まぁいい・・健在な主砲の徹鋼弾は各砲何発か?」
「一基あたり200です、あっ手間はかかりますが・・第3主砲ならば第4主砲の砲弾も使用可能です」
それでも満足な数字ではないじゃんじゃん撃てる訳無いのだ事情が事情だし、財力的な問題も多数ある
「明日は艦隊からの攻撃も受けるからな・・注意せねば」
鹿児島沖で摩訶不思議な現象が起こったニュースは耳にしている、だが相手はこの艦の存在が知られるまで地球最大最強であった大和である相手にとって不足は無い
「聞く話によると日本艦隊は夜襲を得意として雷撃戦は十八番のようだ」
戦史を研究して来るべき相手にも一応は備えた、ただ当然未来改修を行われていると踏んでいるのでどこまでアテになるか見当がつかない
「まぁいくら大和の46cm砲とてこの艦は沈まんな」
現代の技術で高い装甲を獲ているこの航空戦艦だが圧倒的に欠けているのは、経験と自分の弱さを知らない事だ
最初の一撃でレーダー群が全滅して盲目であるし、そもそも砲撃自体経験しかことがないので取り扱いを知らないのだ
それでも自分を優勢に見るのは余程の自身あってのことだ
「見張り員より報告!!攻撃ヘリ多数接近!!夜間攻撃です!」
「即時対空防御!!クソっ!こんなときに」
しかしヘリとは妙である、効果が薄いなりにもヘリの速度なら機銃弾の命中が見込める、だがヘリ程度の武装なら対空砲を減らすしか出来ない筈である
そこまでの危険を冒して出撃するとも思えないが・・そう考えていると自らを襲ったのは足元からの衝撃だった
「魚雷です!攻撃ヘリに雷装した模様!!右舷の3発命中!!うわぁ!!」
そうしてる間にも第2艦橋よりも遥かに高い水柱が出現する、また魚雷が命中したのだ
「くっ!大切な戦の前に!!」
艦が大きいことも重なって 右舷に8発 左舷に5発 計13発被雷した少々浸水したが問題ない
明朝07:28時日本艦隊旗艦大和、敵超巨大航空戦艦電探に捕捉
ちなみに本日の航空兵力の出撃は見送られている世紀の大決戦を邪魔しないで欲しいと伊藤からの願いだという
「艦長!!敵巨大艦!電探に捕捉!!ご命令を!」
「ウムッ!!全艦!砲雷撃戦用意!総員戦闘配置!!主砲弾種徹鋼弾!!!」
二度目の命令に総員奮起する、一度目はフィリピンで護衛空母ガンビア・ベイを発見したときに発せられた
この時の大和の主砲についての諸説がいくつかあるが詳しい人は知っていよう
ちなみに4ヶ月という短い時間で新たに作り直したんじゃないかと思うほど大和は変貌している、特に大きいのは超高圧タービンで獲た35ktの足だ
全速で波を掻き分け敵へ向かって猛進する大和・刻一刻とその時が近づいている
「敵艦!以前進路変わらず!!距離9万!!そろそろです!」
ということは10分で射程に捕らえることが出来る・・さぁ!始まるぞ!とまた意気込む
「て!敵艦砲撃!!予測!2分15秒後!!」
「何?敵は我々よりも射程が長い砲を積んでいるのか?」
「不明です!」
念のため進路を変更しつつも敵に向かう
「秒読み!!10!9!8!7!6!」
数が減るにつれ一抹の不安がよぎる「勝負は時の運」とは言ったものだ
「遠弾!!距離約7000!変更なし未来位置よりもおおよそ5000!」
進路を変更しなくても遥か明後日の方向に着弾しているし、地点もばらばらだこれならイケル
「ふむ・・どこを砲撃しているのか問いたくなるな・・しかし諸君!マグレ当たりもある!十分警戒せよ!」
味方の反応と敵の反応は全然も違う
「どうだ?当たってるのか?」
「判りません・・計器は問題ないですが・・レーダーがないので確認できません」
観測機を上げても無意味だとは重々承知である
「ふむ・・さすがに最大射程では命中しないかもしれん・・距離5万より砲撃再開」
文献では大和の最大射程は4万キロ一方的に攻撃できるのは気分がいいものだ
「艦長!!敵艦との距離8万を切りました!!攻撃指示を!!」
「うむ!!この作戦は本艦の働きにかかっている!皆の手腕に期待する!」
といっても頑張るのはほぼ砲撃手だけである
「よし・・観測機を一機頼んでくれないか?」
「彼女に頼みますか?」
彼女とは勿論この大和と会話をした彼女だ
「そうだな・・あの人間なら信頼できる結果を報告するだろう、そうしてくれ」
10分もしないうちに対空レーダーが一機の航空機を捕らえる
「来ました!通信入ります」
≪私です、長官直々のご指名に感謝します≫
なにせそんな砲撃戦を上で悠々と高みの見物出来るのだ
「頼むぞ」
≪ハイ≫
短い通信を終えて元の空気に戻る
「よし!!砲撃開始!!世界を救え!!」
60年間の鬱憤を晴らす砲撃が開始された
「ん?副長・・なにか聞こえませんか?」
「は?そうか?そういわれると・・」
遠くの方からなにやら奇妙な金きり音がする・・ヒュルルルルルル・・次第に変化して大きくなるガラガラガラガラッ!!!
「なんだ!この奇妙な音は!!」
「判りません!」
大口径砲特有の空気音であることをしるよしもないその音は近づくにつれて不気味に変化するという
と次の瞬間雷撃とは比較にならない衝撃が艦を襲う
「うをぉぉぉぉおお!!なんだぁぁ!!」
「し!至近弾です!!命中弾は無い模様!!」
かつて無い揺れと、雷撃とは比較にならないくらい大きい水柱が立ちの昇った所を見ると相当凄い砲撃である
≪報告、貴艦の砲撃見事なりされども命中弾は無い模様、近弾200≫
結果を大和に返す、余りの光景に腰が抜けそうだったそれほどド迫力なのだ
「艦長!距離7万5千です!速度を落して攻撃の効果を高めましょう!」
「うむ・・そうだな・・幸い敵の砲撃はまばらだ・・機関第2戦速!当てろよ!」
挟叉も出ないうちから命中はあまり見込めないが、近弾200なら3発目、4発目くらいに挟叉を期待できそうだ
そうしている間にもまた雷鳴のような轟音と閃光を轟かせ主砲を発射する
「またか!またあの音だ!!」
先ほど10分前におきた衝撃が脳裏をよぎり、咄嗟に近くの物にしがみつく
今度の音はさらに凶悪で不安感を募る物だった、そしてしがみついた努力は徒労に終わる
≪命中!命中!!!右航空甲板に命中の模様!!被害は・・不明!詳細待たれ!≫
滅多に興奮しない彼女だが、そうとう興奮した口調で命中弾を知らせる、あまりの黒煙に確認ができないらしい
「やりましたな・・航空機の使用は不可能だったそうですが航空甲板に命中したとなれば、航空機燃料や爆装に引火の可能性もあります」
「だが航空甲板だから貫いたのかもしれんな・・うむ微妙な所だ」
本来甲板は厚い防御をしていないので主砲が貫いた可能性がある、戦はどんなに優勢でも相手を見下さないのが必定だ
「3式焼散弾の使用も検討するか・・」
3式弾は対空兵器だがその焼夷性の高さから敵艦に火災を発生させることが可能である
「よし!3式弾も用意しておけ!ただし!命令あるまで使用を禁ずる!」
外部の破壊が困難ならば内部破壊を招かせるまでだ・・一方敵艦では艦内騒然としている
「衛生兵!衛生兵!!くそ!!手が回らない!一発でこの威力!」
たかだ一発の命中弾で右の飛行甲板は爆風で捲れ上がり、その爆発で数十人単位の死傷者を出している 付近にいた者も風圧で吹き飛ばされ、骨折、打ち身、脳震盪などぞろぞろだ
「副長?大丈夫ですか?」
「っく・・すまんな・・なんだこれは・・我々はどんな大和と戦っているのだ」
知っている大和ではないことは確かだ・・どうやら遅すぎたようだ
≪右航空甲板大破!!火災も発生している模様!されども敵艦の被害は小の模様!≫
航空甲板が壊れたくらいで沈まないことは重々承知しているために被害規模は小破と報告しておいた
「そうか・・流石に甲板破壊では撃沈できぬからな」
「ですが命中弾が獲られました!士気にも影響するでしょう!!」
こういうのは流れが大切だ・・空気の流れというか場の流れだ
「よし!続けて砲撃!」
3度目の轟音が襲う、だが慣れると意外と心地いいものだ
「さぁ・・当たってくれよ」
一度当たれば仰角が正しいことを意味しているので、あとは進路予測である次が当たるとは限らないのだ
3度目の金きり音が聞こえてくる、先と同じ初弾とちがう嫌な音だ
「またかっ!!総員!衝撃に備えろ!!各員!被害に注意!!」
しかしどんなに力んでも、それを嘲笑うかのように衝撃はやってきて身を倒す
「くぅ!!ひ!被害しらせっ!!」
「だめです!通信遮断された模様!!繋がりません!」
先の衝撃でコード類が切れたか通信機に異常をきたしたのだろう
「伝令!!被害知らせ!!」
「はっ!命中2!うち1後艦橋を直撃・・その・・跡形も無く消し飛びました」
なんでも話しによると根元から鉄板がちぎられた様になっていて、以前そこになにがあったか思い出させるのも面倒な有様だという
「もう一発は!?」
「はい!第1主砲の横盾に命中!はじき返した模様ですが・・衝撃で旋回不能です」
なんということだろう一基は飛行機で一基は砲弾で使用不能など・・到底勝ち目は無さそうだ
「うむむ・・・仕方ない!撃つだけ撃て!少しでも報いろ!砲撃要員以外は退避!機関兵は優先しろ!」
「副長!!!」
事実上の白旗であるが、主砲の発射要員と自分が残ることで職務を全うするつもりだ
「判れ・・参謀・・艦長は第一撃で召されたが・・我々は十分に戦った・・遅かったのだ」
どう見てもこの作戦で世界がひとつになるべく動いている・・先も言ったが遅かったのだ
「副長・・私も残ります!お供させて下さい!」
「だめだ!皆生きろ!!確かに祖国は間違っていたかもしれない・・だが!耐えて生きろ!!そして伝えるんだ!我々が犯した愚を!」
「副長・・わかりました、私全身全霊を持って副長の意思を通します・・伝えましょう・・皆に!砲撃要員以外は退避!!機関兵は優先しろ!」
艦内も一時騒然となったがすぐに収まり救助艇に皆が乗り込んでいく
≪報告!報告!敵艦・・総員退艦?ボートが視認できます≫
「何?早いな・・」
「ですがまだ致命弾は・・」
≪敵艦砲撃!!砲撃要員は残している模様!!≫
「そういうことか・・せめて関係の無い乗組員は生かす訳か」
「艦長敵ながら見事です、ですが敵ですほうって置くわけにも行きません」
やっぱり敵の砲弾は見当違いの場所に落下してきた
「よし全速で接近しつつ砲撃、撃沈後は乗り組み員の救助に当たれ」
再び機関を全速に戻し砲撃も行う、しかし敵ながら見事な構えである
「やった・・私は十分戦った・・しかし・・世界には勝てぬか・・頼むぞ参謀」
4度目のあの音が聞こえてくる今度はさらにヤバイ感じだ、全身から汗が噴出し身が震える
9発中3発が命中 一発は後尾に一発は右舷に残った、機銃座を足元から抉り取った、そして一発が弾薬庫に直撃弾凄まじい爆音と業火と共に究極最大の航空戦艦は海に没した
「どうした?観測機からの情報は?」
「まだです・・着弾してるはずですが・・」
レーダーに映る艦影が次第に薄れ無くなった事を確認している轟沈だ
≪ほ・・報告遅れました・・爆風にて機体の安定を失い通信できませんでした・・爆沈です、至急救援を求めます≫
「了解、直ちに沈没地点に向かい救助を行う」
「艦長・・終わりましたね」
「あぁ・・いささかやりおえた気分じゃないがな」
なにせ敵弾は明後日の方角で一方的に攻撃できたのだ、しかしそんなやり終えた実感を得たのはひょんな事だった
「え?私と模擬戦?」
「ハイ、隊長・・各戦争の超ACEとも言える人たちが貴方と一騎打ちをしたいと」
戦局を左右するとまで言われた部隊の一騎打ち所望である、いつかお手合わせ願いたいと思っていたところだ
「やってやれよ・・皆一方的な戦争はつまんねーからその代わりショーで盛り上げたら?」
セレンは相変わらず適当な口調で返す
「でも隊長・・8:1」ですよ?
数的には問題ないが技量の点では今までと桁が違う、流石に不利だ
「問題ない・・日時は?」
それからは驚くほど早くその模擬戦が決定され、いつもどおりのスタンスで行くため陸に近い海上・・海上というのは大和に敬意を込めてのことだ
ちなみにほかの艦艇は双眼鏡が必須なほど離れたところに配置されてレベルの違いも痛感している
「しっかし伝説の英雄と模擬戦なんて嬉しいねぇ」
「チョッパー?油断してると落とされるわよ」
「そうですね・・相当な技量の持ち主でしょう」
サンドの4機は自分たちで作戦を決めているようだ
「相棒?いつものあれでいくか?どうする?」
ガルム隊はガルム隊で彼らの作戦があるようだ
「タリズマン、僕たちは僕たちで行こう」
それぞれブリーフィングを終えて愛機に乗り込む ここからは力の世界だ
「艦長、模擬戦がそろそろ展開します」
「うむ・・せっかくなら見ていこうか」
世界を救うという使命を果たし後はどうなるか知らないが、折角の催し物を見物しないわけもいかないだろう
10:00時模擬戦で伝説の英雄VS超ACE戦が展開された
だが当然結果はさんさんたる物で超ACEと言われた8機も彼女の前になす術もなくペイント弾に撃墜された
「艦長!見ましたか!!木の葉返しをあの姿勢からやってのけるなんて!」
「うむ・・流石英雄と称される事あるようだ」
正直驚嘆しているその実力に・・あのとき銃弾一発放てばと今思うと背筋が凍る
その後大和は鹿児島沖に帰った時、謎の低気圧でまた姿を消したそうである
「式森様・・大変長い間失礼いたしました、リーラシャロンホルスト只今帰還しました」
「あっ・・うんおかえりリーラ」
いつもの笑顔で迎えてくれる主人がいた、怒っている様子は微塵もない
「式森様・・私やはり貴方にお仕えできて嬉しいです」
「え?うん・・ありがと」
そういうとそそくさと寄ってくるので抱きしめてやる
「あっ式森様・・その」
「ん?なぁに?リーラ?」
恥ずかしいのか顔を染める
「今日は・・沢山ご奉仕いたします」
早い話一杯Hして下さいだ
「判ってる・・僕もリーラを一杯可愛がりたい気分だな」
「あっ・・はい」
そうして唇を重ねると後はオールナイトだ