「……と言う訳で、式森君には私達の偽装彼氏になって欲しいのよ。」  
「はぁ……」  
 
ここは和樹の部屋。  
部屋の主である式森和樹は、突然の来客に戸惑っていた。  
 
杜崎沙弓、柴崎怜子、片野坂雪江。  
奇人変人の集団であり、その多くが金に意地汚いという異常地帯2−Bにおいて、数少ない常識人である。  
美しい少女ばかりの2−B女子の中でも、特に優れた容姿の持ち主達でもある。  
 
その彼女達からの「偽装彼氏になって欲しい」という要請に、和樹は正直戸惑い、ついで「ああ、彼女達も結局B組の人間なんだな」と心の中で涙を流す。  
 
 
さて、何故彼女達が和樹を彼氏として偽装したいのかというと……  
2−B内での彼女達への風当たりの強さに原因がある。  
 
異常地帯である2−Bにおいては、マトモである事こそが異常として扱われる。  
まして、彼女達は容姿端麗スタイル抜群で学校中の男子から非常に高い人気があり、それを容姿は良くとも性格が悪いせいで彼氏ができても長続きしない他のB組女子からやっかまれているのである。  
また、男子もその動きに同調。「自分より良い目に遭っている奴は敵」というのが2−Bにおける基本的な思考であり、それは異性であっても変わらないからである。  
 
基本的に図太い彼女らであるが、流石にこのような状況が長時間続くのは辛い。  
そこで三人纏めて和樹の彼女になる事によって、「落ちこぼれに囲われている可哀想な子」という立場を手に入れてクラスメートからのやっかみを減らそうというのである。  
 
無論、そうなると今度は和樹が槍玉に挙げられる。  
しかし沙弓達は「今まで目立たなかったおかげで安然としてたんだから、私達との格差是正に丁度良いわ」とキッパリ言った。  
もっとも、このように和樹を説得しているという事が彼の拒否権を認めている事の証左であるので、和樹は何も言わなかったが。  
そこで、和樹は彼女達の提案を断ってしまう事にした。  
 
「まあ、本当に彼氏になれって言うなら僕の方もそれなりに美味しい思いが出来るかもしれないけど、結局偽装でしょ?  
これはみんなからの集中砲火浴びるのが前提なんだから、よっぽどの見返りがないと受けられないよ。」  
「まあ。それはそうですわね。  
では何でも言って見てくださいな。出来うる限りの事はして差し上げますわ。」  
 
雪江はおっとりとした口調で和樹に答える。  
 
「何でも……ですか?」  
「ええ。少なくともお聞かせしていただくだけならば、ただですから。」  
 
そこで和樹は考える。  
ここはとんでもない条件を吹っかけて諦めさせる事が上策だ。  
しかし、とんでもない額の金という条件は彼女達との間に禍根を残す。  
というかお金がらみの条件は却下である。自分自身も彼女等も結局はB組だ。  
となると…………  
 
「そ……それじゃぁ…………」  
 
和樹は遠慮がちに切り出す。  
 
「片野坂さん達三人の貞操を下さい。  
できなければ、今回の話はなかったという事で。」  
「はい、承りました。私達の操ですね。」  
 
即答する雪江に目を丸くする和樹。  
 
「式森君だって男だもの。そういう返答をこっちが想定してなかったとでも?」  
「予め話し合った結果、まあ式森君なら他の男子よりかはマシだしあげても良いわね、って事になったのよ。」  
 
と、沙弓と怜子が雪江の返答を補足する。  
和樹が、「それはちょっと比較対照が悪すぎるんじゃ」と思っていると、彼女達はおもむろに着ている制服をゆっくりと脱ぎ始めた。  
 
「ちょっちょっと、と、も、もももももも杜崎さん!? しばばば、ば崎ざん? かっかかかたたのの、せさぁん????」  
 
大混乱に陥っている和樹の目の前に、その見事な造形美の裸身を惜しげもなく曝す三人の美少女。  
 
「式森君、据え膳食わぬは男の恥よ?」  
 
怜子が頬を赤らめながらそう言った瞬間、和樹の中から理性が失われた……  
 
 
綺麗だ。  
少女達の裸体を見た和樹の頭の中は、その一語に占領されていた。  
 
とても豊かな胸と、まるでモデルのようなすらりとした体型を両立させている沙弓。  
「女子高生のコスプレをした美人秘書」という風評を裏切らない大人びた雰囲気の怜子。  
白磁のような肌にしっとりとした色気と魅力を溢れさせている雪江。  
 
その誰もがただ美しかった。  
 
「三人とも、すごい綺麗だよ……」  
 
と和樹が熱に浮かされたように口走った瞬間、少女達は子宮に衝撃を受けたような錯覚に陥り、ふと自分達の内股が濡れている事に気付く。  
秘所から溢れ出した愛液が太股を伝っていたのだ。  
 
彼女達はその事に驚き戸惑う。  
 
(も、もしかして式森君にかけた魔法、私達にもかかってない?)  
(でも、あの魔法は理性を抑える物で、魅了の類ではないはずですけど……)  
 
そう、今の和樹は少女達がかけた魔法によって理性が抑えられている。  
そうして理性に抑えられている性欲を刺激し自分たちに欲情させる、というのが少女達の狙いであった。  
しかし彼女達は、理性がなくなり欲情した和樹が自分達に襲い掛かる以外の想定をしていなかったのだ。  
 
今、和樹は理性を失い少女達に性欲を感じている。  
そして普段であれば理性に抑えられてしないような事を、躊躇無くしてしまったのだ。  
つまり、数少ない魔法を使って彼女達を自分の物にしてしまおうという行動を……  
 
そんな事は露知らない少女達に、和樹が服を脱ぎながらゆっくりと迫ってくる。  
和樹が一歩進み、服を一枚脱ぐ度に少女達の子宮は熱を帯び、膣から分泌される愛液の量が増えていく。  
和樹が沙弓の胸に両手を伸ばし揉みしだいた瞬間、  
 
「!!!!! ッんあぁぁぁぁぁぁぁぁああああっ!!!」  
 
沙弓はこれまでに感じた事もないような信じられないほどの絶頂感を覚え、あり得る筈のない量の愛液を膣から吐き出して崩れ落ちてしまった。  
無防備に床に倒れてしまう所を、和樹が優しく抱きとめる。  
しかし倒れこんでしまった方が楽だったかもしれない。  
彼女は全裸で無意識に同じく全裸の和樹に抱きつく。  
沙弓は和樹と自分の肌が接している部分から侵食されるように全身が性感帯に変質していくのを感じ、早く離れなければ一生どころか永遠に和樹に隷属する性交人形と化してしまうと本能的に察知していながら離れる事ができない。  
 
と、和樹は沙弓を抱きながらベッドに移動し、そこに彼女を寝かせる。  
自分が何か人間とは別の物に変えられていく恐怖と……性的な悦びを感じていた沙弓は、それから解放されてキョトンとすると共に強烈な切なさを憶えた。  
清水の如く愛液が湧き出でる秘所と豊かな胸に手をやり慰めても一向に収まらない。  
 
そこに和樹が声をかける。  
 
「杜崎さん、いくよ……」  
 
それを聞いた瞬間、沙弓は恐怖と期待に全身を振るわせる。  
もしここで和樹を受け入れてしまったら、自分は未来永劫和樹と交わる為だけの人間とは明らかに別のモノに変わり果てる。  
確信ですらない、事実の確認が少女の体を震わせたのだ。  
 

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