放課後、保健室に来た和樹。
ちょうど紅尉先生がいなかったがじきに帰るとの事で紫乃がお茶を入れて招いた。
「死してなおも揺るがない愛という物を信じます?」
「はあ・・・・」
唐突な紫乃の言葉に言葉を濁す和樹。
「では式森君は『骨まで愛して』いう歌はお好きですね?」
「・・・ねって言われても。別に好きじゃないですよ。」
「貴方が幽霊だった時の思い出。楽しかったですわね?」
「・・・あまり思い出したくもありませんが。(汗)」
いつになく紫乃の愛想がいい。いつも愛想だけはいいが今日は3割り増しにいい。
むしろ良すぎてヤバイ気配がビンビンに伝わってくる。
「わたくし、気づいたんですの。今まで生きた男性には興味がなかったのに―――」
和樹の悪い予感がレッドゾーンに達した。悪い予感は良く当たる。
慌ててお茶を飲み干すと勢い良く立ち上がる。
「ぼ、僕、用事があるんで失礼します!」
「あら?残念ですわ。せっかくわたくしが愛の告白を」
和樹は聞かなかった事にして振り向きもせずに保健室を出て行った。
残った紫乃はテーブルの上の空になったティーカップを見て微笑む。
「フフフ。楽しい日々がまた来るのですね。ああ、楽しみですわ。」
紫乃シナリオのフラグが立った瞬間だった。
和樹は困ってた。
昨日から紫乃の視線が熱い。ていうか痛い。
「あの・・・・なんか僕に用ですか?」
「いいえ。でももうじきですから。」
意味深な言葉に首をかしげる和樹。
「もしかして又、何かしたんですか?」
「はい。実は昨日のお茶にキリストが磔られた杭の欠片などを少々。」
和樹はイマイチ意味が分からず間抜けな表情をする。
「え〜と、それ飲むとどうなるんですか?」
「飲んで3日目の午前0時に死ねば無敵最強のアンデットになれます。」
ニッコリと憎らしい微笑を浮かべて紫乃は言った。
「わ〜〜〜〜〜〜〜!!!?!!??(涙)」
かくして和樹は紫乃の魔の手から逃げる事になった。
少なくとも3日逃げ切ればキリストの杭の効果はなくなるらしい。
「・・・・・どうしよう。」
和樹は考えた。紫乃が相手では夕菜や玖里子では全く相手にならない。
そしてこういう時に限って紅尉は連絡がとれないのだ。
「・・・・・・・やっぱり・・・しかいないよな。」
和樹は携帯を取り出し、ある番号をコールした。
コール先は秋葉原に立つとあるビル。
メイド喫茶からメイドレストラン、およそ秋葉原系のショップが一つのビルに集まり
メイド達のみによって運営されるそここそは・・・・
「リーラ大尉。たった今、式森様から連絡が入りました。」