彼はそれを味わうこととなる。そしてそれは、遠い未来のことではないのであった。  
 
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  まぶらほ  〜    の巻 if 〜  第八章  
 
 おちこぼれ魔術師、式森和樹は、その日も正妻を自称する夕菜と2人で下校していた。  
女性の苦手な彼だったが、運がいいのか悪いのか、逃げても無理矢理迫られてしまうので、  
最近は「そんなに毛嫌いせずに、静かに耐えたほうがよい」と悟っていた。  
 それに、数々の事件を経る中で、”悪くないかも・・・”くらいまで女性に、否、夕菜にだけは  
免疫が少しずつではあるが、できてきていた。  
 それでも独占欲が強すぎ、ちょっと他の女の子と話しただけでも、「この浮気者ーーっ!」  
と怒り狂ってしまう。幼さが多少は残る綺麗な顔立ちだし、この前のメイド服も似合ってたし。  
これさえなければ、最近はスタイルもよくなって・・・・  
 他愛のない話をしながら、考えに耽っていると、急に意識が遠のいていく。  
 
「か、和樹さんっ、 きゃあ!」  
 
「(ゆ・・うな? どう・・・し・たの・・・?)」  
 
―――――魔法によって深い眠りに落とされてしまった。  
 
 どのくらい時間が経ったかもわからない。目は覚めたものの、頭がくらくらしていた。  
「っく・・・ひっく・・」 女の子の泣き声−?  
和樹はようやく置かれている状況がつかめてきた。  
 鉄格子の向こうに、夕菜は縛られて、三角形の馬みたいのに乗せられていた。  
それも裸同然で――。前にも下着姿を見たことはあったが、あれは着替え中だったし、  
今とは違う。明らかに違う。  
 
「和樹さん!よかった・・気がついたんですね?」  
 
「う、うん。 それより夕菜は・・その、大丈夫なの?」  
 
「はい、今のところは。でもあまり見ないでください・・恥ずかしいです。」  
 
「あ、ゴメン・・」  
 
辺りを見回すと、鉄格子は自分を拘束していた。和樹が牢屋に閉じ込められていたのだ。  
部屋は薄暗かったが、そんなに陰気なところではなく。むしろ、真新しい匂いがした。  
 他にも天井からぶら下がる鎖の先についた鉄輪。鞭や鉄球まであった。和樹の脳裏に  
嫌な予感が走った―――――  
 
「い、いやーっ  こっちこないでぇ・・きゃー! 助けて和樹さん!」  
「やめろーっ! 夕菜に何をするーっ・!!!!!」  
 
 いったい誰がこんなことを?夕菜を狙っているやつら・・和樹の頭に浮かんでくるものは、  
ワイズメングループひとつしかなかった。夕菜の中に棲む魔を呼び起こすのか、それを狙って  
くるのかはわからないが、手段を選ばず、いつも突然、なんの前触れもなく立ちはだかる。  
 
 これまでは少なくとも仲間もいた。しかし今回襲われたのはいつだ?2人だけで下校して  
いたときだ。誰が気づいてくれる?特に頼れるのは夕菜のボディガードである伊庭先生だが、  
まず、いま俺たちがいる場所がわからない。その前に襲われたことに気づいているかどうか・・・  
 
 いや待て。まだ彼らと決まったわけじゃない。単なる犯罪者かもしれないじゃないか?  
でももし、何かのきっかけで暴走したら・・?これまでは何とか、暴走を抑えることができたけど。  
 
いざとなったら、俺の魔法で・・・え?待てよ、今俺は――――  
 
 状況打破できない自問自答を繰り返していると、足音が聞こえた。  
複数いるみたいだ。  
「どちらにせよ、これで犯人がわかるな」と和樹は思った。こういう時なぜか冷静だ。  
そして重たい扉がひらかれた。  
 
「夕菜の、他人の心配をしてる場合じゃなかった」和樹は、心底そう思うこととなる。  
 先頭に入って来た人物を見たとき、和樹は唖然とした。それまで抱いていた緊張感が  
一瞬にして抜け、へたりこんでしまった。  
 
現れたのは、あのメイドたちだった。先頭はやはりリーラ、忘れもしない。  
あいかわらずのメイド服を身にまとい、前あった時と変わらない美しさがあった。  
セレンにエーファまでいる。他にも名前は忘れたが、15、6人くらいか。  
呆然としているところにリーラが口をひらく。  
 
「お目覚めでございますか? 手荒な事をしてしまい、申し訳ありません」  
 
「っリ、リーラだったなんて・・・どうしてこんなことを?」  
 
「それは―――」答えは叫び声でかき消された。  
 
「このペテンメイドぉぉ!」夕菜だった。  
 
「また小懲りもなく現れてぇ。和樹さんに何するつもりですかっ!」  
 
いつも以上に大きな声を張り上げている。額には血管らしき筋さえ浮かび上がったいた。  
「もちろん、前にも言ったとおり式森様をお迎えにあがりました」とリーラは口調こそ平然に答えるが  
「なぜこの者がいる?」と顔を歪め、セレンに聞いた。  
 夕菜の絶え間ない発狂と罵声で、時折耳を押さえながら話すメイドたちの会話は、  
ところどころ聞き取りにくい部分も多かったが、和樹は少しずつ、成り行きを理解していった。  
 
 話の内容では、実行犯はセレンとエーファだったらしい。どおりで手荒いなと和樹は思った。  
途中夕菜があまりにうるさいので、リーラが、従えているメイドの一人に命令した。  
 夕菜自身の下着を破り取り、口に詰め込んだのは、確か第一猟兵メイド小隊の長  
ネリーパーラーメイドだ。先の南の島の紛争では、第一線で戦ったメイドだ。  
 しかし思い出に浸ってる場合ではない。本当は和樹だけを拉致、  
いや迎えに行くはずだったが、いつも夕菜が傍にいたし「リーラも仕返しがしたいかなと思ってよ」  
荒っぽい口調も変わっていない。  
 夕菜はむぐぐぐぐぐ・・と悔しそうなうめき声をあげている。ネリーによると魔法封じの鎖で拘束  
しているらしく、如何に夕菜の強力な魔力を以ってしても振りほどけない。和樹もなにやら  
いい感じのしない胸騒ぎと、身の危険を感じて寒気が走った。  
「まぁいい、この女をどう虐めるにしろそんなのは後だ。誓約を急ぐぞ」  
ふん、と鼻を鳴らしてリーラが言う。  
はい!とメイドたちが返事をして、和樹のいる牢屋に近づいてくる。  
 
 この時ばかりは、夕菜のはちゃめちゃな魔法で吹き飛ばしてもらいたいと思った。  
鍵が開けられ、扉がひらき、ゆっくりとメイドが数人歩み寄る。きっと普段見れば、  
可愛いに違いない。今見ても確かにドキリとするくらいだ。  
 皆若いが、和樹より年上がほとんどだろう。しかし顔にはうっすらと笑みを浮かべていて  
なにやら邪まなことを考えているに決まっている。和樹は腰が抜け、声も忘れてしまっている。  
後ずさりをするが、広くないため、あっという間に追い込まれてしまう。ライトノベルや、ゲーム  
なんかだと、この絶妙なタイミングで正義の味方が登場して・・いやその前に普通襲われるのは  
女の子の特権だろなんてこと考えていられる余裕はない。  
ここから先、十八歳未満はダメ。それ以上も公共の場ではちょっとなコトが起ころうとしていた。  
 
 
 彼女たちの華奢な身体の、いったいどこにそんなチカラがあるのだろうか。  
和樹は振りほどくどころか、軽々と扱われてしまう。左右から2人のメイドに肩を担がれ、  
腿を持ち上げられるという恥ずかしい格好で、手術台のような硬い台の上に乗せられた。  
 
「MMM伝統の慣わしで、誓約を行います。」ゆっくりとリーラが説明しだす。  
「近年ではめっきりこの風習はなくなりましたが、いずれはMMMの役職を担うであろう  
式森様には、ぜひ知っておいてもらわねばなりません。」  
「本当なら主となるべきお方がリードするのですが、  
今回は私どもにすべてお任せください。やることは同じですので・・」  
少し頬を赤らめて。母親が、生まれたわが子を初めて見るときよりも優しい瞳でリーラは語る。  
「ま、前から言ってるけどさ。僕、君たちの主人になるつもりは、ない・・よ?」  
自分でも情けなくなるくらいに、か細い声で反対したり・・・。  
「ご安心ください。すぐに嫌なんて言えなくなります。」  
と笑みを浮かべている。  
 
「違いねぇ、リーラのテクはまいるぜ。あたしら部下のメイドがいくらコキ使われようが、  
罵られようが、反対しないで忠誠誓ってるのも、リーラの性技のおかげだもんな」  
 わははと笑い出す。そして・・・  
 
「そしてその訓練をあたしたちも受けてるってワケだ、わかるか?」  
生理あがったらどうすんだよ、なあ?などと言いつつ歩み寄り、首元に手をかける。  
話を振られたエーファも、セレンと同じように、にこにこしていた。  
 
唐突にセレンが制服とシャツを同時に引き千切り、和樹の胸をはだけさせた。  
首筋に舌を這わせてくると、未体験の感覚が和樹を襲う。  
 硬く冷たい台の上に乗せられ、手足は押さえつけられ、頭を上げると夕菜が・・  
夕菜は涙を浮かべ、悲痛の表情で自分を見下ろしていた。  
和樹は思わず夕菜から目を逸らしてしまう・・妙な、やるせない気持ちがこみ上げてくる。  
 すでに乳首を舐め回していたセレンが、片方をカリッとひっかいてみせた。  
「うひゃっ!」  
こそばゆさ、くすぐったさの奥にひそむ、快感。  
ゾクゾクッ、とした快感が和樹の全身を走り、鳥肌が立つ。  
 
 乳首をいじられ、数人のメイドたちから「ちゅっ、ちゅっ。」と首筋、そして  
耳にキスをされ、和樹は身をすくめた。  
メイドたちは、和樹の胸板にたくさんの赤い印をつけていく。  
「なにつけてんの?」と和樹が聞くと、  
「誓約の証し。」  
「・・・・・。」  
何も言えなかった。  
涙でかすむ和樹の目には悔しそうに自分を見つめる、夕菜の姿が映った。  
夕菜の落とした涙がひたいに滴る。  
「どぉ、気持ちよくなってきた?」  
「ぜんぜんっ!」  
「そぉ、残念だな・・・」  
次の瞬間――――  
「イぎゃっ!」  
強い力で乳首をつねられ、さらには「ぎゅっ、ぎゅ。」と緩急をつけながらひっぱられる。  
「痛い!痛いってばっ!」  
 思わず悲鳴をあげてしまった和樹をみて、夕菜の顔色も曇る。  
セレンたちは和樹から離れ、またもリーラがゆっくりと話し出す。  
 
「式森様には前回以上に、全身全霊をもってお仕え申し上げます。  
しかし式森様、これだけは覚えておいて下さい・・・  
式森様は主人になるのではありません、主人に成らされるのです。」  
和樹は、いったいどっちが主人なんだ?と思が、気弱な性格なので強く反論できない。  
「さっきも言ったけど僕は嫌・・」  
と今回も情けない口調で答えていると、  
「ぅ、んんんんんんっっ!」  
夕菜の声にならない叫び声。リーラが、夕菜の乳首を強引につねっていた。  
「わかった!わかったからやめて!」  
「そうです、さすがは私のご主人様・・」  
 リーラは優しく微笑んだ。そしてため息混じりに和樹の頭を撫でる。  
私たちのだろ?とセレンたちが不満を漏らすが、リーラは聞こえないふりをする。  
 
「そういえばキスは初めてですか?」  
夕菜の口に詰めた下着を取りながら聞いてくる。誰に言ってるのか・・  
そう告げるなり、リーラは自身の唇で夕菜の唇を塞いだ。  
 
「初めてが好きな人とできなくて残念でしたね。」  
リーラは勝ち誇ったような台詞を夕菜に吐き捨て、今度は覆いかぶさるようにして和樹の唇を奪った。  
和樹の口から息苦しそうな声が聞こえたが、今のリーラの耳にはまったく届いていなかった。  
 和樹の唇を味わうかのように長い間口づけをした後、  
リーラは閉じられた和樹の唇を自分の舌でこじ開けて、歯列を右から左、左から右に舐め回す。  
そして一瞬、歯の間から舌が出てきたのを見逃さず、すぐにその舌に自分の舌を絡ませた。  
「んんっ!んっ・・・・・・・」  
和樹は頭を振って抵抗を試みるが、リーラの腕に強く抱かれ、ほとんど動けない。  
それどころか、舌や上から押し付けられた体から感じるリーラの温もりに、  
だんだんと自分の意識が飛んでいきそうになっていた。  
そしてやっと唇が解放された頃には、和樹の頬は紅潮し、体も熱くなっていた。  
 
「それでは、そろそろ誓約をはじめますよ・・心の準備はよろしいですか?」  
十二分に唇を味わったリーラが、和樹のベルトに手をかけ、  
制服のズボンを下げながら、意地悪く聞いてみせる。  
和樹が何か答えようと口を開くのがわかると、  
彼女は和樹のモノをぎゅっと強く握り、和樹が拒む瞬間を与えない。  
 
今度は下着の上から、優しくサワサワと撫でながら、「よろしいですね?」と  
再び問うが、和樹は目をそらして、黙り込むことしかできなかった。  
リーラはゆっくりと和樹の下着に手をかけ、さぁ脱がそうかという時に、あることに気がついた。  
 
「やめて・・かえして、和樹さん・・・」と小さな声で虚しく涙を流し哀願する夕菜だった。  
 自分を汚され、目の前で愛する人が弄られる・・・  
夕菜はその口惜しさと混乱とで、もはや怒りすら沸ていない。  
普段は気の強い彼女だったが、本来はよく言えば純粋無垢。逆に言えば、些細なことですら  
当人に大きく影響してしまう性格だった。  
 
「(このまま一気に誓約を進めても風情がないな)」  
そう思ったリーラが、高飛車に夕菜に告げる。  
「どぉ?あなた。今、ここでオナニーしてみせたら、大好きな人、返してあげますよ?」  
「っ!!」  
リーラの言葉に、夕菜はピクッと硬直する。それと同時に、周りを取り囲むメイドが、縛られていた  
夕菜の拘束を解き、乗せていた馬から、今度はちょうど和樹の顔の上に降ろしてやった。  
 
ひ、人前で自分の大事な所を触って、気持ち良くなるなんて・・・。  
でも、でも、和樹さんを・・和樹さんを返してもらうため・・・。  
そのために、和樹さんの目の前で・・こんな恥ずかしいこと・・・。  
目的も、手段も。異様な状況下に置かれ、夕菜はもはや放心状態だった。  
頭の中で、世界がグルングルン回る。 そして・・・・・  

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