『夕菜×和樹』  
※注意1 過激な性描写は含まれておりません。  
     エロじゃないシーンのほうが長いです。  
※注意2 アニメ準拠です。  
 
 
季節は秋。紅葉した街路樹の下。  
少し前を歩いている和樹。夕菜は早足になって隣に並んだ。  
ちょっと躊躇ってから、腕を絡めるようにして手を握る。和樹も、握り返してきた。  
太陽にかかっていた雲が流れ、あたりが明るくなった。背中が、ぽかぽかしてきた。  
いい天気ですね、と夕菜は言った。  
うん、と和樹が応じる。  
寮を出て、他愛ない話をしながら町中を一、二時間歩いて、帰ってくる。  
はたからみるとそうとは思えないだろうが、これがふたりのデートだった。  
運動になるし、お金もかからないし、いい方法だ、というのがふたりの共通認識だった。  
風が吹く。落ち葉が道路と擦れる乾いた音。  
息を吸い、息を吐いた。呼吸するたびに肺が奇麗になっていくような気がした。  
いい天気だね、と和樹が言った。  
はい、と夕菜は応じた。  
その時背後から声をかけられた。  
「ああん、和樹いい」  
聞き覚えのある甘い声。振り返った。玖里子だった。  
「どこいくの?」  
別にどこっていうあてがあるんじゃないですけど、と和樹は答えた。  
「ただ暇なんで、話しながらあちこちぶらぶらしてるだけです。  
玖里子さんは?」  
 
「あたしはちょっと学校に用事があって、これから行くところ」  
玖里子はそこで、つながれたふたりの手に目をとめた。  
「――だったんだけど、やっぱりやめて」  
和樹の腕に抱きつき、乳房を擦りつける。顔を夕菜のほうにむけて甘い声で言う。  
「あたしも一緒にぶらぶらしよっかなー」  
「玖里子さんっ」夕菜は叫んだ。「やめてください」  
冗談よ、冗談、と玖里子は笑い、和樹から離れて、それじゃあね、とふたりに背をむけた。  
もう、玖里子さんったら――。  
ぶうと頬を膨らませたが、その去っていくうしろ姿が寂しげなのに気づいてはっとする。  
やっぱり呼び戻してあげようか――考えて夕菜は首を振った。  
溜息。つくづく思う。嫉妬心と劣等感は太いパイプで繋がっている、と。  
風椿玖里子と神城凜。  
ふたりは同性である夕菜の目にも、とても魅力的な女性に見える。  
ひるがえって自分はといえば、すごく中途半端だという気がした。  
玖里子のようにスタイルがいいわけではないし、凜のように清廉でもない。  
彼女たちといるとき、夕菜は常に劣等感にさいなまれてきた。  
だが和樹と結ばれ、玖里子や凜に対して優越感を抱くようになると、嫉妬心は萎んだ。  
いくら胸が大きかろうと、どれだけ清廉だろうと、  
彼女たちのそばにはもう式森和樹はいないのだから。  
数ヶ月をかけて、夕菜、和樹、玖里子、凜の四人グループは緩慢に崩壊している。  
恋心と敵愾心と友情の微妙なバランスのうえに成り立っていた危うい関係だったから  
夕菜が和樹と完全にくっつけば、そうなるのは当然といえた。  
今では廊下ですれ違った時に挨拶をする程度の関係だ。  
おそらくこのまま四人をつないでいた糸はほぐれて、切れて、なくなってしまうのだろう。  
 
はう、と再び溜息が漏れる。  
「久しぶりだったね」ぽつり、と和樹が呟いた。  
何がですか、と夕菜は訊いた。  
「玖里子さんとあんなに話したのが」  
「そうですね」  
「――もう帰ろうか」  
 
夜。カーテンを閉め切った和樹の部屋。ふたりはベッドの上にいた。  
いや、もっと正確に言えば、和樹はベッドの上にいて、その上に夕菜がいた。  
騎乗位だった。  
ちょっとは、こなれてきたかな。和樹の上で腰を振りながら夕菜はそう思う。  
こなれてきて、一時的に羞恥心を麻痺させられるようになった。  
和樹とこうしてつながっている時なら、どんな風にでも振舞える。  
「和樹さんが、和樹さんが、おなかの中で暴れてますっ」  
こんな台詞、普通の状態だったら、耳にしただけで卒倒してしまうだろう。  
でも今なら平気で口にできる。どんな破廉恥なことだって、今ならできる。  
夕菜は和樹の両手に自分の手を重ねて、自らの乳房を揉みながら叫んだ。  
「はあん、どうしてえっ。腰が、勝手にっ。腰が、とまんない、とまんないよお」  
本当は、とまる。いつでもとめられる。  
でも、とめない。汗だくになって振り続ける。  
実はそれほど感じているわけではない。快感二割り増しくらいの演技だ。いや、三割かも。  
自分がさも興奮しているように振舞うことで和樹が喜んでくれるならそれでいいと思う。  
すべては和樹のために――それが夕菜のセックスに対する考えだった。  
和樹が喜ぶことがすべてであり、自分はそのための努力を惜しまない。  
 
ただし羞恥心をかなぐり捨てることができるのは、セックスの最中限定だ。  
普段の生活では普通に今までどおりの宮間夕菜として暮らしている。  
つまり、普段は心の底から清純なのだが、いったんおっぱじめるとすんごい少女、  
それが今の宮間夕菜なのだった。  
「和樹さん、気持ちいいです。和樹さん和樹さん和樹さん和樹さん和樹さん和樹さん(息継ぎ)  
和樹さん和樹さん和樹さん和樹さん和樹さん和樹さん(息継ぎ)和樹さん和樹さん和樹さん  
和樹さん和樹さん和樹さん(息継ぎ)和樹さん和樹さん和樹さん和樹さん和樹さんかずきさん」  
かずきさん、きもちいいです、わたし、こわれちゃいます。  
とりつかれたように言いながら、ベッドがぎしぎしと音を立てるほど激しく腰を振る。  
ふたりの乱れた息が、次第に同調してくる。  
和樹の眉間に快美の皺がより、乳房を掴む手に力が入る。  
「夕菜、僕――ああ夕菜っ」  
和樹が腰を浮かせ、体を反らせた。夕菜のからだが持ち上がる。  
和樹の小さな呻きと共に、熱い液体が次々と体の中に注ぎ込まれた。  
 
× × × ×  
 
いいものじゃない。全然いいものじゃない。  
それが、和樹との初体験のあと、陰部からこぼれてくる精液と血が入り混じった液体を  
ティッシュで拭いながら思ったセックスに対する夕菜の心偽らざる感想だった。  
“愛しあう”という表現のオブラートに包まれていたのは、  
精液と血と汗と唾液のにおいのするけだもののような行為だった。  
幻想を打ち砕かれた少女は、突きつけられた醜悪な現実に涙した。  
でも和樹はそうやって肩を震わせている夕菜を、後ろから抱きしめながら、  
痛くてごめん、と言ってくれたのだった。  
痛くてごめん、気持ちよくしてあげられなくてごめん。  
 
そんな理由で泣いていたわけではないし、痛かったのは和樹の責任ではないのに。  
夕菜は思わず笑ってしまった。  
馬鹿で底抜けのお人好し、式森和樹。そんな和樹が自分の“いちばん”。  
和樹は自分のために動いてくれる。だから自分は和樹のために動こう。  
和樹にとって最高だと思えるようなセックスをしよう。  
夕菜はそう決めたのだった。  
すべては和樹のために、和樹のために――。  
 
× × × ×  
 
かーん。と頭の中でゴングを鳴らす。ラウンドツー、開始。  
軽い口づけ。そのまま唇を下に滑らせ、和樹の勃起した乳首を口に含んだ。  
和樹の顔を上目遣いで見ながら、舌先で乳首を弄う。  
んあっ、と和樹が切ない声を漏らす。  
「和樹さん、かわいい。そんな声だして、女の子みたい」  
夕菜は顔をあげ、淫蕩そのものといった笑みを浮かべた。  
「ゆ、夕菜――」  
再び舌先で和樹の乳首を擦る。和樹はびくんと体を痙攣させた。  
左手に軽く握ったペニスをゆるゆるとしごきながら、猫がミルクを飲むように舌を動かす。  
苦しそうに胸を上下させる和樹。  
「夕菜、僕もう――」  
ペニスがびくびくと脈動した。夕菜は左手の動きを加速させた。  
「あ、あ、あ、あ、あ、あっ」  
和樹は再び腰を浮かせ、今度は夕菜の体の中ではなく、汗のにおいのする部屋の  
空気にむかって熱い白濁液を射ちだした。  
夕菜は(心のすっごく深い所で)思った――早っ。  
 
あううう。  
どうしよう、と夕菜は思った。  
まだ下腹のあたりにあたたかな痒み――うずうずがある。  
ありていに言えばヤリ足りないのだが、そんなこと口に出して言えるわけがない。  
(「和樹さん、わたしまだヤリ足りないので、もう一発しましょう」なんて  
口が裂けて死んだあと、世界が終わっても言えませんっ)  
二回も愛しあったあと、またねだるなんて、がっついてるように思われないだろうか?  
夕菜はシーツを胸元まであげて、体を起こした。和樹はトランクスに脚を通しはじめている。  
まるで持ち主の人格をあらわすような、地味ぶっちぎりの柄のトランクス。  
ええいもうこうなったらやけだ! ねだる。ねだることに決めた。  
急いで。急いで急いで。夕菜は自分に命じた。  
急いで何か口実を考案しなさい。こじつけでも何でもいいから。  
夕菜の脳内コンピュータが凄まじい勢いで回転をしはじめる。  
「か、和樹さん!」とりあえず、夕菜は言った。  
和樹は半ケツまるだしのまま動きをとめた。  
「なに?」  
早く。早く早く。頭の中を電気信号が駆け巡る。  
「えと、あの、その、えと、えと――」  
その時だった。  
ぴこーん。と夕菜の頭のなかに音が響いた。  
ぴこーん。と夕菜の頭上にある電球が灯った。  
にんまり。と夕菜は顔に満面の笑みを浮かべた。  
「和樹さん、さっきので十三回目です。わたしたち十三回愛しあいました」  
「――だからなに?」  
 
「だからもう一回しないと」  
ごめん、よくわかんないんだけど、と和樹は言った。  
わからないながらも嫌な予感はするらしく頬を引き攣らせている。  
「ど、どうしてもう一回しないと駄目なのかな?」  
「十三は不吉な数字だからです。最後の晩餐の人数とか、十三日の金曜日とか」  
“とか”とは言ったものの、それ以外の例は思いつかなかった。  
わずかの沈黙。無茶苦茶だよ、それ、と和樹は力なく言った。  
「無茶苦茶でもいいんです。和樹さん、脱いで。はやく脱いでください」  
夕菜は立ち上がり、和樹のトランクスに手をかけた。  
「うわ夕菜ちょっと待って」  
「待ちません」ほんとのところは“待ちきれません”。  
トランクスに手をかけ一気に引きずりおろす。和樹を力任せに床に押し倒す。  
「いやああああああああああああっ」  
響く和樹の凄愴な悲鳴。夜天に月、流れる灰色の雲。  
以下逆レイプ。  
(おわり)  
 

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