爽やかな秋風が二人の髪の毛をなびかせる。
何もない、ただの日常。普段となんら変わりのない日々、
秋の麗らかな風に当たりながら、二人で木陰に腰掛けている。
凛は和樹の肩に頭を預け、こっくりこっくりとしている。
(かっ・・可愛い・・・)
和樹は、その少女の普段からは考えられない程の、
可愛い、眉間に皺を寄せていない整った顔立ち。
スースーと規則正しい寝息、時々聞こえる寝言、
何を言っているのかは聞こえないが、「式森ぃ・・」と言っているのだけは
和樹はしっかりと聞き取れていた。
小高い丘の上、少女が男の子の肩に頭を預け眠っている。
二人のことを全く知らない人が見たら、恋人にしかみえないだろう。
また、寝言が聞こえてきた、今回ははっきりと聞こえた。
「式森ぃ・・・ 私はぁ、お前のことが好きだぁ・・・・・・・」
和樹は、一瞬自分の耳を疑った、普段の彼女からこんな言葉が聞けることは
滅多にない。
「接吻・・・してくれるかぁ?」
呂律の回らない口で、キスを求めてきた。
和樹は、決心し唇を凛の唇に合わせようとした。
途端に、凛の目が パチッ っと開いた。