(プロローグ)
宮間夕菜は悩んでいた。いつまで経っても和樹がそっけないからである。
学校が終わっても一緒に帰ってくれないし、デートに誘ってものらりくらりとかわされるだけ。
当人にそのことを小一時間問い詰めても、
「だってなぁ……」と言葉を濁すだけで、暖簾に腕押しもいいところなのだ。
夕菜には玖里子がいつも和樹の貞操を狙っていることが見てとれたし、凛も態度こそキツイものの、心の中では和樹のことを悪からず思ってるっぽい。本人は隠しているつもりでも、夕菜に言わせればバレバレだった。
こんな事になるなら、あのときしっかりしてればよかった、と夕菜は思う。
あのときとは、和樹と再会したあのときのことだ。着替え中で下着姿を見られた夕菜はあろうことか、悲鳴をあげて和樹を追い出して(?)しまったのだ。
今思うと、あのときの選択を間違えてしまったらしい。あそこで和樹を部屋に引っ張り込んで、 あとは和樹の後頭部にそのまま腕を伸ばしていたら――。
本当なら和樹さんから……その、えっちなこと……はアプローチして欲しいなと思う。玖里子さんと違って、私は消極的だし……。
実際のところ、夕菜の積極性に和樹がたじたじになってるとは露知らず、夕菜は悩んだいたのであった。
しかし悩むといっても駆け引きの「引き」の部分を知らない夕菜には、たった一つしか結論は見出せない。押してだめなら、押しまくれ!
それはすなわち――玖里子さんのように、自分から押し倒すコト――。
夕菜は和樹に優しくリードされながらの初体験を夢見ていた。でも和樹からのアプローチを待っていてはダメだということは、ここ数日の間の和樹の態度ではっきりとわかった。
……その推測が正しいかはともかく(w
「夕菜、ふぁいとっ!」
和樹を押し倒すために、気合(?)を入れなおす夕菜。これは、そんな平和な昼下がりのお話。
(1)
式森和樹は葵学園の学生寮にいた。というか、寝ていた。
日曜日の昼下がり。最近のパターンではまず夕菜がやってきてデートに誘う。
そしてそれを見た(監視していた?)玖里子が、
「それよりも、あたしとイ・イ・コ・トしない?」と、和樹の服を脱がし始め、さらにそれを見た凛が式森和樹逝ってよしと言わんばかりに襲い掛かってくる。
当然夕菜とて黙ってみているわけはなく、3人プラスアルファの乱戦が巻き起こるのだ。
だが夕菜がまだ現れていないので、今日は平和そのものだった。
とはいえインドア派の和樹は外出するわけでもなく、ベッドでぬくぬくと惰眠を貪っていたのである。
(2)
うつら……うつら……。なんだか、体があったかい気がする。布団とは違って、もっと肉感的な――そう、抱き枕! 良質の抱き枕を抱えているような、あの感触。
そう、こんな抱き枕あると便利だなぁ、と夢心地のまま感じて、そのままきゅっと抱きしめる。
「きゃっ……ぁん」
可愛らしい声がした。とっても聞き覚えのある声のような気がしたのは、きっと気のせいだろう。
――なわけあるかいっ!
がばっ!!
和樹は勢い良く跳ね起きた。あまり質の良いとは言えないベッドのスプリングが跳ねて、抱き枕がうつ伏せに倒れた。
「アイタタタ……もうっ、いきなり跳ね起きないでください。シーツに鼻をぶつけちゃったじゃないですか」
夕菜だった。日曜なのに制服を着たままで寝ていたので、ちょっと着崩れしている。
いや、問題はそこではない。ここは和樹の部屋で、和樹のベッドなのが問題だ。
「ど、どどどどうして、ここに?」
真っ先に思ったのは、こんな場面をB組の連中に見られたらいったいどうなるか、ということだった。公開裁判にかけられて火あぶりの刑に処されるのは目に見えている……。
「テレポートの魔法で、和樹さんの部屋に直接来ました。そしたら、和樹さんがぐっすりと寝てましたので、添い寝してあげようかな……って」
「そ、添い寝って……添い寝だよ? どうなっても、知らないぞ!」
ここまで言って、そして慌てて声をひそめる和樹。この状況が回りにバレると拙い以上、声を荒げるのは得策ではない。
そして、それは夕菜にとっても同じだった。せっかくの二人きりで、まがりながらも一緒にベッドインしている今、騒動を起こしてあの二人を召喚してしまうのは避けたかったのである。
夕菜はむくりと半身だけ起こした。そして和樹の首筋に両手を伸ばし、
「和樹さん、私……どうかなりに来たんですよ?」
そのまま和樹にキスした。いつもと違って大声を出せない和樹に、夕菜を抗う術はなかった。
(3)
なずがままの和樹に対して、夕菜は積極的に舌を絡め始める。夕菜の指はついに和樹の後頭部に回され、そのまま上半身を和樹に寄せる。
重力が夕菜に味方して、和樹は夕菜に押し倒された格好になった。
「えへへっ。こういうのって、やってみると結構楽しいんですね。玖里子さんがいつも和樹さんを押し倒そうとする理由、なんとなくわかりました♪」
幾分恥ずかしげに、けれどそれ以上に好奇心に染まっている眼差しだった。まるで、夕菜が玖里子さんになったみたいだ。
と、ここで和樹は理解した。これは、夢なのだと。
夢だから玖里子さんみたいな夕菜だってアリだと思うし、ましてやこういう状況で手を出さなかったら夢見損(?)である。
夢ならばなんの遠慮もいらない……和樹は、夕菜を受け入れた。
嬉々として和樹のYシャツのボタンに手を伸ばす夕菜に負けじと、葵学園女生徒制服の特徴たるリボンに手を伸ばした。リボンはあっさりと外れ胸元が露出し、白いブラが露になる。
和樹にブラジャーの上から愛撫するほどの余裕はなかった。かと言って背中の止め具を外すだけの器用さを持ち合わせているだけでもなく、制服ごと強引にたくし上げる形になった。
「痛っ」
顔をしかめる夕菜。夢の中であるはずなのに、和樹は反射的に謝ってしまう。
「ご、ごめん」
「ううん、いいの。……乳首は敏感だから、いきなり擦れるとちょっと……。でも、和樹さんの好きにして下さい」
「わかった。なるべく優しくするよ」
「はい、そうしてくれると嬉しいです。やっぱり和樹さん、優しいです?」
「そ、そんなことないよ。僕なんて……」
「いいえ、和樹さんは優しいです。――でも、今は好きにしていいんですよ?」
首の後ろに回されていた夕菜の指が、和樹の指に絡められる。そしてそのまま夕菜の指に誘導されて、目の前の双丘にあてがわれた。
「触って……ください。あまり大きくなくて、申し訳ありませんけど……」
(4)
そんなことはなかった。玖里子と比べると分が悪いのはたしかだが、夕菜とて貧乳ということは決してない。
現時点でB……いや、Cカップくらいはありそうだった。これからの成長したいでは、Dカップも十分狙えそうな期待の新人である。
僕がたくさん愛でてあげればもっと育つかなぁ。和樹は何気なくそう思って、そしてそんなことを考えている自分を恥じた。
とにかく、目の前に魅力的な果実が食べられるのを今か今かと待っているのである。手をつけなければもったいない。
実は今までだって女性のほうから迫ってくるという据え膳状態だったのだが、今は夢の中であるという和樹の勘違いが彼を大胆にせしめていた。
手のひらでちょうどすっぽりと収まった。ゆっくりと、強すぎないように気をつけながらバストの弾力を楽しむ。
夕菜が和樹の上に乗っかっている格好なので、揉み上げる形となった。夕菜が僕を押し倒していて、僕はそんな夕菜を可愛がっている……。
半立ち状態だった和樹のナニに変化が現れた。ズボンの生地を押しあげる格好で自己主張している。それを目敏く見つけた夕菜は、左手を伸ばした。
「和樹さん、私でこんなになってます。嬉しい」
ズボンの上から優しくさする夕菜。負けじと親指の腹で夕菜の乳首を転がす和樹。
夕菜のサクランボは完全に勃起していた。
「あぁっ、かっ、和樹さぁん!」
夕菜の声が甘くなってきた。夕菜はちゃんと感じてくれてるのだろうか。それとも、これが噂の演技というやつなのか?
和樹は不安になりつつも、先ほどより少し強めにバストを揉みしだいた。身体を起こして、首筋を舌でついばむ。一つ、二つ、みっつ……夕菜の肌に、赤いキスマークが増えてゆく。
「ああっ! はぁはぁ……あんっ♪」
首筋と乳首を同時に攻められて、夕菜は喘ぐ一方になるかと思いきや、そんなことはなかった。
いつの間にか和樹のズボンに手を掛け、脱がそうとしている。寝巻き用のズボンだったため、それはあっさりと脱げてしまった。
(5)
「あっ! ――ふふっ、和樹さんって、ブリーフ派だったのですね☆」
かぁぁぁぁ。和樹の顔が自分でもそれとはっきり自覚できるくらい、紅潮してしまった。今時、自分でもブリーフなのはどうかなと思いつつなかなか止められなかったのである。
恥ずかしさと戸惑いで和樹の攻めの手は止まってしまった。完全に立場逆転である。
いや、もともと夕菜が和樹を押し倒したのだから、夕菜が主導権を取り戻したというべきか。
「ご、ごめんなさいね。変なこと言っちゃって」
和樹の狼狽振りが夕菜にも伝わってしまったのだろう。夕菜がそんなことを口にした。
でもそこはさすが気遣いの上手い夕菜。フォローの仕方もちゃんと心得ていた。
和樹のブリーフを足元まで下ろし、一言。
「わぁ♪ 和樹さんのって、おっきいんですね♪」
多少演技の入った口調ではあったが、和樹にそうとわかるほどの余裕はなかった。
「そ、そうかな……」
照れくささ半分、嬉しさ半分だった。まぁ、例えお世辞でも言われて嬉しい言葉であるのは間違いない。
「そうですよ。おっきいです。でも……もっと、大きくしてあげますね?」
(6)
夕菜は和樹のそれにそっと両手を絡めた。竿の部分をこすって、先端には手を触れない。
それでも和樹にとっては凄い快感だった。二年B組の誇る美少女、宮間夕菜が僕のナニを握っているのだ。そう考えただけで、和樹のそれはさらにエレクトしてしまう。
「びくんびくんしてますよ」
そして夕菜は自分の顔を和樹のそれに近づけていった。まさか、と思った。あの夕菜が、そんな……。
やはり夕菜にも多少の抵抗感はあったのだろう。最初に口付けるとき、両目は完全に瞑っていた。
それでも和樹の期待通り(?)に、夕菜のフェラチオは始まった。最初は嫌悪感もあったのかもしれないが、すぐに慣れたのか舌先が大胆に和樹の亀頭部分に絡んだ。
「う、うわあぁぁぁ!」
今まで刺激のなかった一番敏感な場所をいきなり攻められて、成す術もなかった。フェラが始まって10秒も持たず、和樹は射精してしまったのである。
「?♂〒☆!≒%」
夕菜はいきなりの事態に混乱した。しかし運良く咽ずには済んだので、和樹が射精している間もじっと耐え、そして射精が終わってからごくんと精液を飲み干してしまった。
「――もうっ、いきなり酷いです! 苦かったですからねっ!」
そっぽ向いて、照れ隠しをしているのが、鈍感な和樹にも分かった。そして、それでも自分のを吐き出さずに飲んでくれて、和樹は夕菜への愛おしさでいっぱいになった。
「ごめん、夕菜。こんどは、僕が夕菜を気持ちよくしてあげる」
初めて、和樹が夕菜を押し倒す格好になった。
(7)
「あ、あの……私、初めてですか……んっ」
おずおずと切り出す夕菜に皆まで言わせず、夕菜に口付けた。すぐに舌と舌が絡み合う。
そう言えば、さっき夕菜のお口に自分のものを出したばっかりじゃん、と意識してしまって、はっと唇を離してしまった。
気だるげな表情で閉じていた瞳を開き、和樹を見上げる夕菜。それは鈍感な和樹にもはっきりとわかるほどぽ〜っと上気していた。
「和樹さん……どうしたのですか?」
夕菜がゆっくりと、唇を開いたり閉じたり。それは言葉となって和樹の耳に届いたわけだが、そのことはあまり和樹に影響を及ぼさなかった。
夕菜の唇、そのものに見とれていたのである。顔を真っ赤にして、ぽそぽそと動く夕菜の可憐な唇に、さっきまで自分のナニが咥えられていたなんて信じられなかった。
和樹は無意識のうちに、再度唇を合わせた。さっきと同じく、舌と舌が挨拶する。今度はちっとも気にならなかった。ただ、夕菜の唾液がほんのりと甘く感じただけだった。
濃厚なキスを繰り返しながら、左手を夕菜のお尻に這わせる。そこは「キュッ」というカタカナが似合うくらいに締まっている。
こんな魅力的なお尻なら、電車の中でついつい手を伸ばしたくなってしまう痴漢の気持ちも分からなくはないな、と思った。
だからと言って、痴漢どもにみすみす夕菜のお尻を触らせてやる気はない。夕菜のお尻は――夕菜のすべては、僕のものだっ!
一生懸命舌を絡めている夕菜の唇に未練を残しながらも、和樹からキスを中断した。
口と口に、名残を惜しむかのように唾液の橋がかかり、そして離れる。
また、夕菜が和樹を見上げた。
「夕菜の大事なトコロ、見るよ」
それは、優柔不断を地で行く和樹にはめずらしい、断定表現だった。
夕菜を全部、僕のものにすると決めたから、迷わない。
有無を言わせぬ和樹の口調――それでも彼らしい優しさも垣間見える――に夕菜もこくん、とうなずいた。
お尻と同じように引き締まった夕菜の両太ももに手を掛け、押し開ける。
そこはすでに、夕菜の体が和樹を欲していることを証明していた。秘所から湧き出る愛液が、夕菜の肌を輝かせている。
控えめな生え加減のアンダーヘアにもたっぷりと付着して、そのまま挿入しても問題ないくらいだった。
(8)
「〜〜〜〜〜っ!!」
じ〜っと視姦されて、夕菜が耐えられなくなったのだろう。再度太ももを閉じようとする。しかし、和樹の顔が秘所に辿り着くのが一瞬早かった。夕菜の太股が和樹をサンドイッチする格好になる。
「うわっ」
「きゃぁ!」
前者は、挟まれたことにびっくりした和樹の声。後者は和樹にヴァギナの間近で息を吹きかけられたために出てしまった夕菜の声だった。
息だけで、こんなに反応してしまう夕菜のアソコ。それなら、舌で愛撫したら?
「あああぁあぁ……あはぁっ」
答えは、イってしまう、だった。ほんの一舐めしただけなのに、あそこをヒクヒクと痙攣させている。
「い、今、何した、のですか?」
しかも、クンニされたこともわからなかったらしい。夕菜は人並み以上に豊かな性感の持ち主なのだった。
「夕菜のアソコを舌で可愛がってあげたんだよ。凄い反応だったね」
「えっ、えええっ!?」
「イっちゃったでしょ」
「う、うん。なんか、いきなり体中が痺れちゃった、みたい」
「もっと、気持ちよくなって、いいからね」
そう言って、さらに愛撫を続けようとする和樹。だが、
「あの……もう、準備、できましたから。和樹さん……の……くだ……さい」
「……いいの?」
「はい。私を……宮間夕菜を式森和樹さんのモノにしてください」
和樹は自分のモノを夕菜のあそこにあてがった。とうとう、夕菜の処女と和樹の童貞が相殺される時が来たのである。
(9)
その瞬間は、意外とあっけなかった。
ヌルヌルだったせいだろうか、スルッと入ってしまった。いや、スポッと収まった、の方がより近いかもしれない。
「あっんんんっ」
夕菜も痛がるそぶりはなかった。眼を瞑っていたけど、くぐもった声をあげただけだ。
「ぜんぶ、入ったよ。夕菜」
「――えっ?」
ぎゅっと閉じられていた目を開けた夕菜。和樹の笑顔が見て取れた。
夕菜は視線を下に向けた。それにつられて、和樹も身体を起こして結合部を見てみた。
「入ってる……」
「入ってます……」
ほぼ同時に、同じことを言う二人。二人して顔を見合わせ……。
「ぷっ」
「くすくす」
これまた二人、同時に笑い出した。
「和樹さんが優しくしてくれたから、あんまり痛くなかったです♪」
満面の笑みで囁く夕菜に、
「いや、優しくっていうか、すっぽり入っちゃった……」
和樹はいつもの通り、素で返してしまった。ムードもなにもない二人。
「もうっ! すっぽりってなんですか! すっぽりって!」
「いや、いいんじゃないかな。夢なんだし」
「私も和樹さんと結ばれるのが、夢でした。嬉しいです」
再び目を瞑る夕菜。さすがにキスの催促さということは鈍感和樹にも分かる様で、そのままディープキスに移行する二人。散々唾液の交換を楽しんでから、絡ませていた舌を解く。
(10)
「動くよ」
「……はい――あぁっ!」
「大丈夫!?」
「へ、平気です。ちょっと、びっくりしただけですから」
和樹は夕菜の身体がぴくんと跳ねて、声をあげる夕菜に戸惑ってしまった。実は、敏感な夕菜は肉坊がちょっと動いただけでイってしまったのだが、数分前まで童貞だった和樹にそれを見破れというのは酷な話かもしれない。
だから、和樹はおっかなびっくり、夕菜に言った。
「痛いなら、やめてもいいよ?」
「やめないでっ!!」
即答だった。和樹さんに気持ちよくなって欲しいからとか、そんな気持ちから出た発言ではない。
「お願い! 続き、して……」
ここで止められたら正直困る。最後まで、気持ちよくなりたい。
そんな欲望は、夕菜におねだりの言葉を紡がせた。
「和樹さんので、私のを奥まで突いて……」
ずんずんずんずん
理性がぶっとんだ。”あの”夕菜におねだりされたとあっては、数分前まで童(以下略)ならばしかたないかもしれない。
「ああっ! あんあぁん! はぁぁぁあんイイ!」
快感に身を任すというより、むしろ迸る快感の激流に流されないよう、必死で抵抗する夕菜。両手両足を和樹に絡め、しがみ付いている。
「気持ちいい! 気持ちいいの!」
「僕もだよ夕菜! 夕菜の膣、すごくいい」
処女とは思えないくらい、夕菜の膣も具合がいい。童貞である和樹には分かるわけないが、所謂名器というやつだった。そして、そんな名器にいきなりスパート掛けて長時間持続できるわけもなく……。
「僕、もうっ!」
「いいよぉ! いつでも出して! 私の膣に、和樹さんのいっぱいだしてぇ!!」
そのとき、和樹は真っ白になった。そして、そのまま(男のクセに)失神してしまった。
夕菜の絶頂の声が、遠くなってゆく意識の中で聞こえた気がした……。
(エピローグ)
翌朝。夕菜はちっとも悩んでなかった。
「私は和樹さんのモノになりました!」
セックスしたことによって、気まずくなるとは微塵も考えてないあたりが、いかにも宮間夕菜らしい。
とはいえ、いくらなんでもこの結末を予想しろというのは可哀想かもしれない。
「あ、夕菜……おはよう」
恥ずかしそうに俯く和樹。ここまでは、夕菜の想像したとおりだった。
「和樹さん、おはようございます」
「あ、うん……」
「さ、急がないと遅刻してしまいますよ! 一緒に学校行きましょう!」
何気なく手を取る夕菜だったが、和樹はビクビクとした様子を隠せない。
「あ、分かった。今日急ぐから、先に行くね」
そう言って、とるものとりあえず学園に向かってダッシュする和樹だった。
( ゚д゚)ポカーン となる夕菜。彼女には永遠に分からないであろう。
夢の中で好きな娘とえっちして夢精した(と思い込んでる)人と、翌朝ばったり出会ってしまった時の男の狼狽なんて。
当然の事ながら、今回の一件が和樹と夕菜の関係に何の進展ももたらさなかったことは、言うまでもない。