お風呂から出た私は、黄色いパジャマを着込んで、お兄ちゃんの  
部屋の扉を開けた。  
 ノックはしない。お兄ちゃんに、必要ないって言われたから。  
 お兄ちゃんは、ベッドヘッドに上半身を凭れさせて難しそうな  
お仕事関係の本を読んでいたみたいだけど、私が入って行くと、  
すぐに顔を上げて優しく微笑んだ。  
「風呂、上がったのか?」  
「うん。元栓は切っておいたよ」  
「そっか。じゃあ、もう寝るか? 湯冷めするといけないからな」  
「うん」  
 私が頷くと、お兄ちゃんは読みかけの本を閉じて、サイドテーブルに置く。  
「…おいで」  
 そして一層優しい微笑みを浮かべると、片手で布団を持ち上げた。  
 私が当たり前のように、その中に滑り込めば、いつものように、  
お兄ちゃんの広い胸と長い腕が体を包み込んでくれる。  
 ほう…と私は息をついた。  
 ここは、私が世界で一番安心できる場所。私の、世界で一番安全な場所。  
「お兄ちゃん……」  
 小さく呟いて、胸に頬を摺り寄せると、お兄ちゃんの両腕が、ぎゅっと私を抱き締めてくれる。  
「おやすみ、ヒトミ」  
 
 囁いたお兄ちゃんが、額にキスをしてくれた。  
「おやすみなさい……お兄ちゃん」  
 私も同じように、お兄ちゃんの頬に口付けを返した。  
 
 
 
 私のたった一人のお兄ちゃんが、私にとって、世界で一番大切な、  
世界で一番愛しい人へと変わったのは、半年くらい前のこと。  
 ううん、本当は、もっと前からそうだったのかもしれない。  
 でも、その事実を私が自覚したのは、あの日―――お兄ちゃんが、  
自分の想いを私に打ち明けてくれた時だった。  
 どんな男にも私を渡したくないって言ってくれたお兄ちゃん。ずっと  
私と一緒にいたいって言ってくれたお兄ちゃん。  
 その言葉が嘘なんかじゃない、どれほど真剣な想いなのか、私にはわかった。  
 同時に、私だってお兄ちゃんを、どんな人にも取られたくない、  
ずっと私だけを見て、私だけを愛して欲しいって、そう望んでいる事を知った。  
 その日から、お兄ちゃんは私の最愛の人。  
 こんな事、パパやママにも、友達にも幼馴染にも言えはしないけど、  
でも、その想いは私にとって、何よりの真実。  
 こうやってお兄ちゃんに抱き締められていると、私は、どんな時よりも一番幸せだって思える。  
 
 あったかくて、満たされて、お兄ちゃんが好きだっていう気持ちが  
どんどん湧いてきて、本当に自分でも恥ずかしいくらいお兄ちゃんを愛している事を自覚する。  
 …お兄ちゃんも、そうだって言ってくれる。  
 だから、例えこれが誰にも話せない秘密の恋でも、私は平気。  
 だって、その事がどんなに辛くても、こうしてお兄ちゃんに抱き締められる  
幸せに勝る筈なんてないんだから。  
 想いが通い合う以前から、兄妹二人だけで暮らしていたおかげで、この家に  
いる時だけは、他の誰も入り込む余地のない幸福な時間を過ごす事ができる。  
 お兄ちゃんは以前から過保護だったけど、あの日以来、何か機会があれば私を  
ぎゅっと抱き締めてくれるようになった。  
 そして私も、お兄ちゃんの広い肩や胸を見ていると、時々自分でもどうしようも  
ないくらい、抱き締められたいって思う。  
 その度にお兄ちゃんは望み通りに、その長い腕に包み込んでくれて、時には  
優しいキスをしてくれる。  
 お兄ちゃんの傍らで眠るようになったのは、切欠も思い出せないくらい、自然な事だった。  
 だってそこは、私が一番安心できる場所だったから。  
 ……だけど、最近、気になって仕方のない事がある。  
 お兄ちゃんは、私を優しく抱き締めて眠ってくれるけど…でも、それでも平気なのかな?  
 私だって、もう子供じゃないんだから、男女のする行為のことくらい知ってる。  
 お兄ちゃんが私を抱いてくれないのは、私が子供だから? …それとも、やっぱり妹だから?  
 
 愛してくれてはいても、やっぱり妹に、そういうことはできないの?  
 それとも……私を好きだっていう気持ちは、妹に向けるものでしかないの?  
 そうじゃない、って思う。  
 お兄ちゃんは優しいから、きっと私を傷付けないように、我慢してくれてるんだって。  
 もし、妹だからっていう理由で何もしないんだとしても、それは自分のためじゃなく、  
私のためなんだって。  
 お兄ちゃんは、そういう人。私のためなら、なんだって簡単に我慢しちゃう。  
 ……だけど、もしそうだったら、そんなの必要ないよ。  
 だって―――私だってお兄ちゃんのこと、欲しいって思うから。  
 
 
 
「お兄ちゃん、先にお風呂入ってもいい?」  
「ああ、勿論いいぞ! 残りの片付けは兄ちゃんがしておくから、おまえは先に入って来い」  
 蕩けそうな笑顔で、そう言うお兄ちゃん。  
 お兄ちゃんの大きな手が、私の頬を包み込むように触れた。  
「ありがとな。お兄ちゃん、おまえにお祝いして貰えて物凄く嬉しかったよ」  
「もう…大袈裟だよ、お兄ちゃん」  
「大袈裟なんかじゃないさ」  
 
 目を細めて笑うお兄ちゃんは、本当に素敵で、格好良くて。私は、頬を染める。  
 お兄ちゃんの、二十数回目の誕生日。  
 パパやママのお仕事が忙しいせいで、去年と同じく、二人だけでお祝いをした。  
「来年も、再来年も、ずっとお祝いしてあげるよ…」  
 ずっと。だって、約束したでしょ?  
 そう言うと、お兄ちゃんの笑みが、なお一層深くなる。  
「…ありがとう」  
 お兄ちゃんに優しく抱き締められて、そのまま、ゆっくりと顔が近付いてくる。  
 柔らかな温もりが、唇に重なった。  
 ―――ああ、幸せ。  
 本当にそう思う。  
 誰よりも好きな人に、誰よりも愛して貰える。それって、何て気持ちがいい事なんだろう。  
「お風呂…入ってくるね」  
 呟いて、するりと腕の中から抜け出す。  
「ああ。きちんとあったまって来るんだぞ」  
 そう言うお兄ちゃんは、もういつもの顔に戻っていたけど、でも一瞬だけ  
見えたその瞳には、熱が篭もっているように思えた。  
 
   
   
 片付けを終えたお兄ちゃんが、お風呂から上がって来るのを、私は  
お兄ちゃんのベッドの中で待っていた。  
 これからの事を考えると、ドキドキする。怖いっていう気持ちもある。  
 でもそれ以上に、お兄ちゃんのものになる、そう思ったら例えようもない  
幸せな気持ちが湧いてきた。  
 私は、お兄ちゃんのものなんだもん。  
 そして、お兄ちゃんも私のもの。  
 だったら、全部、お兄ちゃんのにして欲しいよ。  
「ヒトミ? …もう、寝ちゃったのか?」  
 カチャリとドアの開く音の後で、お兄ちゃんの声がした。  
「…ううん、起きてるよ」  
「そっか。お兄ちゃん、起こしちゃったか?」  
「そんな事ない。最初から起きてたよ」  
 どんな時でも、私の事を気遣ってくれるお兄ちゃんに答える。  
「ねえ、お兄ちゃん、こっちに来て。早く、一緒に寝よう?」  
 私の言葉に、お兄ちゃんが一瞬、動きを止めた。  
 でも、すぐにそれを取り繕うように笑って言う。  
「あ……あぁ、そうだな。さ、寝よう!」  
 
 お兄ちゃんは、布団に隠された、私の赤くなった顔には気付かなかったみたいで、  
いつものように傍らに滑り込んだ。  
 そしてお兄ちゃんの腕が、いつものように私を抱き込む前に、私は自分から  
お兄ちゃんに抱きつく。  
「…ヒトミ? どうしたんだ…?」  
 一瞬驚いたお兄ちゃんだったけど、すぐに優しい声音で言って、髪を撫でてくれる。  
 また、私に困ったことがあったり、落ち込んだりしてるって思ってるんだろう。  
 だけど、そうじゃないの。  
「お兄ちゃん…誕生日、おめでとう」  
「ん? …ああ、ありがとな」  
 微笑みと共に言ったお兄ちゃんが、いつものように、私の髪をさらりとかき上げる。  
 その手が不意に、止まった。  
「ヒト…ミ……おまえ」  
 動揺を交えた声は、微かに掠れていた。  
「お兄ちゃん…私……お、大人になりたいの。お兄ちゃんに似合う、大人に」  
 私は首まで真っ赤になりながら、その顔をお兄ちゃんの胸に埋めて言う。  
 ……私の耳には、三月のあの日、お兄ちゃんにプレゼントして貰った  
ペリドットのピアスが嵌められていた。  
 
 お兄ちゃんがお風呂に入っている間に開けたばかりのピアス穴が、  
まだ少しじくじくと痛んだけど、もう気にならない。  
「だから……お、お兄ちゃん……」  
 あ、まずい、涙が出てきた。ちゃんと言いたいのに。  
 お兄ちゃん、私のこと―――  
「……!」  
 不意に。  
 お兄ちゃんが両腕で、痛いくらい私の事を抱き締めた。  
 そのまま、ベッドに押し付けるように横たえられる。  
「バカ…! 兄ちゃん……もう止められないぞ…?」  
 なんだか、お兄ちゃんの方が泣きそうな顔をしてた。  
 ……わかってる。  
 お兄ちゃんは、私を傷付けるのが怖いんだよね? でも、大丈夫。  
「大丈夫だよ…」  
 私はお兄ちゃんの首に、両腕を巻きつけて抱き付いた。  
「大好き、お兄ちゃん」  
 ―――兄ちゃんも、愛してるよ。  
 お兄ちゃんが、そう、耳元で囁いた。  
 
   
   
 お兄ちゃんの手が、私のパジャマを丁寧に剥いでいく。  
 純粋に恥ずかしくて、私は胸元を手で隠した。  
 お兄ちゃんはくすっと笑って、そんな私の唇にキスしてくれる。  
「こんな素敵なプレゼント…兄ちゃんに、見せてくれないのか?」  
 ……いつもは子供みたいな事を言うお兄ちゃんだけど、こんな時、  
やっぱりお兄ちゃんには敵わないって思う。  
 お兄ちゃんは、産まれた時からずっと私を見ていてくれた人。  
 だから、こんな意地悪を言われたら、私が逆らえないって知ってる。  
 …そっと手を外すと、お兄ちゃんは、小さく息を吐いた。  
「綺麗だ…」  
 今まで『おまえは可愛いよ』って聞き飽きるくらい言われたけど、  
それとは全く違う言葉。  
 恥ずかしかったけど、でも、お兄ちゃんにそう言ってもらえるのが嬉しい。  
 お兄ちゃんの手が、そっと胸の頂きに触れて、私は小さく喘いだ。  
「ぁっ……」  
 そのまま、掌で包み込むように乳房を揉まれる。  
 たったそれだけで、って思うのに、自分でもおかしいくらい感じた。  
「あっ…あぁっ…! …お兄…ちゃん……」  
 
 だって、お兄ちゃんが触ってるんだよ?  
 お兄ちゃんの手が、私に…触ってる……。  
 恥ずかしくて、嬉しくて、頭の芯が熱くなる。  
「ひゃぅっ…!」  
 胸の頂点を指先で摘ままれ、捏ねまわされると、体がビクンと震えるくらいの  
甘い痺れが走った。  
「…やぁっ……お兄、ちゃあん…っ……」  
「声を出していいんだぞ。我慢するな」  
 囁きながら、お兄ちゃんは私の胸に顔を伏せた。  
 いつもキスをする形の良い唇が、私の胸に触れ、突起を含む。  
 そのまま乳首に舌を絡めて、きゅうきゅうと吸った。  
「ぁああっ…! あっ、ぁ、あぁっ……」  
 あのお兄ちゃんが、赤ちゃんみたいに私のおっぱいを吸ってる。  
 その事が少しだけおかしくて、でもすぐに、そんなものも飛んでしまった。  
「はあぁっ……ぁあ……! あっ、あぁ…!」  
 口と手に両方の胸を攻められ、私は足の間にお兄ちゃんの体を挟みこんだまま、  
ベッドの上で悶えた。  
「おにい……ちゃ……お兄ちゃん…っ……あぁ……」  
 息も絶え絶えな私をちらりと見て、お兄ちゃんは、パジャマのズボンの中に手を滑らせる。  
 そして指先で、布越しに足の付け根を、確かめるように撫でた。  
 
「…ひぁっ……」  
 ベッドの上で、腰が跳ねる。  
 自分で触ったわけじゃないけど、下着が湿るくらい濡れているのがわかって恥ずかしかった。  
「ヒトミは可愛いな…」  
 囁いたお兄ちゃんが、ズボンごと、私の下着を降ろした。  
「ぁっ、やだ…!」  
 一糸纏わぬ姿になった私の足を、お兄ちゃんが持ち上げる。  
 恥ずかしいところを、全部見られてしまう。全部。  
「いやだ……恥ずかしいよ、お兄ちゃん……」  
 涙声で言えば、お兄ちゃんは少し笑った。  
「恥ずかしい? どうしてだ? 兄ちゃんは、ヒトミのおむつを取り替えた事だってあるんだぞ」  
「お、お兄ちゃんのばか…!」  
 無神経な言葉に怒る私に、お兄ちゃんは笑って、唇を塞いだ。  
 お兄ちゃんの長い指が、私の秘密の部分に触れる。  
 クチュリと小さな音が、私の耳にまで届いた。  
「んふぅ……ぅん……んっ、ん…!」  
 合わさった唇の間から、悩ましい吐息が漏れる。  
 案外器用なお兄ちゃんの指が、私の形をなぞるように動いた。  
「あぁぁ……っ!」  
 唇を解放された途端、甲高い声が寝室に響く。  
 
「ぁあ……ぁふ、いやぁ……お兄ちゃん…っ…」  
 感じ過ぎて怖くなった私の心を見透かすように、お兄ちゃんが囁いた。  
「ヒトミ、大丈夫だ。キレイだよ」  
 お兄ちゃんの顔が、視界から消えたと思った瞬間、指よりも柔らかいものが、  
その場所に触れた。  
「ぁっ…!? お、おにいちゃ……」  
 足を閉じる余裕もなく、私の足の付け根に顔を埋めたお兄ちゃんが、  
優しくその部分を舌で擽る。  
「や……ぁ、あ…! っぁ、ん……!」  
 死んでしまいそうなくらい恥ずかしい。  
 お兄ちゃんに、あんなところを見られて、舐められるなんて。  
 …でも、同じくらい気持ちいい。  
 気持ちいいよ……お兄ちゃん…。  
「おにいちゃ……ん、おにいちゃ……だいすき…っ…」  
 息も絶え絶えになりながら呟けば、お兄ちゃんの動きが止まった。  
 そのまま、ゆっくりと体を起こす。  
「ヒトミ……」  
 気付くと、目の前にお兄ちゃんの真剣な眼差しがあった。  
 少し前まで、お兄ちゃんに愛されていた部分に、何か熱いものが触れて、私はびくりとする。  
「いいのか…? これ以上は、止めてやれないぞ……?」  
 
「……バカ…!」  
 止めてなんて、言うわけないじゃない。  
 言うくらいなら最初からこんな事しない。  
 私は、お兄ちゃんが、お兄ちゃんだけが好きなのに。  
 ……私の言葉にしなかった言葉を読み取ったのか、お兄ちゃんは、これ以上  
ないくらい嬉しそうで、幸せそうな笑みを浮かべた。  
 お兄ちゃんが少し身を離し、その間、横を向いて息をついていた私の耳に、  
紙を破るような音が響く。  
 何をしているのかわかって、少し寂しい気持ちになった。  
 …でも、しょうがないよね。  
 子供ができたら、困るのは本当だもの。  
 それに例え相手がお兄ちゃんじゃなくたって、この年でそうするのは当然のこと。  
 そう思って、私は自分を慰めた。  
「お兄ちゃん……」  
「ヒトミ…」  
 再び覆い被さって来たお兄ちゃんと、しっかりと抱き合う。  
 凄く大きくて、熱く脈打つ何かが、私の足の付け根に触れた。  
「痛かったら、言うんだぞ……?」  
 こんな時にまでお兄ちゃんらしい言葉と共に、お兄ちゃんが、私の中に押し入ってくる。  
「んぅっ…!」  
 
 …お兄ちゃんは凄く大きくて、その腕に包まれる安心感だけではごまかせないほどの  
痛みが、私の中に走った。  
「あ……あ…っ! ん、お兄ちゃ…っ……痛いよぉ…っ」  
「ヒトミ……ごめんな…」  
 思わず、そう漏らした私の耳に、大好きな声が聞こえる。  
 私は何度も首を横に振ると、お兄ちゃんに抱き付いた。  
「……ぁあ…っ!」  
 お兄ちゃんが、強く腰を押し付け、私はお兄ちゃんの全てを受け入れた事を知った。  
「…はぁ……はぁ……」  
「…大丈夫か?」  
 お兄ちゃんは完全に動きを止めて、私の汗を拭ってくれた。  
「辛かったら、我慢しなくていいんだぞ? お兄ちゃんに、ちゃんと言えよ?」  
「……大丈夫…」  
 私は、苦しい息の下で笑って見せる。  
 痛いけど、でも、幸せだった。  
 私のはじめての人が、お兄ちゃんだっていうことが。  
「大丈夫…だか、ら……私……お兄ちゃんの手で、大人に……なり…たい」  
 私の本心を告げれば、お兄ちゃんは目を瞠った。  
 お兄ちゃんの腕が、しっかりと私の腰を抱き、緩やかな律動が私の中で繰り返される。  
「ぁあ……あっ、あ……あ! お兄…ちゃんっ…お兄ちゃ……」  
 
 お兄ちゃんの腕の中で、私はずっと、お兄ちゃんのことを呼んでいた。  
 痛みはまだ消えないけど、体の中にあるお兄ちゃんの熱、お兄ちゃんの荒い息、  
お兄ちゃんの掠れた呻きを感じるだけで、凄く幸せな気分になれる。  
「…ヒトミ…ッ……」  
 お兄ちゃんが私の名を呼び、一際強く腰を打ち付けられた瞬間、頭の中が真っ白に  
なるような感覚と共に、私の意識は、ゆっくりと遠退いていった。  
 
 
 誰かの手が、私の頭を撫でている。  
 おっきくて、凄く安心できる手。  
 全身を包むぬくもりが心地好くて、私は無意識に、すぐ傍にある体に身を摺り寄せた。  
「……ヒトミ?」  
 躊躇いがちに、囁くような声が落ちてくる。  
 ああ、これはお兄ちゃんだ。  
 そう思って、私は目を閉じたまま、幸せな笑顔を浮かべた。  
 ふっと頭上で小さく笑みを漏らす声が聞こえ、そっと耳元に落ちる口付けの後、  
再び繰り返し髪を撫でられる。  
 一番安心できる場所で、私は再び眠りに誘われていった。  
 ……お兄ちゃん、大好き。  
 その言葉は声にはならなかったけど、きっとお兄ちゃんには伝わっている。そう思った。  
   
   
 

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