呪われた島、ロードス。
その最たる地であるマーモでは、非日常が現実となりうる。
むしろこの地においては、非現実的なものこそが営みの本質を具現しているのかもしれない。
スパークは、ついつい胸に視線がいってしまう。
たわわに実った二つの丸みは白い貫頭衣を押し上げ、強烈な自己主張をしている。
それだけでない。
髪から見え隠れする雪のように白いうなじ、丸みを帯びた尻、裾から見えるむっちりとした太腿。
成熟した女性の身体とは、こういったものを言うのであろう。
紛れもなく、公王である自分の婚約者、ニースである。
破瓜を迎えたばかりのニースは年齢にしては発育が遅く、幼児体型といって差し支えない。
だが今の彼女は、豊満な肉体を持つ母・レイリアよりも熟れた身体をしているのではないか……
幼さと知性が兼ね備えられた少女の顔に、なんとも言いがたい大人の色香が加わり、
その横顔は見ているものの動悸を自然と早めるのであった。
こんな非日常が具現化したのは、つい先刻のことであった。
「うーん…」
大きな身体を丸めて、マーモ公国の宮廷魔術師アルド・ノーバは嘆息する。
今日の謁見の補佐を終え、先ほどようやく執務室に戻ってこれたのだが、
目前の一枚のスクロールが休息を許さない。
公国の辺境の集落から持ち込まれたこのスクロールは、
古代の魔法王国の文字と、この地に根差してきた蛮族の象形文字が合わさって構成されているようなのだ。
どちらか片方だけであっても読み解くのには労力を要するが、最早これは自分の手に負えるレベルではない。
嘆息する他ないのである。
そんな場に、この国を統べるスパーク王が未来の公妃と噂されるマーファの聖女を伴って現われる。
マーファ神殿の用件という表向きの事情を持って王城ウィンドレストを訪れていたニースに、
この難解なスクロールの解明の補佐を相談していたのだ。
本来であれば立場上許されるような行いではないのだが、
ニースはロードス最大の国家の宮廷魔術師を父に持ち、
また、懇意にしている者だけしかが知らないある秘密をもつ。
そしてその秘密は、この少女に莫大な知識をもたらしているのだ。
それはとても、一回の魔術師に過ぎないアルド・ノーバが及びうるものではない。
そういった事情の下では、この大男にとって年端もいかぬ少女への相談という行為は、
なんら躊躇を必要とするものではなかったのである。
「どうだ、アルド・ノーバ?相当苦労してるみたいじゃないか」
スパークはニースを伴ってアルド・ノーバが対する机へと歩み寄る。
「これはスパーク様。…はい、全く仰られるとおりです……。面目ありません」
アルド・ノーバは申し訳なさそうに軽く首を捻り、スパークへスクロールを手渡す。
「オレが見てもわかるはずがないだろう」
苦笑しながら、スパークは後ろに控えるニースを振り返り、スクロールを広げてから渡す。
軽く会釈して受け取るとニースは視線を落とし、一瞥したのちに、ぶつぶつと言葉らしきものを放ち始めた。
スクロールに書かれていることを読んでいるようである。
アルド・ノーバは断片的に単語が聞き取れたが、スパークにはさっぱり理解できない。
どうも面白くないが、大人しく聖女の動向を見守ることにした。
理解できる単語から察するに、どうやら力を取り戻したり、または発揮できる状況にするための
スクロールのようだとアルド・ノーバは判断した。
そして、言葉に合わせるようにスクロールから放たれ始めた光が、その判断が間違ってないことを証明するのだった。
スクロールが放つ淡い光はニースの身体をくまなく包む。
彼女には珍しい、しまった、という表情がその光景にミスマッチして、何故か妙に可愛らしく見せた。
淡い光は変化をもたらす。
少女の瑞々しい肢体は、時を駆け、ゆるゆると大人の女性のそれへと相成る。
少女の透き通った漆黒の髪は、その輝きを失うことなくより艶を増す。
少女の陶器にように滑らかな肌は、その細やかさを保ったまま潤いを更に湛える。
少女の膨らみかけた青い果実のような双丘は、見るものを虜にする質量を誇示する。
少女のまだ硬くつぼみのような身体のラインは、男を蟲惑してやまない女性的な丸みを帯びる。
その光景は、まるで女神の降臨を目の当たりにしたかのような感銘を見る者へ与えた。
肉感的なカラダ、とはまさにこういうものをいうのであろう。
白布の神官服は少女の肉体に合わせたサイズでしかないので、張り詰めた胸や尻を殊更に強調する。
スパーク、アルド・ノーバともに、飲み込めない眼前の事態が、聖女の肢体への凝視に拍車をかけさせた。
変化を終えた女性…ニースは、まじまじと自分の体を眺める。
その表情はどこか他人事のようですらある。
しかし、しばしの沈黙ののち、大きく嘆息して現実を受け止めるのだった。
「ニース…?ニースだよな?いったい何が起こったんだ…?」
平常心を保とうと声を掛けるスパークにゆっくりニースは向き直る。
結果、正面からこの魅惑的な肉体を拝むこととなり、心臓はより激しく動悸してしまう。
「はい…、えー…とですね、これは古代の魔法王国で使われていた、その…せ、生殖用に、
対象をその最も肉体的に充実する年齢へ、と変化させる秘呪のようなものです…」
生殖という言葉に妄想が沸き立ち、更に反応してしまうスパークとアルド・ノーバ。
男の性である。
「本来は、その…、男性が用いて、女性を受精させるために用いるものなんですが、
見ての通り女性にも効果があるみたいです…」
頬を微かに桃色に染めながら説明をするニースからは色香が沸き立つ。
ドギマギしながらもスパークはなんとか声を掛けて応じる。
「…ん、うん。それで、元に戻す方法とか、問題とかはあるのか?」
「…これは一種の呪いなのですが、解呪の方法が不明なので、
半日の持続時間が切れるのを待つほかないです…。不用意でした…」
うなだれるニース。
「オレもちょっと戸惑っているんだが…とりあえず、このスクロールはアルドが責任を持って保管しておいてくれ…。
マーファ神殿にはオレの名で、相談の為城中に留まってもらうことにしたと伝える使者を出しておくぞ。
あまり大勢に知られて騒ぎにしたくないからな」
図らずも一国の王。判断は素早い。
「部屋を用意させてくる、少し待っていてくれ」
そういうと、スパークは邪念を払うかのように足早にその場を後にした。
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マーモの夜の訪れは早い。
どの世界にも昼の顔、夜の顔がそれぞれあるものであるが、
この島では夜の顔こそが真実の姿なのかもしれない。
この地で暮らすには、闇を受け入れ、闇と共存していかねばならないのだ。
スパークは自室で成長したニースの姿を思い出し、ぼーっと妄想に耽っていた。
そんなところに取次ぎが入る。
この部屋には、清掃以外では"公王の友人"リーフ以外、一切の立ち入りを禁止しており、
取次ぎなども滅多にあるものではない。
気分を害されたが、王たるものそんなことでいちいち機嫌を悪くしていてはならない。
そう考え直して、何事か、と警護の騎士に応じる。
そして帰ってきた、訪問者が来ているがどうするか、との問いに、
直感に従うままに通せ告げた。
訊ねてきたのは、想像した通り、先ほどまで妄想の世界で共に居た女性その人であった。
頬を薄く赤く染めたニースが目の前に居る。
ニースの母、レイリアもまた豊満な肉体と煌びやかな美貌の持ち主であるが、
今のニースはその母を双方において凌駕しているのではないか。
少なくとも、スパークにはそう思えた。
喋ってないとおかしくなりそうな気さえして、スパークはどうしたのか、とニースに訊ねる。
「はい…あのですね、スパーク様。……あのスクロールの効果で、ひとつだけ、お伝えしていなかったことがあって……」
「伝えてなかったこと?なんだいそれは」
艶かしく揺れるニースの肢体を見ていると、自分が男であることを深く実感する。
理性で欲望を抑え付け、スパークは言葉を紡ぐ。
ニースは潤んだ瞳でスパークをじっと見つめると、意を決して応じる。
「……あの秘呪は、男女が子を為せる状況にするためのもの。
ですが、女性は呪いが解ければ元に戻るため、その間に子を孕むことはありません。
だから、男性用なんです……」
喋るたびに漏れる吐息が淫靡である。
「でも、その…女性にも、男性と同じく副作用が働くんです……。
異性と子を為す行為をしたい、という思いが……強く、強く…」
普段のニースから、どのようにすればこんな言葉が出るのだろうか。
これも紛れもなく、非現実の延長なんだろう。
スパークは心の中の僅かに冷静な部分でそんなことを考えていた。
「スパーク様…」
ニースはそう一言呟くと、ゆっくりとスパークへと歩み寄る。
今の二人には、もうそれ以上の言葉は必要なかった。
スパークの背中に手を廻し、そっと身体を預け、深い口付けを交わす。
抱き合ったままベッドへもつれるように倒れこんでいく二人。
柔らかい、初めての大人の女性の感触。
スパークの一人でいたときからすでに臨戦状態だったモノが、更に硬度を増していく。
ニースは敏感にそれを察知した。
「まぁ…スパーク様ったら…。もう、ここをこんなに大きくなさって…」
服の上からニースの手がゆっくりと撫で擦る。
手は滑らかに服を脱がしていき、熱の篭もる欲望を露にする。
ニースはまろび出た性器へ熱に浮かされたような視線を送る。
上に反り返り、臍にまで届こうかという勢いである。
「あぁ…スパーク様、とっても立派だわ……」
握り締め、自分の頬に摺り寄せながらニースはうっとりと呟くのだった。
ちゅ。
ニースが、スパークの肉棒にキスを降らす。
ニースの柔らかい舌が、つぅーっと肉棒を舐めあげる。
ニースの口から垂れる唾液が、肉棒を濡らしていく。
ニースの口内の温もりが、スパークを優しく包み溶かす。
痺れるような、蕩けるような、極上の快感。
スパークはニースの送り込んでくる波にただ翻弄されるのみである。
経験の少ないスパークにも、自分が味わっているテクニックの凄さは想像がつく。
気を許すと情けない呻き声が漏れそうで、堪えるのに必死だった。
上目遣いに見上げるニースは、一端スパークから離れる。
そして自ら神官服を脱ぎ、そのカラダを愛するオトコの前へと晒していく。
豊かな隆起や流れるような曲線、見事なまでの肉体美である。
「スパーク様…、いつものわたしではできないこと、して差し上げますね……」
熱に浮かされたような口調のニースは、スパークの前に跪いた。
そして、胸を両の手で持ち上げると、そそり立つ肉茎を左右から優しく挟み込む。
蟲惑的な視線をスパークに投げかけると、ゆっくりと胸で揉みこんでしごき始めた。
ペニスをぬるぬるに濡らした唾液が潤滑油となって、滑らかに胸の中をすべってゆく。
その柔らかさはもちろんだが、それ以上に視覚的に興奮が湧き上がる。
ちょろりと覗く先端には舌が容赦なく絡みつき、刺激を絶やさない。
「ん…くぅ、駄目だニースっ……。気持ちよすぎる……」
耐え切れず嗚咽を漏らすスパーク。
初めての悦楽。
精神的な興奮と肉体的な快楽が交差して、本当におかしくなってしまいそうだった。
「ん……あの、スパーク様。そろそろわたしの中に……きて…ください……」
肉棒を愛おしげに撫でさすりながら、ニースは言う。
「もう、準備は、できてますから……。スパーク様のおちんちんを、わたしの中に…、ください……」
ニースはそういうと、スパークから離れてベッドに横たわる。
そして、膝を立て、おずおずと肉付きのよい太腿を左右に割り開いてゆく。
桃色に色付き濡れそぼった秘所が露になる。
スパークももう限界であった。
オスの生殖本能が、体を突き動かす。
迎え入れるように開かれた股に割って入り、ニースへと覆いかぶさってゆく。
先端を入り口にあてがうと、シーツを膝で擦るようにしてゆっくりと腰を推し進める。
手をニースの腰に回し、引き寄せるようにして挿入がなされていく。
「んんっ……」
ニースの漏らす色っぽい吐息が、目前の女神と繋がったんだということをスパークに実感させた。
ゆったりとした抽挿が開始される。
少女であるニースの膣は未開発で、男性器を受け入れるにはまだきつすぎた。
成長したニースの膣は優しく肉棒を受け入れながら、それでいて、絡みつき、締め上げてくる。
少女のそれよりもある意味ではきついくらいなのである。
腰を前後左右に揺り動かし、その感触をペニス全体で味わう。
寝てもそのカタチを崩すことのない乳房に手が伸びる。
揉むとその分張りが返ってくる、極上の胸である。
薄いピンク色の乳首を指の先でころころと転がすと、
ニースの顔が快感に歪む。
やがて、ニースも腰をゆっくりと動かし始め。二人のリズムが重なっていく。
ニースに倒れこむように体を押し付けたスパークは、喘ぎ声をもらすニースの唇へ舌を伸ばす。
舌が絡み合い、唾液が交わりあう。
少しずつ、抽挿のテンポが早くなっていく。
入り口から、子宮口にまで打ち響くような力強い律動がニースを、そしてスパークを快楽の海へ沈めていく。
抱きしめるようにスパークの背中に手を回したニースの爪が、二人の悦楽の痕を背中に刻んでゆく。
ベッドの奏でる軋みが、ニースから漏れる喘ぎ声と相まって、部屋の空気を支配していった。
「うぅ…ニース……ニース…そろそろ、イキそうだ……」
「あぁ、スパークさまぁ…、んぅ……わたし、も……はぁん」
「お願い、です。このまま、なかに……なかに出してくださいぃっ……」
返事の代わりとばかりに、更に早まる腰の動き。
お互いに離さないとばかりに強く抱きしめあう。
肉棒が膣壁を擦りあげ、子宮口を押しつぶし、膣の最奥に叩きつけられる。
膣壁はペニスから精を搾り取ろうと、きゅんっと収縮し始める。
そして、二人は同時に果てた。
「「あああっっ」」
スパークから勢いよく放たれた白濁液がニースの膣に叩きつけられる。
交わりの本来の目的を首尾よく果たせそうな、凄まじいまでの量である。
膣を満たしていく温もりに、しかしニースは幸せを感じるのだった。
スパークはニースから肉棒を引き抜くと、一息つこうとする。
しかし、後ろからニースが抱きしめてきてそれを許さない。
そして、耳元で誘うように囁く……
「ねぇ、スパーク様、夜は長いんですよ…。…今夜は、いっぱい、いっぱい楽しみましょうね…?」
押し付けられた美乳の感触に、
耳元で囁き掛けるその声に、
初めて味わう大人の女性の淫らな様に、
そして、何よりもこの淫靡な空気に……
スパークはまた己のものに力が集まっていくのを感じるのであった。
そして夜は終わらない。