暗黒の島、マーモの首都に位置するウィンディス城。
マーモ公国の中枢であるその城の地下には、豊穣の女神マーファを祀る大地母神の神殿が置かれていた。
つい先日までは…
神殿の奥の一室、蝋燭がゆらゆらとした明かりを灯している。
その幻想的な光を受けて、部屋の奥から影が立ち伸ぼる。
男女の影である。
女は四つん這いになって尻を高く掲げていた。
「はぁっ…はぁっ、いん、あんっ…」
ずぷずぷっ、という規則正しい淫水の音が狭い室内に響き、重なるようにして女性の喘ぎ声が漏れる。
女性―――否、まだ少女と言える容貌だろうか。
彼女の声は澄んだように高く美しい。
その美しい声は今、陵辱者の手管により歓喜に咽び泣く淫らな嬌声を奏でていた。
陵辱者は逞しい剛直を背後からテンポよく少女の膣に打ち込んで行く。
大きく張った雁首で膣の入り口を擦り、身体ごとぶつけようにして膣壁を押し広げる。
赤黒いペニスが薄いピンク色に色付くスリットに飲み込まれていく様に
興奮を覚えぬ者は居ないだろう。
膣内は熱く柔らかい。
しかし陵辱者のペニスを、獲物を逃すまいとするかのごとくぎゅっぎゅっと絡み締め付ける。
少女は剛直を打ち付けられる度息が詰まり、
頭を殴られたかのような衝撃と快感が交互に脳を灼き尽くす。
白い裸身にはじっとりと汗が浮かび、背後のオスのもたらす衝動に溺れて行く。
彼女は意識していなかったが、その腰は快楽を求めて浅ましく揺れ動いていた。
「あぁ、ああん、はぁ…はぁ………くる……きちゃうっ…の…っ」
また、’あの’感覚だ。
空に投げ出されるような、高いところから急降下するような、極上の快感。
少女は目尻に涙を浮かべながら、淫らに染まった顔を陵辱者に向け限界を告げる。
陵辱者はその痴態に応じるようにして腰を突き上げる。
ペニスの先端で子宮をえぐり、歪む膣壁を貪り尽くす。
ぬちゅっ、ぬちゅっ!
ぐちゅっ、ぐちゅっっ!
「あっ、あっ、あぁあっ、はあんっ!」
半開きの口から短く甲高い喘ぎ声が漏れ、シーツを握る細い手に力が込められる。
その虚ろな目には怪しい光が湛えられている。
濡れそぼった膣はペニスに貪欲に絡みつき、襞は収縮を繰り返す。
子宮口を突き破るかのような激しい律動に、少女は呆気なく飛ばされた。
「ひぃ…ひぃっ、…あぁっ、…あぁあっ……いっ…くぅっ……あぁーーーーーっっ!!」
一際長く甲高い嬌声と同時に少女の裸身がビクンビクンと大きく跳ね、
前のめりに寝台に倒れ込んだ。
もたらされた快感のあまりの強烈さにチカチカと目が眩む。
陵辱者はエクスタシーに達した少女を満足げに見やると、
膣から己の肉茎を引き抜き、腰の奥から立ち上る衝動を解き放った。
びゅるっ、びゅるっ、びゅくっ
溶岩のような精が弧を描いて勢いよく少女の身体に降り注ぐ。
じとりと汗ばむ裸身に。
薄っすらと桃色に紅潮した頬に。
艶やかな黒絹のような髪に…。
(あっ…、……あ……つー…ぃ…)
体の秘奥が男の精を感じて再び熱く疼く。
達した直後であるというのに、腰は淫らにくねり出す。
精液を身体中に浴び蠢く少女の姿は、まるで淫らな娼婦のようである。
蝋燭の揺れる暗い部屋は、咽返るようなオスとメスの匂いに包まれていた…
少女は名をニースという。
大地母神の聖女にしてマーモ公王の婚約者、そして…亡者の女王。
少女の運命は大きく揺れ動いている。
破壊の女神カーディスを信奉する転生者達により、
身を寄せていたマーモ公国が滅亡したが故に。
愛する公王は瀕死の重傷を負い、生死も定かではない。
生きていると信じているが、今のニースにはそれを願うしか術はなかった。
そして今少女は一人戦っていた。
己の中の欲望と。
先ほどの陵辱者――――ニースの魂の伴侶、フィオニスに初めて抱かれた日から、
終わることのない饗宴が始まった。
あるときはフィオニスに、またあるときは他の転生者に身体を汚された。
同時に複数の男に陵辱されたこともあった。
膣に、顔に、口腔に、何度も何度も熱い精液を注ぎ込まれた。
剛直を受け入れるのが精一杯だった幼い膣は、今では貪欲に男根を咥えて離さない。
灼熱のペニスが打ち込まれる度に淫らに腰を振り、精が放たれる度に気をやった。
ニースは即ちナニールである。
それは別の人格が存在するとかではなく、’全く同じ人物の表裏’なのだ。
亡者の女王としての記憶を取り戻した少女は、ナニールの優れていた技能を水が綿に染み込むかのように
容易く修得していき、先の戦では自ら剣を取り立ちはだかる敵を屠った。
そしてそれは閨の技においても同様であった。
快楽に貪欲であったナニールの魂は、そのままの形でニースに受け継がれているのだ。
頭が、胸が、耳が、手が、秘所が、身体のあらゆる箇所が覚えている。
身を焦がすような悦楽を得る術を。
ペニスにしゃぶりつき、膣をぐちゃぐちゃに犯されることの気持ち良さを。
男と交わることを拒否するという考えは、最早彼女の頭にはない。
かといって自ら男根を求めるようなこともなかった。
自らに潜む浅ましい肉欲に溺れてしまえば楽であった。
だが聖女と呼ばれる少女は、大地母神への信仰と愛するスパークへの想いを拠り所にし、
なんとかその理性を繋ぎ止めていた…
フィオニスは考えていた。
この転生者は野生と知性を備えた最強の戦士であり、
また邪悪なる奇跡を行使する暗黒司祭であった。
レイエスとして、現在のロードスに生を受けて十数年。
世紀の決戦であった邪神戦争、そしてマーモの公国化を彼はその両の目で見てきた。
現在のロードス諸国においても、キラ星の如き英雄が多数居ることを知っているのだ。
そして悟っている。
我等に仇為す忌まわしき者どもが、何れこの場に攻め入ってくるであろうことを。
転生者の一人が生贄となって召喚した竜の姿をした終末のものは、王城の玉座の間に巣食っている。
この終末のものは、近付くもの全てを魂の終焉へと導く。
だが先の戦いで暗黒神の司祭が見せた邪悪なる奇跡を用いれば、いかにあの怪物とて倒されよう。
例えどんな戦力が攻め入ってこようと、肉体を用いる戦闘で敗れることはないという自負がある。
だが先に至高神の女司祭が見せたような、その身を代償として光の神々の力を行使する奇跡の類は別だ。
あのときのような偶然はそう続くものではない。
我らの願いが潰えてしまう可能性は、ゼロではないのだ。
急ぐ必要があった。
亡者の女王の復活を。
そして、破壊の女神の降臨を…