(馬鹿よ。あんたは)  
 何度目かの呟き。わたしは彼の亡骸に、そっと跪く。  
 優しいバーサーカー。  
 命を代償にわたしを守った大馬鹿野郎。  
そして・・・・  
 
 ぽと、ぽとっ、と彼の顔に水が落ちる。  
 彼の体は酷い有り様だった。  
 よくも原型を保っていられたと思う。  
 だが、彼の顔は不思議なほどに安らかで。  
 開かれたままの目もまるで笑っているかのように見えた。  
 知り合ったころよりも、よほど表情というものが感じられた。  
 しかしそこにいるのは、もはや息をせぬただの骸。  
 
 わたしは彼のまぶたに手を当てると、そっと閉ざしてやった。  
 それから、硬直しはじめた彼の身体を抱きかかえるように運び、自らが掘った穴の中に横たえた。  
 そして、両手を組ませて鎧の胸に持っていった。  
   
 
 そして、血にまみれた彼の手拭いを濡らし、綺麗に拭いてやった。  
 それから、冷たくなった彼の唇に、軽くキスをした。  
   
 冷たく寒いキス。それが彼の唇だった。  
 
 わたしは涙を拭い、彼の体も洗ってやる。  
 全身が血と傷に塗れた彼の体。  
 わたしはそのひとつひとつを。丹念に洗ってやる。  
 そうして、腰まで洗った処で気が付いた。  
「あれ?」  
 
 彼の股間が膨らんでいる。  
 
 バーサークしたついでに、あそこもバーサークしたのね。  
 
 つい可笑しくなって、くす、と笑ってしまう。  
 いいわ。わたしが慰めてあげる。  
   
 彼のズボンを下げると、そこには勢いよく天を突き刺す男のシンボルが。  
 もう。死んだってのに、こんなにしちゃって。  
 
 舌をつっと出して、彼の逞しい巨根を舐めあげる。  
 挿れる前に、少しは濡らさないと。  
 彼のあそこも、固く冷たかった。まるで鉄の棒のように。  
 
 ぺろ・・・ぺろ・・・  
 
 上から下まで、丹念に舐めあげる。  
 いつしか彼の男根は、わたしの唾液で濡れ濡れになった。  
 よし。もう挿れても大丈夫よね。  
 
 わたしは自分の秘所をさらけ出し、彼の上に跨った。  
 
「挿れるね」  
 
 死体に一声かけ、腰を落とす。  
 
「んっ!」  
 
 挿入の瞬間、身体をビリッと痛みが走る。  
 痛みには慣れてるつもりだったけど。  
 外傷とは全く違う痛み。体の奥がピリッと痺れる感覚。  
 
「ん・・・・!」  
 わたしは歯を食い縛って、痛みに耐え、腰を最後まで落とした。  
 
 お腹の中が彼でいっぱいになる。満たされる。  
 わたしは彼を受け止めて、ぎゅっとその両手を握る。  
 冷たい彼の手。でもお腹の中の分身は暖かい。  
 
 感謝しなさいよ。カノン貴族の、わたしの処女を捧げるんだから。  
 わたしと彼の結合部からは、血が一筋流れていた。  
 
「ん・・・・うっ」  
 
 わたしは痛みをこらえて、腰を上下に動かして、お腹の中の彼に刺激を与える。  
 おかしいよね。死んでるのに、悦ばせようだなんて。  
 
(どう? 気持ちいい)  
 
 でも彼は応えない。死んでいるから。  
 ねえ。わたしたち、繋がってるんだよ。  
 おかしいよね。死んでから結ばれるなんて。  
 ねえ。わたしのこと、どう想ってた?  
 
 でも。  
 どんなに呼びかけても。  
 どんなに腰を使っても。  
 彼は応えてくれない。  
 
「ん・・・・・うううっ!」  
 
 わたしは彼の上で大きく飛び跳ね−  
 その冷たい上半身に身を横たえる。  
そして彼の冷たい唇に、軽くキスした。  
 
「さよなら、オルソン」  
 

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