この暗黒の島では、悪い出来事は尽きることがない。今も公王スパークは竜熱の問題で頭を抱えている。  
むろん機嫌が良かろうはずがない。  
「公王の友人」であるリーフは公王が不機嫌な時の相手役だと、宮廷の人々から思われている。  
しかし、リーフとて不機嫌なスパークの相手が楽しいわけではない。  
アルド・ノーバが良案を思いついたお陰で、スパークの機嫌も少しは良くなったようだ。  
 
「・・・当たったりなんかはしない。仕事を手伝ってくれるなら、だけどな」  
 
「それって、脅迫っていうのよ」  
 
「友人が困っているんだぞ。助けるのが筋じゃないか?」  
 
「そのために、たくさん人を抱えてるんじゃないの。あたしは、嫌よ」  
 
嫌そうに振舞いながら、リーフは内心嬉しかった。スパークの機嫌が落ち着いたことと、自分の事を必要としてくれている事が感じられたから。  
しかし、それは「友人」としてなのだと思い知らされた。  
 
「何が嫌なのですか?」  
 
涼やかな声が響き、スパークにとって友人以上の彼女が姿を見せたから。  
 
ニースは薬草師のラーフェンと共に玉座の間に現れた。竜熱の治療のために、地下のマーファ神殿を開放することと、そこに薬を提供することを進言するためだ。  
公国の信頼を回復するために、願ってもない事だ。スパークは素直に感謝し、手配と協力を約束した。  
 
用件がすむと、薬草師のラーフェンはスパークに軽く挨拶し、すでに背中を向けて退出しはじめている。  
スパークは玉座から立ち上がり、その背に一礼したあと、振り返ろうとしたニースの手を握り締めた。  
ニースは少し驚いたようだったが、その手をこばまず、遠慮がちに握り返した。すべてを愛おしむような優しい表情をスパークに向ける。  
 
「それでは失礼します」  
 
入ってきたときと同様、涼しげな声を残して、マーファ神殿の侍祭たる少女は、玉座の間から去って言った。スパークもわざわざ玉座の間を出るまで見送っていった。  
 
そんな二人を、「公王の友人」である少女は、空になった玉座の脇に立ち尽くしながら見つめていた。  
胸が締め付けられるようだ。  
 
(かなうわけがない・・・)  
 
あの黒髪の少女は本物の聖女なのだと、リーフはあらためて思い知らされた。  
存在自体を疎まれるハーフエルフとは、まったく異なる存在だということを・・・。  
 
自分が夜にスパークにしている事など問題ではないということが、スパークの表情を見れば分かってしまう。  
やはり彼にとっての自分は友人でしかないのだ。  
 
切なくて胸が苦しい。だけど、あきらめる事もできない。それならば、彼の近くにいるためにもう少し何かしてみよう。  
でもそれはあたしのわがまま。彼をかえって苦しめる事になるかもしれない・・・。  
 
そう思いリーフは苦笑した。  
 
(不幸はスパークの代名詞だもの。もう少し背負っても大丈夫よね。それに、いいものをあげようってんだから幸せって思ってもらわなきゃ・・・)  
 
 
それから数日間、リーフはスパークの私室を訪れなかった。  
戸惑うのはスパークだ。毎晩のように夜にリーフが現れていた時はどう扱っていいか分からず、止めさせようともした。  
だが少女の口の中に射精する快感は何物にも変えがたく、いつしか待ち望むようになっていたのだ。  
 
二日目位までは特に気にもしなかった。城外に出かけたと聞き、用事でもあるのだろうと思ったのだ。  
三日目には城に戻っていたが、普段と違い、玉座の間にいないことが多く、やはり夜にも訪ねてこなかった。  
五日目の昼には心配になり、少し顔を見せた際に、体調でも悪いのかと小声で聞いてみた。  
 
「え? どうして?」  
 
あっけらかんと聞き返されては、夜に部屋に来ないからとはいえない。周りには他の人間達もいるのだ。  
ふと気づくと、リーフの口元を見つめていた。リーフに咥えてもらいたい。あの口の中に射精したい・・・。  
そう思った直後、スパークは激しい自己嫌悪に陥った。これではリーフを性欲処理の道具としか見ていないようだ。  
だが、それだけでは無い。リーフときちんと話をしたかった。生意気な物言いが無いと寂しく感じた。  
 
モヤモヤとした思いのまま、さらに数日がたった夜。  
再びリーフがスパークの私室を訪れた。  
 
「今日もする?」  
 
前と変わらぬセリフで聞いてきたリーフに、スパークは一瞬どう答えていいか分からなかった。ともかく、ここには二人だけだ。なぜ最近は来なかったのかを聞き出したい。  
 
「リーフ、最近どうしたんだ? 昼間もあまり姿を見せないし、夜だって・・・」  
 
「ん? そんなにあたしにおしゃぶりして欲しかったの?」  
 
ニヤリと笑ったような表情で聞き返され、スパークは言葉に詰まってしまった。そうです、とは言えるわけが無い。  
   
「そ、そうじゃなくて・・・、何か用事か、悩みでもあったのかと思ったんだ」  
 
「・・・うん、用事があったのよ・・・」  
 
いたずらっぽい表情を浮かべリーフはさらりと予想もしない事を言った。  
 
「毎晩ね・・・他の男の所に行ってたの」  
 
「な!!」  
 
その言葉にスパークは激しい衝撃を受けた。  
他の男?リーフが他の男にあんな事を?  
頭が混乱する。地面が揺れているかと感じたら、自分の身体が震えているだけだった。  
過去に経験した戦い以上に動揺している。ニースの前世についての秘密を聞いたときでさえ、ここまでではなかったのではないか。  
汗が噴出し、何と言えばいいのか分からない。罵倒するべきなのか、いやしかし、自分は別に束縛する権利など・・・。  
 
「嘘よ」  
 
「・・・・・・え?」  
 
「嘘に決まってるでしょ。そんな事するわけないじゃない」  
 
あっさりと否定された。同時に全身から力が抜ける。怒鳴りつけてやろうかとも思ったが、安堵の気持ちの方がそれに勝った。  
 
「リーフ・・・悪質な冗談はやめてくれ・・・」  
 
スパークは頭を抱えてやっとそれだけを口にした。  
 
「・・・そんなに心配した?」  
 
当たり前だと言ってやりたかったが、自分がこれほど動揺した事を知られたくは無い。何故かとても恥ずかしかった。  
 
そんなスパークを見て、リーフは少し嬉しそうな表情を浮かべた。そして彼女はあらためて決意を固める。  
 
「・・・ごめんね。軽い冗談だったんだけどな・・・。ともかく、今日もしましょう」  
 
そう言うと素早く服を脱ぎ、薄衣のみの姿で、椅子に座ったスパークの足の間に身体を入れる。  
そしてスパークが止めるまもなく手馴れた手つきでスパークのものを取り出した。  
指でヤワヤワと刺激し、まだ柔らかいペニスを口にする。  
 
「うっ」  
 
久しぶりの感触にスパークはそれ以上の抵抗が出来なくなった。  
リーフの愛撫はいつも通り続いたが、ペニスが硬く張り詰めたところで、ふいにリーフが手と口を止めた。  
 
「さっき驚かせちゃったし、しばらくお預けしてたから・・・、今日はもっと違うことしてあげるね」  
 
そう呟き、スパークに目を閉じるように求めてきた。  
 
先程の動揺から、まだ立ち直っていないのと、もともと夜はリーフに主導権を握られていることもあり、なんの事かはわからないままスパークは素直に目を閉じた。  
 
それを確認すると、リーフは決心した顔で立ち上がり、一歩だけスパークから身を離した。  
 
 シュル シュルリ  
 
スパークの耳に聞こえるのは衣擦れの音。リーフはすでに下着の上に薄い服を着ていただけだったはず。  
それなのに衣擦れの音がするということは・・・?  
ハッと気がついたスパークは思わず目を開けてしまった。ランプに照らされる薄暗い室内。スパークのすぐ目の前に、裸身をさらし佇むリーフの姿があった。  
 
成長の遅いハーフエルフの小柄な身体が何も言わずにそこにある。胸の膨らみもまだ淡く未成熟だ。  
しかし女性の裸体を見たことのないスパークにはそんな比較などできない。  
純粋に美しいと感じた。声を上げることも忘れ呆然と見つめる。  
表情を殺していたリーフの方に変化が現れた。顔が紅潮し、その人間より長い耳も赤く染まっていく。  
彼女とて男に裸身を晒すなど初めてなのだ。この十日近く悩み、ついに決心を決めてやってきたのだが、やはり羞恥心を捨てきれるものではない。  
でも今更ひるむわけにもいかない。  
 
「抱いて・・・、抱いて欲しいの・・・」  
 
「・・・え?」  
 
「私を・・・女にして・・・」  
 
リーフが何を言い出したのか、見とれていたスパークには一瞬分からなかった。だがその意味は明白だ。セックスをしようと言っているのだ。  
 
「な、何を急に! どうしたんだよ一体」  
 
さすがに驚いた。いいよ、とすぐに言える事ではない。なぜリーフが急にこんな事を言い出したのかわからない。  
今までしていた事もそれに準ずるようなものなのだが、そう考える余裕は無かった。  
 
「い、いいじゃない。私だって年頃なのよ。セックスに興味もつのも当然でしょ」  
 
強がりである。そんな浅い感情ではない。思い悩んだすえの行動だ。スパークが戸惑うのは当然だとはわかっている。  
たとえ抱かれたとしても、彼の一番になれないのもわかっているが、自分の心を抑えておくこともできない。  
だから、ズルイ手を使ってでも抱いてもらう。その為のセリフも考えてきた。スパークの心の片隅にでも自分の存在があるなら、抱いてくれるだろう。  
 
「スパークが嫌っていうなら、それこそ本当に他の誰かに頼むわ」  
 
「なっ!・・・」  
 
「処女をあげるって言えば、喜んでしてくれる男はたくさんいるだろうし・・・」  
 
嘘だ。他の男とするなんて考えるだけでおぞましい。スパークに自分の初めてを奪って欲しい。  
 
スパークはそんなリーフの心の内を読み取ることなどできない。ただ、リーフが他の男となど想像するだけいやだった。  
先程からかわれた時は嘔吐感を覚えるほど動揺してしまった。何故なのかはわからない。いや、自分で気がついていないだけなのだ。  
目の前の少女に抱く感情の答えは出なくとも、一つの確かな思いがスパークを動かした。リーフを他の男に渡したくないという思いが。  
 
立ち上がったスパークの腕がリ−フを包む。小柄な身体は胸の中にスッポリと納まってしまった。  
 
抱きしめられている。照れくささと嬉しさ、その他の感情が複雑に混じった表情でリーフはスパークの顔を見つめた。  
抱きしめている。肩くらいまでしかない、強く力を入れたら折れてしまいそうな程の華奢な身体。自分を見上げてくる表情が愛しい。  
 
「ス、スパーク・・・? その、して・・・くれるの?・・・」  
 
ためらいがちな質問に答えは返ってこなかった。リーフの問いに答えるかわりに、スパークは小さな唇に自分の唇を重ねた。  
カツンと歯と歯がぶつかって、無粋な音を立てる。  
 
「んっ!・・・」  
 
突然の、そして初めてのキスに驚いて、大きく見開かれたリーフの目がやがてうっとりと閉じられた。降りてきた瞼に涙が押し出され、上気した頬を伝う。  
テクニック何も無い、唇を押し付け合うだけの不器用なキス。しかしリーフはこの上なく幸せを感じていた。  
リーフの腕が自然とスパークの背中へとまわされる、二人は唇を重ねたまま強く抱きしめあった。  
 
「ほ、ほんとにいいんだな?」  
 
白いシーツの上にリーフを横たえ、スパークは彼女にたずねた。  
これから彼女を抱くと決めたものの、経験が無いのだから緊張は隠せない。  
 
「い、いまさらやめるとか言わないでよね。さあ、早く・・・」  
 
しかし、どうしたらいいのかわからない。スパークが戸惑っていると、リーフがその様子に気づいた。  
リーフとしても、ここでスパークに尻込みされるわけにはいかない。大胆な行動に出た。  
 
「どうしたの? しないの? ほ、ほら・・・」  
 
膝を少し立て、足を開く。  
 
「うわ・・・」  
 
何も隠す物の無い性器が、スパークの眼前にさらされる。  
柔らかくふっくりとした恥丘に、縦線一本のシンプルなスリットがあるだけで、翳りと呼べるものは無かった。  
まだ幼く見える性器とはいえ、スパークにとってははじめて見る女性の秘部だ。  
鼓動が早くなり、視線はリーフのそこに釘付けとなってしまった。  
 
スパークにあそこを見られている。たまらなく恥ずかしい。でもスパークに興奮してもらわなければいけない。これでもまだスパークが動いてくれないのなら・・・。  
 
「ね、ねえスパーク。その・・・する前に口でしてあげた方がいい?」  
 
リーフがそう提案したことで、やっとスパークが反応を返した。この後どうすればいいのか、はっと気がついたのだ。  
 
「いいよ・・・。いつもしてくれたから、今日は俺がしてやるよ」  
 
「え・・・?」  
 
リーフに問い返す暇を与えず、彼女の足の間に身体を入れた。ビクッとリーフの身体に緊張が走る。  
身体の脇に投げ出されていた腕が一瞬はねた。性器を隠そうとした反射的な動きを意思の力で押さえつけると、リーフはゆっくりと腕を元の位置に戻した。  
 
スパークは背をまげ、リーフの股間へと顔を近づけた。甘酸っぱい汗の匂いと、微かな残尿臭。  
こうしてリーフの秘密の場所を目の当たりにしているという思いで、スパークの股間に血液が集中した。  
今日は俺がしてやる・・・とは言ったものの、やはり排尿する所に口をつけるのは抵抗がある。  
だが、スパークの胸には、そうした抵抗と同じかそれ以上の興味がクンニリングスという行為に対してあった。  
 
女性のアソコとは、どんな味がするんだ?という素朴な疑問から始まって、次々と疑問が浮かぶ。  
舐めた時にリーフはどんな反応をするんだろう?  
普段の生意気な態度とは違う、淫らな痴態を見せてくれるのだろうか?  
フェラチオされた時に自分が味わうような、とろけるような快感をリーフも享受するのだろうか?  
スパークの疑問は、欲望に正直な股間と一緒にどんどんと膨らんでいく。  
まるで引き寄せられるかのように、スパークはふっくりとした恥丘に、つい先程リーフのファーストキスを奪ったばかりの唇を近づけた。  
 
「だ、だめ・・・。そんな、汚いよ・・・」  
 
自分が毎晩していた行為も忘れ、弱々しい声でリーフが制止しようとする。だがその声には怯えとともに、未知の行為への期待がにじんでいた。  
そんな事を読み取ったわけではないだろうが、スパークは自分の行動を止めようとはしなかった。  
いよいよだ。言い様のない緊張と興奮が体に満ちる。  
おそるおそる伸ばした舌で、スパークは秘めやかに息づくスリットをかすめるように舐めあげた。  
 
「んふっ・・・」  
 
下の口へのファーストキスに、リーフが微かに身じろぎする。  
初めて舐めた秘裂。どんな味かと問われて答えられるほどの明確な味はしない。強いていえば女の子の味か。  
 
いったん秘裂に口をつけてしまうと、この行為への抵抗も薄れ、だんだんとスパークの舌の動きも活発になってきた。  
 
広げた下の表面を、陰部を割り開き、粘膜に押し付けるようにして、下から上へとわれめを舐める。  
レロレロと舌を動かしながら、最初はおっかなビックリだったスパークも、いつしかリーフの秘部に舌で愛撫を加えることに没頭していた。  
初めはは気になった、われめの生々しい芳香も、なぜか今では愛しく感じられる。  
 
性器を舐めた事はあっても、舐められたことのなかったリーフは、最初は股間で蠢く舌がもたらす異質な感覚に戸惑っていた。  
だが、毎夜のような自慰で、局部の性感が開発されていたため、すぐに敏感な反応を示しはじめた。  
 
「あっ・・・あぅっ・・・やはっ・・・」  
 
むずかるように鼻をならして、腰をモジモジとくねらせる。投げ出されていた両腕に力が入り、シーツをギュッと握り締めた。  
 
リーフ、感じてるんだ・・・。  
 
拙いクンニリングスを続けるスパークの胸に、自分の愛撫が相手を悦ばせているという嬉しさがこみあげてくる。  
いつも受身だったスパークだが、フェラチオをしている時にリーフが見せる楽しげな笑みの意味が理解できたような気がした。  
 
慣れない作業に疲れ、スパークが舌の動きをゆるめると、リーフは腰を浮かせて、まるでねだるかのように、鼻面に恥丘を押し付けてくる。  
 
「んっ・・・」  
 
スパークの口を塞ぐリーフのそこは、いつのまにか透明な粘液でヌルヌルになっていた。最初スパークは自分の唾液かと思ったが、それにしては量が多い。  
どうやらこのヌルヌルはリーフの内側からにじみ出て来ているようだ。  
 
愛液が出てきてるんだ・・・。  
 
少女の秘芯から分泌される淫らな蜜をもっと味わおうとして、目いっぱいに伸ばされた舌が狭い割れ目の中へ差し込まれる。  
 
 ちゅぷ、ちゅく・・・  
 
スパークは開かれた太ももの付け根に顔をうずめて、猫がミルクを舐めるかのように舌をならす。  
秘裂からあふれた愛液が顎をぬらし、会陰部を伝ってシーツにシミを作った。  
 
「ン・・・あっ・・・やん・・・ぁはぁ・・・」  
 
普段からは想像もできない可愛い喘ぎの下から、リーフがはしたないおねだりをする。  
 
「も、もっと奥まで・・・舐めて。あたしの大事なところ、グ、グチョグチョにして・・・」  
 
自分の口から出たとは思えないような嫌らしいセリフがリーフの官能をさらに高めていく。  
 
それに応えるかのように、スパークは大陰唇に両手の親指を掛け、わずかに綻びつつあったスリットを左右に割り開く。  
オイルを塗ったかのようにテラテラとぬめる、鮮やかなピンクの粘膜がむき出しにされた。  
いびつな菱形を作る柔肉の底には、小さく口を開けた穴がひくつき、スパークの中の牡を激しくそそる。  
引き寄せられるかのように粘膜の合わせ目に舌を伸ばした。柔肉をえぐるかのように、透明なぬめりを舐め取る。  
 
「あふぁっ・・・」  
 
背筋を貫く快感に、リーフは小柄な肢体を弓なりに反らせた。この反応に気をよくしたスパークは、熱いぬかるみを、いやらしい音をたてて舐めすする。  
 
「ふぁっ・・・あ・・・あっ、あっ・・・ひぁっ・・・」  
 
あふれ出す蜜が濃さを増し、それとともにリーフの唇からもれるよがり声が甲高く切ないものになってくる。  
 
「もう・・・もう、ダメェ。それ以上されたら、あたし、いっちゃう・・・」  
 
その言葉を聞き、スパークが顔をあげた。ベタベタになった口元を手の甲でぬぐう。彼自身も、もう興奮を押さえきれなかった。その分身は痛々しいまでに勃起して、幹には太い血管が浮いていた。  
 
リーフの潤んだ瞳がそそり立つ牡器官を見つめる。  
 
(今から・・・今からアレが、あたしの中に・・・。)  
 
そう思うと、初体験への恐れと期待がないまぜになり、身体の奥がきゅうんと疼く。口で咥えても大きいと思うのに、本当に入るのだろうかという不安が起こる。  
 
リーフの膝の間にスパークが体を入れる。だがこの位置関係では挿入しづらい。いや、出来るのだろうが、経験の無いスパークには思いつかなかった。  
 
「リーフ、もう少しこっちに」  
 
仰向けのまま、リーフは身体をくねらせて、ベッドのへりのギリギリまで腰をせり出した。  
愛液と唾液でヌルヌルになった割れ目が、「早く入れて」とスパークをせかす。  
 
ゴクリ・・・。スパークの喉仏が大きく上下した。  
これからリーフとセックスするんだ・・・。勢いに任せてここまできたものの、やはりいざとなると緊張する。  
何か言おうとしても声がひっかかって、なかなか出てこない。  
 
「そ、それじゃあ・・・」  
 
「待って」  
 
スパークがことにおよぼうとした時に、リーフから待ったがかかった。  
 
「え?」  
 
「も、もう一度・・・キス、して・・・」  
 
スパークはリーフの身体に覆いかぶさり、左手で上体を支え、目を閉じてキスを待ち受ける唇に、自分の唇を重ねた。  
唇を離しても、二人は息がかかりそうな至近距離で見詰め合う。  
 
「ホントに・・・ホントにいいのか?」  
 
「うん・・・。いまさら怖気づかないでよね・・・」  
 
強がっていながらも、リーフの瞳には、想い人に一番大切なものを捧げる決意が満ちていた。  
 
スパークは体を起こすと、勃起の根元に右手を添えて、角度を調節し、ゆっくりと腰を突き出す。  
 
 にちっ・・・。  
 
すでに先汁をにじませたこわばりの先端が、舐められることで赤みを増したピンクのほころびに触れた。  
 
 (あ、くる・・・)  
 
熱くて硬いモノが大事なところにあたるのを感じて、リーフは身体を堅くした。  
しかし、少女の期待を裏切って、豊富すぎる潤滑液で亀頭が滑り、標的をそれたペニスの裏がスリットをこすりあげる。  
 
「あ、あれ・・・?」  
 
思わぬ失敗に焦ったスパークは、いったん腰を引き、再び挑んでいく。  
前触れのしずく以上に、焦りをにじませた亀頭は、割れ目にそって何度かうわすべりをを繰り返した後、ようやくリーフの胎内への入り口をとらえた。  
熱心なクンニで充分ほぐしていたのが良かったのか、ペニスの先端が柔肉の中にめりこんだ。敏感な亀頭表面がぬっちりとした感触に包まれる。  
 
(ここだ!)  
 
やっと膣口を探り当てた喜びから、スパークは一気に腰を進めた。  
まるく尖った先端が、処女膜に一瞬はばまれたあと、それを突き破って未踏の領域に侵入する。  
 
 ずむっ。  
 
「あぐっ!」  
 
下腹を引き裂かれる激痛に、リーフがのけぞった。予想以上に痛そうなリーフの反応を見て、スパークが挿入を中断する。  
 
「や、やっぱりやめようか?」  
 
形のいい眉を寄せたリーフは、眉間に苦痛の縦皺をきざみつつも、  
 
「い、いいの・・・いいから続けて」  
 
「でも・・・」  
 
「いいから、お願い」  
 
リーフの必死なお願いに促され、スパークは腰を進めた。  
 
う、わ・・・。これがリーフの中・・・。きつくて、ちぎれそうだ・・・)  
 
ふくれあがった亀頭が、窮屈な肉の通路を押し開き、硬い勃起がじりじりと処女地を犯してゆく。  
 
「ぎいいっ・・・」  
 
処女膜が破れたあとの裂傷が、ペニスの表面でこすられる痛みを、リーフは歯を食いしばって耐えた。  
最大限に怒張した牡器官を受け入れるのは、小柄なリーフの身体ではやはり辛い。  
ぴっちりと肉茎の周囲を取り巻く大陰唇は引き伸ばされて血の気を失っている。  
 
激しい痛みをこらえるため、リーフは両脇を締め、胸の前に引き付けたこぶしを強く握り締めていた。引き結ばれた唇から、押し殺したうめきがもれる。  
 
「だ、大丈夫かリーフ・・・?」  
 
根元まで埋没したところで腰を止め、スパークが恐る恐るたずねた。  
 
「う、うん・・・。スパークの童貞、もらっちゃったね」  
 
苦痛をこらえて気丈に答えるリーフの目には、涙が浮かんでいた。  
 
「やっぱり・・・、やっぱりやめよう。痛いんだろう?」  
 
「やめちゃダメッ!」  
 
以外なほど強い調子で、リーフはスパークの提案をはねつける。  
 
「あたし、あたし幸せなの・・・。スパークに抱かれて・・・。だから・・・、どんなに痛くても我慢するから、血が出たって平気だから、途中でやめないで」  
 
「リーフ・・・」  
 
潤んだ瞳から、真摯な想いが伝わってくる。結局、最期までしてやるのがリーフの望みにかなうことだと決心すると、スパークはそろそろと腰を引いた。  
硬直をぐっぷりと根元まで咥え込んでいた秘裂から、血がついたシャフとが姿を現す。  
 
今、自分はすごくひどい事をしているのでは・・・という思いをねじふせ、スパークはピストン運動を開始した。  
スパークの腰が動く出すと、ふたりの結合部から一筋の鮮血があふれ出る。  
 
 ずにっ・・・ずにっ・・・ずむっ・・・。  
 
後退するシャフトに引きずられて、スリットからはみ出した粘膜が、短い間隔で折り返してきたシャフトに乱暴に押し込まれる。  
肉茎が一往復するたびに、じゅぷじゅぷとにじみ出てくる処女血の混じった愛液がリーフの会陰部を朱に染めた。  
 
「んっ・・・ぐっ・・・ひっ・・・」  
 
やはり、無理な抽送には激しい痛みが伴うらしく、リーフは歯を食いしばり苦悶のうめきをもらす。汗に濡れた薄い胸のふくらみが、大きく波打っている。  
しばらくのあいだ、本能のままに不器用に腰を前後させていたスパークは、やがて上体を前に倒し、リーフの身体にのしかかった。  
そうしたのは、出血を直視したくないからでもあったが、それよりも、も;つとリーフと触れ合いたいという気持ちが強く働いたからだった。  
 
リーフも首に腕をまわして、すかさずしがみついてくる。スパークは、左肘で体を支え、右手をリーフの頭の下に入れた。  
柔らかい髪の手触りを感じながら、リーフの頭をしっかりと抱きしめる。  
胸と胸、腹と腹、股間と股間、ふたりはぴったりと密着した。  
隙間なく抱き合ったため、スパークの腰の動きは自然と小刻みになった。腰を動かすというよりは、揺するといった感じに近い。  
 
 ちゅむっ、ちゅむっ、ちゅむっ・・・  
 
きつい穴に絞られて、スパークの勃起は放出の時を迎えようとしていた。ペニスの根元から熱いトロミがこみあげてくる。  
 
「リーフ・・・」  
 
自分の口のすぐそばにある、真っ赤に火照ったリーフの耳に、スパークは熱い吐息とともに囁きかけた。  
 
「おれ・・・おれ、もうすぐ出ちゃいそうだ」  
 
「いいよ。イって! あたしの中に、いっぱいセーエキ出してっ!」  
 
スパークの首に巻きついていたリーフの腕に力が入り、両足がスパークを離さないとでもいうように、腰に回される。  
そして、それと同じくらいの強さで膣壁がシャフトを締め上げる。  
 
「あうっ!」  
 
痛いくらいの抱擁のなか、ひときわ深く秘肉を貫いたスパークの勃起が弾けた。  
処女血と愛液にまみれたスリットに突き立てられたペニスの先端から、夥しい量の白濁液がリーフの子宮へとほとばしる。  
 
どくッ・どくッ・どくんッ・・・。  
 
「あうっ・・・あぁ・・・」  
 
(スパークの・・・スパークのセーエキが、あたしの中に出てる・・・。あたし、スパークに抱かれたんだ・・・。)  
 
身体の奥に注がれた熱いほとばしりが、温かな感覚となってリーフの全身に広がっていく。  
 
(おれ・・・おれ、リーフと・・・)  
 
荒い息がおさまるまで、二人は身体を重ねたまま離れようとはしなかった。  
 
昂ぶりがおさまり、わずかに身体を起こしたスパークがリーフの顔を見ると、彼女は目があった瞬間に恥ずかしそうに視線を外してしまう。  
その態度にスパークも羞恥心を取り戻してしまった。抱きしめていた身体を離し、いまだ繋がったままだったペニスを抜く。  
チュルンと抜けたペニスの先とリーフのスリットが白く糸を引き、しずくとなって落ちた。  
 
それに続いて、硬直に突き荒らされた膣から、破瓜の血が混ざった白濁液がドロリと垂れ、シーツに新たな染みを作る。  
その光景のあまりの淫靡さに、スパークは自分がリーフとセックスをした事を改めて実感してしまった。  
 
「・・・シーツ汚れちゃったね」  
 
「あ、ああ・・・そうだな。後で取り替えるから、気にしないでいい・・・」  
 
精液がリーフの性器からあふれ出すのに目を奪われていたスパークは、急に話しかけてきたリーフの顔を見る事ができず、取ってつけたような返事しかかえせない。  
その返事を聞いて、リーフがいつものような意地の悪い声で言った。  
 
「いいのぉ? こんなに精液やら血やらがついたシーツ、いつものように侍女の人達に交換させたら、あっという間に噂になっちゃうわよ」  
 
「あ・・・!」  
 
その事には考えが及ばなかった。このシーツは何とかして処分しなければ。しかしどんな理由をつけて・・・?  
 
「ま、適当に理由は考えてよね。この部屋は公王様の部屋なんだから」  
 
まるで他人事のような気楽な物言いに、お前も当事者だろうと言いかけてやめた。  
リーフは自分の身体の中から溢れてくる精液をふき取っていたいるところだった。  
今そんな風に言うのは自分達のした事を思い起こして、あまりに生々しい。  
 
こんな行為の後で気のきいた事も言えずにいる自分と、さっきまでの女を感じさせる態度とは違い、全くいつもどうりのリーフ。  
 
どうふるまえばいいのか分からないまま、スパークが服に袖を通しだすと、リーフがポツリとつぶやいた。  
 
「ねえ、あたしがしばらくこの部屋にこなかった理由、話してなかったね。教えてあげよっか」  
 
「え? あ、ああ・・・」  
 
今更もうどうでもいい事ではあったが、リーフは内緒話をばらすかのような楽しそうな態度で話はじめる。  
 
「今日がね・・・危険日だったから」  
 
「・・・へ?」  
 
「だからぁ、今日が妊娠しやすい日だったからよ」  
 
その言葉が意味するところを理解するまで、一瞬の間があった。  
 
「に、妊娠っ!! そ、それって子供ができるってことか!」  
 
「決まってるでしょ。あたしの処女を奪っておまけに中に出したんだから、責任取ってくれるわよねぇ」   
 
「せ、責任って・・・」  
 
確かに、もし子供ができたのなら男として責任を取らなければいけない。  
しかし自分は公王としての立場があり、自分だけで勝手に決められないのも事実だ。  
リーフの事が嫌なのではない。さっきは本当に彼女の事を愛しく思った。だが心の中にもう一人の女性がいることも否定できない・・・。  
 
「・・・ぷ・・・く・・・くくっ」  
 
とんでもない出来事の連続に、完全にパニックを起こしているスパークを見ていたリーフが突然笑い出した。  
目に涙まで浮かべて笑うリーフに、スパークはさらに混乱したが、ふとある事に思いいたった。  
 
「も、もしかして・・・」  
 
「あはっ、あははは・・・。そう。う・そ。スパークってすぐひっかかるんだから。・・・ホントはね、安全な日を選んでたからよ」  
 
また騙された。体の力が抜け、怒鳴りつけてやろうかとも思ったが・・・。  
 
「・・・あたしはスパークのお妃になりたくて抱かれたわけじゃないから。そんなこと関係なしにスパークに抱かれたかっただけなの・・・」  
 
そんな風に言われたら何も言えなくなってしまった。  
 
「・・・また明日の昼からは普段のあたし。『公王の友人』のあたしだから」  
 
すでに服を着終わったリーフはドアに向かって歩きだす。股間が痛むのだろう、その歩幅は少し小さかった。  
その背中に声を掛けようとした時、何かを思いついたかのようにリーフが立ち止まり振り返った。再びその顔が意地悪く笑っている。  
 
「でも! 夜は『公王の妾妃』ってのもありかもね」  
 
「な! リ、リーフ!」  
 
スパークが立ち上がった時には、おやすみという言葉を残してドアは閉まっていた。  
 
   了  

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