「テレポートの魔術を使えるようになったんだって?」スパークが、アルド・ノーバに尋ねる。  
 
「は、まだ実験段階なんですが・・・」  
「よしそうか、じゃあ俺!俺をテレポートさせてくれ」  
「ま、まだ危険ですよ!公王をそんな目に逢わせる訳には!!」  
「俺の性格は知ってるだろ?なんでも経験したいんだよ。俺は欠点は多いけど、少なくとも  
危険を恐れる男じゃないぞ」  
 
「それが欠点のような気も・・・。あ、いやいや、分かりました。やらせていただきます。  
ただ、どこへでもというわけには参りません。初心者向けの補助魔具をニース様が今所持して  
おられるのです。いつでもそれを利用してください、とおっしゃられてますので、教団の神殿  
に貴方をお送りできます。神殿内のどのへんかというと、まだコントロールできないのですが」  
 
「ニースのところに?それこそ好都合・・。あ、いや、うむ、確かに久しぶりにお逢いして国政に  
対するご意見を伺いたいと思っていたところだ。じゃあ決まりだ、すぐに頼む」  
 
そそくさと身だしなみを整え、スパークがかしこまる。  
 
ノーバは、「本当に大丈夫だろうか・・・」と一抹の不安を覚えながらも、呪文の準備に  
取り掛かった。基本的には彼も、二人の仲の進展を望んでいた。呪文とともに、スパークが光に  
つつまれ、彼方へと飛びたった。  
 
神殿にいきなり放り出されたスパークは、やや面食らった面持ちだった。突然風景が一変するのは  
やはり落ち着かない。しかも何やら薄暗い場所だ。神殿は地下にあるとはいえもっと明るかった筈。  
「ん、水音?」  
スパークは不審に思いあたりを見回すと・・・そう、そこは水浴場だった(お約束)。しかもお誂え  
向きに(?)柱の陰に着地したらしい。ようやく目が慣れたスパークは、白くてやわらかそうな物体が  
水浴場の浴槽の真ん中にあることに気づく。  
・・・・・・そう、その人こそ、聖女にして暗黒神と大地母神をそのひとつの人格に封じ込む  
「小ニース」だった。スパークは、意外な展開に完全に硬直した。  
名乗り出るわけにもこっそり外に出るわけにもいかない・・・とりあえず、ニースが体を清めるのを  
じっと見守ることにした。透き通った裸身に、成長途上ながら十分に肉感的な乳房、まだ細めの腰。  
彼女は自らの体を、たんねんに布で拭いた。それが体をくねらせ、よりエロティックだった。  
 
しかし、体を清めていたニースが、突然、自らを汚しはじめた。片手の指を自らの秘所にあてがい、  
もう片手は乳首をまさぐる。  
「ああ、スパーク・・・・」目をつぶり、思わず漏らした言葉に、柱の陰の公王はぎょっとした。  
 
「ニ、ニース・・・」  
スパークは声を殺して驚愕の声を上げた。  
邪神へのいけにえとしての価値を減ずるため、一度関係を持ったことはあるが、その後はトンとご無沙 
汰である。  
子供が出来てしまっては、かえって格好のいけにえを作ることになってしまうため、そうそう体を重ね 
るわけには行かないのだ。  
おかげでスパークは欲求不満をため、不要なところで不機嫌になったりもした。  
それを見かねたのか、体の疼きを抑えるためにとリーフが夜に相手をしてくれていたが、それも控えめ 
に時々、である。  
ニースも、同じ思いを抱いていたのだ。  
それを思うと、スパークは急に心配になってきた。ニースが、スパークと同じように、我慢しきれず誰 
か別の相手を見つけてしまったら!?  
「ああ・・・スパーク・・・」  
ニースが、華奢な手で自らの形よい乳房をもむ。  
息が荒げ、吐息を吐きながら、下の裂け目に手を這わせる。クチュ、クチュ、と、湿っぽくみだらな音 
が、ひそやかに聞こえてくる。  
スパークは、もう、我慢できなかった。  
 
 
ニースの自慰を見て、スパークはかつて彼女が「私は聖女と呼ばれるような人間ではないんですよ。み 
んな、誤解しているだけ」という言葉を思い出していた。  
 
「でも、美しい。神々しい、自慰でさえも・・・」スパークは、そう思う。  
たっぷりの柔らかげな胸を、細い自分の手でもみしだき、先端を刺激する。  
双丘の先端が、固く尖りはじめたことが遠目からでも分かった。  
動きが早くなり、あえぎ声が一段と高くなる。  
「スパーク・・犯して、犯してえ」  
 
本気かよ、と思いつつ、そんな声を聞けば思わず彼女を抱きしめたくなる。  
無意識に腰を浮かし始めた、まさにその時だった。  
 
電撃に撃たれたかのようにニースは硬直し、浴槽のふちにつっぷした。  
「ニース!!」  
もう場の状況とか、ここにいるいい訳とか考えている場合じゃない。  
水浴中に事故で死ぬ人だって多いのだ。慌てて騎士は彼女にかけよった。  
しかし・・「そこにいるは、だれぞ?」  
むくりと顔を上げ、聖女は問うた。  
 
「あ、いや、スパークです。誤解しないでださい、けして覗きという下劣な破廉恥行為をしていたわけ 
ではなく、飛んで来てたまたまここでたまたま貴方が倒れたようでたまたまイッたのかと、いや犯して 
と聞いたとかじゃなくて」  
しどろもどろになるスパークだが、突然気づいた。  
彼女の声のトーンも、何より目の光が違うということを・・  
 
「お前は・・・誰だ?」  
「吾は、お前たちが淫魔と呼ぶものだ」 

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