ロードス島  

 女は息苦しい吐息を漏らす。自身の身体を包む皮製のビスチェが乳房を搾るように押し  
上げていた。両手は後ろ手にされて、革紐で拘束されている。しかし、身に着けている物  
といえば、それくらいだった。どれも彼女の肌を隠すほどの面積はない。  
 目には布が幾重にも巻きつけられて目隠しがされ、口にも猿轡を噛まされていた。  
 満足に呼吸する事もできずに、窮屈な姿勢を強いられているのは、女だった。長い髪を  
シーツの上に広げ、身体を震わせている。小ぶりの尻を掲げるように、うつぶせのまま四  
つん這いにされているのだ。  
 白い尻が外気に晒されている。その滑らかな尻に、不意に節くれだった男の手が触れた。  
それはゆるゆると触れたかと思うと、ビクリと震えた反応を愉しむように、ゆったりと撫  
で回す。女は猿轡の下から、何かを懇願するように呻いた。  
「――我慢できませんか? レイリア」  
 男は尋ねる。その顔は、ザクソンの村に居を構える北の賢者と呼ばれ、尊敬の念を集め  
るスレインと呼ばれる男の物だった。そして、彼の前で淫らな格好を晒す女こそ、彼の妻  
であり、さらには北の聖女ニースの一人娘であるレイリアその人であった。  
 果たして誰がこのような姿を想像できたであろうか。マーファ神殿で慎ましやかに祈り  
を捧げる彼女を見て、誰がこのような姿を想像できよう。怜悧な美貌は慈愛をたたえ、ど  
のような病人であろうとも治癒を施すために赴く彼女を、人は『聖女』と呼び敬った。  
 だが彼女はそのような扱いを受けても、決して増長することなく、敬虔な神官として  
人々に溶け込んでいたのである。  
 そんな彼女が長らく行方知れずとなり、そして数年ぶりに帰ってきた時、彼女は夫を連  
れてきたのである。人々は驚いた。しかし、その夫であるスレインもまた、その知を人々  
のために役立てる事を好とする人間であったために、人々は彼らの結婚を祝福したのであ  
る。彼らはザクソンの村の片隅にあったスレインの家で、慎ましい新婚生活を始めたので  
あった。  
 人々は言う。レイリアさまは聖女のままである、と。  
 人々は言う。スレイン導師はロードス北東部を導く師である、と。  
 けれど、彼らは知らない。夜毎、レイリアとスレインが営む夜の密事を。  

 レイリアの可憐な唇を覆っていた猿轡と目隠しを外す。唾液で濡れた布からは、彼女の  
愛しい香りが漂い、スレインは思わずむしゃぶりつきたくなる衝動に駆られる。しかし、  
彼の目の前ではさらに愛しく、さらに蠱惑的な姿をした愛妻が横たわっていた。  
「……レイリア?」  
 レイリアはしばし呼吸を整えた後に、懇願するようにスレインを見る。濡れた瞳は普段  
の聖女たる彼女の様相を打ち消していた。そこにいるのはかつて『灰色の魔女』と呼ばれ  
たカーラのような艶然とした魔性の女だった。  
「スレイン……ああ、お願いします……」  
 請い求めるように、レイリアが唇を開く。  
「私を責めてください……。この罪深い私に罰を……!」  
 スレインは愛妻の懇願を聞き、目を閉じる。そのまま、数瞬の間が空いた。  
「……お願いいたします……あなた」  
「レイリア。君はこのロードスに災厄をばら撒いた。その罪を、私が裁きましょう」  
 繰り返した言葉を、今夜もまた口にする。  
 スレインは手にした馬用の革鞭を手にして、レイリアの白い尻に向けて振り下ろした。  
 バチィッと鋭い音がする。白竜山脈に冠する永久雪のように白い尻に、赤い筋が走る。  
「あぁっ!」  
 レイリアの叫びは、痛みを訴えるようでいて、違っていた。その顔は赤く染まり、晒さ  
れたままの秘所から雫が溢れてくる。  
 スレインはその様子を見つめ、興奮したようにさらに鞭を振るった。赤い筋が二条、三  
条と白い尻に跡をつけていく。  
「ひぁっ」  
 レイリアの身体はガクガクと震え、足は彼女の身体を支えきれないとばかりに、広がっ  
ていく。  
「いやらしい人だ。鞭を与えても、意味がない」  
 スレインはそう言って鞭を床に放り投げた。  
 代わりに、引き出しから取り出したのは、細い杭のような物だった。  

「ああ……罰を……罰をぉ……」  
 レイリアが陶酔した表情でスレインの手にある物を求めて、尻を振る。スレインはそん  
な妻の様子を見て、股間が痛いほど屹立していることを理解していた。が、それでも彼は  
手に持った物をレイリアの秘所にあてがう。  
 男根を模ったそれは、戦争が長引くこのロードスにおいては比較的当たり前な代物だっ  
た。愛する男を戦場へと連れて行かれた女達が、己の身を慰めるために使うそれは、滑ら  
かな木を削りだし、磨きあげて作り上げる。金属製の物や、魔法によって摩擦係数を自在  
に変える事のできる物まで存在するのだ。それはロードスの表の商業ルートではなく、裏  
の商業ルートで出回っていた。  
「……与えてあげましょう。罰を、味わいなさい!」  
 スレインは雫を垂らすレイリアの秘所に、その杭を根元まで押し込む。  
「ひ、ひあぁぁぁぁぁぁっ!」  
 レイリアは目を見開き、叫ぶ。ガクガクと腰が揺れ、乳房は横に溢れていた。  
「……ひっぁぁっい、イイ……!」  
 ぐちゅぐちゅと粘性の音を立てて、スレインは杭を出し入れする。そのたびに、レイリ  
アは眉を寄せ、快楽に喘いだ。既に白い肌は桃色に染まり、尻に走る鞭の跡が浮き上がっ  
ている。  
 手指が妻の愛液でビショビショになると、スレインはそれを舌で舐め取った。  
「……こんなにだらしなく零すだなんて。レイリア。君は神官として、恥ずかしくないの  
かね」  
「あ、ああ……ごめんなさい……あなたぁ……!」  
 スレインの叱責に、レイリアは涙を流して謝る。だがスレインはニヤリと笑うと、レイ  
リアの中に突き刺さったままの杭を、一息に引き抜いた。  
「ダメだな。これでは罰ではなく褒美になってしまう」  
「や、ああっ! ぬ、抜かないでっ! スレイン!」  
「罰を欲しいのだろう? レイリア」  
 耳元で囁き、レイリアの小さな耳朶をくわえる。わななくように震えるレイリアに笑い  
かけると、スレインは再び彼女の背後へと回った。  

「罰だよ。生命を慈しみ育むことを是とするマーファの神官として、命を粗末に扱わされ  
ることこそ、罰となる」  
 スレインは自らの性器を取り出すと、レイリアの後ろへとあてがった。  
「あ、ああ……! まさか……だ、ダメですっ! スレイン! それだけはっ!」  
「罰だと言ったはずですよ、レイリア!」  
 懇願するレイリアを怒鳴りつけ、スレインはレイリアの不浄の門――菊門へと男根を差  
し込んだ。それは今までの快楽で緩んでいたのか、ずるり、と先端を飲み込む。  
「あ、ああああっ! やぁぁっ!」  
 レイリアが狂ったように叫び、腰を振って逃れようとする。だがスレインはその細い腕  
から想像もできないような力でレイリアの尻を掴み、さらに前進する。  
 ぐぬぬ、と鈍い感触と同時にスレインの傘までが潜り込んだ。  
「ひ、開く……!」  
 レイリアは涙を流しながら、首を振って逃れようとする。だが、スレインのそれは最早  
彼女の最奥まで届いていた。  
「根元まで入りましたよ、レイリア」  
「あ……あぐ……」  
 目を見開いたまま、声を漏らすことしかできないレイリアに、スレインは笑う。  
「いい締め付けです。それに、絡みつくような感触も良い」  
 ぐちゅ、と腰を引く。そして、再び奥へと突き込んだ。  
「ひはっ! ひぅっ!」  
 吐息を漏らすように、レイリアが声を上げる。  
「ほぐれてきたようですね。熱くなってきましたよ」  
 スレインは眉を寄せたまま、愛妻の乱れる様を見つめ、腰を振り続ける。事実、レイリ  
アの菊門はスレインの物を飲み込むと、絡みつくように締め付けと緩みを繰り返していた。  
「あ……あぁ……い……」  
 段々と、レイリアの表情から苦痛が消える。  
 秘所から溢れる蜜が、太ももを伝ってシーツを濡らす。  

「……このまま、出しますよ!」  
 スレインの切羽詰った声に、レイリアがハッとしたように叫ぶ。  
「だ、ダメです……! せめて私の中に……!」  
「罰だと言ったはずです! 子を産むためでなく、ただ快楽を得るためだけの営みを、受  
け入れなさい!」  
 スレインは腰を突き上げながら、レイリアの秘所を責める。ぷっくりと膨らんだ豆を握  
りつぶすように指先で刺激するとレイリアの身体は面白いように弾んだ。  
「ひあっ! や、ああっ! す、スレイ……ンーー!」  
「出しますよ! レイリア!」  
「あ、イ、イイぃぃ! い、いきます……! イっちゃいますぅ……!」  
「レイリア!」  
 びゅるるっ!という音が聞こえたかと思うほどに、大量の精液がレイリアの腸内に注が  
れる。その温度を感じ、レイリアもまた絶頂を迎えた。  
 高い声をあげ、前後の口を強く締め付ける。注がれた命の元を逃さぬとばかりに。  
「あ、はああああっっっ!!!」  
 背筋をピンと伸ばし、白い肌に浮かんだ玉の汗が飛び散る。  
 そのまま白い肢体は寝台の上に力なく転がった。さらに上にスレインの身体が覆いかぶ  
さる。  
 力を失った陰茎がレイリアの尻から抜け、締め付けを失った穴から白く濁った液が零れ  
落ちる。  
「……レイリア」  
「……あなた」  
 スレインは愛しい妻の手の拘束を解くと、ゆっくりと幼子にするように髪を撫でる。荒  
い息をついたまま、レイリアはその手のぬくもりを感じて、目を閉じた。