ロードス島  

=スパークくんって……〜ギャグ編〜=  

ある夜のこと。  
「うっふん♪」  
「……何をしてるんだ、お前?」  
スパークの寝室に乱入したリーフは、唐突に二の腕で胸を強調し、前屈みで投げキッスをした。  

「あっは〜ん♪」  
「……熱でもあるのか、リーフ?」  
更にスカートを際どい位置まで捲くり上げ、バチッとウインクをする。  

「…………」  
「な、なんだよ、その目は……」  
いきなり無表情になったリーフにじっと睨まれ、スパークは居心地悪げに身じろぎをする。  

 

まるで反応のないスパークの股間を指差し、リーフはきっぱりと宣言した。  
「スパークくん、不能!」  
「違うわあぁぁっ!」  

 
 

=スパークくんって……〜エロ編〜=  

「あっ……。やは、ぁっ、ん……!」  
リーフは月光の降り注ぐスパークの寝室で、甘い声を上げ続けていた。  
エルフの血が混じったその肢体は、まるで月下に戯れる小妖精のごとく儚く、か細い。  
青い果実のように硬さの残る胸の膨らみを揉みしだかれる都度、小さく尖った耳がピクンと跳ねる。  
四つん這いになったリーフの背後では、長い髪を煩げに掻き上げるスパークが、ゆったりと腰を使っていた。  
「ふぁ……っ! スパーク、もう、許して……」  
「何を言ってるんだ……。誘って来たのは、お前の方だろう?」  
「だっ、だって、こんなに……した事な……っ、くふぅん!」  
突き上げる角度が変わり、リーフの言葉が途中で喘ぎに遮られる。  
(こ、こんな……はずじゃ……)  
快楽で霞の掛かったリーフの脳裏に、戸惑いの思考がよぎった。  
              ◇  ◇  ◇  
スパークの言葉通り、最初に誘ったのはリーフの方だった。  
魔法で姿を隠してスパークの寝室に忍び込み、酒宴から戻って来た彼の目の前で、一枚ずつ服を脱いだ。  
『溜まってるんでしょ? あたしが相手してあげる』  
『本当に、いいのか? 俺、酔ってるし……』  
『いいわよ。別に始めてって訳でもないし、これも「公王の友人」としての思いやりよ』  
そんな言葉を交わした事は覚えている。  
(聖女なんて言われてるニースなんかより、あたしの方がいいって、絶対思わせてみせる)  
そんな自信も、確かにあった。  

奔放な性格のリーフは、その若さに似合わず、そちらの方面でも歴戦の勇士だった。  
傭兵隊にいた頃は度々、血と勝利に酔った仲間と、一夜限りの関係を結んでいた。  
妻帯者や、ギャラックを始めとする豊満な女性が好みの男達以外は、殆ど『兄弟』であったと言っていい。  
その誰もが、リーフの具合と性技を誉め、自分の女になる事を求めてきた者も少なくなかったのだ。  
それだけに、彼女は自分の肢体と男を悦ばせる技に、相応の自信を持っていた。  
しかし──  
              ◇  ◇  ◇  
「ふあぁっ!? だめ……っ、きちゃう、また……くるぅ……んんっ!!」  
「……またかよ。最初の偉そうな口振りは何だったんだ?」  
「だ……って、こんなに……ずっと、されちゃ……。あ! だめ、また……っ!」  
実際に事が進んでみると、徐々に追い詰められ、虜にされていったのは、リーフの方だった。  
スパークの手管は、あくまで優しく、リーフの官能をゆっくりと、しかし確実に引き出してゆく。  
今までリーフは、互いの欲求を手っ取り早く満たす為の、荒々しい交わりしか知らなかった。  
だが、まるで労わるようなスパークの愛撫は、身体中が粟立つような、未知の快感を呼び覚ます。  
そして、何よりも今までの男達と違うのは、スパークの異常なまでの持久力だった。  
リーフがどれほど技巧を凝らしても、一向に精を吐かない。  
感じていない訳では無いようなのだが、いくら腰を使っても硬く反り返るばかりで、絶頂の兆候すら見せない。  
力尽きたリーフが動きを止めると、今度はスパークから攻め立てて来た。  
始めた頃は地平にあった月も、いまは中天を通り過ぎ、下り始めている。  
リーフが数え切れないほど絶頂を迎える間、けれどスパークは一度たりとも精を洩らしてはいなかった。  

「もう少しだから、頑張ってくれよ……な?」  
「無理っ……! 無理だよぉ……! お願い、もう、止めてぇ……!」  
力の入らない指でシーツを握り締めながら、リーフは弱々しくかぶりを振った。  
腰から下の感覚はすでに無く、ただ結合部から生まれる快楽だけが、リーフの意識を染め上げる。  
いっそ愛液が枯れてくれれば良いと思うのだが、陰裂からは止め処なく雫が零れ落ち、シーツに染みを作る。  
「でも、ここはまだ、止めて欲しいって言ってないぞ……?」  
「くはっ……、またイッちゃ……! やめ……や、いやぁ……やなのぉ……」  
リーフの意思とは裏腹に、肉襞はスパークの剛直に絡みつき、膣内は達する度にきゅんっと締め付ける。  
スパークの両手で尻を持ち上げられた格好のまま、崩れ落ちたリーフはうわ言のように呟き続けた。  
「くっ……リーフ、来たぞ……。そろそろ、俺もっ……!」  
「ひんっ!? だ……め……! スパ……ークっ! 激し……強、すぎ……ふぁ、ぁっ……!」  
ようやく絶頂に近づいたスパークが動きを早めると、リーフの背筋は弓のように強く反り返った。  
強過ぎる快感が、意識を強引に身体へ縛り付け、リーフは気が狂う事さえ許されない。  
「いくぞ……! リーフ……、いくぞ、お前の、中にっ……!」  
「あ! あ! あぁ! ぁ! ぁ……!」  
スパークの一突きごとに、全身に絶頂の雷光が閃き、開いたままの口から言葉にならない叫びが洩れる。  
もう限界だと思っていたさらに先、想像すらした事の無い高みに追い上げられ、それでも止まらない。  
「つっ……、出すぞ、リーフ……っ、うあぁっ!!」  
「ぁ────……っ!」  
最奥へ大量に迸る飛沫の感触と、やっと終わったという安堵と共に、リーフの意識は唐突に途切れた。  

              ◇  ◇  ◇  
「……あっ……。……ん、あれ、スパー……ク……?」  
「ああ、やっと起きたか。今夜はソファーで寝る事になるかと思ったよ」  
リーフが目を覚ますと、スパークは読んでいた本を閉じて、椅子から立ち上がった。  
その動作には、先程までの交わりの疲れは微塵もなく、どこかさっぱりとした感じさえする。  
それに引き換え、リーフは身体の芯が溶け崩れたように力が入らず、上体を起こすので精一杯だった。  
(なんか、ずるい……。第一、失神した女を寝かせたまま、本なんて読む、フツー?)  
「……ほら、喉渇いてるだろ。飲めよ」  
「えっ!? あ、うん、ありがと……」  
文句を言ってやろうとした矢先に、目の前に果実水のグラスを差し出され、リーフは機先を制された。  
素直に応じて一口含むと、自分の喉が渇ききっているのに気付き、一気に飲み下す。  
ようやく人心地がついたリーフが顔を上げると、スパークは今更ながらに照れた様子で頭を掻いた。  
「済まなかったな、リーフ……。俺、酒が入ると、どうもその……遅くなってさ」  
「うっ、ううん! あたしは平気だよ! ……そりゃ、ちょっとは疲れたけど」  
自分から誘った手前、こう真正面から謝られると、リーフとしてもそれ以上は責められない。  
しかし、ふと疑問に思ったリーフは、眉をひそめて問い掛けた。  
「でもさ、ちょっと聞きたいんだけど……。お酒を飲まない状態だと、どの位早くなるの?」  
「んっ? そうだな……大体、さっきの半分から三分の一って処かな」  
「さっ、さんぶんのいちぃ!? は、早くてもそんだけかかるのっ!?」  
はっきり言って、それでも並みの男の十倍近い。  
「あ、ああ、そんなもんだけど……。それがどうかしたのか、リーフ?」  
不思議そうに自分を見つめるスパークを半眼で睨み、リーフは呆れた口調で言い放った。  

「スパークって……遅漏……」  

〜END〜  

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