旅に出ることを決めた理由をスレインに話し終えた時には、
すっかり夜も更けていた。スレインは納得したようだった。
最後まで話を聞くと、何度かうなずき、
そしてディードリットに手を差し延べた。
「ギムとは仲良くやってください。口は悪いですが、
あなたが思っているような人ではないですよ」
それが彼なりの、歓迎の言葉らしかった。
昼間の、口喧嘩ともつかぬやりとりについては、誰かに聞いたのだろう。
(最初に失礼なこと言ったのは、あのドワーフの方だわ)
そう思ったが、ディードリットは口にするのを控えた。
この穏やかそうな魔術師の困り顔が、容易に想像ついたからだ。
ふたりは『水晶の森』亭二階の、それぞれの部屋へと戻った。
ディードリットは腰に巻いた革のベルトを外し、
チュニックだけの姿になると、ベッドに寝転がる。
なりゆきとはいえ、自分の胸のうちを吐き出したのは、実に久々のことだった。
すっきりとした心持ちで、よく眠れそうな気がした。
しかし、目をつぶっても、なにかがディードリットの心をかき乱した。
浮かんできたのは昼間、助けに入ってくれた若者、パーンの姿だ。
幼さは残るものの、凛々しい顔立ちをしていた。
そして、打算や下心を露ほども感じさせない瞳。
まるで清流のように透き通っていたのが、印象的だった。
あの目がディードリットに向けられた時、どきんと胸が高鳴ったのはなぜだろう。
(パーン、もう眠ったのかしら‥)
薄暗い部屋の天井に、パーンの笑顔を描いてみると、
じわりと子宮の辺りが熱くなった。
思わぬ身体の反応に、ディードリットは戸惑う。
エルフから見れば粗暴とも思える、人間属の男に好意をもつなんて、
これまでただの一度もなかったのだ。
そんなことがあれば、エルフのプライドが傷つく、とすら考えていたくらいだ。
なのに今、自分はパーンのことが、頭から離れなくなっている。
切なくて、苦しくて、どうしようもないほどに‥
ディードリットは草色のチュニックの裾をめくり上げ、そっと秘園に触れてみた。
‥ぬちゅ‥
温かい粘液で、たっぷりと潤っていた。
肉溝にそって指を動かすと、ヌルヌルと滑るくらい愛液があふれ出ている。
(嘘。こんなのありえない)
頭で否定してみても、身体がパーンを欲しがっているのは明らかだった。
自分がずいぶん淫らな女に思えて、ディードリットは顔を赤く染めた。
だが、恥ずかしい思いとは裏腹に、動かす手は止められなかった。
溝をなぞっていた指が、より速く擦りつけられると、
肉の花びらを割ってその中へと潜り込んでいく。
‥くちゅくちゅくちゅくちゅ‥
卑猥すぎる音を、ヴァギナが鳴らした。
聴力の良いディードリットにとっては、まるで耳元で聞こえているようだ。
「‥ああん‥パーン‥いい‥」
思わず喘ぎ声が漏れる。
ディードリットは女性を淫乱にする魔法を、自らに掛けている錯覚すら覚えた。
更に空いている方の手で、チュニックの上から胸を撫でまわす。
弾力ある乳房がぷるんと揺れ、手のひらを押し返した。
すでに固く勃ちあがった乳首は、衣服の下からぴんと張り出し、
刺激を与えられるのを待っていた。
ディードリットはその突起を、期待どおり摘んでやる。
「くううっ‥はあん‥」
頭の中で、閃光が瞬く。
上と下から送り込まれる快感が、全身を駆けめぐり理性を溶かす。
ほっそりとした指が出入りするたび、複雑に折りたたまれた陰唇はめくれ、
溜まっていた愛液がとろりと垂れた。
すでに部屋の中は、発情していることを示す、
つんと甘酸っぱい匂いで満たされようとしていた。
(ああ‥おかしくなっちゃう‥)
やがて、ヴァギナを掻きまわしていた指が、
割れ目の上端でこりっとした感触を捕らえた。
(ここ触ったら‥きっとわたし‥)
この真珠のような固くて丸いものが、
女を狂わせる秘所だとディードリットは知っている。
まさにそこを、パーンに舐めしゃぶられるのを想像しながら、指の腹で転がした。
「ああああんッ!‥もう駄目っ!」
美しい森の妖精は、背中を弓なりに反らして悶える。
うっすら開いた下の唇からは、白濁した愛液がとめどなくあふれ、
尻の穴まで汚していた。
「‥ああっ‥きてッ!‥パーンきてえッ!!」
激しく胸を揉みしだきながら、気持ち良さに細い身体をくねらせる。
ディードリットの身体がびくびくと跳ね、ついに絶頂に達した。
めくるめくような快感に包まれ、自分がはしたなく大声を上げていることには、
気づいていなかった。
ましてや、部屋の外にいる人間にその声を聞かれていたとは、知る由もない。
ただ身体を震わせながら、幻のパーンと昇りつめた余韻に浸っていた。
(つづく)