りりむキッス  

 繰り返すkissは、愛しさと悦びと・・・欲望の所在を、彼に教える。  

「たーかーや」  
 日付が変わるまで、あと数刻。  
 静かな夜が訪れ人に眠りをもたらす頃、  
 もう休もうと就寝の準備に入った貴也の襟首に、突如りりむが後ろから抱きついた。  
「な、なんだよ」  
 幾度触れても慣れないりりむの体温とやわらかさに、貴也は強張った声を押し出す。  
 特に、背中にあたる胸の柔らかさを意識しながら。  
「あたしお腹すいちゃった」  
「んな・・・昨日吸ったばかりだろうが」  
 りりむの体力維持に必要な吸引は二日に一度で十分なはずだ。  
 毎日体力を吸われ続けるわけにもいかないと、貴也は迷惑そうに表情を歪めた。  
「だあって、今日はなんだか疲れちゃったんだもん」  
「家でずっとぐうたらしといて何が疲れるだ」  
 りりむの言い訳にもほとんど耳を貸さず、かといってりりむの体を自分から引き離すでもなく、  
 彼女を背中に背負った状態で、そのまま就寝の準備を続行する。  
「いいじゃない、減るもんじゃなしー・・・」  
「きっぱりと減るわ!俺の体力が!!」  
「きゃっ!」  
 勢いをつけて貴也が振り返ろうとした衝撃で、貴也の首に絡んでいたりりむの腕が外れる。  
どさっ  
 とっさのことに体勢を整えることも、翼を広げることもできず、りりむはそのまま床に落下してしまった。   

「・・・っ痛ぅぅ〜」  
「わ、悪ぃ!どっか打ったか!?」  
「せ、背中と、腰・・・っ。いたたたた・・・」  
「お、おい、大丈夫か?見せてみ・・・」  
 あわてて屈んだ貴也の唇に、りりむのそれが重なる。  
「・・・ん」  
 ・・・口付けは、いつだって長く、甘い。  
 りりむの小さな舌が貴也の唇を割って、歯列をなぞる。  
 快感と、体温と、りりむの放つ香りに、思考の全てを奪われて・・・。  
「ふ・・・。やっぱりおいしい。貴也のキス」  
 不意に、唇が離れた。  
「だまし討ちかよ・・・」  
「えへへ」  
 間近で、りりむが小さく舌を出して笑った。  
「だって、したかったんだもん。貴也と、キス」  
 言葉に従って動く唇が、互いの唾液で赤く濡れている。  
「・・・・・・」  
 見慣れているはずだ。  
 二日に一度は深く口づけて、こんな表情を見ていて。  
 キスをねだられることもすでに日常で。  
 においも、ぬくもりも、もう何度も、近くに感じていて。  
 けど。  
「・・・?貴也?」  
 りりむの細い肩を、貴也のたくましい手が掴む。  
「ちょ・・・貴也!?」  
 そのまま、のしかかるようにりりむの体に覆いかぶさって・・・  
 気づけば、貴也はりりむの体を布団の上に組み敷いていた。  

「貴也・・・」  
 組み敷かれた体勢のまま、貴也の唇が降ってくる。  
 口づけを拒む理由は、りりむにはない。  
 だからそのまま受け入れて・・・いざとなれば、思いっきり体力を吸い上げてやればいいんだと自分に言い聞かせた。  
 その「いざ」が、一体いかなるものなのかは、正直言ってよく分からない。  
 まぶたに、頬に、うなじに、そして唇に、繰り返し行われるキス。  
 それを心地いいと感じる自分もいる。  
「た・・・貴也・・・ねぇ、どうしたの?」  
 貴也が何をしたいのか、何を求めているのか分からなくて、ただ問いかける。  
 貴也は答えない。  
 ひたすら己の行為に没頭しているようだった。  
 りりむの動きを拘束していた彼の腕が離れ、彼女の鎖骨をなぞる。  
 そのままじわじわと肌をすべり、ふくらみに触れた。  
「ん・・・」  
 覚えがあるようでない、懐かしいようで新鮮な、奇妙な感覚が彼女を襲う。  
「!」  
 不意に、強く乳房を掴まれた。  
 力まかせに揉みあげられて、先刻までの奇妙な感覚が霧消してしまう。  
「い、痛、痛い・・・貴也!」  
「あ、わ、悪い」  
 叫んだ瞬間、行為の全てが途切れた。  
 りりむの悲鳴に、貴也も我に返ったらしい。慌てて身を起こし、りりむから離れる。  
(・・・・・・)  
 のしかかっていた重みが失われたことに、一抹の寂しさが彼女の胸をよぎった。  
「その、なんか今頭真っ白で、その・・・」  
 とっさに口から滑り出たのは、形にならない言い訳だった。  
「ねぇ、貴也」  
 りりむは、ふとんに横になったまま、じっと貴也を見上げている。  
 まっすぐな瞳。  
 そこに怒りや拒絶は感じられなくて・・・だからこそ余計に、罪悪感を煽られる。  
「・・・とにかく、悪かった」  
 気まずさに目をそらして、そのまま立ち上がって部屋の襖に手をかける。  
 今は、彼女の目を見ていることさえ耐えられない。  
(頭、冷やそ・・・)  
 まだ頭の芯がしびれたようにぼんやりとしている。  
 少し外の空気にあたって、時間をおいて落ち着かなければ、どうにかなってしまいそうだ。  
「待って、貴也!」  
 りりむの手が伸びて、貴也のランニングの裾をぎゅう、と掴む。  
「な、なんだよ・・・」  
「・・・今、貴也、何がしたかったの?」  

「え・・・」  
 それは、純然たる疑問のように、響いた。嫌味とか確認とか、そんな裏は一切秘められていない。  
 ただ、理解できないから問い掛ける、ごく自然な口調でしか、なかった。  
「・・んなの、決まってんだろ・・・?」  
 はっきりと答えてしまうことが何故か恐くて、かすれる声で呻くことしかできない。  
 りりむに欲情して、押し倒して。  
 男なら。無防備な女を目の当たりにしたなら。そこに甘い快感まで与えられたら、誰もが同じ欲求が沸くはず。  
 その本能的な欲望を、そのまま行為にうつした・・・それだけだ。  
 自然なことだ。当たり前のことだ。  
 なのに、りりむは・・・  
「ねぇ、貴也。何をしようとしてたの?」  
 振り向いた先に、無垢な瞳。大きくて、黒目がちで、幼い子供のような。  
 充分に熟れた体には不似合いな幼さは、彼女の魅力の一つで。  
 貴也はいつも、それに振り回されてきた。  
「まさか、お前・・・本当に?」  

 理解できないのか?  
 人間が異性に求める、欲望の意味合いを。  
「うん。わかんない。ちゃんと言って。教えて、貴也」  

 りりむ。  
 性の象徴たる夢魔りりむ。  
 夜毎男の夢に訪れて、淫らな夢を見せ、生気を吸い取り殺すという。  
 それが彼女の生き方。当然の日々。  
 人間にとっては特別な口づけすらも、彼女にとってはただの捕食活動にすぎなくて。  
 恋愛という概念がそもそもなくて。  
 だから・・・だから。  

(こいつ・・・知らないのか)  
 きわどい接触は何度もあった。  
 それは貴也にとってある意味チャンスで、なのにいつも、ギリギリの所で交わされてきた。  
 分かっていてからかっているのかと思ったことは何度もある。  
 余程鈍いのかと、忌々しく感じたことも何度か。  
 けれど違うのだ。  
 そもそも、彼女に、性的な衝動がないから。  
(・・・マジかよ)  

 なんて絶望的な話だろう。  
 どんなに思っても、情欲を抱いても、彼女には伝わらない。どころか・・・。  
「ねえ、貴也ってば」  
 唇が動く。いつものように無防備に、手を伸ばせば届く距離で、こちらの当惑に気付きもせず。  
「ちょっと・・・もう、無視しないでよぉ!」  
 愛らしい声。柔らかい髪。張り出した胸。くびれた腰。しなやかな足。  
 何もかも。彼女を形成する全てが、いつだって自分を追いつめてるのに。  

 彼女は一生、抱いてくれとは望まないのか。  

「たか・・・んぅ!」  
 貴也は、じっとりりむを睨んでいたかと思うと、唐突にりりむを抱きしめて唇を奪った。  
「や・・・駄目、ちゃんと答え・・・っ!」  
 息つぐ瞬間にだけ小さく外れては、またふさがれる。  
 何度も何度も。  
 りりむに生気を吸う隙すら与えない。  
(な、なに?何なの?)  
 いつものキスとは違う。  
 りりむのリードに身を任せて、時折ついてきてくれる、あの甘い口づけからはかけ離れている。  
 先刻のついばむような口づけとも違う。  
 もっとずっと、荒々しい。  

(どうして・・・?貴也が、なんか、恐いよ)  
 分からない。  
 どうしてこんなに、いつもとキスが違うのか。こんなキスが、貴也の何を現しているのか。  
「・・・たか、や・・・ぁ」  
 分からない。  
 どうしてこんなに、自分の体が強張り、貴也に恐怖して・・・  
 なのに何故、体は甘く痺れてしまうのか。  
 力が抜ける。  
(なんだか、いつもと逆・・・)  
 頭のどこかで冷静にそう考えながら、りりむは貴也に、身を任せた。  

「・・・は」  
 はぎ取るような勢いでりりむの衣服をずらし、直接肌に手をふれさせる。  
(柔らけぇ・・・)  
 分かってはいたことだが、触れる所どこもかしこも柔らかく、  
 力を入れればそれだけで崩れてしまいそうな気がした。  
「ん・・・ぁ、だめ・・・」  
 肌にかかる吐息が熱い。言葉も甘く、拒絶の意志は感じられない。  
(・・・同情か?)  
 望まぬ行為を強いられて、組み敷かれて。  
 それでもこうして受け入れるのは、貴也の衝動を悲しく思うからなのか。  
(だとしたら・・・)  
 想像に、胸が焼きつく。その熱が行為に激しさを加えた。  
(・・・くそっ!)  

「あっ・・・」  
 強引に足を広げさせ、その間に自分の体を滑り込ませた。  
 柔らかな胸に舌をはわせ、足の付け根を指でくすぐる。  
 たくましい貴也の体の舌で、華奢なりりむの全身が震えている。  
「んぅ!・・・だ、駄目だって、ばぁ・・・あ、ああ、ん」  
 見上げると、りりむが小さく首を振る度に黒髪が踊っていた。  
 蛍光灯の光を受けて、淡く輝いているように見える。  
「た、たか・・・んぁ、は・・・」  
 唇をふさいでいる訳でもないのに、彼女の声は途切れがちだ。  
 時折背をのけぞらせ、唇をかんで何かをこらえている。  
(・・・?)  
 一瞬、貴也にとって複雑な想像が脳裏をよぎった。  
 望んでもいない、初めての行為。なのに、りりむは・・・?  
 確かめるために、できるだけ強く、胸の突起を吸った。  
「ああっ!」  
(りりむ・・・お前・・・)  
 痛みのために、あがった声ではなかった。  
 ほのかに赤く染まった頬。僅かに歪む眉。潤いを増した瞳。  
 そっと、彼女のもっとも敏感な場所に指を滑らせる。  
ちゅ・・・  
 僅かではあるが、濡れていた。指に、熱いものが絡む。  
 間違いない。りりむは、感じているのだ。  
 合意のもとで始めたわけでもないのに、性の衝動すら理解しなかった彼女が、快楽に身を任している。  
「・・・貴也、あたし・・・」  
「りりむ・・・」  

 りりむの表情を見つめたまま、指を少しずつ動かし始めた。  
「あ・・・あぁ、あ・・・」  
 指の動きに合わせて、声が漏れる。  
 ・・・楽器みたいだ。  
 そんな感想が胸の奥に浮かんだ。  
「これ、なんか、変・・・だよ・・・」  
「・・・変って?」  
 問い掛けると、りりむの大きな瞳が恥ずかしそうに貴也を睨む。  
「・・・い、ぢわる・・・」  
 しなやかな腕がしがみついてきた。僅かに震えているのは、混乱と快楽のためだろうか。  
 りりむの指が強い力でランニングを掴むのは、その震えを抑えようとしているからかも知れない。  
 指を動かす度に増していく、熱と、ふるえと・・・  
「すげ・・・溢れてる」  
「あ・・・っ!」  
 言葉と同時に、中へ、指を挿れた。  
 りりむは、充分に濡れていたせいか、何の抵抗もなく貴也の指を受け入れる。  
(・・・こ、こんなんなってんのかよ)  
 貴也は、初めて触れる彼女の内側に、少なからず動揺した。  
(熱くて・・・どろどろで、でこぼこしてて・・・)  
 その感触を確かめるように、何度も何度も丁寧になぞる。  
「あ、うぁ・・・んぅ」  
(うわ、動いてる。・・・締め付けるってことか?)  
 初めて訪れた未知の領域。  
(りりむの・・・ここに、俺、のが)  
 想像だけで、ゾクゾクする。  
 息が、弾む。  
 いつそうなったのかも分からないほど、とっくに貴也のものは興奮を示してい  

「な、なぁ・・・りりむ、俺、もう・・・」  
「え・・・?」  
 告げてから、気付いた。  
 りりむはただ、不思議そうに貴也を見上げている。  
 快楽に頬が上気して、目を潤ませているけれど・・・それだけだ。  
 この先を思って恐怖することも、期待することもない。  
 その存在を彼女は知らないのだから。  
(・・・いいのか?)  
 今の自分は、りりむが何も知らないことを利用して、己の衝動のはけ口に利用しているだけじゃないのか?  
 ちゃんと時間をかけて、教えていくことだってできるんじゃないのか?  
 たとえそれが不可能でも、ずっと一緒に、今までどおり暮らせれば・・・。  
「貴也・・・いいよ、あたし・・・」  
「え?」  
 不意に放たれたりりむの言葉に、貴也はびくりと肩を震わせた。  
「い、いいって・・・お前、分かってんのかよ。俺は・・・」  
「うん、分かんない。分かんないけど、いいよ。  
 言ったじゃない、あたし。貴也がしたいこと教えてって」  
「りりむ・・・」  

 あたしね、とりりむははにかんだ。  
 汗ではりつく黒髪に手を触れさせて、少し恥ずかしそうに視線をそらしながら。  
「あたし、いっつも貴也とキスして、生気もらって・・・  
 そればかりだから、貴也に悪いなって。ずっと、そう思ってて。  
 貴也に喜んでもらえること、いつも探してたの。だから・・・」  
 彼女は、照れくさそうに視線をそらしたままだけど、それは、彼女が本音を告げている証で。  
「だから・・・いいよ、貴・・・きゃっ」  
 抱きしめる手に、力を込めた。ほんの少しだけ、彼女が苦しく思わない程度に。  
「もう・・・貴也ってば。なんで泣いてるの?」  
 言われて初めて自分が泣いてることに気づいたが、そんなことに構ってはられなかった。  
 戸惑いも、罪悪感も、苛立ちも・・・  
 自分を戒めるものは、もう、ない。  

 ゆっくりと覆いかぶさってくる貴也の体に、腕を絡める。  
(・・・貴也)  
 あったかい気持ちに胸を満たされながら、彼の名前をつぶやいた。  
(あたし・・・なんでだろ、すっごく幸せ・・・)  
 こうすることの意味は分からないけど、気持ちよくて、触れられてるのが嬉しくて。  
(あたしが貴也に抱きつきたくなるのと、おんなじこと、なのかな?)  
 りりむがそう考えた、その瞬間。  
「ん・・・っ」  
 自分の中に、熱いものが打ち込まれていくのが、分かった。  

(や・・・これ・・・)  
 つながっている場所に心臓があるみたいに脈打つ。  
「は・・・ぁ」  
 強い異物感と、圧迫感。  
 それとは別に痺れるような感覚も駆け上ってくる。  
「あぅ・・・た、貴也ぁ」  
「痛いか?」  
「ち、違う。痛くない、けど・・・あ、ん・・・」  
「・・・だったら」  
「あ・・・!」  
 貴也の体が動き始めた。  
 引き抜かれ、押し込まれ、内側を何度も何度も行き来される。  
「や、は、あぁ、ん・・・だめ・・・んぅ」  
 繰り返されるたびに、頭の中で白い光が明滅を繰り返す。  
 しびれる。  
 夢中で貴也にしがみつき、貴也の動きを助けるように無意識に腰を揺らした。  
「貴也、貴也・・・」  
 名を呼ぶ。  
「りりむ・・・」  
 呼び返される。  
 そんなことが、ただ嬉しくて。  

 愛しさと快感に体中を支配されて。  
 分からないけど。  
 いまここでこうしてる意味なんてしらないけど。  
 好きで、貴也のことが大好きで。  
 役に立ちたくて、笑ってほしくて、側にいたくて、触れたくて・・・。  

「・・・すき・・・」  

「ねぇ、貴也」  
「・・・なんだよ」  
 改めて就寝の準備を整えて、並んで同じふとんに入る。  
 さすがに今日だけは、部屋に帰れなんて言えなかったし、帰ってほしいとも思わなかった。  
 もう少し、このぬくもりを味わいたい。  
「あたし、さっきのヤツ、なんか知ってるかも」  
「はあ!?」  
 それは、唐突な告白だった。  
「さ、さっきのって・・・お前・・・」  
「うん。なーんか覚えがあるんだよねぇ、あのびりびりーって感覚」  
「・・・びりびりって・・・」  
「なんだろ。・・・ね、どうしてだと思う?」  
「し、知るか!」  
「きゃっ!」  
 思い切り怒鳴りつけて、頭から掛け布団をかぶり、りりむに背を向ける。  
「や、やぁだぁ。怒らないでよぉ」  
 りりむが戸惑いがちにふとんの上から貴也をつついた。  

(なんだそれ。なんでよりによって、そんなこと言うんだこいつは!)  
 自分は間違いなく初めてだったのにりりむは・・・と思ったところで、それが無駄なことは十分承知している。  
 りりむは、封印される度にその記憶を失う。  
 りりむが失った時間の中には、生気と引き換えに体を要求した男もいただろうし、  
 それをりりむが断る理由もないことは分かっているのだ。  
 それに、自分と出会うまでの過去を気にしたってどうにもならないのは、以前現れた、かつての宿主の一件で十分思い知らされたし・・・。  
 けれど、釈然としない。  
「ね、貴也。・・・貴也が嫌なら、あたし思い出したりなんてしない。だから・・・」  
 嫌いにならないで。  
 最後のつぶやきが、やけに小さい。  
 その一言で余計に嫌われてしまう可能性を、彼女は危惧しているのだろうか。  
「・・・ばーか」  
 ふとんから顔を出し、貴也はりりむに顔を向けた。  
「変な心配、してんなよ」  
「貴也・・・」  
 抱きしめる。  
「おら、さっさと寝ろ」  
「うん。朝までずっと、こうしていてね」  
「ば、馬鹿なこと言って・・・ん」  
 キスをする。  
 愛おしさを伝えるように、温もりを分け合うように。  

 出会ってからはずっと、貴也はりりむを、りりむは貴也を見ていた。  
 他の誰かに心奪われることなんてなかった。  
 多分、それでいいのだと。  
 自分たちの恋愛は、特異で、おかしな形だけれど。  
 人間どうしですらない、奇妙なものだけれど。  
 今が幸せならそれできっと・・・。  
   
 繰り返すkissは、愛しさと悦びと・・・幸福の所在を、彼と彼女に、に教える。  
   

 
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