タケル君、瑠美、私、瑠可の4人でこのシェアハウスに暮らし始めてから一年ちょっと。  
 
タケル君はヘアメイクの仕事とバイトを両立させながら、相変わらず頑張ってる。  
最近はその腕も認められ、人気モデルの担当や映画のヘアメイクスタッフに加わったりと、長期家を空けることも多くなって。  
 
瑠美も、あまり夜泣きなどもしないため、手のかからない良い子に育っていた。  
 
そうすると、瑠美を寝かしつけた後、自然と瑠可と私、二人きりで過ごす時間も前よりずっと多くなる。  
瑠可も、相変わらず。銚子で私に想いを伝えてくれたとき以来、瑠可の口から私への気持ちはほとんど聞いていない。  
私自身わかってるつもりだし、瑠可も言わなくても良いって思ってるからかもしれないけど。  
それが瑠可なりの愛し方ならいいかな、と思ってた。  
 
そんなときだった。  
瑠美が眠った後、瑠可がちょっと真面目な顔で「美知留、ちょっといい?」と聞いてきたのは。  
 
リビングですやすやと眠る瑠美に気をつかったのか、瑠可は私を自室へと招き入れ、二人でベッドに座った。  
ベットがぎしり、と微かに音を立てる。  
一呼吸おいてから、瑠可が先に口を開いた。  
 
「いや・・・別にこんな改まって話すこともないんだろうけど・・・」  
 
そう言って、瑠可はちょっと照れたように笑った。  
そんな瑠可の横顔が少し可愛く見えて、美知留も少し笑いながら「何?」と聞いてみた。  
 
ちょっと間があって、瑠可は視線を落としながら、  
「私、最近自分に問いかけてるんだ」と呟いた。  
美知留は不思議に思い、首を傾げた。そんな美知留の顔を見て、瑠可は俯いたまま「私は美知留を幸せに出来てるのかって・・・」と続けた。  
 
「時々思うんだ、私は美知留にどんなことをしてやれるのか。美知留が幸せになってくれれば、それでいい」  
でも、と続けてから、瑠可は小さく息を吸い込んで、  
 
「・・・どうやったら美知留を幸せに出来るのか・・・その答えがまだ見つからない」  
「・・・」  
 
美知留は、無意識に瑠可の手を握りしめた。本当に、無意識に。  
 
不意に手を握られた瑠可は少し驚いた様子で、美知留の顔を見た。  
美知留は優しく微笑むと、そのまま瑠可を抱きしめた。  
 
「美知留・・・」瑠可の声は少し震えている。  
「私は・・・この体が嫌で嫌で仕方なかった。一番大切に想ってる美知留にさえ全てを見せられない。ごめん・・・ごめん美知留・・・」  
 
瑠可が泣いている――  
私の前では絶対に泣かなかった瑠可。あなたの涙を見たのは・・・あなたが公園でタケル君に抱きしめられた、あのときだけ。  
でも、今はもっと素直に、自分の弱さを私に見せた。  
 
美知留はぎゅっと胸が締め付けられるような感覚を感じた。  
漏れる嗚咽を押し殺し、震える瑠可の背中を優しくさすりながら、美知留は言った。  
 
「違うよ、瑠可・・・私は、瑠可が変わることを望んでるんじゃない・・・ありのままの瑠可が、ずっと傍にいてくれることが一番幸せなの」  
 
美知留は一度体を離し、瑠可の頬に流れる涙をそっと優しく拭ってやった。  
 
「でもね・・・美知留」  
「うん?」  
「私が愛してるのは・・・美知留だけだから・・・」  
 
美知留は微笑みながら目だけで頷くと、瑠可の頬に片手を添えた。  
 
「・・・瑠可、もう苦しまなくていい。瑠可が苦しくなればなるほど、私も悲しくなる。もうそんなに頑張らなくていいから・・・」  
 
瑠可の目から、涙が一筋流れ落ちた。  
 
――美知留、あなたは傷つきやすくて、優しすぎる。・・・でも、そんなあなたを精一杯愛せてよかった。  
こんなに泣いて、かっこ悪いけど。私の名前を呼んでくれるあなたが目の前にいるから、私は最高に幸せだ。  
何度でもあなたを呼ぶよ。  
 
「美知留・・・」  
 
――もっと早く、気がつけばよかった。瑠可は友達だから、女の子だから、あなたの胸に飛び込んでいけない。  
そう思って、たくさん遠回りした。でも、もう遠回りなんてしなくていいんだよね。  
本当に私が愛していたのは――  
 
「瑠可・・・」  
 
お互いの名を呼び合い、ゆっくりと二人は唇を合わせた。  
 
一度唇を離し、美知留の顔を見ると、薄闇でも少し紅潮しているのがわかった。  
ふっくらとした唇、細い首、微かに上下する薄い肩。そして何よりも、潤んだ瞳のまっすぐな視線。  
瑠可は自分の鼓動が急速に速くなるのを感じ、ふっと小さく息を吐いた。  
 
すると、美知留から私の首に腕を回し、唇を合わせてきた。  
今度は触れるだけではなく、貪るような激しい口付けに、瑠可は一瞬頭が真っ白になりかけたが、すぐに情熱的に応えた。  
 
お互いの舌を絡ませ、きつく吸う。上、下唇ともに味わうように舌を滑らせ、歯列を舐めあげる。  
部屋に甘い水音が響く。その淫らな音がひどく耳に響くようで、瑠可自身も顔が熱くなるのを感じた。  
 
美知留の口の端から、つ・・と唾液が一筋流れ落ちる。  
瑠可はすかさず、それをすくいあげるように舐め、そのまま美知留の顎にちゅっと音を立てて吸い付いた。  
 
「きゃっ・・・」  
 
そしてそのまま唇を上にずらしていき、やがて赤くなった耳にたどり着く。  
ふっと息を吹きかけると、美知留の体が小さく強張った。  
 
耳朶をねっとりと含み、軽く歯を立てたり、舐めたりを繰り返すと、徐々に美知留の体が熱を帯びてくるのがわかった。  
耳を愛撫する一方で、瑠可は美知留のシャツのボタンをひとつずつ外していく。  
 
「美知留・・・脱がすよ?」  
初めてのことで、ちょっと戸惑いを隠せてない自分の声は、ちょっと震えててかっこ悪かったけど。  
でも素直に頷いてくれた美知留が嬉しくて、優しくシャツを体から引き抜いた。  
ブラジャーに手をかけたときはちょっと恥ずかしそうな素振りを見せたが、大丈夫、と耳元で優しく囁いてやると大人しくなった。  
 
あっという間に美知留の上半身は露わになった。初めて見る美知留の肌は信じられないくらい白くて、柔らかかった。  
少しの間見惚れていると、美知留が恥ずかしそうに  
「瑠可っ・・・あんまり見ないでよ・・・」と小さな声で言った。  
 
そのまま肌に吸い寄せられるように、首筋に唇を押し付ける。少しきつめに吸って、舐める。  
軽く歯を立てただけでも傷つけてしまいそうで、優しく唇を滑らせていく。  
 
「やっ・・・んっ・・・」  
 
美知留の口から声が漏れた。  
赤くなって必死に声を出すまいとする美知留が可愛くて、ついもっといたずらしたくなってしまう。  
 
なんでだろう、初めて触れる美知留の肌。  
こんな風にするのは初めてのはずなのに、自然とどうすれば美知留が感じてくれるのかがわかる。  
 
このくらいの力で。十分なぐらい優しく。  
 
美知留の温もりを確かめるように、もう一度深く口付ける。  
美知留も私の首に絡ませた腕に力をいれ、求めてくれる。  
 
一瞬、これは全部夢なんじゃないかと思う。でも、違う。  
今、自分の腕の中にいる人は、確かにずっと長い間想い続けてきた人だ。  
私の全てを受け入れてくれた、最愛の人。  
 
瑠可は心の中が火照ったように熱くなるほどの多幸感で満たされていくのを感じていた。  
 
瑠可は首筋に滑らせていた唇を、肩、鎖骨、腕にまでまんべんなく這わせると、そのたびに美知留は甘い声を出した。  
自分の手の平から直に感じる美知留の体温と柔らかな肌の感触に、思考もすべてストップしそうだ。  
そして、瑠可の唇は美知留の2つの膨らみの輪郭をなぞった。  
 
「あっ・・・ん」  
 
頭上からの美知留の喘ぎ声を聞きながら、片方の胸には唇と舌を、もう片方には指の腹をなぞるように滑らせていく。  
 
そして、ツンと上を向いた頂の蕾にキスをすると、美知留が上ずった声を出した。  
 
「ぁあんんっ・・・」  
「美知留・・・気持ちいい?」  
 
そのまま蕾を口に含み、舌でざらりと舐めたり、きつく吸い上げたりする。  
 
「やあんっ・・・るかぁっ・・・」  
 
もっと?もっと欲しいんだよね?  
 
手の方も休ませることなく、固くなった突起を指の腹で擦りあげたり、押し潰したりを繰り返す。  
ふと美知留の顔を見ると、ぎゅっと目を固く瞑って必死に快感に耐えているようだった。  
 
「はぁん・・・・んん」  
「美知留、かわいい」  
「そんなっ・・・やぁっ・・・」  
「嫌?・・・じゃあ止めようか」  
 
そういいながら、くすぐるように胸の突起を引っかく。  
 
「あっ・・ちがっ・・」  
 
突起を摘み、コリコリを弄びながら、瑠可は耳元に唇を寄せて、熱い息を吹きかけるように聞く。  
 
「嫌じゃないの・・・?じゃあ、どうして欲しいの・・・?」  
「あっ・・・」  
「言って・・・美知留?」  
 
美知留は羞恥で顔を真っ赤にしながら、瑠可の耳に唇を近づけ、消えそうなくらい小さな声で、言った。  
 
「もっと・・・・触って・・・」  
 
瑠可は愛おしそうに小さく微笑み、ちゅっと美知留の頬に口付けた。  
そして、美知留のスカートのホックを外し、足からゆっくりと抜き取る。  
 
気が遠くなりそうなほど、自分の鼓動が速くて、煩い。  
全身の血が沸騰しているんじゃないかと思うくらい、体が火照っている。  
 
もっと、もっと感じて、美知留・・・  
 
美知留のすべてを知りたい。すべてを自分の身体に刻み付けたい。  
 
瑠可は美知留の胸、肩、脇腹、お臍、すべてにキスを降らす。  
そのたびに、美知留の口から熱のこもった切ない声が漏れる。  
 
「あ、るか・・もうっ・・んん」  
「美知留・・・腰、動いてるよ・・・」  
「やっあぁ・・・そんな・・・」  
 
もっと、もっと気持ち良くしてあげる。もっと私を感じて・・・美知留。  
 
顔を紅潮させた美知留の潤んだ視線と私の視線が絡み合う。  
その顔があまりにも可愛くて、思わず深く口付けた。  
 
お互いに感じる熱い呼吸。時おり漏れる甘い声。  
瑠可は熱い舌を絡めながら、手を下に伸ばした。  
 
「ああっ!・・んっ!」  
 
美知留は声を押し殺そうと手で口を押さえたが、瑠可はその手を優しくはがし、耳元で囁いた。  
 
「美知留の声、聞かせて・・・」  
 
瑠可の手は、ショーツの上から最も美知留の敏感な部分をとらえていた。  
割れ目に指を這わせると、すでに十分に潤みが感じられる。  
 
「すごい・・・美知留、溢れてるよ」  
「やっ・・・言わないでっ・・」  
 
羞恥で顔を真っ赤にしながら、美知留は弱々しく首を振る。  
その仕草も、すべてが愛おしい。  
 
「感じてるの?」  
「は・・・あぁん」  
 
潤んだソコに指を滑らせるたび、美知留の口から悩ましげな声が漏れる。  
ショーツごしに、一番敏感な突起を軽く引っかくようと、美知留の身体が小さく跳ねた。  
 
「ひゃあぁんっ」  
いきなりの強い刺激に、美知留は一層高い声を出した。  
 
「ココ・・・気持ちいいでしょ?」  
 
何度も何度もその突起を指で擦ったり摘んだりすると、それに合わせて美知留の身体も小さく震え、さらに潤みが増していく。  
 
「るかぁ・・・あっ・・もうっ・・・」  
 
全身に押し寄せる快感の波に耐えながら、美知留は私の身体にしがみついてくる。  
 
愛しいよ、美知留。  
 
ほんのりと赤みが増した白い首筋に唇を寄せながら、瑠可はゆっくりとショーツを取った。  
 
始めて見る、美知留の女の部分。とても淫らで、美しく見えた。  
思わず形を確かめるように、周りの熱いひだに指を這わせていくと、びくりと美知留の身体が震えた。  
 
「美知留、きれいだよ」  
そういうと、美知留は恥ずかしそうに顔を背けて目をぎゅっとつぶった。  
蜜が溢れるソコはビクビクと小刻みに震え、敏感な突起も充血してぷっくりと膨れている。  
 
瑠可は迷わず、ゆっくりとソコに顔を近づけていった。  
 
「る、るかっ・・・そんなトコっ・・・・ひゃぁんんっ」  
 
瑠可は割れ目にキスを落とし、じゅるりと音を立てて蜜をすくいあげる。  
そして固くなった突起を舌のざらついた面で上下に揺らすようにこすりあげる。  
 
「あっ・・あぁ・・・るかぁっ・・おかしくなっちゃうっ・・」  
 
シーツを握り締め、腰を揺らしながら必死に理性をつなぎとめようとする美知留。  
 
美知留、もっと快感に溺れていいんだよ。  
もっと淫らに、乱れた姿・・・・私だけに、見せて。  
 
突起を口に含み、きつく吸い上げ、舌でこすり、包み込むように舐めあげると、美知留は裏返ったような、かすれた声を出して喘いだ。  
次から次へと溢れる蜜が、瑠可の唇を濡らし、シーツにまでシミをつくっている。  
 
「美知留、やらしいよ」  
「そんなっ・・・あぁぁん・・・」  
 
瑠可は震える突起にキスをすると、蜜を溢れさせる濡れそぼったソコに指を移動させ、柔らかな肉壁を刺激した。  
そのまま人差し指をゆっくりと侵入させると、ソコはすんなりと瑠可の指を受け入れた。  
 
「あぁっ・・あっ・・」  
 
美知留の口から荒い息遣いが漏れる。その苦しそうな喘ぎにあわせて、指に熱い粘膜がまとわりついてくる。  
動かすとぎゅっと引き込まれる。  
指を中で上下左右、中壁を引っかくように動かすと、小さく美知留の身体がはねた。  
 
「あっ・・あああっ・・んっ」  
「美知留、気持ちいい・・?」  
根元まで指を進め、親指で固くなっている陰核をぎゅっと押し潰すと、さらに美知留の声は大きくなり、膣奥が指を締め付けてくる。  
 
瑠可は指を2本、3本に増やし、出し入れを激しくする。  
美知留の腰はすでに浮き、悩ましげに揺れ、絶頂へと近づいていた。  
ぐちゅぐちゅと淫らな水音と、美知留の悲鳴にも似た喘ぎ声が部屋に響く。  
 
「あっ・・やあっ・・・るかぁ!・・んんっ」  
 
絶え間なく喘ぎ声を漏らす美知留の濡れた唇に、瑠可は夢中で唇を合わせ、強引に舌を絡める。  
くぐもった喘ぎと、お互いの荒い息遣い。  
瑠可が美知留をさらに絶頂へと追いつめるように、指の出し入れを激しくすると、激しく蠢く膣奥がぎゅっと締まり、何度か飛沫が飛んだ。  
 
「やっ!あんっ・・ぁああああんっ」  
 
大きく身体をのけぞろせ、大きな声を出した後、内壁がビクビクと痙攣し、瑠可の指を一層強く規則的に締め付けた。  
 
すると、一気に美知留の身体は脱力し、ぐったりとシーツに倒れこんだ。  
美知留も意識を手放したようだった。  
 
 
瑠可は汗で濡れ、乱れた髪の毛がはりついている美知留のおでこに愛しげにキスを落とし、優しく抱きしめた。  
 
腕に感じる、美知留の体温。静かな呼吸。  
あなたの寝顔をこんなに間近で見るのは初めてで、今更だけどドキドキする。  
 
夢じゃない。今、私はこの愛しい人を包み込んでる。  
瑠可はその現実に、涙が溢れそうになった。  
 
もう二度と、あなたに会えないかもしれないと諦めたこともあった。  
絶対に自分の気持ちは届かないんだと決め付けて、逃げようとしたことも。  
でも、それはすべて今の幸せを手に入れるための神様が与えた試練だったのかもしれない。  
 
あなたが一番愛しいよ、美知留。  
もう絶対に傷つけない。絶対に、離さない。  
 
瑠可はそう心に誓い、美知留を抱きしめる腕に力を込めた。  
 
目覚めると、瑠可の香りが胸いっぱいに広がった。  
 
「そうだ・・私・・・」  
美知留は昨夜の行為を思い出し、顔を赤くした。  
同時に、抱きしめてくれている瑠可の温もりの心地よさに自然と顔がほころぶ。  
 
こんなに付き合いが長かったのに、瑠可の顔をこんな風に至近距離で見たことって、あんまり無いかも。  
安心しきった瑠可の寝顔は新鮮で、じっと見つめてみる。  
 
瑠可の長い睫毛、整った鼻、きれいな唇。白いうなじに、少し張った肩。  
鍛えているからか、程よく筋肉がついた腕。そのすべてが愛おしい。  
 
美知留はちょっと身体をずらし、眠っている瑠可の顔を覗き込んだ。そして、そのまま口付ける。  
すると、美知留の心に悪戯心が芽生えた。  
 
「ん・・・美知留・・?」  
瑠可の長い睫毛が揺れ、大きな目がゆっくりと開かれる。  
まだ完全に目が覚めていない様子の瑠可に、美知留はくすりと笑って、「おはよう」と声をかけた。  
 
「おはよ・・・てか、何やってんの・・・?」  
「瑠可、昨日は瑠可が一方的にいろいろやってくれたでしょ。だから・・・お返し」  
 
そう言って、美知留は瑠可に覆いかぶさり、首筋に顔を埋めた。  
 
「えっあっ・・・ちょ!美知留!?」  
 
二人の愛は始まったばかりだ。  
 
―END―  
 

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