ご飯も外で食べてきて風呂にも入って後は寝るだけの常態でソファに座ってテレ  
ビを見ていたら、玄関からガタガタと音がした。  
 
今日はタケルはバーのバイトで夜勤って言ってたから多分エリーだろう。  
そんな事を考えていたらドアを勢い良く開けてエリーがリビングへ入って来た。  
 
「たっだいま〜!」  
 
赤い顔をし千鳥足でこちらへ来ると私の隣へポスッと深く腰掛けるや否や首に腕  
を絡めてくる。  
 
「おかえりーってあんた酒くさいよ」  
 
相手から距離をとるようにわざとらしく身を引き小さく笑いながら軽く鼻を摘ん  
でみせる。  
 
「えー、うっそーそんな事なくない?」  
 
ムスッとふてくされた表情をしながら自分の腕や肩口の匂いをくんくんと嗅ぐ。  
 
「で、今日は誰と飲んで来たの?」  
 
「さーて、誰でしょーうか?気になる気になる?」  
 
匂いを嗅ぐのをやめるとただでさえ近い顔を更に寄せニコニコと笑顔を作りなが  
ら尋ねてくる。  
 
 
「いや、別に気になんないし。あんたが誰と呑んでこようが私には関係無いよ」  
 
エリーはコロコロ表情が変わるから可愛いんだよな、なんて思いながらも興味な  
さげにサラッと言ってみせる。  
 
「ルカはいーっつもそう。ミチルちゃんの事以外興味無いんだもんねー」  
 
エリーは私から視線を逸らし拗ねた様に唇を尖らせながらそう言う。  
 
「…っは?なんでそうなんの?」  
 
なんか軽くバカにされた気がして眉を寄せながら答えた。  
 
「私…知ってるよ、ルカがミチルちゃんの事を好きな事」  
 
「………何それ…意味わかんないから…」  
 
二人の間にしばしの沈黙が流れる。  
 
 
その沈黙を先に破ったのは私だった。  
 
「…あー…酔っ払いの相手すんの疲れたから私寝るわ」  
 
眉間に皺を刻み、ため息混じりにそう言って首に絡まれた相手の腕を半ば無理矢理に外し、  
テーブルに手を伸ばしテレビの電源を切ってからソファから降り自室へ戻ろうとした瞬間、腕を強く引かれた。  
 
…と同時に不意にかかった力によって体勢を崩しソファに横たわる形になる。  
 
ハッとして上を見上げると蛍光灯の光を遮る様にエリーの顔が影となって重なる。  
 
「…エリー?」  
 
いつもの笑顔や怒ったり拗ねた表情ではない、目に涙を溜め潤んだ瞳で私の事を真っすぐに見つめる。  
 
「……ねぇルカー…私、ルカの事ずっと好きだったんだよ…?」  
 
私は、  
何も言えなかった。  
ただ時が止まった様な気がしてそこから動く事も出来なくて、ただただ、エリーの事を見つめていた。  
 
「ルカ……」  
 
愛しそうに自分の名を呼ばれたかと思えば今にも泣き出しそうな表情をしたエリーの顔が段々近づいてくる。  
そして、不意に唇に当たる柔らかい感触。  
何が起こったかはすぐに理解出来た。  
すぐに避ける事だって出来たはずなんだ、でも私には出来なかった。  
 
…まるで自分を見ているみたいだったから  
 
「…っ、エリーあんた酔っ払い過ぎ」  
 
無理矢理に笑顔を作りその場の空気にそぐわない明るめな口調で言葉を返す。  
 
エリーが酔っぱらった勢いで言ったわけじゃないって事くらい気づいてた。  
それはあの真っすぐな瞳を向けられたら誰だってわかる。  
でも今はこう言う事くらいしか出来ない。  
 
相手の瞳から逃れる様に視線を逸らし、眉を寄せるとやんわりと胸を押し返す。  
 
「ねぇルカ…今日だけでいいから私のものになってよ」  
 
上から力強く腕を押さえつけられたかと思うと、その力強さとは裏腹に震えた声が上から降ってくる。  
その声を聞いた瞬間胸が鷲掴みにされるような感覚に陥った。  
 
逸らしていた視線を再度相手へと向け何か言葉を発しようとしたのにやっぱり何も出てこない。  
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーー  
 
 
ルカがミチルちゃんの事を好きなのは、ミチルちゃんの事しか見てないのはルカを見てればイヤでもわかった。  
昔の同級生と再会したって話をしてきた時だっていつもとは全然違う、嬉しそうで、幸せそうで、切なさの混じった表情をしてたの本人は気づいてないんだろうなぁ。  
 
ミチルちゃんがシェアハウスに来たときもね、私内心では来なきゃいいのに、って思ってた。  
こんなこと知ったらルカは幻滅するかな?  
変な話だよね、人を好きになるって素敵な事のはずなのに、その対象が自分じゃないってだけでこんなにも汚い感情が生まれるんだもん。  
そんな自分がイヤで嫌で仕方なかった。  
 
ルカ、人を好きになるってなんでこんなに苦しいのかな…  
 
私、ルカみたいに大人じゃないから好きな人の幸せが自分の幸せ、なんて思えないよ。  
好きなんだもん、自分だけ見て欲しいよ。  
自分だけのものにしたいよ。  
 
 
 
腕を押さえつけると端正な顔立ちをしたルカが私を見上げる。  
何か言いたげな表情で。  
 
「…ごめんねルカ」  
 
私はそう呟いてからルカの白い首筋に顔を埋めた。  
 

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