「ただいま〜」
練習を終えシェアハウスへ帰るといつもの様に靴を脱ごうとし、ふと足元に視線を落とすとその先にあるのは自分の脱ぎかけのスニーカーともう一足自分のより一回り小さいパンプス。
「…ミチルだけ、か」
ポツリと小さく呟くと自然と笑みが零れる。
ミチルと2人だけなんて久し振りだ。
そう思いながらリビングのドアを開け"ただいま"と口にしようとするも最後まで言い終える前に思わず口を噤む。
視界に飛び込んできたのは愛するミチルの寝顔だった。
ったく…ソファでなんかで寝てたら風邪引くっつーの。
言葉とは裏腹にその微笑ましい光景に幸せそうに小さく笑い、ソファに横になる相手に近付き起こそうとするが、気持ち良さそうなその表情を見ると起こす気になんて到底なれずバッグを床へ置くとソファの横へそっとしゃがみ込む。
可愛いなぁ…
規則的に小さな寝息をたてる姿に自分の心がポカポカと暖かくなるのを感じた、と同時に自分の中で小さな悪戯心が生まれるのがわかった。
膝立ちになりソファの背もたれへ手をかける。
そして首を傾けると、少しだけ空いた相手の無防備な唇へ自分のソレをそっと重ねた。
そう、あの時みたいに