「ルカ〜!!」
「…ミ、ミチル?」
「熱いよ〜…るか〜」
何か変だ。
トロ…ンとした目が宙をさまよっている。
熱いという言葉どおり、こんなに薄着なのに頬は赤く染まっていて…
ふと、目が合う。
潤んだ瞳、蒸気した肌、少し開いた艶やかな唇…。
「ミチル…どうした…」
何か変といいかけると同時に、お互いが腕を伸ばす。
指を絡ませて、少し安心したようにミチルが微笑む。
「よかった…るか……」
そう言うとゆったりした動作で、私に体を預ける。
ふと、酒の匂いが鼻につく。
…ミチル…酔っ払ってる…?
「るか〜…わたし、なんだかクラクラ…する…」
「…しょうがないな…」
私はミチルの手を引き、私の部屋へ連れて行く。
ミチルをベッドに座らせ、手を離そうとした私の首にミチルが腕をまわしてきた。
「…るか…」
「…どうした?」
「…とても気持ちいい…よ」
「るか…」
「どうした?」
ルカはいつもと違うミチルにとまどっていた。
「なんだか、変なの…体が…熱いよ…」
ミチルは身体にまわした腕に力をこめ、自らルカに口づけ、唇を吸う。
ぴったりとルカに密着したミチルの身体は、確かに熱く、そして柔らかだ。
(…ミチル、そんなにくっつかれると我慢できなくなるよ)
ありえないくらい大胆なミチルに、ルカはまだとまどっていて、自分からミチルに触れられずにいた。
「…熱いの…」 ミチルは再びそう言うと、自分の服を脱ぎ始めた。
「ミチル・・(息をのむルカ)」
「ルカ、わたしのこと・・見て欲しいの・・ぜんぶを・・」
「ミチル、とっても綺麗だよ。眩暈がしそうなほど・・・」
「ほんと?うれしい・・ルカに見て欲しかったの」
「ミチル・・・」
全裸のミチルを愛おしそうに抱きしめるルカ・・・
「ま、待っ…」
ミチルの動きを止めようとしたが、ふと、このままどうなるんだろう、という好奇心が湧いて、
見ていることにした。
服を脱ぎ、スカートも脱ごうとするミチル。
私にさんざん愛撫された後にやっと見せるような、熱っぽく潤んだ目をしている。
下着姿になり、ついに私の手をとり自分の胸にそっとあてる。
ミチルの大胆さに興奮しているのか、私は金縛りにあったように動けない。
思わずごくり、と喉が鳴る。
とろんとした目で私を見つめるとミチルは私の唇に自分のそれを重ねて…、
ちゅっ、と音をたてた。
「んっ…」
思わず呻き声を漏らしてしまう。
ミチルはさらに舌を入れ、私の口内を愛撫し始めた、そうしながら自分のブラジャーに手をかけた。
「とってあげるから…」
それを口実に一旦ミチルの舌による愛撫を
逃れようとしたのだが、ミチルは首を振って、自分のブラジャーのホックを外そうと再び背中に手をまわしている。
「ミチル…」
「だめ?」
長いキスを止め、ミチルが上目遣いで聞いてくる。
「だ、ダメじゃないけど」
「じゃ、しよ?…」
背中にそっと手を伸ばしてミチルがなかなか外せないホックを外した。
それにしても、あぁ。
ミチルの温かい胸にある私の手はミチルを求めている。
ミチルをベッドに寝かせ、私は上におおいかぶさるような体勢でミチルに触れる
もう、手が勝手に動いてる。
このふわふわで温かく愛らしい存在の誘惑に私は抗うことができない。
手でそっと、柔らかいふくらみを包む。
「ルカ…」
この肌がいつも私の理性を奪っていく。もっと触れていたい、ずっと抱いていたい、と思わせる。
「やっ…、ん」
色っぽいというよりも可愛らしい声がして、ミチルが身を捩る。手のひらの感触が少しくすぐったいらしい。
しっとりとすべすべとふわふわを味わいつくすように、私の手はミチルの胸の上をゆっくり這い回り、 そしてやわやわとそのふくらみを揉んでいる。
そうしながら耳のふちを唇で甘噛みすると、吐息混じりの声が聞こえてきた。どこをどんな風に触れればどう感じるか、
そんなことはもう、わかり過ぎるほどわかってる。
「んふ…、ん…」
甘く鼻にかかる声を合図に、鎖骨に唇を押しあてる。
「は…ぅっ…ん」
ミチルはぴくっと体を震わせながら背中を少し反らし、私の手のひらにふくらみを押し付けてくる。
胸の愛撫を続けながら何度もキスをした。
その度にミチルは身を捩って切なげな吐息を漏らす。
最近じゃ体中どこに触れてもこんな反応だからついあちこち触りたくなってしまう。
ヒップを撫でまわし、太ももの間に手を差し入れて脚をまさぐる。くすぐったがる
膝の裏も、すべすべの向う脛やきゅっと締まった足首も。
そして今度はヒップから背中まで撫で上げて。そう、体中に手を這わせる。
それだけなのに聞こえてくる甘い声と弾む息遣い。
「何で、そんな声?」
「だって、ルカの手、やらし……ん、あっ…んっ」
―ミチルの声の方がよっぽど……
私の顔の真ん前に、ミチルの二つのふくらみがある。
迷わず顔を押しつけると、ミチルは私の頭を抱いてくれた。
温かくてしっとりとして、かすかな石鹸の香りに混ざってミチルの肌の匂いがする。
この匂い、感触、圧迫感。それはこの上なく幸福な息苦しさだった。
心ゆくまで柔らかい感触を味わった後でその先端の蕾をくわえ、ちゅ、ちゅ、と吸ってやる度に、ミチルはさえずるように
声をあげている。普段聞かない艶っぽい声を出すのが、やっぱりたまらない。
舌の先で胸の蕾が固く張りつめていくのを感じながら、太ももを膝で割り、その間に指を滑り込ませる。
その感触に、ミチルが短く小さい声をあげた。
いつもと同じような手順で愛撫していてもこの敏感な反応は変わらない。むしろ以前よりも感じやすくなっているくらいだ。
最初と違うのは快感を素直に訴えてくれるようになったこと。私はそれがうれしくて、ますますしつこいくらい念入りに
ミチルをかわいがってしまう。
指先で花びらのような襞をくすぐるようにこする。花びらは既にしっとりと濡れていたけど、触れているうちに、
さらに内側から潤ってくる。
膝で押えていた脚は、放っておいてもさっきよりも大きく開き、胸と秘所、二つの場所に与えられる刺激に、
ミチルは体を震わせながら甘い声で喘ぎ始めた。
左右に大きく開かせた脚の間にゆっくりと顔を埋める。
「やっ…ん」
ミチルはかすかに困惑と羞恥が入り混じった声をあげながら私の髪の中に指をくぐらせた。
初めは弱く掠めるように舌先で弄る。そして、腰から太ももにかけてふるふると小刻みに震え始めた頃、花びらを唇で
挟んで吸ってやったり、中心に捻じ込むように舌を挿し込む。
舌の動きに合わせて切れ切れに喘ぐ声が聞こえてくる。
ひくひくと蠢く花びらの中心から滲んでくる蜜をこぼれてしまわないように舐め上げてやった後で、顔を上げた。
「ミチル、もっと?」
「え……」
「してほしいならちゃんと言って?」
「イジワル……」
「どうする?」
「あ…もっと…して……」
もっと敏感な場所を目指して再び顔を埋める。
花びらの上の、小さな莢に包まれた芽のような部分。
莢の上からでもわかるほどふくらんでいるのを、指先でそっとめくって唇を押しあてる。
やさしいキスを繰り返すだけでみるみるうちに張りつめていき、余計に敏感になったその場所を舌で舐め上げる。
何度も何度も。
その度にミチルの体はびくりびくりと跳ねようとする。
「ん…っふ…、やっ…、あぁんっ…」
尖らせた舌先でつつくと、体を捩りながら声を上げる。
「あっ、あぁっ……ピリピリして……しびれちゃっ……」
ミチルが腰をくねらせながら壊れたように乱れていくのがうれしくて、夢中で唇で吸ってやる。
「あぁんっ、ダメっ…、だめっ……やぁっ、あっ、あっ、あぁっ」
悲鳴のような声が途切れるのと同時にミチルの腰が大きく跳ねた後、その体がシーツに沈むように力が抜けて
いくのがわかる。
頭の上からはただ乱れた息遣いだけが聞こえていた。
「…まだだよ、ミチル」
「え?」
肩で息をするミチルをよそにルカは再び顔を埋めた。
「あっ!!…やっ!!」
達したミチルには刺激が強すぎるが、
ゆっくり指を前後させ、蜜をすくいとり、突起になでつけ円を描くようにしていく。
クチュ…
「ひゃ、ああん」
ルカの指が動くたび、水音と甘い声が響く。
くぷ…
さらにうるみを増した部分に指を差し入れ、中を掻き交ぜ、時折親指で突起を押し上げる。
ぐちゅぐちゅという音と共に、ルカの掌は蜜で一杯になっていた。
ミチルはルカの肩をにぎりしめ、必死に強すぎる快楽に耐えようとしている。
「もっと感じて」
「やっ、まっ…」
ルカは頬を赤く染め、目が潤んでいるミチルに
「かわいい…」と囁き
さらにその部分を指で開く…
「やっ、もう、だめぇ」
ミチルの震える声と同時に、トロリと新たな蜜がシーツに滴り落ちる。そこは、白い内股の奥で、赤く色づき蜜で光っている。
ルカはその部分に舌を伸ばした。ぴちゃ…
「ひゃう!あっ、ああ、ああん、はぁ、」
ミチルの声が艶をおび、息がさらに荒くなる。
ルカはピチャピチャと音を立てながら、さらに敏感な突起を、入口を、ひだを執拗に舐めていく。蜜を溢れさせた入口に指を差し入れ、出し入れする。
ルカの指を奥まで差し入れ、突き立てると、ミチルがびくりと身体を反らせる。
「やっ、はぁん、うっ、ああ…」
ミチルの声にあわせ、ルカは指の動きを早め、舌で突起を揺らす。
「あっ、あぁぁ!あっ…」
じゅぷじゅぷという激しい水音と共にミチルの声が一際高くなり、ルカの指をびくびくと締め付けた。
私に何度もイカされて荒い息をしながらミチルは少し口をとがらせる。
「ルカ、わたし壊れちゃうよ…」「そのわりには、いつも感じて、むっ!」
ミチルはいたずらにそう言った私の顔を両手でむぎゅっとはさみ、私の顔を見てふふっと笑う。
「ヘンな顔だよ〜」
「むむはいっ(ウルサイッ)!!」
私はミチルの手を掴み、その手を私の唇を寄せると、ミチルはくすぐったそうに笑い声を上げた。
「ルカ」
「……」
「ルカ?」
私は机の引き出しに目を遣りながら、ミチルと散歩したときに見た光景を
思い出していた。
通りかかった教会の前に人だかりが出来ているのを見て、
何だろうね?とミチルが手を繋いだまま駆け出した。
人影の間から二人して覗き見ると、入り口に真っ白な衣装を身に纏った
若い男女二人が、沈もうとする日の光に照らされて微笑んでいた。
周りの人々の口から次々に掛けられる祝福の声。
ああ、結婚式か。
そう思うと同時に、あなた方も祝福してください、と初老の女性から花弁を一掴み
手渡された。
ミチルは嬉しそうに私に笑いかけ、こちらに歩いてくる新郎新婦へ向けて
花弁を空へと舞わせる。
色とりどりの雨の中でやたらミチルの笑顔が 眩しく、
タイミングを逃した私は後ろからそっと花を散らせた。
そして、この前の遠征先で何気なく買ってしまった彼女への土産に思いを廻らせ、
そっと溜息をついた。
ミチルにきっと似合うと思って買ってきたけど、ミチルは喜んでくれるのだろうか。と思いつつ私は引き出しから小さな箱を取り出した。
「わ!!なになに?」
「おみやげだよ」
そっけなく彼女の手に箱を乗せる私とは正反対に、ミチルは目を輝かせて包装を
解いていく。
中身を確認したミチルは、
「かわいい…」
その視線の先にはきれいな石のついた指輪があった。
「ルカッ!!ありがとっ!!」
そう言って無邪気に喜び私に抱きついてきた。
「どういたしまして」
せいいっぱい照れを隠そうとした私はその一言しか言えなかった。私から体を離し、指輪を見つめながらミチルは黙っている。
「ミチル?」
「…めて…」
「え?」
「ルカがはめて…」
ミチルは小さな声でポツリと言うと黙ってしまった。
その一言に私は「ミチル!!」と叫びたくなるほど嬉しかったが、
何も言わずミチルの左手をとり、そのきれいな指にゆっくりと指輪をはめた。
「ミチル」
私が声をかけると少し俯いていた顔があがり、その目は潤んでいた。
「ありがと…ルカ」
私はなにも言わずにミチルをそっと抱きしめた。
「ルカ、あの日の結婚式みたいだね」
「そうだね」
そして顔を見合わせどちらからともなくキスをした。
end