タケルに好きだなんて言われた時はびっくりした。
好きだって言ってもらえて嬉しかったけど、
でも、男に好きって言われて嬉しいなんて思ってる自分にも違和感があったし、
そのくせ欲が出て、タケルに幻滅されたくなくて、本当のことが言えなくなったんだ。
びっくりして戸惑って混乱して、タケルに酷いことたくさんしてごめん。
それでもタケルは変わらず優しくて、なのにアタシが気になるのはやっぱり・・・。
ミチルにもキツイ言葉を投げつけた。あんたの面倒一生見切れないって。
そうでも言わなきゃ、もう限界。
もう無理だよ。みんな一緒に仲良くなんか暮らせない。
こんな煮え切らなくてウジウジした自分なんて、自分で自分がイヤになる。
だからって、簡単にカミングアウトなんかできっこない。
だけどタケルは、アタシを好きだって言ってくれた初めての人だから、
アタシに心を開いてくれた人だから、
だから、あなたに嘘はつけない。
タケル。
アタシはね。本当のアタシは・・・・・。
身体はオンナなのに、心はオトコなんだ。
友達じゃなく異性として、ミチルを見てきた。
オトコとしてミチルを守って生きて行きたいってずっと思ってきたんだ。
ヘンだろ?ヘンだよね。
でもそれがアタシなんだってこと
タケルだけには隠さないでいたい。
ありがとう。タケル。
じゃあ。
「ルカー!
行くな、ルカ!!
手紙は読んだ。気持ちは分かった。
なんで俺に応えられないって言ったかも。
でも、それでも俺は、 俺は、俺はルカが好きだ!
人間としてか、女としてか、どっちかなんて聞くなよ。
俺にだってよく分かんないんだから。
でも俺は、ルカを支えたい。
ルカがどんな風に変わっていくとしても、
それをそばで見続けたいんだよ!
ルカを見失いたくないんだよっ!!!」
タケル。
そんなふうに言われて、そんなふうに抱きしめられて、
なんかもう、わかんないよ。
誰かにバレたら、汚いものでも見るような眼で見られるんじゃないかって、
本当のアタシを知ったら、みんなきっと気味悪がって離れていくって、
ずっと怖かった。
ねえタケル。
アタシは普通のオンナじゃないんだよ。オトコなんだよ。
それでもあなたは、変わらないでいてくれるんだね。
オトコになんか抱きしめられるなんて、気色悪いはずなのに、
なんでだろう。ぜんぜんイヤじゃない。
タケルならぜんぜんイヤじゃない。
タケルの胸は思ったより広くて、ギュッと抱きしめられて苦しくなる。、
なんでだろう。涙止まんないや。
へへっ。かっこ悪い。
ねえ。アタシ どうしちゃったんだろう。
END
ルカ。もういいよ。
一人で背負わなくていいから。一人で苦しまなくていいから。
本当の君って何?
今、目の前に居る君に、ホンモノもニセモノも無いだろう。
俺はルカが好きだ。
ありのままのルカが好きだ。
たとえこの先、君がどう変わっていこうと、
ルカが決めたことなら、ずっとそばで見守りたい。
支えたいって思ってる。
オトコとかオンナとか、そんなのどうでもいい。
その気持ちに嘘は無いのに・・・。
今、この胸で泣く君は、あまりにも可愛くて、
そんな顔を他の誰にも見せないで。俺だけに見せて。
柔らかい頬。細いうなじ。薄い肩。くびれた腰も、小ぶりな胸も、
ああ もうたまんないよ。
自分がこんなふうになるなんて、今まで思ってもみなかった。
このまま強く抱きしめていたい。もう君を離さない。
ルカの全部を手に入れたい。
ねえルカ。
もし俺のこの気持ちを知ったら、
君を苦しませることになるのかな?
君は離れて行ってしまうのかな?
ルカ。君が好きだよ。
君の全てを受けとめたい。
君の全てを守りたい。
たとえ君に、この想いが届かなくても。