「…ルカ…こわいよ…宗佑が…」
宗佑に暴力を受けたミチルは、部屋を飛び出しルカに助けを求めた。
「ミチル、すぐ行くから!そこから動かないで!」
辛いことがあると向かう、いつもの場所。
もう何も言わなくてもルカは来てくれる。
早く、早くきてルカ。私を守って!
「ミチル!!」
「ルカ!」
ゼイゼイと肩で息をしながらルカは、ミチルを強く抱きしめた。
「大丈夫? また殴られたの?」
「う…ん…でももう大丈夫だよ。ルカが来てくれたから」
「今日はうちに泊まりなよ、おいで」と、ミチルの手を取り歩き出るルカ。
「…ルカ、ありがとう、いつも…ごめんね」
「今日エリー、フライトでいないんだ。タケルはロケで泊まり」
「そっか。じゃ2人きりだね」
「お風呂入りな。タオル用意しとくから」
「うん、ありがと。一緒に入る?」
「やだよ!」
「冗談だよー」
トントン「ルカー入っていい?」
「…どうぞ」
枕を持ってルカの部屋へ入るミチル。
「なに…ソレ?」
「独りだと心細いから、一緒に寝ていい?」
「…」
「なんだか恐くて…いや?」
「…いいけど」
ミチルはベッドに腰掛け、ルカの枕の右側に自分の枕を並べた。
「私ね、ルカと一緒だと…何でかなーすごく落ち着くんだよ」
「そう?」
「うん! さっき宗佑にあんな目に遭わされたのに…変だよ…ね?」
「ううん。うれしいよ」
「ルカ、大好き!」
ぎゅっと抱きつくミチルを抱きしめるルカ。
「いたっ!」
「ご、ごめん! 強かったかな? ごめん」
「…違うの。そうじゃないの」
背中をかばうようにベッドに横たわるミチル。
「…ちょっと待って。起きて」
「えっ?」
「起きて背中見せて」
「あ、あのね、もう大丈夫だから、心配しないで」
「いいから」
ミチルを起こしパジャマをずらしながら背中を見る。
「ちょっと、これなに! このアザ!」
「…」
「いつもこんなに激しく殴られてんの!?」
「…」
「なんで、言ってくれなかったの?」
「…だって、ルカに言うと、きっと宗佑殴りに行くでしょ」
「当たり前だろ! 許せないよ!」
ルカはそっと後ろからミチルを抱きしめる。
「…ルカ?」
ミチルは普段と違うルカにとまどいを隠せない。
「どうしたのなんか変だよ、ルカ?」
「もうあんな男のこと忘れて私のものになりなよ。」
耳元で囁かれて思わずミチルは体の力が抜けてしまう。
「ミチル、あたしのこと好き?嫌い?」
「もちろんルカのことはすきだよ。でもなんていうか友達としてっていうか…。」
「あたしミチルのこと好きなんだ。友達としてじゃなく一人の女として。」
「え…?でも…急にそんなこと言われても困るよ。」
「ミチルあたしのこと見てよ。【友達】としてじゃなく一人の人間としてちゃんと見てよ…っ。」
ミチルの首筋に温かいものが伝う。「ルカ?泣いてるの?」
ミチルが振り向くと
「ごめん、なにあたしが泣いてんだろ。かっこわるいね。」
ルカはへへっと笑うと袖口でごしごしと涙を拭った。
そんなルカがどうしようもなく愛おしく見えてミチルはルカを正面からぎゅっと抱きしめた。
「ルカ、謝らなくていいよ。私の方こそごめん…。
私ずっと自分のことで精一杯でルカの気持ちなんて考えてあげられてなかった。
ほんとごめんね、いつも私のこと見ててくれたんだね。
なのに…辛かったよね?」
ミチルはルカの唇にそっと口付けた。
「ミチル、そんなことされたらあたし止まんなくなるよ?」
「いいよ、ルカなら。」