ソフィアさんがどっか行っちった(挨拶)。  
 
 あのあと、僕は何回もソフィアさんに求められた。  
 正直天にも昇る気持ちで、「責任取れ」と言われて少しその気になってしまった。  
 けれど、目覚めてみたら隣にソフィアさんの姿は無く、  
 しかも整備のオヤジ供からは「実はソフィアさんは皇女殿下でした」なんて  
 知りたくもない裏情報を仕入れさせられた。  
 レヴィにはキツいこと言われるし。  
 だから、今少しだけブルーだったりする僕だった。  
 そしてあの砂漠の一夜以来、タチアナは変わった。  
 おせっかいになった。  
 だから怒鳴りつけてやった。  
 「ごめんなさい」だとさ。  
 でも、本当は分かってるんだ。今の僕がおかしいってことくらい。  
 タチアナに八つ当たりしてしまったことも、本当は後悔してる。  
 けれどこの時の僕は、それを認められるほど大人じゃなかったし、  
 その事を気にしないほど子供でもなかった。  
 いわゆる反抗期。情緒不安定。  
 …どうしろってんだ、僕に。  
 
「あ、クラウス!」  
 しつこくついて来るタチアナを振り払うように格納庫にやってきた僕への第一声はそれだった。  
 アル。小さくてかわいい。将来きっと良い女になるだろう。  
 
「僕が保障するよ」  
 急に言ってみた。  
「え?」  
 首を傾げるアル。そりゃそうだ。  
 けれどそんな事は気にせず、アルは続けた。  
「いまラヴィがヴァンシップ直してるよ。一緒にやろ!」  
 今まで父さんの形見だと思ってたヴァンシップ。  
 けれど本当はあのアレックスのものだった。  
 けどそんな事は関係ない。  
 あのヴァンシップは、僕とラヴィとの思い出の詰まった、大切な物なんだ。  
 そう割り切ることが出来たら、どんなに楽なんだろう。  
 視線をずらすと、ラヴィがいそいそと手を動かしているのが見える。  
「……」  
 昨晩の事もあり、顔を合わせられない。  
「ごめん、いま忙しいんだ」  
 言い逃れしてみる。  
 すると以外にも興味無さそうに、  
「ふぅん…」  
 と納得した素振りを見せた。いい子だ。  
 だがその後が問題だった。  
「ソフィアを抱いたの?」  
「アル!?」  
 まさか11歳の子供に「抱いたの?」と聞かれるとは思ってなかった。  
 普通は「…エッチしたの?」とか、百万歩譲って「セ…セ…セックス…したの?」  
 とかじゃないのか。最近の子供は恥じらいの妙味って奴を知らないから困る。  
 ってゆーか。  
「なんで…」  
 なんで知ってるの?  
 とは聞けない。聞けるわけが無い。  
 悪寒を感じて横を向くと、タチアナが凄いツラでこっちを見ていた。  
 下の方では、ラヴィが僕たちの思い出のヴァンシップを修理用具でぶん殴っていた。  
 
「ア、アル? 言ってる意味が良く分からないんだけど…」  
「ほんと〜?」  
 上目使いで疑いの視線。うぜぇ…。  
「あ、あのねタチアナ……ラヴィ、違うんだ…」  
 弁明を試みるが、相手にされない。  
「タチアナ! ちょ、ちょっと待って!」  
 僕が去っていくタチアナを追いかけようとすると、アルはさらなる追い討ちをかけてきた。  
「昨日ソフィアの部屋の前通ったら聞こえたよ。あっ、ふぅん、あぁ、いい、ああ…気持ちいいのぉ…」  
「黙れ糞餓鬼!!」  
「クラウス」  
 キレそうになる僕に、今度は後方から声をかけられた。  
 振り返る。アリスティアさんだった。  
「…なんでしょう?」  
「話は聞かせてもらったわ」  
 聞かれちゃった。  
 てっきり軽蔑の眼差しを向けられるかと思って僕は身構えたけど、意外にもそうではなかった。  
 口元には笑みさえ浮かべている。  
「ア、アリスティアさん…」  
「クラウス」  
 もう一度名を呼ばれて、肩に手を置かれる。  
 刹那、ものすげぇ力で握られた。  
「うわ、うわうわ! 痛い、痛い!」  
「クラウス」  
「無理、無理!」  
「星が当てにならなくなってるわ」  
「ああ! あああ!」  
 激痛のあまり意識が途切れそうになる。  
 そこでやっと握力が弱められた。余韻が残る。  
 僕は思わずその場でうずくまってしまった。  
 
 これは痣になるな…。  
「…何するんですか…」  
「タチアナを裏切ったのね」  
「……………………………………………………………………………」  
 もう、冷や汗だらだら。  
 アリスティアさんから目を逸らそうとすると、顎を掴まれて無理やり目を合わさせられた。  
 相変わらず外面では微笑んでいるが、内面もそれに伴っているなんて思えないわけで。  
「タチアナを、裏切ったのね…?」  
 怖すぎる。怖すぎだ。  
 僕が震えて答えられないでいると、  
 アリスティアさんは顎を掴んでいない方の手の指で僕の目の周りを撫でた。  
「…綺麗な目」  
 抉られる!!  
 だけどその時、  
「おーいクラウス。飯喰いにいかねーか?」  
 救世の声がした。  
 必死で目線をずらすと、整備のおじ様達だった。  
「た…助け…!」  
「いいの。クラウスは、私と話があるから」  
 顎を掴む力が強まった。  
「あがが…!」  
「おーそうかぁ。仲がいいねぇ!」  
「おいおい、姫だけにしておけよクラウス!」  
「やるなぁ…アリスティアァ…!」  
 ヤジを飛ばしながら、オヤジ供は去っていった。  
 ああ…あああ…。  
「私の部屋に行きましょうか」  
「…………」  
 全力で首を横に振って拒絶するが、顎を掴まれたまま引きずられる。  
 あんた何者なんだよ。  
 
 必死の抵抗も虚しく僕はずるずると引きずられ、  
 後にはラヴィがヴァンシップを叩く音と、アルの喘ぎ声だけが残った。  
 
「あの…」  
 アリスティアさんの自室に強制連行されてきた僕は、  
 こちらに背を向けて佇んでいる彼女に恐る恐る声をかけてみた。  
 しかし彼女は答えようとしない。ただ黙りこくっている。  
 僕はここで殺されてしまうのだろうか。  
 思えばあんまり楽しくない人生だった気がする。  
 こんなことならラヴィに…。  
「クラウス」  
「はい!!」  
 いきなり声をかけられたから、つい返事が大きくなる。  
「クラウス…あなたはタチアナを裏切ったわ」  
 アリスティアさんは僕を見ない。  
「はい…」  
 今更否定するのもなんなので、肯定してみた。  
「タチアナを裏切るという事は、私を裏切るという事なのよ?」  
「…はい。本当に申し訳ないことをしたと思っています…」  
 アリスティアさんの言っている意味がよく分からなかったが、取りあえず謝っておいた。  
「意味が分からない? タチアナは私のものなのよ」  
 心を読まれてしまった。  
「あの……アリスティアさんって…タチアナの事が…?」  
 これはいわゆる一つの。  
「ええ、でも勘違いしないでね。決して私は同性愛者というわけじゃないの」  
 そこでやっとアリスティアさんはこっちを向いた。  
 
「相手がタチアナだからなのよ」  
 すごい真剣な表情でそんな事をいうアリスティアさん。  
「相手がタチアナだからなのよ」  
 二回言われた。  
「はい…あの…ほんと、すいませんでした」  
「いいのよ」  
「いいの!?」  
「ただ、条件があるわ」  
 そう言ってアリスティアさんは妖艶に笑った。  
 いつもの清楚な雰囲気のある彼女とは思えない笑みだ。  
「条件、とは…?」  
「抱いて」  
「はい?」  
「タチアナだけなんてずるいわ。それに…」  
 そこで一端言葉を区切るアリスティアさん。  
 艶やかな笑みを深めて、舌なめずりした。  
「わたし、あなたの事好きだったのよ」  
 衝撃の新事実!! 驚愕が僕の全身を貫いた!!  
「…はぁ」  
 でもいまいちテンションがあがらないこの現実。  
 申し出はとてもありがたいけど、これ以上女の人に手を出すと収集がつかなくなる気がする。  
 っつーか15歳の子供の悩みじゃないだろ。どんな人生だよ。  
 そう思って顔を上げると、そこには既に下着姿になったアリスティアさんがいた。  
「………」  
「…抱いて」  
「………あの」  
「抱け」  
 命令された。もうそうしたら従うしかないわけで。  
「…はい」  
 と、僕は諦めてアリスティアさんに近づき、口付けた。  
 
 舌を突き入れる。口内を蹂躙した。  
 気が進まなかった割にはやる事大胆だな。自分でそう思った。  
「ん…ふ、はぁぅ…」  
 アリスティアさんはキスの合間に息を吸い、積極的に舌を動かした。  
 女の子の匂いが僕の口から体の中に染み渡ってくるようだった。  
「…ん…」  
 唇を離す。唾液が糸を引き、やがて重力によって断ち切られた。  
「なかなか上手じゃない。タチアナたちとの経験の賜物ね」  
「それは、どうも」  
「楽しみだわ」  
 そう言って再度舌なめずりするアリスティアさん。怖いって。  
 僕は黙って服を脱いだ。もうこうなったらやるしかない。  
 僕が下着一枚になると、彼女はすでにベッドに横になっていた。  
 ベッドを軋ませつつ、アリスティアさんにのしかかる。  
「それじゃあ、失礼します」  
「待って」  
「え?」  
「どうせするなら、気持ちよくしてくれないと駄目よ」  
「はぁ…」  
「もし満足できなかったらその時は大変なことになるわよ」  
「大変な事ってなんですか?」  
 アリスティアさんは答えない。その代わりに僕に口付けた。  
 大変な事ってなんだろうか…。  
 僕は言い知れぬ不安を抱えながらキスを続ける。  
 その状態で彼女のブラを取り除いてしまった。我ながら手馴れたものだ。  
 キスを中断してその体を眺める。  
 意外にもアリスティアさんは胸が大きかった。  
 爆乳皇帝ソフィア様ほどではなかったけれど、それでも十分に僕の目を圧倒した。  
 触れる。僕の掌から零れ落ちるほど大きく、液体のように柔らかく、そしてあたたかい。  
 取りあえずはやんわりと揉んでみることにした。  
 女性経験は二人だけど、それで培った技術を総動員しない限りはこの状況を打破できそうにない。  
 両手でアリスティアさんの双房を揉みしだいた。  
 
 時に強く。そして時に優しく。何事にも緩急は大事なのだ。  
 愛撫然り。デンブシーロール然り。  
 左右の果実を揉み続けつつ、指を駆使してピンク色の突起を攻める。  
 乳輪を指でなぞりつつ乳房に押し込んだり、はたまた摘んだりした。  
 僕は彼女を愛撫しつつ、顔を覗き見て反応を確かめた。  
「…………」  
 アリスティアさんは無表情でこちらを見詰めているだけだった。  
 焦る。満足させられなければとんでもない事になるのだ。  
 僕は指先に全神経を集中し、彼女の弱い部分を探した。  
 乳房の下から握るようにして揉んで見たり。  
「…………」  
 反応が無い。  
 僕は乳首にしゃぶりついた。さっきは指でやっていた作業を今度は口でする。  
 口の中の突起を舐り上げ、はたまた乳房そのものを口に含むようにしてしゃぶる。  
「…………」  
 反応がない。  
 おかしいな。乳首は勃起しているのに。  
 耳に唇を寄せてみた。舌で彼女の耳の中を舐める。穴付近を舌で舐めてみた。  
「…………」  
 反応が無い。  
 僕は彼女の耳を舐めつつ、その舌を頬、首、胸の間、腹へと移動させていった。  
 改めて見ると、彼女の体はとてもよく引き締まっている。  
 鍛えこんであるだろうその肉体は、脂肪の弛みなど許していなかった。  
 タチアナもすごく鍛えこんでいたみたいだったが、アリスティアさんはその上をいっている。  
 完璧な肉体…完成していたのか…。  
 僕は感心しながらヘソの周りを舐めた。どうだ。  
「…………」  
 反応が無い。  
 僕の心臓は違った意味で高鳴っていた。  
 
 なんでこんなに切羽詰ったセックスしなくてはならんのだろうか。  
 僕は彼女の下着に手をかけた。  
 頼む…濡れていてくれ…!  
 意味不明な願いと共に、僕はアリスティアさんを完全に裸にした。  
 思ったよりも薄い性毛が、まるで彼女のその部分を守るかのようにして儚げに存在していた。  
 顔を近づける。そして両人差し指でピッチリと閉じたその部分を開いた。  
 その拍子に僅かに水音をたて、透明で粘り気のある液体が確認できた。  
 ついガッツポーズをとりたいという衝動に駆られたが、理性で抑える。  
 良かった。何にも感じていないわけじゃなかったんだ。  
 だが待て。体が反応しただけかもしれない。心と体は別物なのよ。  
 僕はピンク色の膣に唇を押し付けた。性欲を掻き立てるフェロモンの匂いがする。  
 舐める。濡らしておかないと入らない。  
 もし彼女に痛みなんてものを与えたら、その場で殺されかねない。  
 舌先に感じるヒダが心地いい。尿道の周りを重点的に攻めた。  
「…………」  
 そんな馬鹿な、反応が無い。  
「まるで屍のようだ」  
 アリスティアさんが言った。  
「…心を読まないで下さい」  
 僕が言うと、彼女は薄い笑みを浮かべ、  
「あなたの愛撫には自由が無いわ」  
 と言った。意味が分からない。  
 意味が分からないが、何故か無性に悔しい。  
 やはり年上の女性というのは、こういうものなのだろうか。  
 男と関わりを持とうとしなかったタチアナや、ただ一人の陰険男を思い続けたソフィアさんとは違う。  
 これが真の年上の女性なのか。ちょっとした百戦錬磨ってやつだ。  
 僕は本格的に焦った。だが、負けるわけにはいかないのだ。  
 指でそこに触れる。今にも無くなってしまうんじゃないかと錯覚する程の柔らかさだ。  
 膣内に指を浅く差し入れた。僕の唾液でそれなりに潤っている。  
 第二間接くらいまで入れて、抜き差しする。  
 アリスティアさんのそこは凄い力で僕の指を締め付けてきた。  
 
 角度を変え、速さを変え、あらゆる方法で指攻めをする。  
 それなりに愛液が分泌されてきたかもしれない。肉体を制したのだ。  
「…………」  
 彼女の顔を見ると、少しだけ瞳が潤っている感じがした。気のせいだろうか。  
 僕は意を決し、下着を脱いだ。僕の武器が姿を現した。  
 頼むぞ。お前だけが頼りなんだから。  
「……大きいのね」  
「大浴場に入ると注目されます」  
 早口で言った。もう慣れっこだ。  
 僕はゴクリと喉を鳴らし、彼女の足を開いた。腰を入れる。  
 僕の性器を彼女の性器にあてがえた。先端に感じる熱い液体の感触。  
 腰を押し出した。  
「ちょっと待って」  
 止められる。突如嫌な予感。  
 このパターンは…まさか。  
「私、処女だから」  
 頭を抱えたくなった。  
 この船には若気の至りで処女を捨ててしまおうという痴女は乗っていないのか。  
 いや、もしかしてそれが今なのかもしれない。  
「私、処女だから」  
「分かりましたよ。二回も言わなくていいです」  
「私、処女なの?」  
「いや、知るか」  
「初めての相手があなたで良かったわ」  
「…………………」  
 嬉しいんだか悲しいんだか。いや…嬉しいよ? 嬉しいけどさ。  
「それは、ありがとうございます」  
 一応お礼を言った。そして気づく。  
 僕は処女を満足させなければならないのか。  
 タチアナの時は無理だった。けど、ソフィアさんの例もある。  
 僕は深く深呼吸し、挿入を再度試みた。  
 
 亀頭が埋没する。それだけで快感が僕の脳に広がった。  
 さらに押し出した。狭くてしょうがない膣内を、僕の性器が押し広げていく。  
 アリスティアさんは少しだけ目を細めた。それは痛みか快感か。  
「痛いわ…」  
 痛みだった。  
 少しづつ挿入を続けていって、やっと三分の一ほど収まった。  
「大丈夫ですか?」  
「ええ…思っていた程ではないわ」  
 表情を見る限りそれほど辛そうではない。本人がどうかは知らないけど。  
 一呼吸おいて、さらに腰を押し出した。  
 狭い通路を切り裂いていく。  
 細やかなヒダが僕の性器をしゃぶり、それがたまらない。  
 半分ほど収まった。アリスティアさんは表情を変えない。  
「もっと一気に押し込んでしまっていいのよ」  
 アリスティアさんは言った。  
「…いいんですか? 僕は本当にやりますよ」  
「ええ」  
 了承を得たので、僕は彼女の望み通り強めに腰を押し込んだ。  
 ぬるっという感触と水音と共に、勢いよく僕の性器は全て入り込む。  
 同時にアリスティアさんは背中を反らせた。  
「………くぅっ………!」  
 声を上げたのは僕だった。  
 アリスティアさんは僅かに顔をしかめているようだが、相変わらず声を出さない。  
「痛いですか?」  
 僕がそう聞くと、彼女は大丈夫と答えた。  
 でもいきなり動くのもかわいそうだから、入れっぱなしの状態でしばらく彼女を抱きしめた。  
 ただそうしているだけなのに彼女の膣内は強弱をつけた運動を繰り返し、僕に射精を促す。  
 もうそろそろ大丈夫だろうか。僕は勝手にそう判断して、少しずつ動き始めた。  
 最奥まで突き入れていた性器を抜け出る寸前まで動かし、またゆっくりと挿入する。  
 熱く、きつく締め付ける柔らかな美肉の中で僕はとろけそうになっていた。  
 意外と潤っている彼女の中で緩やかに動き続ける。  
 彼女の反応を伺うけど、やっぱり表情が変わらない。  
 
 僕の胸に不安が走る。まさか不感症じゃないだろうな…。  
 僕は一端動きを止めて、入れたままの状態で彼女のクリトリスを触った。  
 硬く勃起したそこを、強すぎないように優しく触る。  
 すると。  
「………んっ………」  
 僕は驚いて顔を上げた。  
 そこには目を閉じて、唇を僅かにかみ締めるアリスティアさんがいた。  
 僕はまるで実験を行うかのように、彼女の顔を眺めつつクリトリスを触る。  
「……ふぅ…ぁ……」  
 やっぱりだ。感じてくれている。  
 僕はなんだか嬉しくなって尋ねた。  
「やっと気持ちよくなってくれましたね!」  
 我ながら最低だと思う。  
 するとアリスティアさんは顔を赤らめて答えた。  
「初めてだから不安だったのかもしれないわ…。でもあなたと繋がって、体が安心したのかも」  
 瞳を潤ませている彼女の顔は、とてもかわいく感じた。  
 テンションの上がってきた僕は腰の動きを再開させた。  
 互いの粘膜が擦れあい、密着した膣内で行き場を失った愛液が音を立てた。  
「ん…くぅ…あぁん…ふぁ…」  
 猫みたいにみゃぁみゃぁと喘ぐアリスティアさんはとてもかわいい。  
 やはり緩急をつけて突き込み続ける。僕の目の前にあるたわわな乳房が運動とともに揺れた。  
 僕は体位を変える事にした。喘ぐ彼女を抱き上げる。  
「あっ…」  
 僕は驚く彼女を抱きしめ、強く突き上げた。  
「んぁっぁぁ…やぁ…んあぁ…!」  
 すっかり僕に体を預け、アリスティアさんはみゃあみゃあと鳴いた。  
 唇を奪う。舌を差し入れる。彼女も何がなんだか分からないまま舌を絡めてきた。  
 左手で腰を抱え、右手でその豊満な乳房を揉みあげる。  
 互いの体液と汗で、もはやグチャグチャだ。  
 何回も何回も突き上げていくうちに、アリスティアさんの膣は締まりを増してきた。  
 僕にも射精感が押し寄せてきて、中に出していいものやら迷う。  
 
「きょうは…危険日だから…外に…あぁ…」  
 心を読んだのか、息を詰まらせながらそう言ってくれた。  
 僕はそれでも限界までは中にいたかったから、歯を食いしばって耐える。  
 そのうちアリスティアさんの体が痙攣を始めた。  
 思い切り抱きつかれ、僕の胸で彼女の豊かな胸が押しつぶされた。  
「んっくぅ…は、ああ…ぁんんっ!!」  
 絶頂。強烈に締め付けられるが、僕はなんとか中から引き抜いた。  
 それと同時に僕も達して、勢いよく飛び出した体液がアリスティアさんの顔や乳房にかかった。  
 しばらくお互いに動けずただ抱きしめあった。  
 やがて僕たちの呼吸も落ち着き、二人してベッドに倒れこんだ。  
 僕たちの体は色んな液体でベトベトだ。  
 気だるい脱力感が僕の体を包んでいて、  
 もしかしたらこのまま眠ってしまうかもしれない、と思った時、アリスティアさんは口を開いた。  
「すごかったわ…クラウス」  
「それは…どうも」  
「…クラウス」  
「はい?」  
「タチアナを裏切ったのね」  
「話戻っちゃった!」  
 僕は慌てて講義した。  
「満足したら許してくれるっていったじゃないですか!  
 さっきは今まで生きてきた中で一番必死だったんですよ!  
 もうほんと勘弁して下さいよぉ…」  
 最後の方は半泣きだった。  
 
 するとアリスティアさんはクスッと笑って言った。  
「誰が満足したって言ったの?」  
「え…? でも確かに…」  
「一度や二度イったくらいで満足はしないわよ。  
 ぶっちゃけ、セックスがこんなに気持ちいいものだって知らなかったもの」  
 『ぶっちゃけ』とか言い始めたよこの人。  
 僕が唖然としていると、アリスティアさんに唇を奪われた。  
 口内が蹂躙され、すぐに開放される。そして僕の体を嘗め回し始めた。  
 そういえば昨日の今日なんだよな。これ。  
 僕は体を這うアリスティアさんの舌の感触を感じながら、  
 ぼんやりとこれからの事とかを考えていた。  
 将来の事を想像してみる。  
 真っ暗で見えなかった。  
 
                                  完  
 
 
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