不覚をとった…わ…」
税を不当に徴収しているという噂の貴族の館に潜入したラ・セーヌの星。
彼女の目的は、貴族を告発しようとして逆に捕らえられた女性を救出することだった。
館に潜入した彼女は、警備の私兵の目をかいくぐりながら地下牢までたどり着き、牢に
捕らえられていた女性を救出した。
しかし…
「あぁっ!!」
女性をおぶったラ・セーヌの星が、床に倒れ込む。首筋には、赤い線がくっきりとついていた。
「クックック…分からないのかい?アンタははめられたんだよ、えぇ…」
口を歪ませながら笑いかける女性
「アタシはシャイリーン、まぁソッチの方じゃちょっとは知れてる女さ」
牢獄に捕らえられていた時の、粗末な服をラ・セーヌの星に向かって放る。
「きゃっ!」
シャイリーンの服の下からは、黒い皮のレオタードに鞭を持っていた。
「そ、そのかっこう…」
「アンタの真似をしたワケじゃないわ、アンタが後出しだし」
言い終わると同時に、鞭の一閃がラ・セーヌの星の腰から剣を奪いさる。
「あぁっ!」
あっというまに、シャイリーンの手中に収まる剣
「なるほど…業物ね。これを作った奴を調べれば、アンタの素性やバックにいる奴のことが
分かるというわけさね」
「くっ…(し、調べられたら…ロベールの事が…)」
「さて、どうしようかしらねぇ」
勝ち誇ったように、じり…と迫るシャイリーン。
遠くから馬のいななきと、おびただしい松明の明かりが近づいてくる。
貴族の寄こした追っ手であろう
「………!!」
すぐそばにあった川に飛び込むラ・セーヌの星
追いつく追っ手達
「遅かったわねぇ、アンタら」
「…逃げられたのか?」
追っ手の隊長がシャイリーンに尋ねた
「あぁ、川に飛び込んだわ…恐らくは下流に逃げる、と見せかけて上流だと思うわ」
「よし、二手に分かれろ!上流はワシが行く、下流はデスタン、お前が行け!」
一人の配下を長に指名すると、再び馬に騎乗し駆け去って行く
「………ぷはっ」
しばらくして、飛び込んだ位置から数メートルの水面に顔を出すラ・セーヌの星
さすがにクリスマスを迎えたこの季節に川に長時間浸かっているのは、自殺行為に等しい
川から上がろうと、岸に手をかけよじ登ろうとした瞬間
ビシッ!!
手を鞭の一撃が襲う
「うぁっ!!」
バランスを崩し、再び川に落ちる
「ハッハッハッ…逃げたと見せかけて、ここから這い上がって逃げる…なかなかいい手
だねぇ」
シャイリーンが木の枝に腰掛けて、ラ・セーヌの星を見下ろしている
「でも、もうその体力じゃ逃げ切れないわね…なんならアタシが暖めてやってもいいわよ
アッハッハ…」
「くっ…」
泳いで逃げようとするラ・セーヌの星
「ウッ…ゴボ…ガボガボ…(ち…力が…はいら…ない…)」
氷点下近くの水中にいた事と、首筋を切った小刀に仕込まれていた毒薬のせいで、急速に
意識を失うラ・セーヌの星
「ガボッ、ゴボッ…ブク…ブク……コポ…」
プカリ、と浮かび上がるラ・セーヌの星に、妖艶な笑みを浮かべるシャイリーン
「う…うぅん……あっ!?」
ラ・セーヌの星が意識を取り戻すと、そこは豪奢な作りの部屋だった
一つ違っていたのは…天井が足もとに見える事だ…
「うぐ…うぅぅ…んんっ!」
手足首を革のベルトで固定され、天井から宙づりにされているラ・セーヌの星
なんとか身体を揺すって逃れようとすると
ピシィッ!!
「あうっ!!」
鞭の一撃が、ラ・セーヌの星の引き締まった尻を打った
「今更ジタバタしてもしょうがないわよ」
シャイリーンが鞭を片手に、勝ち誇ったようにたっている
「さて…と、このままアンタをあいつらに引き渡し、私はカネを貰ってそれで終わり
…でもいいんだけどね」
鞭を片手にラ・セーヌの星のまわりを歩くシャイリーン
「む…ん、ングゥゥゥ…」
身体を揺すると、時計の振り子のようにゆらゆらと揺れ動く
「早まっちゃぁ、いけないね」
揺れる肢体を手で押さえると、ラ・セーヌの星の耳元に囁く
「アンタが私のモノになる…ってんなら、話は別よ」
驚きに目を見開く
「ん…ング…ンン……」
傍らの小箱を手に取ると、ラ・セーヌの星の顔に近づけ、中に入っていた乾いた
木の枝に火をつける
「これは東洋に伝わる何でも言う事を聞かせてしまうお薬なの…アンタのその
反抗的な目つきも、すぐに変わるわ」
やがて枝が燻りだし、煙が上がりはじめると、口と鼻を塞いでシャイリーンは部屋を
後にする
「ム…グ…ファファフォ…」
(な、なんとかして逃げなきゃ…)
焦るラ・セーヌの星、しかし手足の縛めを外す事も、口の玉轡を外して息を止める事も
不可能だった
「ケホッ、ゴホッ、ゴホゴホッ…」
むせ返り、激しい頭痛と喉の奥に激痛が走る
(頭が…割れそ…う…)
目の前の風景が渦を巻き、ガァンガァン…という音が頭の中で鳴り響く
(クッ…ダメ…これに負けたら…私は……)
気をしっかりさせようとするラ・セーヌの星
(負けて…しま……ぅ……)
しかし、頭にかかった霧を振り払う事は出来ず、徐々にその動きを緩慢にしてゆく
完全に意識が潰えた数分後、扉が開いてシャイリーンが入ってくる
「クックック…まるで乾し肉だわねぇ…それも上等な」
吊されたラ・セーヌの星をしげしげと見つめ、あるいは指先で秘所の上を突いてみたり
しながら検分する
「どうやら出来上がったようね、それっ」
壁のハンドルを回すと、ギリギリ…という音と共に、吊り下げられていたラ・セーヌの星
が床へと降りてくる
手足の縛めを解くと、少女の肢体を揺する
「さぁ、起きなさい…ラ・セーヌの星」
ゆっくりと、切れ長の目がひらかれるが、それはいつもと違い光を失っている
「は…はい…」
従順に答える少女に満足したかのように、シャイリーンは次の命令を下す
「そのアナタの肌を隠している服を脱ぎなさい…ラ・セーヌの星」
コクリ、と頷くと、おずおすとレオタードを脱ぐ
ぱさり、と床に紫色のレオタードとマスクが落ち、両手を股間と胸に添えている
「なかなかね…その手を取りなさい」
胸と股間を隠していた手をモジモジとしながら後ろに組む
「そう…イイ子ね、それじゃ今度はマスクを着けなさい」
床に落ちたマスクを手に取り、それをしばらく眺めた後、目にはめる
全裸にマスクとブーツのみでシャイリーンの前に立つラ・セーヌの星