いったいどうして、こうなってしまったのだろうか。  
 
 
あの醜男に抱かれ続ける日々に嫌気が差していたから?  
 
 
家に何ヶ月も帰れない生活にくたびれていたから?  
 
   
背中を刺すような朝日が窓から差し込む。  
シルクの毛布にくるまったまま声もあげずにむせび泣く少女の白くしなやかな太腿を、私はそっと振り返った。  
 
 
 
時計の針が三時を刺す。重い樫の扉を片手で押し開けた。  
窓辺にたたずむ少女はふい、と私を見たがまた視線を窓の向こうへと戻した。  
カチャリ、カチャリ  
彼女に近づくたびに紅茶のカップがゆれて乾いた音を立てる。  
やっとの思いでテーブルの上においたポットからお茶をそそぎ、彼女へと差し出す。  
「篭ってばかりで退屈だろう。お茶にしないか?」  
カップからの湯気が彼女の白い肌を蜃気楼のようにやわらかく歪ませる。彼女はおずおずと、陶器のカップを手に取った。  
「お菓子もあるから、ゆっくり食べるといい」  
近くの椅子を引き出し、私も腰掛ける。自分の分のカップにそっと紅茶を注いだ。  
彼女の顔に浮かぶ憂いの色は消えないままだ。悲しげな、苦しそうな表情のまま音もなく紅茶を啜っている。  
しん、と静かに時間が流れる。カップを手に、私はシータの表情をぼんやりと眺めていた。  
「いつになったら、出してもらえるんですか?」  
不意に彼女が問いかけを漏らした。私は落ち着き払って答える。  
「君が、ラピュタへ行くための呪文を教えてくれたならね」  
無論そんなつもりはない。彼女は私とラピュタに同行してもらい、私の計画、理想を実現するために働いてもらう。  
なにせラピュタの血を引いた正統な後継者だ。おちおち地上などで遊ばせておくわけにはいかない。  
しかしそんなことはおくびにも出さずに私は微笑みかける。  
今ここで彼女に萎縮され、心を閉ざされてしまったならそれこそラピュタへの道は閉じてしまう。あくまで彼女には優しく、紳士的に。  
私の理想のために。  
「知らないんです・・・何も・・・」  
シータは泣き出しそうな顔で声を詰まらせる。私も困ったような表情を浮かべる・・・・が心の内は違う。  
早く吐けば楽にしてやるものを、いや楽にはならないかとつめたい自問自答を繰り返している。  
悲しげな彼女の前に暗鬱な空気が立ちこめはじめたとき、  
こんこん、  
ノックの音に静寂は破られた。振り返ると、私の部下がドアを小さく開けて顔を出している。  
「ムスカ大佐、お忙しいですか?」  
「いや、たいした用事じゃない。どうした?」  
私は立ち上がりドアへと向かう。部下は黒い髭をなでつけながらそっと耳打ちをした。  
「将軍閣下がお呼びです」  
苦さが喉の奥に広がる。わかった、とだけ返し黙り込んだ。  
立ち尽くしたままドアが閉じるのを見送る。ふと背後からの視線に振り返ると、シータが神妙な顔つきで私を見つめていた。あわてて苦笑いを作り、  
「いや、少し用事ができてしまってね・・・・じゃあ、またね」  
ドアを閉じるまで彼女は神妙な顔のままだった。  
 
足が妙に進まない。いつもより鈍い足を引きずって、私はつきあたりの将軍の執務室へ向かう。何があるのかはわかっている。  
どうせ仕事などではあるまい。  
 
 
「失礼いたします」  
 力を込めて、ゆっくりとドアを押し開ける。ふんぞりかえった初老の醜い男が、ちらりと私に目をやる。  
「ふん、わかっているだろう・・・・さっさとこっちに来い」  
私は歩み寄り、将軍の足下へとかしずいた。  
 
 
どれくらいの時間が経ったものだろうか。窓からこぼれる西日が目に刺さるように眩しい。  
ズボンのベルトを震える手でとめて、私は執務室を後にした。  
足がふらつく。下半身に走る激痛に顔がゆがむ。ふらふらとさ迷う様に私は壁伝いに歩いた。  
自分があの欲ボケした老人の慰み者にされている、という事実が全身に無力感となって覆いかぶさる。  
苦しい、  
苦しい、  
苦しい。  
がくん、と視界が急降下する。倒れこんでしまった床の湿ったような冷たさを全身に感じながら体の重さを感じていた。  
のしかかりながら私を無能となじる将軍の怒声が頭に反響する。  
ああ、どうして私がこんな目に遭わなきゃならない?  
ふと、脳裡にゆれるみつあみが浮かんだ。  
――あの少女だ。  
あの少女を捕らえるまではうまくいっていたのだ、何もかもが。、  
しかし逃げてしまうし、どうにか手なづけようにも意地を張ってなにひとつ話そうとしない。  
そのせいで無能をなじられ今日もこの体たらくだ。  
喉の奥からふつふつと熱い塊のような怒りがこみ上げる。すべてあの少女のせいなのだ。  
憎い。  
きしむ下半身に鞭を打つように立ち上がり、懐をまさぐった。かつて行おうとして、人道的でないとためらった手段。  
しかし、今はどうでもいい。  
「悪い子にはお仕置きをしなければな、シータ」  
 
カラカラ、と何かを運ぶ台の音が近づいてくる。振り仰ぐと、トレーを運んでいる黒眼鏡と目が合った。  
「お前…何をしているんだ?」  
黒眼鏡はしどろもどろと戸惑いながら、  
「い、いや、あの…人が足りないというものですから、夕飯を少女のところまで運んでくれと頼まれたもので」  
ここの人間は特務を何だと思っているのか。  
「ふん、まあいい…」  
手中にある粉末をトレーの上にある水に溶かす。水は一瞬白くにごったが、揺らすとまたもとの透明さを取り戻した。  
「自白剤のようなものだ…だれにも口外するなよ」  
「は、はあ」  
戸惑う黒眼鏡を残し私は足早に立ち去った。  
夜が楽しみだ。  
 
すっかり暗くなったあたりを月が照らしていた。目を開け、椅子から立ち上がる。  
真夜中の零時半ば、ちょうどいい頃合だ。  
高鳴る胸を押さえ、私は勢いよく黴臭い書庫から飛び出した。  
廊下に並ぶ小さなランプを頼りに北の塔へと走る。警備は手薄で、誰かと出くわすこともない。  
小窓から漏れる月明かりが私の影をあぶりだす。月は知っているのだろうか、私のこの黒い魂胆を。  
彼女の部屋のドアが見える。足音を消し、ドアの前へゆっくりと歩み寄る。  
音をたてぬよう静かに静かに、ドアを押し開けた。  
熱を帯びた吐息がかすかに聞こえる。いつも窓際にある彼女の影は、いまベッドの上にある。私は落ち着いたそぶりでベッドへと向かった。  
はぁ、はぁと苦しそうに切なげに喘ぎ、白薔薇のような頬を真っ赤に染めた少女が横たわっていた。  
厚いフランネルの寝巻きの上からも、ふたつの乳首が敏感に勃っているのが見て取れる。  
「寝苦しいのかね?」  
少女は熱でまどろんだ視線をゆっくりと向けると、小さくうなずいた。  
「からだが…熱い、ですっ…」  
両手で胸を抑え、体の奥から湧き上がる熱を押さえようとする彼女の姿に、私の体も熱でとろけそうに疼く。  
ああ、たまらない。  
「どれ、私がどうにかしよう」  
上着とネクタイをとって背後のテーブルへと投げ、そして素早くベッドに膝をついて馬乗りにのしかかった。  
少女はとまどったような表情を浮かべる。しかし熱のせいか反応は鈍く、とろんとした目がただ私を見上げているだけだった。  
ポケットを探り、ジャックナイフをつかみ出す。彼女の顔が引きつった。  
「や、やあっ…いやっ」  
腕をじたばたとさせ抵抗するがのしかかっている私の重みと薬に完全に負けている。  
「痛くはない…殺しはしない、いい子にしていなさい」  
そうなだめるようにうそぶき、寝巻きの胸元に銀に光るナイフを当てた。  
「やめっ、てぇ…いや、いやっ」  
一直線に胸から裾までの布地を裂く。開いたそこから、むせ返るように濃厚な女の匂いが漂った。  
本来は白いであろうけれども、恥辱のために薄桃色に染まった少女の肢体。  
紅かった頬をますます高潮させた少女の顔が目に入る。両腕を圧迫していた手を離すと、後頭部を押さえ、ヒクヒクと震える小ぶりな唇へと私の唇をあてがった。  
柔らかい。まだ誰にも許したことのないであろう少女の唇に吸い付き、舌を入れ、淫らに絡みつかせる。  
力のない手が私の胸を必死に押しているのにも構うことなく、少女を抱き寄せ存分に唇を味わった。  
唇を離し息をつく。彼女は涙で濡れた瞳を私に向け、睨むように唇を噛んでいる。  
それはまるで狼に追い詰められた羊のよう。その瞳は私の劣情をかきたてるには、あまりに十分すぎるものであった。  
ふと目線を落とした先に、白い乳房に洗った桃のような色味を帯びた乳首が目に入った。私はそれを指先でつまみ小さく舌を這わせる。  
彼女の体がびくん、と跳ねた。手ごたえはある。もう片方の乳首を指でつまむと私は乳飲み子のようにむさぼりついた。  
わざと淫猥に音を立てながら吸い付く。上目遣いにたどった視線から涙をこぼし唇を震わせる少女の顔が見えた。  
汗ばんだ柔らかい肌が私のシャツに密着している。まとわりついて離さないようなその感触に胸が高鳴った。  
 
くちゅり  
彼女の秘裂に指がふれる。執拗な愛撫のせいかそこはとろとろに蜜をこぼしていた。  
太ももを両手で押し上げると、まだ恥毛も生えそろっていない彼女の蜜壷があらわになる。  
そっと顔をうずめ、少女のぴたりと閉じている淫裂に舌を這わせた。  
「ひっ…ああっ!」  
シータの肢体が跳ね上がる。まだ自慰の経験すらもない乙女の体に、それはあまりに強烈な刺激だったのだろう。  
右手で少女の太腿をしっかりと押さえひたすらに溢れ出る牝汁を吸い上げた。  
「ああああああっ…ひあっ!」  
左手の指で陰核を大陰唇で包みこりこりと弄ぶとその嬌声は一段と大きくなった。  
体を起こすと、噛み締めた唇からだらしなく涎をたらし、紅潮した頬で涙ぐむ少女の顔が見えた。  
そろそろ、いいだろう。  
ズボンのベルトをはずしジッパーをおろす。赤黒く怒張し、天に向かってそそり立つような肉茎がむき出しになった。  
「や、やめて…っ、だめ、らめぇ」  
少女の目にもそれはうつったのか、体をよじらせて逃げようとする。わたしは非力な少女の体にのしかかり、逃げ道をふさいだ。  
「やだ、いや、いやです…」  
鈴口をシータの小さな小陰唇にぴたり、とあてがう。粘液の触れる淫らな音がかすかに聞こえた。  
「君がいけないのだよ、シータ…今女にしてやるからな」  
「いやああああああああああ!」  
 
張した肉棒の先端に牝蜜が塗りつけられていく。少女の男を知らない蜜壷を丸くこじ開けて、ゆっくりと押し込んでいく。  
「いっ!い、あああああああっ!」  
シータの甲高い悲鳴が聞こえるも、石張りの壁に反響するだけで届くことはない。  
あまりのきつさに私も思わず顔をしかめた。これだけ押し込んでも、まだ自身の半分も入っていない。  
絡みつく肉壁を引きはがすように、根元まで押し込めた。  
鈴口が子宮口に触れた。破瓜の鮮血が、結合部からあふれ出して滴っている。  
すすり泣く声に見下ろすと、涙ぐんで歯を食いしばりながら、私を睨みつけている少女の姿があった。  
「どうだ?処女を奪われた感想は」  
わざと微笑をつくり、意地悪に彼女に問う。  
「うっ、こんな…ひどい、こんな…」  
涙に濡れた彼女の顔からは被虐のエロスのようなものが感じられた。もっと痛めつけてしまいたい、そんな衝動が湧き上がってくる。  
少女の体に覆いかぶさり首筋に吸い付く。絶望のうめきを耳元に聞きながらリズミカルに腰を動かす。  
つい先ほど処女だったことに構うこともなく激しく抜き差しを繰り返す。鮮血が飛び散った。  
「憎んでいる男のものでも、ここまで締め付けてくれるのだな王女様…気持ちいいぞ」  
ずっと唇を噛み締めて睨みつけていた少女がとうとう大声で泣き叫ぶ。そんな悲痛な泣き声でさえも、劣情を煽るものでしかなかった。  
絡みつき、離さんとばかりに吸い付いてくる少女の肉壷。たった13歳の少女を犯している背徳感に、全身がとろけてしまいそうだった。  
 
激しい抜き差しのさなかに、ふと体の奥からこみ上げてくるような感覚に襲われた。  
「うっ、出る…」  
必死の形相で唇を噛んでいた少女の顔が青くなる。  
「いや…っ、やめて、お願い…!」  
薬で動きの鈍った腕で私を押しのけようとするがその力はあまりに弱弱しかった。  
もう我慢できない。  
私は腰を動かすのをとめた。少女の顔に一瞬安堵が戻る。それを見計らって、両手で太腿を押さえ一気に最奥まで突き入れた。  
「―――――っっあっ!」  
彼女の唇から声にならない悲鳴が上げられた。先端に当たっているのは子宮口だろうか。  
もっと、もっと奥深くまで。繋がったままシータの体に覆い被さると、汗に濡れた白い肌が吸い付くように密着した。  
淫肉を蹂躙する異物の膨張を覚える。涙とよだれと汗で湿り、火照っている少女の顔をまじまじと見つめた。  
「やめて…赤ちゃんできちゃう…いや…」  
涙を浮かべ、うわごとのように唇を動かす少女の姿に否応なく劣情は掻き立てられる。  
なにかがドッと駆け抜けてくるようだ。私は思わず口走った。  
「出すぞ…存分に孕め!」  
「やっ、いやあぁぁあぁあ!」  
 
瞬間、頭が熱くはじけた。  
 
ドクン、ドクン  
心音にあわせ、脈打っている。  
それは激しく脈打ち、少女の幼い胎内へと流れ出している。  
「いや…やだああ……」  
その感覚は少女にも伝わっているのか、ためていた涙をぼろぼろと流し絶望しきったような表情を見せている。  
吐き出しきってもなお私は少女の中へととどまり続ける。脱力感とまぶたの重みを覚えながらゆっくりと目を閉じた。  
すっかり力の抜けきった体を、少女に預けたまま。  
 
 
汚れきった私を断罪するかのように、窓から差し込む朝日が背中を刺す。  
ベッドには、胸から真っ二つに裂かれた服をまとい無残な姿で泣きじゃくる少女の姿。  
シルクのブランケットからは白い太腿が覗いている。  
針の筵にいるような気まずさに耐え切れず思わず口を開いた。  
「そのままでは風邪を引いてしまうよ…」  
シータが私のほうを振り返ることはない。石張りの部屋は悲哀に満ちた少女のすすり泣きに支配されていた。  
胸が締め付けられるような感覚に襲われる。どうして私は、こんなことをしてしまったのだろうか。  
「新しい服を持ってくるよ」  
そうとだけ言い残し足早にドアへと向かう。重い扉を閉じても、まだ少女の泣き声は耳に残っていた。  
暗鬱な気持ちが広がる頭の中に、ふと夕べの感覚が蘇る。  
体中がとろけそうになる、あの感覚。  
思わず薄笑いがこぼれる。  
「ナイフで裂く必要のない服を、持ってこなければな」  
そして私は歩き出した。  
 

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