「手ぬるい!!あんな小娘絞め上げればすぐ口を割るわい!!」  
「制服さんの悪い癖だ。事を急ぐと元も子も無くしますよ、閣下。」  
「フン!!初めから部隊が出動すればドーラごときに出し抜かれずにすんだのだ。」  
軍の上層部、将軍と大佐という高官の間で交わされる会話とはとても思えないような、子供じみた感情剥き出しの声が響く。  
「ムスカ!!わしがラピュタ探索の指揮官だぞ、忘れるな!!」  
「もちろん。私が政府の密命を受けている事もお忘れなく。」  
慇懃無礼で、上官たる自分を睥倪するかのようなムスカの態度に将軍の自尊心は耐えきれずに爆発する。  
「くそーっ、特務の青二才が!!」  
憤懣やるかたない様子の将軍に参謀懸章を吊った中佐が近付く。  
「将軍、実は最近どうもエレベータの調子がよろしくないのです。」  
「だからどうした!!そんなもんは貴様で直しておけっ!!」  
怒りを顕にした将軍の様子に怯むこと無く中佐は続ける。  
「私はムスカ大佐がお乗りの時に万が一止まってしまったら、と思いまして。」  
お前は何を言っているのだ?と言わんばかりの顔で将軍が尋ねる。  
「・・・どういうことだ?」  
「いえ、ただ万が一ムスカ大佐がエレベーター内に閉じ込められてしまって、  
それが政府の他の機関、或は他国の破壊工作だとしたら、です。  
もしその様な場合であるとすれば狙われる可能性のある重要人物を保護する事が必要かと思いまして。」  
「ふむ、つまりは私の身辺警護に問題がある、と言う事か?」  
 
よく将軍にまでなれたものだ、と内心呆れながら  
中佐は彼の将軍の為にもう少し分かり易く御説明申し上げる事にした。  
「もちろん閣下の警護に抜かりはありません。  
ですが、その敵の狙いがラピュタにあるとするならば、です。  
ムスカ大佐の許の少女、を我々が保護し将軍と共に安全な居室に移って頂いた方が良いのでは無いかと思いまして。」  
ここまで説明してようやく合点がいった様子の将軍は満面の笑みと共に中佐の肩を叩く。  
「素晴らしい。まさにその通りだ。  
それでその準備は整っておるんだろうな?」  
「勿論です、将軍。御命令次第で直にでも。」  
「よし、とっととあの青二才を閉じ込めろ。私は娘の所へ行く。」  
まさに飛ぶように駆けて行く将軍を呆れた思いで見ながら後ろ姿に敬礼を返し、部下に合図を送る。  
 
将軍は会議室を出るとティディス要塞の東、陸側にあるシータを幽閉している塔へとその肥満体を急がせる。  
主塔を降り、最短距離を突っ切る為にテラスを通り抜け  
東側の塔へ入った所で将軍の私室へと荷物を取りに向かった従兵とぶつかりそうになる。  
「退けっ!!道具は忘れずに持ってきたのだろうな?」  
「はっ、抜かりはありません。」  
「よし来いっ!!」  
上擦った声で命令すると短い足をせわしなく回転させ階段を駆け上る。  
 
ドン、ドン  
「何を手間取っておる、早く工兵を呼ばんかっ!!」  
怒鳴る将軍の許へ中佐から差し向けられた工兵分隊が到着し、シータの部屋のドアが破られる。  
言葉にならない叫び声と共に部屋に突入し、喜色を満面に浮かべた顔でシータを追い回す将軍。  
逃げ惑うシータだったが身体に似合わぬ敏捷な動きの将軍に捕えられ  
興奮しきった将軍にその服を破られる・・・。  
 
 
-------エレベーター内部  
「大佐、これは一体・・・。」  
「あの馬鹿面共の考えそうな事だ。  
こちらの用意を知った将軍閣下の間抜け面を見れないのが残念だよ。」  
-------  
 
「ムゥスカァーーーーーーッ!!!!」  
将軍が見たもの。  
それは鍵の付き、革の下に金属のベルトが縫い込まれたコルセットと  
貞操帯でその柔肌の大部分を覆われたシータの身体だった・・・。  
 

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